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旬商品

さて、横浜でのAPEC(アジア太平洋経済協力)首脳会議に伴い、中国の国家発展改革委員会主任と先に会談した経済産業相によれば、対日輸出が滞っているレアアースについて同氏から近く適切に解決すると輸出正常化の方針を示されたことを明らかにしている。

レアアースについては上記の通り世界生産量の約97%を中国が占めているが、輸出規制や採掘制限に動き当局の税関検査や操業規制がきつくなっている事で高騰が続いているのは周知の通り。さて、このレアアースといえば、先月末から米資産運用会社ヴァン・エック・グローバルがレアアースなど戦略金属の生産者に投資するファンドを上場している。

マーケット・ベクターズ・レアアース/ストラテジック・メタルズETFは中国の姿勢がここ若干軟化した模様との報道が一部あったことで数パーセント安くなったようだが、正に旬なだけにヘッジの用含め投資資金を集めるのは想像に難くないか。

ところで今年のアタマには東証がレアメタルETFの上場を年内にも目指す方針である旨の報道があったが、その後の状況はどうなっているのだろう?海外モノやTOCOM連動型まで商品系は相次いで上場が続いたが、NYMEXあたりを見るにつけ機動性はまだまだという感じ。レアアースなどの一部は二ヶ月そこそこで10倍にも価格がハネ上がるだけに、こうした物こそ様々な商品の誘致が望まれる。


インフレ輸出

さて、本日のTOCOMでは金の先物が実に1983年2月以来約27年9ヶ月ぶりの高値をつけた事が話題になっていた。しかしFRBが追加の金融緩和を決めてからというもの斯様に国際商品他の高騰が著しい。

金は上記の通りでいわずもがな史上最高値更新、ソフトものでは粗糖が30年ぶりの高値にコーヒーが13年ぶりの高値、穀物なども各々数年振りの高値等々、日経紙などでも頻繁にこうした個別の記事が目に付くようになってきた。

今は挙って輸出競争力を高める通貨安競争が言われているが、上記の高騰するコモディティーには2年ぶりの高値にまで上昇した原油先物などに象徴されるように、それらと一緒に厄介なインフレまで同時に輸出が始まっている。そうした弊害に目を瞑れるうちはいいが、今後訪れるであろう宴の後の戦後処理では、出口戦略から一気に6,000億ドル規模の追加量的緩和転換の必要性があったのかどうか非難が出てくるのは想像に難く無い。

一方で量的緩和といえば、日銀も今週からの国債買い取りを手始めに資産買い取りを順次始めることとなった。更に12月半ばからは日経平均やTOPIXに連動するETFやREITなども買い取りを始める方針となっているが、国債と違って額面償還など無いリスク商品へのオペは、市場歪曲論もさることながら仮に損失が出るようなことになればこれまた税金が充てられるという構図だ。

しかしなんというかこんな時世に、部分バブルにまたぞろ懐かしいPKOやPLOなどを彷彿させる政策が出てくるとは何とも複雑な気分である。


二度目の時間短縮

さて、東証取締役会の諮問機関「市場運営委員会」が本日10日に開かれ、複数の市場活性化策の提示の中でも取引時間の延長案は、昼休みを撤廃せず30分短縮することで決着する見通しとなった模様。

先に「昼休み廃止論」として当欄でも採り上げた事はあったが、結局この廃止案は見送り時間短縮で妥協を図るということになるか。この時間短縮という手段は今回が初めてではないが夜間と違って個人など動くかどうか微妙で、ちなみに20年近く前の30分短縮においては売買高の増加はみられなかった。そんなワケでこの妥協策で売買は増えるや否やだが、証券関係者のランチ時間が短くなるだけのような気がしないでもない。

ところでこの東証、今週は「日本無線」をTOBする「日清紡HD」関連の「アロカ」を「日立メディコ」がTOBする事が明らかにされ、昨日は「コンビ」が取締役会でMBOを決定と依然として撤退企業が後を絶たない。先の2010年4-9月期決算も前年同期比で減収減益であったと発表しているが、3年連続の減収減益で上場審査に懸念があるため10年度内の株式上場を断念する考えを既に明らかにしている。

これら含めた逆風の中で売買高増加が焦眉の急、少しでも売買機会の増加を狙い会員負担も短縮なら全廃よりも少なくて済むと気遣いを感じないでもないが、何れにしても会員へのコスト負担が掛かってくるのには変わりがない。当の会員もプライマリービジネスで一気に捲れる大手以外は前にも書いたように此処の上場に賭けている向きも多く、投資負担もこれで限界という向きも多い筈。幾つもの市場が単独で各々システム政策を敷くなどの光景は証券や商品など何処でも同じだなとつくづく。


通貨安競争のジレンマ

毎週のことながら今週こそ円が史上最高値更新といわれている外為市場だが、為替といえば厳戒態勢の中で行われているAPEC(アジア太平洋経済協力会議)財務相会合では、先週末各国が輸出競争力を高めるために自国通貨を安くする所謂「通貨安競争」を回避することで合意、先のG20財務相・中央銀行総裁会議の合意内容の再確認となった。

この通貨安競争から所謂カネ余りの状態になり、10/20付で書いたようにそうしたマネーはインフレ資産や新興国などへ次々と流入しているワケだが、そのターゲットとなっている新興国の中でも先に粗糖高で沸くブラジルは海外からの債券投資に掛かる金融取引税の税率を4%から6%に引き上げると発表している。

既に一度引き上げ措置をしているので今回は再引き上げということになるが、気になるのはやはり好調だった投信関係だろうか。このブラジル関連投信の純資産残高は現在2兆円近くにものぼり前年同月の約3倍にも膨らんでいる。

この分のコスト転嫁を何処に持ってくるかだが、各社対応の差はあれ結局は投資家負担というところへ落ち着く。外貨資産運用においてのカントリーリスクが顕在化した例の一つだが、新興国モノでは投資家への情報伝達など一部乏しいだけに一般は常にこの辺に注意をはらう必要があろう。


功罪

さて週末に飛び込んできた話題で目立っていたのは、やはり尖閣諸島沖の中国漁船衝突事件で海上保安庁が衝突時に撮影したとみられるビデオが「YouTube」に投稿されているのが発覚した件か。

しかしこうした流出モノといえば、ここ最近では警視庁公安部の内部資料とされる文書がネットへ大量に流出する一件もあり、先に衆参予算委員会のメンバーでこの衝突ビデオの視聴が行われた際には入室時に携帯電話まで没収されたそうだが、これを嘲笑うかのような直後の流出とはなんともお粗末な感は否めない。

事の是非はともかく、半ば圧力に屈し超法規的に犯罪容疑者を釈放してしまった上に、流出したらしたでこんどは闇に葬られるところであったモノを世に解き放った者へは複数の罪で捜査へ乗り出しているというが、世論もあり何とも扱い辛いケースだけに脆弱な政権へまたも試練である。

それはともかく、今でこそ何の疑いもなくごく普通にネット生活が浸透しているが、「YouTube」なんぞ無かった時代を思い返してみると改めて劇的な構造変化だなと。それは一部新聞などに見られたように今までは情報を制御出来る向きが居て、一般はある意味それを読み解く力のある向きとそうでない弱者が存在したが、こうした物の登場でそうした関係が殆ど対等になった事か。時代の功罪論はさておき今またメディアのあり方も問われてこようか。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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