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新ジャスダック市場

さて昨日から大阪証券取引所のジャスダック市場とヘラクレス市場を統合した「新ジャスダック市場」が発足し、その取引がスタートしている。上場企業数は1,005社となり時価総額は9月末計算で8兆8,163億円とアジア最大級の新興市場となるが、これに伴ってマル信掛け目なども一部変更となるところあり。

初日の売買代金は約127億円と静かな滑り出しになったが、個別では初日に新高値となったものに貴金属回収のアサカ理研はじめとして9銘柄、一方で統合第一号の上場銘柄トランザクションは売り気配から公開価格を7.5%下回る初値を付けたあとも売り物止まらずズルズルと下落、これは今年度に入り二番目の低調な滑り出しとなった。

この新規上場モノもそうだが今年はIPO15銘柄のうち5銘柄が公開価格を下回っての初値形成となるなど人気薄、特に新興市場といえば近年の不法な上場やファイナンス錬金、またあのライブドア事件などでもケチが付いて信用が失墜、近年ではアジア新興市場といえばお隣のコスダックがあらゆる面で台頭するなどしていたが、果たして新市場はこの信頼回復が叶うかどうか。

また、かつて此処も「ナスダックジャパン」なる市場が開設されていた時があったが、ネームバリューはやはり大きかった。「ナスダック」のような一つの確立されたブランドに育て上げることが出来るかどうか、今後IRやスタープレイヤーの発掘が非常に重要になってくる。


禍根を残すファイナンス

さて、連休明けの日経平均は円高圧力に潰されて9,400円割れと一週間ぶりの安値で終った。この依然円高の中ではハイテク系との格差でNT倍率の変化にも注目だが、TOPIX系でも先週は金融庁がメガバンクに対して国際基準を上回る資本の積み増しを求める事を検討との報道から、先週は4日の「投資の日」から翌日にかけて主力の金融株群が揃って年初来安値更新となっていたのが印象的であった。

目先で見れば「投資の日」がまさにこれらの絶好の仕込み場となったワケだが当初でこそ権利付き取引最終日には中間配有無ではこう色が見られたのも束の間、今月に入ってからは一緒くたに叩かれていた。中でも低位のみずほFGなどは下げがキツイ、今でこそ若干戻りを入れているが先の新安値では110円ドタまで売られ先のファイナンスに応じた向き全体ではこの段階で総額1,000億円以上もの値洗い損を抱えたことになる。

直近では同庁が上記の件を否定した事でショートカバー等からこれらの戻りがここ目立つ動きあり、金融政策決定会合での日銀のゼロ金利政策復活の報ありで、銀行は収益増加期待も加わり株価にとってはいいトリガーになった筈だが、ここからが正念場。現在の好環境が消化し尽くされてしまうとまた上げ拗れを先導する事になりかねないが、その辺は公募価格奪回から更に上に持っていけるか否かに掛かっているだろうか。

しかし、それにしても今年7月に取り上げた国際石油開発帝石のファイナンスに続き、直近では東京電力のファイナンス実施の報があった。今月6日付け日経紙財務面では「問われる資金の活用」とのタイトルがあったが、ここに出ていたように納税資金などという用途に充てた企業あり、また同紙には書かれていなかったが使用目的も無いのに1,000億円以上も調達した企業もあった。

今後これらの批判もクローズアップされてこようが、東電などが今日もまた年初来安値更新しているように株価への批判も益々顕著になってくるのは想像に難くないか。


大阪初上陸

さて今の時期、夜になるとリビングからは毎年恒例になったピンクリボン活動の啓蒙でホテルの外観をピンク色にライトアップした「ザ・ペニンシュラ東京」の妖艶な佇まいが見られるが、此処が出来てからはやもう三年が経つ。

