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無知な机上論の危うさ

さて、本日の日経紙二面には小さく「嫌われ者」で意気投合?として、民主党の小沢幹事長と指揮者の小澤征爾氏の両者が、事業仕分けにおいて文化芸術関連予算が大幅縮減と判定された事に対しての対談が為されていたことが載っていた。

この辺は週初にも文化予算を大幅縮減するとの判定に対して、日本オーケストラ連盟など音楽関連5団体が緊急アピールの記者会見を開き民主党へ要望書を提出するなどの行動があったばかり。これに限らず物理モノから酒類関係まで何処も逆風に晒され怒りあらわの様相だが、中でも身近な分野でどうかなと思ったのは漢方薬を公的医療保険の適用外とする方向性が示された問題だろうか。

この報で真っ先に心中穏やかでないのはそれこそ大手のツムラなどか。同社といえば昔、カラ売り筋が戦局を有利に持ってゆく為にこれと同じ話を彼方此方流布した経緯があったのを思い出すが、まさかそれが今蘇るとは想像もしなかった。しかしそれ以前に我々消費者にとっても今流行りのインフルエンザから婦人科・小児科までその範囲は幅広く投与されているだけに、なんとも現場を知らない机上の空論だけで進められた構成のお粗末さは否めない。

漢方薬が保険適用外となれば、保険診療と保険外診療を併用する混合診療にあたり全額患者負担ということになるが、この混合診療とて現状は曖昧な一部解禁。以前当欄で「歯科医とコンパニオン」の項でも少し書いたが医療分野の技術革新は日進月歩、一刻も早い混合診療の解禁も願うところである。


インフル系投機

本日は所用で赤坂にて所謂ヌーヴェル・シノワ系を経営している知人のところへ久し振りに立ち寄ったのだが、相変わらずフレンチ懐石にも似た中華らしからぬ中華は綺麗で味もまた負けず劣らずであった。それは兎も角、シェフに聞いた話では、何でも中国では大蒜や唐辛子が新型インフルエンザ予防の効果があるとして投機の影響で大暴騰しているらしい。

投機と聞けば興味をそそられるものでちょっと探してみたが、確かに大手紙ではこの辺の事を謳っている記事を発見。材料としてはメジャーな穀物よろしく作付け面積の減少が背景になった模様だが、実際のところ直接的には前回の不動産バブルでも暗躍した炭鉱経営者や特定投機筋がまたも大量の資金を投入した投機の影響らしい。

まあ、商品だけに投機対象となるのも納得だが、ちなみに彼ら投機筋は買い占め用に倉庫を急造し、大蒜は前年同期日でなんと120倍以上、そしてその次に投機資金を投入したとされる唐辛子では前年同期日で約5倍になっているというから凄い。しかしインフルエンザならお国柄もあって八角あたりが真っ先に狙われそうなものだがこちらはどうなのだろう?

この中国では同様な投機筋の影響で先に非鉄金属やらも買占めがあったばかりで、この手のバブルでは遥か1600年代にあったチューリップなどは誰でも知っている程有名だが、何百年経っても基本的に行動様式は変わらない。過剰流動性とその性格がマッチするマーケットさえあれば何時の時代になろうが繰り返さ続けるパターンである。


日本初の二酸化炭素排出量取引

各所で既報の通り、京都議定書後の地球温暖化対策の国際的枠組みを話し合うところの、「国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP15)」が昨日から18日まで約2週間の日程でコペンハーゲンにて開幕した

先に鳩山首相は、温暖化ガスの排出量を2020年までに1990年比で25%削減する旨の発言をして拍手を浴びていた光景は記憶に新しいが、議定書の延長案というシナリオも出る中、纏め様のないものの足並みを揃える障壁から米中に絡み別な枠組み案という線も出ている。そうした場合、上記の25%もまたあやふやになってくるが、まあこの辺も紆余曲折がありそうな感じだ。

さて、ちょうどそんな時期に昨日の日経紙夕刊で見掛けたのが、ドットコモディティが来週から国内初の一般投資家向けの二酸化炭素排出量取引を始めるという件。10月にも当欄ではこの排出量取引について東証とTOCOMが同市場設立を目指し来年春にも共同出資会社を設立する方針を固めた旨に触れたが、今回はそれらに先行して市場を開拓することになる。

しかしマザーが存在すればそれこそ幾らでも取引の幅が広がるCFDはまさに無限の可能性を秘めているともいえるが、何れ国内でも同市場が創設される折にはキャップ設定するや否や、仮に導入としてもその設定には公平性の観点から細心の注意が必要になるのはいうまでもない。先駆しているECXなどとのの絡みもありいろいろと注視しておくべき事項が山積みである。


他人事ではないジェイコム事件

さて、直近でも「くりっく365」で起きた南アランド・円が僅か1分間そこそこで暴落してしまった事件をコメントした際にジェイコム事件などにも少し触れてみたが、そのちょうど4年前の今頃に起きたジェイコム事件の判決が先週末に東京地裁で言い渡された。

今でも当時のパニック状態になった市場の様子が鮮明に蘇るが、会員が取引所を訴える前代未聞のこの訴訟、結審まで3年掛かりその司法判断が注目されたが、果たして東証の重過失を一部認定し約107億円の賠償を命令する結果となった。今後控訴審まで持ち込まれるか否かは兎も角として、またも気になるのが当欄でも触れた事のある同所の上場計画であろう。

社長は早期上場計画に変更は無いとしているが、ディスクロされている09年3月決算は税引き後利益が36億円の赤字、今回のこの約107億円の引き当てをすれば余程の事が無い限り次期も赤字になる可能性は大。二期連続赤字で再三引き伸ばしてきた上場計画がまたも延期になるかこれを当て込んでいた関係者の心中も穏やかではないだろう。

さてそんな個別の上場計画は兎も角、今回の判決は先に当欄で書いた「在り得ない事も在り得る」に対して「故意にほとんど近い」と司法がメスを入れたサンプルケース。取引所がことシステム関係においては第三者からの意見に聞く耳を持たないという話しは今迄無数にあったが、今後上記の東京金融取引所や先週触れた商品取引所に取っても他人事ではなく、市場開設者としての責任という物を重く認識させる重要な一件になろうか。


狭義の独り勝ち

さて、週明けには東穀取が株式会社化した旨を書いたが、商品取引所ではこの東穀取に先駆けTOCOMが株式会社化してから今月で一年が経過した。一年前の当欄でもこのTOCOM株式会社化について触れたが、さてその後一年はどうであっただろう?

思えば株式会社化後の最大のイベントであった鳴り物入りで登場した新システム導入では稼動わずか数日でシステム障害が発生する失態を演じたのは記憶に新しいが、先週末には再びシステム障害が発生し今が旬な金の夜間取引を休止する事態になっていた。

5月のシステム障害時には東穀取にまで懸念の意を告げられるありさまであったが、折りしもこの当日は日経紙で社長が新システムを導入した成果は着実に出ている云々のコメントが載った日の障害勃発だからなんともバツが悪い。世界最速級の注文処理速度を武器にプロトレーダーの誘致を謳うのもよいが、これでは当の参加者も躊躇してしまうのは想像に難くない。

そういえば先月の日経紙にてTOCOMの社外取締役を務める前日銀総裁の福井氏が、商品市場縮小は日本に国際ハブ空港が育たない構図と似ていると指摘していたがなるほど上手い表現である。曲がりなりにも国内商品取引所での取引高シェアは8割を超え、今後は排出量取引の絡みも出て来るだけに、こちらもいろいろと考察すべき点は多いだろう。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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