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高速取引と規制

渦中の「オリンパス」だが昨日は第三者委員会より調査報告が為され、株式の方も思惑満載から場中は板がコロコロと変わる。昨日のセシウム粉ミルク騒動で場中に急落した「明治HD」もそうだが、その板は高速取引ならではのものでオーダーも魑魅魍魎になっている様が窺える。

ところでこの高速取引だが先にIOSCO(証券監督者国際機構)は、技術革新で市場の価格変動リスクが高まっている点に対応、高速取引に対し株式相場の乱高下を抑える取引停止ルールなどを市場横断で確立するほか、証券会社以外の専門業者も監視対象に加えることを検討することを明らかにしている。

東証は近年の状況を鑑み是が非でも売り上げが欲しいばかりにその矛先を海外勢に絞り込んできたワケだが、一昔前の手口非公開などから始まって以降ヘッジファンドなど大口取引先向けを最優先としシステム開発に数百億円を費やしただけにこの規制内容の行方は非常に気になるところだろう。その矛先が向けられていない個人には然程気にならない件だが、こんな右往左往劇に付き合わされてきた中小証券など翻弄された分、この辺にどんな思いを馳せているのだろうか。


投信純増と規制

本日の日経紙には、個人投資家の人気を集めてきたブラジル関連の投資信託の販売に急ブレーキがかかっている旨が載っていた。同国通貨の急落で基準価格の平均月間下落率は9月に15%、11月も7%に達したという。

思えば今から約一年前には当欄でこのブラジル関連投信について、「新興国モノでは投資家への情報伝達など一部乏しいだけに一般は常にこの辺に注意をはらう必要があろう。」としていたが、運用悪化と共に流出も増加しこれをコメントした時の純資産残高は前年同月比3倍近くにも膨らんでいたものだが、11月末のそれは13ヶ月ぶりの低水準になっているという。

また金融庁は昨日こうした高金利通貨で運用する投信の販売規制を発表しているが、この高金利新興国モノについても昨年、「〜これら多額の設定を見越し投機筋の買いが膨らむ行為も目立ち、欧州始め信用不安波及がどの程度になるか不透明な中、高リスク資産への投資資金の安全性は如何ほどだろうか。」と警鐘を鳴らしておいたが毎度の事ながら対応の遅さは否めない。

本来であれば投信など乗り換えを頻繁に勧める事例が増えているのが問題になり、証券取引等監視委員会が証券会社による投信の販売状況について立ち入り検査を通じ重点的に点検する方針を決めた段階と前後して、こうしたことも講じられるべきであったと思うが当の販売側も最後には割りを食うことになるワケでこの辺は何ともという感じだ。


大手運用会社よりゲーム会社

さて月初の日経紙には、過去1年以内に上場した銘柄騰落率を単純平均して算出する「IPOインデックス」が日経平均が直近高値を付けた10/28から11/30まで10%下落、その下落率が日経ジャスダック平均株価や東証マザーズ指数を上回る軟調さが書かれていたが、やはりというか今月に上場を予定していた企業で取り消しや延期がポツポツと出ている。

先に19日の上場予定であった「キューアンドエー」が上場を取り消し、先週末にも運用大手の「日興アセットマネジメント」が、15日に予定していた株式の新規上場を延期する旨が報じられていた。運用大手の上場ということで話題性はあったが、主幹事証券が国内外の機関投資家にヒアリング実施したところ1株840円と想定した売り出し価格が高いとの声も出て、価格を引き下げようにも見込売却益の兼ね合いもあり上場を待つことにしたという。

ところでその日興アセットの上場予定日前日に上場を予定している企業に「ネクソン」があるが、こちらは本日公開価格が仮条件の中値にあたる1,300円に決定、先に日経紙でも派手な全面広告が目に付いたがこちらは幹事側から機関投資家の引き合いが強いことをかねてより指摘されており、その調達予定額も日興アセットの約2倍というからなんとも今の市場を象徴している人気の明暗ともいえようか。

長期に亘る準備その他を考慮すればこうした取り消しや延期は其れなりの決断だったろうが、こればかりは何とも言えない。業界でも取引員が一時期公開ブームであったが、その後の環境を思えば公開を取り止めにした幾つかの取引員は結果オーライだったともいえる。各社思惑はさまざまだが、こうした取止め・延期の傾向もまた市場のバロメーターともいえそうした動向は全般を測る上で指標にもなろうか。


技術と慢心

さて、先週は国際フォーラムで開催されたジム・ロジャーズ氏の講演会が盛況であった模様だが、先月は毛色こそ違うものの同じ米著名投資家のウォーレン・バフェット氏もまた来日していた。間接投資先企業の工場完成式典に出席するためのことであったが、ジム・ロジャーズ氏と違ってこちらの方は初来日。

その投資先企業とは超硬工具メーカーの「タンガロイ」。この企業、フジ系の「ほこ×たて対決」なる番組の(絶対穴の開かない金属)×(絶対穴を開けられるドリル)の戦いで東証二部の「日本タングステン」に屈辱の敗北をしてしまったのを見ていて改めて上場していた当時を思い出したものだが、こんなバラエティ番組では負けてもその技術は著名投資家に食指を動かさせるなどさすが日本の匠と一寸感心したものだ。

しかし日本の技術も長年そのものが各業界においてブランド化しており、その差別化において優位性を保持してきたものだがどうも昨今はこうした構図も通用しなくなりつつありその限界が露呈される例が既に散見される。まさにブランドの上に胡坐を書いている間にというパターンだが、なるほど単純に顧客が対価という触手を伸ばしてくれないことには話にならなく近年時価総額が急減した企業はこの辺を蔑ろにしてきたのは否めないだろう。

ウォーレン・バフェット氏は先の記者会見で「持続的に成長できて、競争力があり、欠かせない事業を持つ企業に投資する」としている。競争力という点ではかつてソニーを仰いでいたという米アップルなんぞは勝者だが、時価総額急減企業はオリンパス然りソニー然りその道で市場占有率が長年高く慢心から優位性崩壊の構図を想定し備える部分が甘かったといえ、他も今後はそうした部分が課題となってこようか。


ハコと有限責任事業組合

さて、こんな萎縮した株式市場で活躍するのは幕間ツナギで仕手株と相場が決まっているが、本日も飽きず?に値上がり率上位にはボロ株がオンパレードである。ところでこの手ではかつてよく商いを集めていた物に東証二部に上場していた井上工業があった。今は無き同社だが、今頃になって約15億円の自己資金を還流させて架空の増資を公表したとして問題になっている。

これに限らず二部や新興ポストは、監査法人から決算レビュー報告書が作成出来ないと通告され上場廃止回避策から怪しい闇錬金に手を染める例が後を絶たなかったがこれもその一つ。架空増資を実施させて新株を入手するスキームは一部の定番で、(●●有限責任事業組合)なるものが彼方此方に乱立していたのは記憶に新しい。

当然ながら魑魅魍魎の金融ブローカーにカネも流れ、闇社会に還流していった流れなど指摘されていたが、同様に東証一部の名門だったオリンパスにも飛ばしで金融ブローカーが介入していたのは軽い驚きであった。しかし今更ながら消滅した二部のこんな小粒の事例で騒ぐということはオリンパスの本当にマズイ部分から視点を逸らさせる狙いもあるのだろうか?とつい勘繰ってしまう。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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