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可否待ちのコメ

本日の日経紙には、現在農水省に東穀と関西商取がコメの試験上場を申請している件に絡んでJA全中が先週の理事会で反対を表明した件について東穀の社長が共通認識を得られていないと発言した旨が載っていた。

先にも書いたとおりで前回申請では全農OBの突然の辞任など政策的な動きも見られ、やはりいろいろ絡んでいる分全中の反対は想定内であったが、この震災以降は市場も一層政府介入色が濃くなっているだけに気になるところ。

そういえばコメといえば、政府が原発事故で放射性物質が基準を超えて含まれた水田でのイネの作付けを制限する方針を明らかにしたことで、今後の生産量低下に伴うコメ価格の上昇思惑が先行する格好で株式などはヤマタネなどが商いを集めたことも先月はあった。さて商品先物はどうなるかだが、何れにせよ7月下旬までその可否が待たれる。


既存概念の脆さ

株式市場では本日も東電株が大幅続落、その性格上金融機関の保有も多く事実上の筆頭株主であった第一生命などは株価下落に因る評価損が甚大となった。また此処に限らず既報の通りで他の金融機関も今回の急落で巨額の減損処理を余儀なくされている。

ところでこんな公益株だけに投信系も挙って組み入れていたワケだが、判明しているだけでとっとと全株外したところは「住信日本株SRIファンド」、「住信アセット(グッドカンパニー)」、「住信アセット(すみしんDCグッドカンパニー)」、「STAM SRI・ジャパン・オープン」、「生物多様性企業応援ファンド(生きものがたり)」、「ニッセイ日本勝ち組ファンド」等々。

ブラックロックや日興AMもかなりヤラれた模様だが、その性格からやはりアクティブ系は見切り、一方でパッシブ系などはトラッキングエラーの観点からもなかなか外しきれないかと。しかしこうして並べて見ると「SRI」、「生物多様性企業」、「勝ち組」とか其処へ東電があると恥ずかしくなるようなネーミングばかりだが、逆にそこから震災前の優等生ぶりが窺えたというもの。

名門ブランドの優等生も既にJALを堺に投資対象足りうるのかという観点ではますます常識が通用しなくなってきている。


曖昧加減とスケープゴート

さて、かつては山本モナさんと不倫騒ぎで有名になった原発担当相は今更ながら東電原発のメルトダウン確認で事実認定甘かったなどと認めていたが、この東電といえば先週末に政府が枠組みを決めた賠償スキームでは、新機構が東電に資金支援を行うことで破綻させないかわりに賠償総額の上限は設定せずに賠償は東電が負う事になった。

途中段階とはいえ一連の動きには大きすぎる公益企業の扱いの難しさが垣間見られる。今のところ株主責任は免れた格好だが、4/21付けの当欄では、「日本社会の構造は官民揃って責任の所在が曖昧になりがち」と書いた事がある。モラルハザードや詳細はまた後述したいがこのままゆくとそれこそ責任所在が曖昧なままなし崩し的な税金投入の穴埋めが膨らむ恐れがある。

また政府介入といえば直近でも中部電力があった。浜岡を止める話は全国の原発で30年以内に震度6強以上の地震が起きる確率が浜岡原発で84%と突出しているからとの事だが、福島第一原発は日経紙などにも載っていたが0.0%にもかかわらず今回の大惨事となったワケで、こう考えるとなにやらスケープゴートのようにも思える。事実、浜岡は原発依存度が比較的低く止め易いワケで、誰が絵を描いたのやらパフォーマンスに利用されただけか。

しかし法的な根拠が曖昧なままで政治が介入するのなら、電力だけでなく放送・通信など規制業種全般もいろいろな側面で再考する必要が出て来るし、もう一つ今後気になるのは外国人投資家のスタンス。こうも市場ルールを逸脱した発言が度々繰り返すのを彼らがどう解釈するかだが、周知の通り売買での大きなウエートを占めるだけにこの辺は注意しておかねばならないだろう。


分散と役割

さて、本来の予定であれば今週の月曜日からは東証が現物株の前場の取引終了時間を30分遅らせ、昼休み時間を午前11時30分から午後零時30分の1時間に短縮するはずであったのだが、周知の通り東日本大地震後の厳しい電力事情を受けて節電に協力という格好でこれが延期になっている。

他にもサマータイムを導入、ポロシャツなどの節電ビズ、マーケットセンターの電光表示板消灯、各種イベントの中止も併せて実施、証券取引所といえば西では大証も7月からの一部業務を大阪市の本社に移管することを柱とした節電策を発表している。

ところで先週5/3付けの日経紙では全国の都道府県知事に実施した東日本大震災に関する緊急アンケートで、首都機能の分散・移転が「必要だ」と答えた知事が27人と過半数に達し、東京一極集中に懸念を強めている旨が載っていた。この辺に関しては先に東京都知事も「首都機能のうち証券市場の中心は大阪に移すなど、大きな発想力で取り組むべきだ」と訴えている。

東京といえば国際金融都市を事あるごとに謳い永田町でもそうした議論が盛んに行われていたものだが、今となっては誰も口にしなくなるくらいジワジワとした凋落ぶりは各方面でも周知の通り。はたして国内でも今回をいい機会と捉えて経済系は西へと仕切り直しなどという気運になるのか否か、東西の役割分担などテーマが大きく直ぐには先が見えてこないものの今後もこの辺の論議には注目したい。


臨増

先にあの銀先物急落のトリガーとなったのは証拠金引き上げであったが、次にCMEは10日の取引終了後からWTI原油先物の取引証拠金を25%引き上げると発表している。併せて北海ブレントやガソリン、灯油など他のオイル系の証拠金も引き上げる模様だ。

昨日は為替デリバティブの損失について触れたが、上記の通り頻繁な所謂臨増し証拠金が必要になるくらいコモディティーも荒れてくるとヤラレたファンドなどメジャー系が浮上してくる。早速というか直近では世界最大のコモディティーファンドともいわれる「クライブ・キャピタル」が、先の原油急落で4億ドルヤラレたという報をFT紙は伝えている。

この「クライブ・キャピタル」といえば年間の平均リターンが27%といわれ、推定50億ドルの顧客資産運用額を擁しているというファンド。今年は直近の4月まで上記の通り好調なパフォーマンスを示していた模様だが、この原油でその週のパフォーマンスが8.9%悪化したという。

他にもココの半分程度の規模のエネルギー系ヘッジファンド、アステンベック・キャピタル・マネジメント擁する主力ファンドも運用資産が12%減少したと伝えられているが、近年はLTCMのような超レバ系はめっきりその姿を消し一発パンク型もなくなってきたなと。商品もジュリアン率いるタイガー等が破竹の勢いだった頃がなんとも懐かしい。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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