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高騰第二弾

さて、先週の日経紙夕刊には「異常気象 食卓に影」として世界的な異常気象が国際価格高騰を招き末端への影響が避けられない懸念の旨が出ていたが、此処に載っている通り世界有数の穀物地帯であるロシア各地では猛暑に因る干ばつ被害が広がり、小麦価格がここ急騰を演じているのが一寸した話題であった。

5日にはこのロシアが穀物輸出一時禁止との報道を受けストップ高まで買われたが、翌日は一転ストップ安の急落と先物も乱高下、日本はこの小麦の8〜9割近くを輸入に頼っており頭の痛い問題だが、この猛暑被害は足元の国内でも緑黄色野菜中心に直撃し、これらは軒並み5割前後の上昇で、外から内から彼方此方急騰劇である。

野菜などたしか春先も三寒四温の影響で高騰していた記憶があるが、こう頻繁になるとつくづくヘッジの必要性が問われる。さて、前回の小麦暴騰時にはオプション取引等でもパンクする向きが続出し、また多くの食品会社が価格転嫁に回ったが、このデフレ期にまた転嫁が相次ぐのかどうか思惑なものの、前回とは構図も違うのでそこまでの影響はないだろうか。

そうそう、直近ではもうじき迫る秋の味覚の代表格でもあるサンマも高値になる懸念が出ているとか。先月は三越で「新サンマ」として1匹1,500円と笑える札が付いていたサンマを見たが、なんでも北半球の猛暑の異常気象が影響し水揚げが極端に減少、築地市場の卸値は前年同期比で4割程度高値に上昇しているという。先に書いたスクイズで暴騰してしまっているココア等はまだ嗜好品の範疇(と言っても困るが・・)だが、普段の食品群の乱高下も困った問題だ。


規制第一弾

さて、今月からは周知の通りFX(外国為替証拠金取引)について上限が50倍とする改正内閣府令が施行されている。この件については過去当欄で何度か触れてきたが、一年後からは更に上限を25倍に引下げることになっている。

この規制で円高が更に加速する云々からビジネスモデル崩壊で業界淘汰論までその影響が前々から論議されているが、前者に関してはもともと高倍率はスキャルパーが圧倒的ということや別なファクターも山積みで全ての要因がそうと適わないだろうか。ただこれらユーザーは少数派とはいえ個々の取引量は高いのでそうした部分では当然の影響は個別ではあろう。

他、所謂規制逃れで海外モノへの誘導等も、なにやら最近はメルマガ等の媒介で口座開設推奨を仄めかす向きも増えてきたが破綻時の諸々のリスクも考慮すべきか。また別な抜け道関連としては法人口座という手も一部で取り沙汰されているが、今更な上にそもそも異質なものを一括りにスライドさせて捉える考えもどうかと思う。

さて、そんなわけで今後の市場参入者と併せ全般リクイディティーも変化してくるかどうかだが、この手の問題はお上がその構造を利用した特定系への規制目的という思惑がある上に、様々な取引形態における所謂「信用余力」の部分を人夫々がどう捉えるかで各々見方が相違してくるという部分から、一括して論ずるのは如何にも難しい問題であると思う。


50億個分のチョコ菓子?

さて、一昨日の日経紙夕刊にはファンド資金流入でコーヒーの国際価格が高値圏で推移している模様が載っていたが、同じソフトもので最近話題になっているのがココアか。

なんでもココアの価格は過去二年間で倍以上にまで暴騰しここ30年で最高値を記録しているが、その背景にはロンドンのヘッジファンド、アルマジャロの共同創業者の一人アンソニー・ウォード氏が先物7月限をスクイズし約24万トンものカカオ豆を購入した事があり、その量は世界の年間生産量の7%に相当するという。

同ファンドといえば商品専門で近年は新興国における原油や金採掘、農業関連から肥料会社まで関心を向けていた模様だが、ヘッジファンドの買占めというのはたまに派手なモノが出て来るから面白い。と外野はそんな感じであるが、リーマンショック以降は過剰流動性の相場介入にピリピリしている昨今、色々な意味で物議を醸し出す。

ちなみにココアなど個別の部分では今を時めくベルギーあたりの有名パティシエが食指を伸ばすと、途端に大化けするといった話を関係者から聞いたことがあったが、こんな大掛かりなものからすれば可愛いもの。ただその動向によっては製菓会社はレシピ変更や代替品使用に切り替えるとしており、そんな部分で末端へも影響が出てくるのは困った問題である。


それでも低水準

ここ調整色を呈していた金であるが、週明けもCOMEXは買われ4営業日続伸となっていた。さて、この金といえば日本の外貨準備のなかで保有している金が直近の6月末で306億ドルに達し、外貨準備の内訳を公表し始めた2000年4月時点の約4.6倍に膨らんだ旨を日経紙にて先月見掛けた。

この日本に限らず新興国も外貨準備の中で保有する金を増やしている。日本に次ぐロシアは6月末時点で668.6トンと09年末比で10%増加、フィリピンは同6%増の164.7トン、ベネズエラは同2%増の363.9トン、中国の09年末の1,054トンは08年年末比で76%増え、他インドも先にIMFから200トンもの金を購入している。

しかしこうして金の公的保有量ランキングなどを見てみると欧米諸国のそれはアジア勢に比べはるか多い。実際にECBなどはユーロ加盟各国中央銀行に対して、外貨準備の15%は金で保有することが望ましいという指針を出しているようだが、ドルが怪しくなる前にその比率を高める動きを見せた中国など今の数倍へ比率を高めるのが望ましいとの内部の意見も出ている模様だ。

実際に外貨準備に占める金の保有高が少ないといわれる日本でも2.8%、対して中国のそれはわずか1.6%にとどまる。ドルの不信から始まって次はユーロ不信と続き、結局は無国籍なこの金が各国から見直されているということなのだろうが、根が深いだけに今後もこうした動きが継続されるのは想像に難くないか。


意識改革

先週には大手証券5社の4-6月期決算が出揃ったが、最大手の野村HDなど市場混乱の影響から法人部門が411億円の赤字に転落、最終利益が前年同期比79.7%減と大幅減益となった模様である。ところでこの野村といえば、先週から傘下のチェイエックス・ジャパンが証券取引所を仲介せずに株式売買を行う私設取引所であるPTSを開設させている。

このPTS、初めて当欄で触れたのが4年前の2006年にカブ・ドットコム証券が国内初の同市場を創設した時であったが、その後は同様にネット系が続々と参入するに至った。このカブ・ドットコム証券は今月から注文取次ぎ1秒超なら手数料無料にするサービスを開始するが、今この後発組が注目されるのはやはりこうした注文処理速度があの東証が新稼動させたアローヘッドをしのぐ4倍もの早さを備えている点も大きいか。

欧州では同系列が僅か数年でユーロネクストをも上回る最大市場に伸し上がった実績があるが、現況でPTS市場は補完的な役割を担っていたが東証アローヘッドの稼動によってヘッジファンド等の取引が東証に流れはじめている。同市場稼動によって流出した顧客が再還流、延いては立場逆転して上記のような成長を遂げることになるのであろうか?

ちなみにこの新PTS、初日の売買代金は1億円強にとどまるスタートとなったが、斯様に各所における執行速度がシェア獲得の要となってくるのか、また先に東証の昼休み廃止論に触れたがこの辺も対応策の範疇に入るのかどうか今後の東証の出方も併せて注目しておきたい。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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