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大阪初上陸

さて今の時期、夜になるとリビングからは毎年恒例になったピンクリボン活動の啓蒙でホテルの外観をピンク色にライトアップした「ザ・ペニンシュラ東京」の妖艶な佇まいが見られるが、此処が出来てからはやもう三年が経つ。

丁度ここは「マンダリン・オリエンタル東京」が開業した後にオープンし当時は外資系ホテル戦争ともいわれたものであったが、東京が昨年の「シャングリ・ラ東京」のオープンで一服している時に先週末に大阪では米スターウッドグループの最高級ブランドである「セントレジス」が開業している。

位置付けでいうとヒルトングループにおける「コンラッド」のような立場だろうが、今まで大阪で外資系のアッパークラスというと「リッツカールトン」くらいしか頭に浮かばなかった。そんなことから十分な市場機会があると此処の地を選んだのだろうが、室料は7万円くらいからと国内では最高レベルに設定と強気の構えである。

長引く不況でホテル業界の経営環境が厳しい上に、折しも円高で海外観光客への期待も一気にトーンダウンと逆風下でのデビューとなるが、上位ブランドといえばもう一つ13年には英国系「インターコンチネンタル」も開業に向けて三菱地所等と交渉している模様。室料もオープン当初は優待やら記念料金の名目でお試し価格は定番なものの、稼働率を追う為にその価格帯が恒常化してしまうのが昨今の現象でもある。そんなジンクスを破る事が出来るのか否か大阪ホテル戦争の今後も興味深い。


形振り構わぬ競争

市場関係者には注目されていた週明けからの金融政策決定会合であったが、周知の通り日銀はゼロ金利を継続させ、国債や社債など5兆円規模の資産の買い取りも決定した。

日経平均もこれを好感して本日も大幅続伸となったが、分配金利回りなどみてもともと割安感もあったREIT指数も急反発、REIT指数が急反発となれば個別でも不動産ポスト始めとしてオリックスなどやはり反応が早い。またこのその他金融業ポストではそのメリットが意識されてADRではアイフルが上昇率トップとなっていた。

さて、そんな一方でコモディティーの方では一昨日取り上げた金が昨日も史上最高値を更新、量的緩和競争に入ってきた今の情勢を如実に反映しているが、ここ直近の上げ方を見ているとこれら金融上の政策が相当量のプレミアムを乗せてこの相場へと織り込まれている感もある。

兎も角これで「通貨安戦争」参加に続いて「量的緩和競争」にも着手したワケだが、当の円相場は政府・日銀が単独で円売り・ドル買いを実施した15日以来約3週間ぶりに82円台へと上昇、介入以降は円高是正局面があっても尽く一日天下に終っているが量的緩和といってももともとの絶対水準が低く、投資家のリスク選好度が高まればドル売りの構図がやはり思い浮かぶのは自然なところ。そんなワケでこの競争、はたして奏功するかどうか今後を見守りたい。


夜間取引の寄与度

さて、TOCOMが連休明け9/21から夜間の取引時間を午前4時まで延長する深夜取引を始めてからちょうど二週間が経過した。

この延長でこれまでより5時間長い午前4時まで取引出来るようになったワケだが、一週間経過後の日経紙にはその売買高が延長時間帯に1日あたり3,000〜8,000枚増えた模様。ちなみに初日では午後11時以降の延長時間帯出来高が夜間全体の22%を占めたというが、狙いである海外投資家やFX投資家層など今後如何ほど誘致出来るだろうか。

当の海外勢の取次ぎで貢献してきた商社系取引員などは順次撤退し、折しもちょうど主力の撤退決定後のタイミングでの船出となったが、取って代わるトップセールスでは何処が手を上げるであろうか。個々ではイベント等形式的には開催したのだろうが、前回もそうであったように今回にしても今ひとつ投資家への啓蒙が周知徹底されていないようにも思える。

一方で証券業界ではPTSが数年前からネット勢の参入が相次ぎ、今年は野村傘下がアローヘッドをも凌ぐスピードを備える最新鋭を稼動させている。こちらの方は従来の補完イメージが強かったものの欧州では大口資金のシフトから日中取引の影も薄くなる規模にまで育ちつつあるが、はてコモディティーの方を考えるにやはり要は主力層の資金、構図の相違はこの辺に起因している。


金との境界線

さて、騰勢が止まらない金は史上初の1,300ドル越え達成など順調に値を飛ばし、週末には史上最高値をまたも更新している。

既に「無国籍通貨」や「代替通貨」などという形容は五年前からこの金に触れる折にタイトル等で使ってきたものだが、近年はより一層それらが切実なものへと変化し、また構造上もETFの普及によって従来のある意味で限定されていた取引がより一層金投資へのアクセスを拡大させたというのも大きな一因だろうか。

このETFも当初こそ日本ではそう商いも集めないだろうと思われていたが、近年では主力のSPDRゴールド・シェアなど始めとして売買代金もなかなか見栄えのするものに育っているのを実感する。

ところでこの金と並行して最近俄かに注目を集めているのが、30年ぶりの高値圏に躍り出ている銀か。この銀も同様に「代替通貨」としてドルやユーロの不安を背景に買われている旨が大手紙でも報じられていたが、米国のマクロ経済指標でも幾つかは改善傾向が見られた事からPGM系含めた景気敏感メタルにも物色の手が広がったという部分もあるだろう。

上記のETFの中でも直近上場の三菱UFJ信託モノなど商いが飛躍的に伸びてきているし、此処へ来てまたぞろ金銀比価論や史上最高値までの伸びしろ云々も出てきてヒートアップする一方であるが、外貨準備として買われるのが金。この辺は冷えた時により実感として解るものである。


熱烈(冷淡)歓迎

さて、今月連休明け21日の日経紙には、野村の訪日消費関連株投信(愛称=熱烈歓迎)の派手な全面広告が出ていたが、本日はその設定日であった。

直近では尖閣諸島沖の領海での衝突事件を巡って一千人規模の日本青年上海万博訪問団の受け入れ延期を一方的に通告してきたり、レア・アースを出さんと圧力をかけたりSMAPその他のイベントまで中止含みとなるわで、中国政府は日本への強硬姿勢を様々な部分において一段と鮮明にしているが、お花畑な日本は上記投信のタイトル通りいろいろなシーンで中国を「熱烈歓迎」の構えである。

特に百貨店では売り上げに占める割合もあってこの姿勢が著しい。先に触れた今年の三越本店ワールドウォッチフェアでは中国人客の購買力にも期待をかけていたというが、それらは通訳まで会場に配した姿勢にも見てとれ、事実会場には慣れた手つきで逸品を手に取るそれらしき姿も見られ店側の絞込み姿勢が見られた。また先週触れた三越銀座には外人用の観光案内所を設け、銀聯カードには様々な割引特典が設けられている。

それ以外にも此処日本橋界隈では横山町・馬喰町の問屋街事業者が連携し、この間まで開催されていた上海国際アパレル交易会に初めてブースを出展、買い付けに訪れる中国人バイヤーの受け入れも強化してゆく方針を出しているなど各所でターゲットになっている。

まあ、斯様に熱烈歓迎の構えを以って消費関連等に期待しても上記の衝突事件の絡みでは早くも中国企業が予定していた一万人規模の訪日旅行をドタキャンするなど、さすがその態度は国が違うだけにやはり旧態依然、そんな対日感情で基準価格も左右される商品になるのだろうか? しかしなんとも別な意味で旬な時期の設定となったものだ。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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