丁度ここは「マンダリン・オリエンタル東京」が開業した後にオープンし当時は外資系ホテル戦争ともいわれたものであったが、東京が昨年の「シャングリ・ラ東京」のオープンで一服している時に先週末に大阪では米スターウッドグループの最高級ブランドである「セントレジス」が開業している。

位置付けでいうとヒルトングループにおける「コンラッド」のような立場だろうが、今まで大阪で外資系のアッパークラスというと「リッツカールトン」くらいしか頭に浮かばなかった。そんなことから十分な市場機会があると此処の地を選んだのだろうが、室料は7万円くらいからと国内では最高レベルに設定と強気の構えである。

長引く不況でホテル業界の経営環境が厳しい上に、折しも円高で海外観光客への期待も一気にトーンダウンと逆風下でのデビューとなるが、上位ブランドといえばもう一つ13年には英国系「インターコンチネンタル」も開業に向けて三菱地所等と交渉している模様。室料もオープン当初は優待やら記念料金の名目でお試し価格は定番なものの、稼働率を追う為にその価格帯が恒常化してしまうのが昨今の現象でもある。そんなジンクスを破る事が出来るのか否か大阪ホテル戦争の今後も興味深い。


形振り構わぬ競争

市場関係者には注目されていた週明けからの金融政策決定会合であったが、周知の通り日銀はゼロ金利を継続させ、国債や社債など5兆円規模の資産の買い取りも決定した。

日経平均もこれを好感して本日も大幅続伸となったが、分配金利回りなどみてもともと割安感もあったREIT指数も急反発、REIT指数が急反発となれば個別でも不動産ポスト始めとしてオリックスなどやはり反応が早い。またこのその他金融業ポストではそのメリットが意識されてADRではアイフルが上昇率トップとなっていた。

さて、そんな一方でコモディティーの方では一昨日取り上げた金が昨日も史上最高値を更新、量的緩和競争に入ってきた今の情勢を如実に反映しているが、ここ直近の上げ方を見ているとこれら金融上の政策が相当量のプレミアムを乗せてこの相場へと織り込まれている感もある。

兎も角これで「通貨安戦争」参加に続いて「量的緩和競争」にも着手したワケだが、当の円相場は政府・日銀が単独で円売り・ドル買いを実施した15日以来約3週間ぶりに82円台へと上昇、介入以降は円高是正局面があっても尽く一日天下に終っているが量的緩和といってももともとの絶対水準が低く、投資家のリスク選好度が高まればドル売りの構図がやはり思い浮かぶのは自然なところ。そんなワケでこの競争、はたして奏功するかどうか今後を見守りたい。


夜間取引の寄与度

さて、TOCOMが連休明け9/21から夜間の取引時間を午前4時まで延長する深夜取引を始めてからちょうど二週間が経過した。

この延長でこれまでより5時間長い午前4時まで取引出来るようになったワケだが、一週間経過後の日経紙にはその売買高が延長時間帯に1日あたり3,000〜8,000枚増えた模様。ちなみに初日では午後11時以降の延長時間帯出来高が夜間全体の22%を占めたというが、狙いである海外投資家やFX投資家層など今後如何ほど誘致出来るだろうか。

当の海外勢の取次ぎで貢献してきた商社系取引員などは順次撤退し、折しもちょうど主力の撤退決定後のタイミングでの船出となったが、取って代わるトップセールスでは何処が手を上げるであろうか。個々ではイベント等形式的には開催したのだろうが、前回もそうであったように今回にしても今ひとつ投資家への啓蒙が周知徹底されていないようにも思える。

一方で証券業界ではPTSが数年前からネット勢の参入が相次ぎ、今年は野村傘下がアローヘッドをも凌ぐスピードを備える最新鋭を稼動させている。こちらの方は従来の補完イメージが強かったものの欧州では大口資金のシフトから日中取引の影も薄くなる規模にまで育ちつつあるが、はてコモディティーの方を考えるにやはり要は主力層の資金、構図の相違はこの辺に起因している。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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