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日本版恐怖心指数

さて、7月末には日経紙マーケット総合面で日経300先物の欄が消え、新たに配当指数先物が入るなどレイアウトが変わった旨を取り上げたことがあったが、先週末から「(日経平均VI)日経平均ボラティリティー・インデックス」の算出・公表が始まったことでこれまでの「IV(インプライド・ボラティリティー)」が消え、替わりに主要指標の欄にこれが新たに入ることとなった。

このIV、オプションに取り組んでいる向きならHVというよりやはり実際のトレードには外せない重要ツールだが、さしずめ米国では「恐怖心指数」ともいわれている「VIX(ボラティリティ・インデックス)」の日本版といったところか。同紙によれば従前のプット・コールの計4銘柄に限定してきたものから、新指数は対象銘柄を広げ限月も1限月から2限月に増やし制度の高い変動率の算出が可能になったという。

当のVIX指数は直近ではギリシャ財政問題懸念でもハネ上がったが、リーマンショックの時も安値でうろうろしていた水準からたしか4倍以上にもハネ上がったのが記憶に新しい。しかし指数から先物、そしてオプションが派生し、そのオプションを基に新しい指数が出来、更にはその指数のオプションまで米国では取引が可能だが、流石デリバティブ先進国である。

さてちょうどそんな折に、国際投信投資顧問がこの「VIX指数」を対象にしたETFを大証に年末頃上場する予定という報があった。同社がETFを設定するのは初めてというが、今後日本もどれだけ創造性をもってデリバティブ先進国に近づくことが出来るか?この辺も気になるところである。


何れに回帰?

本日の株式市場は続伸し、日経平均は実に約5ヶ月ぶりの10,000円台回復となった。今週も引続き各社の決算が続いている。この4-9月期の決算発表では増配や自社株買いに出る企業が目立つが、直近では一昨日のベストブライダルが大幅増配発表、またキッツは自社株買いの発表をしておりそれぞれストップ高や急反発と株価の方もこれらが好感されている。

ところでこれらの背景となっているのは特に顕著になってきたキャッシュフロー、一寸前なら所謂アクティビスト・ファンドがここぞとばかりにターゲットの企業探しに余念が無いだろうが、周知の通りいろいろな事件がありすっかり静かになってしまった。ただ、今日の日経紙の主要指標に見られる通り現状平均配当利回りは2%を越える水準、10年物国債利回りの1%そこそこと比較するにまあ一般論としては割安という評になるか。

FRBが追加の金融緩和に踏み切ってからというもの過剰流動性が商品や新興国など彼方此方に流れ込んでいるのは周知の通りだが、昨日書いたように商品など巻き戻しから一旦のコレクションが入っている。そうした流れで行き場の無い向きの一部が株式市場に流入するという構図も描かれ始めているが、はたしてこの増配機運でインカム狙いか国債利回りに寄せる格好狙いでキャピタル狙いが復活するか、

この辺に絡んでは昨日、日証協会長が定例記者会見で証券優遇税制延長の再考を述べていたが、マネーの流如何に係らずそうしたもの含めた受け皿も睨んでこうした税制面等でもまだまだ考えるべき点が幾つもあるし、こうした機運で会社側も資金采配が再度問われることになってくるか。


国際通貨としての戦略

昨晩の海外商品は、まんべんなく全面安の商状。中国の金融引き締め観測がある上に、ドルが対ユーロで買われているのも嫌気され先駆していた金などは30ドル超安となり、連れて本日のTOCOMも全面安となっていた。

さてこの中国に金といえば、月曜日に少し触れた米資産運用会社ヴァン・エック・グローバルの最高投資責任者は今月、中国がインドに続き金準備を増やす国になる可能性があると述べている。

新興国の金準備については8月に一度触れた事があったが、中国の金準備は先に書いたように1,054トン、上記の米投資会社だけでなく中国商務省の機関紙「国債商報」上でも中国は金準備を大幅に拡大し、いずれ米国と同水準まで引き上げるべきとの見方を示している。

コストが1オンス約1,300ドルとして実行した場合、中国は2兆6,500億ドルに上る外貨準備の10%を費やすだけで現在の米国と同水準の金準備を構築できるというが、中国はこの金準備を引き上げる事でドル下落による衝撃を抑え、人民元の国際通貨たる地位を固める狙いもあるとの指摘も一部ある。国内のインフレが懸念される中、ますます同国の動向がキーとなってこようか。


納税者収支

さて、米もやはり決算シーズンだが、先週はビッグスリーが出揃っている。中でもGM(ゼネラルモーターズ)とフォード・モーターは、米国事業の黒字急増に加えてドル安も追い風になり、何れも20億ドル弱の純利益を確保しトヨタ自動車をはるか上回るものとなっていた。

さて、このGM(ゼネラルモーターズ)だが、注目の再上場が17日にプライシングが行われ同社株の取引は18日からNYとトロントの証券取引所で開始される見通しとなっている。この株式は楽天証券なども取り扱い開始となる模様だが、目下のところこのIPOは米企業としてはビザと並んで最大級規模の公開となる見通しである。

さて注目の価格は当初でこそ26ドルそこそこといわれていたものだが、直近の評では一株あたり最低30ドルに設定するという話も出てきている。GMへの500億ドルの救済資金で、納税者収支がトントンになるには同社の時価総額が700億ドル程度必要といわれているが、そんなことからますますこのIPO価格のレンジ変化が気になるところ。

ところで再上場狙いといえばこのGMに対しさしずめ国内では日航か。直近では希望退職者が目標にはるか届かず遂には整理解雇を決定したが、労組の反発は必至なことからこのままスンナリ事は運ばない筈で再建計画にも影響は必至。こちらは果たしてはれの再上場を見る事が出来るや否や。


旬商品

さて、横浜でのAPEC(アジア太平洋経済協力)首脳会議に伴い、中国の国家発展改革委員会主任と先に会談した経済産業相によれば、対日輸出が滞っているレアアースについて同氏から近く適切に解決すると輸出正常化の方針を示されたことを明らかにしている。

レアアースについては上記の通り世界生産量の約97%を中国が占めているが、輸出規制や採掘制限に動き当局の税関検査や操業規制がきつくなっている事で高騰が続いているのは周知の通り。さて、このレアアースといえば、先月末から米資産運用会社ヴァン・エック・グローバルがレアアースなど戦略金属の生産者に投資するファンドを上場している。

マーケット・ベクターズ・レアアース/ストラテジック・メタルズETFは中国の姿勢がここ若干軟化した模様との報道が一部あったことで数パーセント安くなったようだが、正に旬なだけにヘッジの用含め投資資金を集めるのは想像に難くないか。

ところで今年のアタマには東証がレアメタルETFの上場を年内にも目指す方針である旨の報道があったが、その後の状況はどうなっているのだろう?海外モノやTOCOM連動型まで商品系は相次いで上場が続いたが、NYMEXあたりを見るにつけ機動性はまだまだという感じ。レアアースなどの一部は二ヶ月そこそこで10倍にも価格がハネ上がるだけに、こうした物こそ様々な商品の誘致が望まれる。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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