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次世代モノ覇権争い

本日の日経紙商品面では、「太陽電池、価格競争が過熱」として、数年前まで独壇場であった国内企業に、中国と台湾に続いて韓国勢が本格攻勢をかけ始めた旨など取り上げられていた。

太陽電池といえば、昨年は昭和シェルが中期計画において太陽電池事業に積極投資し、利益の半分を太陽電池で稼ぐ計画を打ち出したのが記憶に新しいところ。確か日立系の薄型テレビのパネル工場を買収し転用との事であったと思うが、この関連ではパナソニックも所有するプラズマ・ディスプレー・パネル工場の敷地内に三洋電機の太陽電池工場を建設する検討を進めている事が本日明らかになっている。

斯様に昭和シェルは国内の石油需要が減少し需給ギャップが深刻な状況から、またパナソニックなどはデジタル家電の収益低下から、有望市場へ活路を見出していると思われるが、これらに限らず大手各社始め多くの企業がシェア確立にしのぎを削っている。

次世代クリーンエネルギーというのはテーマが大きいだけに、株式市場でもバッテリー関連銘柄など激しい攻防が繰り広げられてきた経緯があったが、上記の通り独壇場の分野にアジア諸外国の追い上げがキツくなっている様は上記の薄型テレビでも見られた現象。そんな意味でも今後の展開が興味深いところ。


通称パンダの先物取引開始

昨日も触れたようにG・Sショックの影響で昨日はアジア市場も荒れたが、中でも下げが顕著だったのが中国で本土市場では上海総合指数が急落、CSI300指数なども然りで09年8月末以来、最大の下げを記録している。

ところで、中国金融先物取引ではこのCSI300指数を原資産としての先物取引が先週末から始まっている。ちなみに基準値は3399に設定していたが、果たして初日は全4限月が上昇してスタート、出来高も予想以上のものとなっていた。

こちらは当局の規制もあって当面の参加者は個人投資家とはなっているが、将来的にはこうしたデリバティブの登場は投資信託やらETFのアレンジを生み出し、金融商品の幅を大きく広げることから投資環境の変化には大きく寄与することになろう。

デリバティブ成熟市場の国々で規制機運が出ているのとは逆に、中国では前にも触れたナスダックのようなベンチャー物の「創業板」がスタート、続いてマル信の解禁、そして今回の先物取引解禁と次々に標準化が進むが、これらに則して生み出されるニッチビジネスもかつての日本の軌跡を辿るのであろうか?市場を考えればリスクと引き換えに応分に儲かりそうなネタがゴロゴロしている。


CommodityからCurrency寄りへ

さて、降って湧いたようなG・S追訴の話題で本日は先駆した商品群が急落の憂き目に遭っているものの、週末の日経紙では、「マネー膨張 金・原油に流入」として金融危機後の底値の2倍以上に高騰している模様を取り上げていた。

この金、今迄も要所要所のフシ目を其れなりの材料で突破してきたが、長年そんな材料の一つになって来た例えば教科書通りのドル安とか株安だから金が上がるという構図が昨今は崩れてきている。ドルばかりでなくユーロ建の金価格も最高値を更新し、金利上昇下でも強基調となっている様を景気回復期待感が背景になっていると指摘する大手紙もあったがさてどうだろう?

この解釈については上記のように株価上昇も鑑みて景気回復期待からの上昇という見方と、では何故金利がつかない金からマネーが離れないのかというお決まりの矛盾論が出て来るが、総じて通貨不信、ソブリンリスクの無い物への選好集中ともいえようか。もっと狭義でも新高値の原資産に対し株式市場では別子など未だに1月の年初来高値を抜け切れないでいる様も同様の現象だろうか。

益々コモディティーからカレンシーへの様相が濃くなってきているが、当欄では今から5年ほど前に各国通貨建で上昇している金を「今の時代、発行元がないモノがキーとなって来るか」と書いている。あれから数年経ち、正に今が当時のコメントにより嵌っているような気もする。


各所の空洞化

さて、今週は大阪本拠のりそなホールディングスが東京都に本店を移転する方針が明らかにされている。同行は大阪府や大阪市の指定金融機関で、各種残高においても近畿圏が約4割を占めるなど関西が本拠だが、他の関西系金融も一部追随の動きがある。

例えば住友信託銀行なども中央三井トラスト・ホールディングスとの経営統合を機に本店を大阪市から東京に移す予定がある。ところでこのりそなホールディングスや住友信託銀行に限らず有名な関西企業もまた然り。流通や食品からはダイエーや日清食品ホールディングスが、ゼネコンからは先月に大林組がそれぞれ大阪市から東京に移転している。

斯様な動きの背景の一つには各々企業の維持コストの問題に因るところが大きいと言われているが、こうしたコスト関連としては証券取引所にも同様の問題が出てきた。重複上場をやめる動きがそれで、昨年ではニコンが大阪含めた三取引所へ、富士通ゼネラルもニ取引所への上場廃止を申請、他にも三菱自動車、山陽特殊鋼、東京ドーム等々、今年に入ってからは経営再建中のアイフルも大証へ上場廃止を申請している。

一寸昔には重複上場など知名度が上がり地方投資家の資金誘致にもいいといわれていた時代があったものだが、1999年には1,042社あった重複上場も昨年には773社に減少したという。上記と含めまさに大阪空洞化現象ともいえるが、もっと広くでも国内空洞化が火曜日に書いたようにまた別な部分で進行中であり時代を如実に物語っているか。


食文化の啓蒙

本日は移動の途中で築地を通ったのだが、休場にもかかわらず外国人観光客らしき人々が辺りを歩く姿を見てフト思い出したのが、先週に都が発表した築地市場の冷凍マグロの競り見学が8日から一ヶ月ほど中止になった件か。

このマグロ競り見学といえばここ数年は見学者が急激に増えたとかマナーが悪いとかで見学エリアを年末年始に一時閉鎖した経緯があったが、一寸調べてみたら今回の場合は3月頃から同様に見学者が急増しキャパを超えたとかで9割が欧米からなどの外国人という。

この見学者が急増した時期から察するに今年の場合、当欄でも先月「世論と文化」として触れたように中東のカタールで行われていたワシントン条約締結国会議において例のマグロ問題が否決された影響も多分にあったのではないか?

こんな結果も鑑みて文化を持ち出すのであれば、本来こうしたマグロ見学などはそれこそ外国人に対して日本の食文化等の啓蒙には打ってつけだと思うのだが、何処で要人が混じっているかも知れぬ外国人観光客を業務支障の下にシャットアウトしてしまうのは勿体無い思いがある。許容人数分だけ見学継続させ、溢れた向きには株主総会のようにモニター見学等で我慢してもらう代わりに、美味しいマグロ料理でも試食して貰うなど工夫すればそれなりに満足且つ文化への理解も深まると思うのだが。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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