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LALIQUEの透明感

さて、生誕150年を迎えるということで先週まで開催されていた、「ルネ・ラリック、華やぎのジュエリーから煌きのガラスへ」と題した主要コレクションを観に国立新美術館に過日行ってきた。

先月はエミール・ガレやドーム兄弟など観て来たがこのところ目の保養になる機会が多くありがたい限り。さてこのガレやドームと同様にラリックもガラスもので、この時代に高い芸術性を維持しつつも工場生産を両立していたという点では両者同じであるものの、前者の色で魅せる物の対で後者はガラスの透明性を活かした造形で魅せている。

こうした部分では今の花器「バコーントゥ」もいいが、これの絡みでは1927年「バッカスの巫女」の何ともいえぬ硝子感や、1926年電機置時計「昼と夜」などは裏から削った男性の陰刻と裏に盛り付けた陽刻の女性が面白く好きな作品の一つでもある。

またラリックを最もよく理解した顧客ともいわれた、実業家のカルースト・グルベンキアンのコレクションを集めた部屋も途中にあったがこれも圧巻。ところでこれら眺めて想ったのが、昨年のペネロペ・クルス主演の映画「ELEGY」の中での、「絵画を買う人は作品を所有していると考えるが、絵画が彼らを所有する。作品は所有者よりも長く生きる。彼らは一時期の管理者であり、自由に鑑賞し賛美するだけ。」とのセリフであった。

他の個人蔵モノにも素晴らしい物が数多あったが、当欄4/23付け「Lunariaの灯り」の末尾に「昨今の金融危機で出物もいろいろな向きからあるとも聞くが、こうした芸術品も所有者を転々とする中、今迄見てきた世に何を想うのだろうか。」と書いたのもまたフト思い出した。


高級魚も低級魚も

本日16日から地中海に面したモナコのモンテカルロ劇場では、市川團十郎、中村時蔵、市川海老蔵らが出演しての歌舞伎公演が行われる。歌舞伎も世界無形遺産に選ばれ、ここ数年積極的にパリやロンドンで公演を行っているが、モナコでも歌舞伎公演は初めてである。

ところでこのモナコといえば昨日の日経紙夕刊にも出て今話題となっているのが、乱獲で激減している大西洋と地中海のクロマグロの国際取引を全面禁止するように欧州各国に呼び掛けている件。欧州委員会はモナコの提案を暫定的に支持し、来春のワシントン条約締結国会議で三分の二以上の賛成が得られれば日本は輸入が出来なくなるという事で、流通業界や外食業界もざわめき立ってきた。

これに先駆けてブームのあおりから一転日本食文化への風当たりも強くなり、高級日本食レストラン「NOBU」などがヤリ玉に挙げられて英国では代替魚を顧客に勧めているらしいが、英国といえばあのゴードンラムゼイのレストランもクロマグロの提供を中止している模様だ。

さて条約締結国会議がどういった結果になるかだが、もう一つ乱獲で絶滅の危機に瀕しているのが高級魚クロマグロの対にある低級魚のホキだとか。マックのフィレオフィッシュと言えばわかり易いだろうが、各々高い魚も安い魚も食文化に振り回されいろいろと深刻な事情があるようで。


緩和と規制と懲りないバブル

15日の本日であのリーマン・ブラザーズの破綻からちょうど一年を迎える。当時はちょうど連休中であったが、既に六本木界隈の一部ではパンクが既定路線で外資の連中が情報交換に東奔西走していた光景が記憶に新しいところ。

このテーマ自体が広く金融を網羅する為に短い文章でこの一年の個々を纏められるものではないが、百年に一度という言葉まで生み出したこの危機ではアノマリーの崩壊や川上から川下までが盛者必衰というシーンがこれほど見られる経験もそうそう無かったのではないだろうか?

ここへきて世界の株式や商品相場が、リーマンショック時からどの程度の水準まで回復している等の比較モノが彼方此方で目立つが、この破綻そのものもそうであったようにリーマンショックといわれるものは様々なシーンでパラダイムシフトをより一層鮮明にし、またコモディティーなどを更に一段と金融商品の性格へと変貌を遂げさせたのは疑う余地もないだろう。

一周年を迎え経済、金融市場は表面上最悪期を脱したと巷では喧伝され、散々批判された金融界での高額報酬もまたぞろ復活しているが、これに準ずる金融商品もまた然りか。規制強化の気運の中で金融などは台頭してきた新興国に期待を賭ける向きもあるが、多くの火種が新たに燻る中で過剰流動性がキーとなるだけに金融安定化のバランスをこれらの中でどう図ってゆくか今後も試行錯誤か。


正規衰退と裏増殖

さて、日曜日の日経紙マネー生活面には、そのリボ払い、大丈夫?として最近の不況による収入減の影響で、クレジットカード支払いにおけるリボルビング払いの利用が増えている旨が書かれていた。

これが目に留まったのも確かに最近ではこうしたものに対する記事も多く見るし、当のカード会社にしても従来からすればやたらと気前のよいポイントを進呈等と謳われているものは、よく見ると一括をリボに変更したらというものがやけに目立つ。こうした背景にはカード会社の残高増加があるのだろうが、またこんな手数料のマジックが見えず後々の苦情というかトラブル増加も想像に難くない。

しかしカードの類では、最近は消費者金融なんぞ総量規制やら何やらの影響で廃業した業者含めて正規ではなくなった衣替え組が増殖の一途だとか。これはとりもなおさず上記の影響で増殖した所謂融資難民といわれる向きに対応して出来たビジネスであるのは云うまでもないが、顧客を手土産にグレーな業者をコロコロ渡り歩くさまは、まるで衰退著しい何処かの業界でもそっくりな光景が見られる。

民主党が圧勝しその恩恵期待組の関連銘柄が高騰する一方で、その負の関連銘柄を象徴するものとして消費者金融群には直近で年初来安値を更新するものもあるが、こうした部分でも悪い連鎖の芽はまだまだ途上ともいえようか。


不況無縁?なガールズ

本日は女性向け某業界関係者と話す機会がたまたまあったのだがそこで話題になったのが、ちょうど先週末に国立代々木競技場体育館で開催された「東京ガールズコレクション」であった。

昨今の景気低迷の影響からホールセールで精彩を欠くパリコレとは対照的にこちらはリテール系で数年前から脚光を浴びており、やはり各女性誌と専属契約している人気モデルが一堂に集まり、来場者がその場で携帯からネットでそれらと同じモノを注文出来るところが爆発的にウケているようである。

憧れのモデルと同じ服をと後悔するかどうかもわからないものを興奮冷め遣らぬうちに即注文してしてしまうのは、気配値がどんどん上がる(下がる)ところを思わず買い(売り)の手を振ってしまう心理に似ていなくもないが、よく云われる「感情が高ぶると、人は冷静な時にはとらないようなリスクを顧みない行動を取りがちである」というような所謂行動ファイナンス理論をフト思い出した。

まあその辺はともかく、ポンポン注文を出せるのにはそこそこの可処分所得も背景になっているようだ。だいたいバイトに小遣い世代なんぞ不況に対しディフェンシブな集団であるし、最近のランキングコンテンツ「GRP」で月に使うお金の平均はいくら?という質問では第二位に10万円という金額が弾き出されている。ちなみに一位はその半分の5万円らしいが、これにもよく公表されている一般サラリーマンの小遣いは勝てないじゃないか?という笑い話になったところでお開きになった次第。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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