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国力

「山高ければ谷深し」でここ金相場が暴落である。それにしてもこの金、8月に入ってから毎週毎週大台替りを果たし、今週も市場最高値の1,900ドルを突破するなど依然として破竹の勢いである。TOCOM等も大荒れだが、これだけ騒がれる相場もそうそう見られるものではない。

ところで金といえば最近目に留まったのは先の日経紙夕刊一面にあった「金輸出が最高水準」というタイトルだろうか。今や新興国中心とした需要や公的部門も中央銀行の手当てなど世界規模で買い増しの動きがあり、ベネズエラなど金準備を国内に引揚げる動きさえ見せている中で日本は「純輸出国」と今や特異な存在になっている。

ちなみにゴールド・フィールズ・ミネラル・サービシズ社によれば、2006年から2010年まで5年連続で金地金の売却量が購入量を上回っているそうだ。連日に亘るマスコミ報道が金製品探しに人々を奔走させ、それを売却して思わぬ小遣いが手に入ったとその代金でショッピングに出掛ける様は、昨日記のように芸能ネタの盛り上がりで平和ボケ?している日本を表しているのかどうかだが、本質的なキャラなのか個人レベルでも内側からの思考を最優先させているからに他ならないからではないか?

高くなれば我先に手放しに動く個人、40年も金の輸入実績が無い日銀、日経紙には「金は歴史的に国力のある国に動くといわれる」とも書いてあったが、いろいろ勘案するに危機感を覚える。


気が支配

昨晩の米株式が300ドルを超える大幅続伸となったわりに、朝方から個別の気配からして怪しかった日経平均はムーディーズ・インベスターズ・サービスの日本国債格付け引き下げも心理的重しになってかやはり前場で失速、結局安値圏で反落して引けることとなった。

昨日の日経紙「まちかど」では収まらぬ弱気ムードとして株式市場の弱気が収まらない旨が書いてあったが、直近でも所謂アナリストとされる連中を対象にしたアンケートなども一瞥するに横並びの株価見通し引下げで一致している。所謂マスコミ指数なる言葉も一部あるように通常この手の活字が連日紙面を賑わせばその辺が転機というパターンが多いのだが、最近は金相場にしても順張りが利く相場になっている点が雰囲気の違いを感じる。

まあ冷静に見れば株式反発とはいえ、金相場も同時に史上初の1,900ドル超となりまたVIX関連など見ても堅調持続しているだけに自然といえば自然だが、ディフェンシブの超代表格東電があのような事態になりトリプルAを誇っていた米国債のデフォルト騒ぎ等あらゆるものに疑問符が付くようになった昨今は一時的に逃げ先が無くなってもこの手の受け皿が暫くは使い勝手がいいのだろうか。

しかしリビアなど世界情勢も変化を遂げつつあり、リセッションの波がヒタヒタと押し寄せようかというこんなパラダイムシフトの中でも、メディア関係といえば目新しい芸能ネタを押し出してくるあたりやはりこの国は平和なのかとつい錯覚してしまいそうになる。


出資証券事情

本日も日経紙の一面は「円高で海外シフト・4割」等と相変わらず為替関係の記事には連日事欠かない状況が続いている。直近でも先物買越残高が前週比で増加してきており、投機筋側もなお円買い余力があるといわれているが関係者には戦々恐々の状態だ。

財務大臣も金太郎飴のように「動向を注視しあらゆる手段を排除せず断固たる措置を取る」と繰り返すばかりだが、よく考えなくても動向を注視する仕事だけにわざわざ言葉に出すまでも無いだろうし、FRB議長講演を前にはたして落ちてくるナイフを掴めるのかそう考えるとあらゆる手段も万策尽きた感さえ漂う。

前回はこのナイフを掴んだ途端にFOMCがゼロ金利政策維持を打ち出し怪我をしてしまった経緯から、介入は出来ればFRB議長講演まで温存しておきたいところがみえみえだが、その間に市場に虐められないだろうか?日銀総裁も充分な金融緩和を実行したとは言ってみたものの相場を見ればそうだったのか一目瞭然、このまま小出しな金融緩和に終始すれば在任中の金利上げなどとても実現せずに終る可能性が濃厚だ。

ところで日銀といえば株式(出資証券)も低迷、本日も300円安の40,500円と先の年初来安値近辺まであり約10年ぶり近くの安値を付けている。この円高や米国債の格下げで外貨建資産の目減りが懸念されているほか、過日の日経紙「まちかど」ではリスク資産であるETFの買い入れが中央銀行の信用力低下に繋がりかねないとも書いてあったが、出資証券価格と共にその手腕が問われようか。


善し悪し

先週末に各紙の紙面を賑わせたのが1ドル75円台に突入し、3/17に付けた過去最高値を更新した円相場の動きだろうか。本日の日経紙一面にも円売り単独介入準備等と虚しいタイトルがあったが、前回の介入を踏まえ足元を見られていただけに高値更新も自然で違和感が全く無いといった感じだろうか。

さて、こんな円高で今年のお盆はこの恩恵を受けなきゃ損とばかりに、海外へ向け出国する人々のラッシュで成田空港は賑わい、金券屋ではまたもキャッシュが品薄、某ホテルでは一泊100ドルという宿泊プランを打ち出しているところも出て来た。

そういえば一昔前に日経平均が10,000円の大台に絡んで低迷していた頃に日経平均終値が宿泊料金になる企画をやった台場界隈の某ホテルもあったなとつい思い出したが、稼働率に苦しむ昨今こんな相場を使った企画もいいのではないか?ただこの手は一度手を染めると消費者側は覚えがあるので、所謂諸刃の剣。アパレル関係のセールなんぞはこれのいい例でもはやその開催時期にしてもシーズン真っ只中と後戻りのきかないところまで来ている。

ともあれ市場にはこの円高に関して善悪両論喧しいが、この状況でなければガソリン始め諸物価は可也キツいものになっていた一方、産業界は末端まで悲鳴を上げている。立場が変われば自ずと意見も変わろうというものだが、しかし何とも諸事情勘案するに収拾が難しくなってきたものだ。


逆行値上げ

さて、今週はお盆休みでガラガラの東京も高級ブランドの旗艦店は相変わらずの賑わいを通り掛りに見掛けたが、ヒッソリと本日から「ルイ・ヴィトン」は日本で時計と宝飾品の値上げを行っている。製造費用が高くなっている為で値上げ幅は平均で3.8%というが、この円高下いろいろな還元セールが続出している中を独り値上げ敢行する様はさすがなんとも強気な同社ならではといったところか。

ちなみに先に発表されたモエヘネシー・ルイヴィトンの決算は営業利益、純利益共に2桁増加を確保、売上高は前年同期比で13.1&%増と初の100億ユーロを突破である。これらの背景となっているのが新興国の伸びで日本を除くアジアが23.4%増と全体を牽引、此処に限らず他の主力ブランドも似たような決算と地域別売上高となっている模様。

CEOは手作りに拘り、新興国は売る場であってもどんなに生産コストが安かろうがこうした新興国への生産移管は質の低下に繋がるとみて依存を避ける傾向にあるという。事実、数ヶ月前にもフランス中部の山中に新工場をオープンさせているが、やはり数ある高級ブランドでもここまで過当競争と無縁でポリシーを貫けるのはホンの数社でそういった意味では特異な存在。

過当競争と無縁といえば、余談ながら先週末日経紙一面の「新しい日本へ 復興の道筋を聞く」にてコマツ会長の「〜円高で苦しくても値下げ競争には加わらず、率先して値上げしてきた。業界で強い立場だからこそ過当競争と無縁でいられる〜」との話が載っていたのをフト思い出したがこちらは中国が絡むだけに今後の政策と動向に注意、LVMHとは似て異なるか。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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