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悲観の中に?

週明け本日は仏首相がユーロ安容認の発言をしたことや、ハンガリー財政事情が悪化している報道などを背景に同国国債などを保有する欧州金融機関への懸念が広がったこともあってユーロが対円で急落、先月25日の安値を更新する水準まで売られた。

ドルもまた対円で急落、前週末の米雇用統計の結果で民間部門の伸びが低かったことが背景にあるが、このドルに対してもユーロは4年3ヶ月ぶりに1.18ドル台に下落となった。コモディティーで著名なジム・ロジャーズ氏などは内部腐食が続きいずれユーロは完全に消滅するだろう等との見方を示すなど斯様にこの通貨は満身創痍の状況である。

しかし何処の世界でも「人気」というのは面白いものだ。少し前までは石油代金の支払いをイランなどユーロで求めたり、当欄でもスーパーモデルのジゼル・ブンチェンがギャラをユーロで要求等という噂が出たり映画のワンシーンでワケありのデリバリーをドル以外で求める場面が度々登場したりとコメントしたこともあったなと思い出す。

まあ、もともと国際競争力はもとより経済力も違うものを単一為替で括ってしまうところに無理がある部分は否めないところであるが、それでも数回は基調転換があろう。こんな雰囲気で新興国も積極投資から転換などと謳われているが、こういった事が喧伝されているうちにいざ蓋を開けてみたらそれらの国に先を越されていたなどという可能性もまた秘めている。


リヤドロ展

さて、過日は京王プラザホテルへ所用で出掛けたが、打ち合わせの後にちょうどホテルとのコラボで「リヤドロミュージアム展」を開催していたので暫しこれを鑑賞。此処では絶版の「バラ園」や「シンデレラ」などの大作は写真でしか見た事が無かったので、間近でこれらを見る事が出来たのに一寸感激。

他、1957年の「GOING FOR A WALK」や、同年の「VANITY」などに見られるチュールのプリーツが、既にこの時代複雑なレース編みの技術を駆使し表現されていたのにはやはりこのブランドならではの重みを感じた。

リヤドロといえば上記のように宮廷の貴婦人などのイメージが強いが、「子どもの情景」シリーズなどを見ていると、78年の「ブランコ遊びの少女達」などにも見られるように、ほんとうにその表情には艶がある。同社の「雛人形」などには以前当欄で触れた事があるが、先月の「こどもの日」にも先駆けて「五月人形」の広告をあちこちで見掛け、近年人気があるのも頷ける。

ところでこの五月人形、今年は現代風にアレンジしたモノが人気だとかで「スワロフスキー」をあしらったものあれば、金価格の上昇で純金製かぶとも俄かに人気があったとか。歴女ブームなどもあって伝統にもモードの波だが、この手との共存など構図も近年変わってきたなとつくづく感じる。


各所のCDS動向

昨日の米株式は大幅続落、メキシコ湾原油流出事故での「トップキル」なる封じ込め作戦が失敗に終った旨の報道が相次ぎ、BPのADRが15%急落するなど足を引っ張った。また同社のCDSも5年物が71bp拡大して173bpとなり、賠償責任の思惑など巡って米ハリバートンやトランスオーシャンなどもCDSスプレッドが拡大した経緯がある。

さてこのCDSについては昨年から当欄でもさまざまなシーンで取り上げているが、直近では日経紙あたりでも毎日公表している代表的指数「アイ・トラックス・ジャパン」が先週は170を越えて昨年11月のドバイショックの水準をも上回る場面が見られた。

リスクを回避するプロテクションを買う動きは個別銘柄でもそうで、中国でのストライキ勃発の影響で損失額が1日あたり30億円以上にもなったホンダのCDSなど中旬から上昇、この他の自動車株ではトヤタや日産などもこれらの上昇の後には株価も直近で新安値更新となっている。他、高格付け銘柄でもユーロ急落の影響でソニーやシャープなどの料率が上昇となっている。

ECBの総裁などはCDSの投機手段としての活用を止めるべきであるなどの考えを示しているが、現状社債との連動性もネガティブベーシス取引などの絡みで存在し、これらの動きから個別でも拡大解釈するならファイナンス事情への影響なども懸念されるところでもある。


表向きと内情

さて、当欄では二年ほど前に飛行船から花火大会を見せるビジネスがあり、これが即完売の盛況さをコメントしたことがあったが、衣替えを前にした?昨日この飛行船「ツェッペリンNT号」擁する日本飛行船が破綻した旨の報があった。

美しい夜景と花火大会を満喫できる飛行船遊覧クルーズとしては世界初で、都内の主だった花火大会には殆ど就航していたことから、上記の通り数十分の花火観賞を含む料金が一寸近場の海外旅行に匹敵する料金にも関らず完売人気。昨年は帝国ホテルがスイートルーム宿泊とこの花火クルーズをセットにしたプランを販売したり、最近では晴海ふ頭で遊覧飛行を始めたばかりであったがその裏でけっこう内情はキツかった模様だ。

そういえばこれと同日に破綻した企業にはベッカリイもあったが、赤坂サカスや銀座にもあったレストラン「ヴィラモウラ」の方が解り易いだろうか。このレストランなども人気の影でなかなか内情が見えないだけに難しいが、そういえばミシュランで星を取ったあの「ピエール・ガニエール」も破綻した時は驚いたものだ。

栄枯盛衰は世の習いだが、表面しか見えない素人にはなかなか変化が見えないもの。今も昔もやはり内情に詳しいのが街金筋だったりするのだけは変わらない。


商機とその裏

さて、昨日の日経紙には投信の保有者が負担する管理手数料の上昇が7年連続で続いている旨の記事があった。運用に手間がかかる新興国の株式や債券などで運用する投信の新規設定も相次ぎ、投資対象別ではこれらが最も高かった模様。

さてマクロでの投資対象の多様化は今迄伝えてきた通りであるが、狭義でもこの投信一つ取っても例えば今月設定の大和のインドネシアやらアセットマネジメントのフィリピンなど、また通貨選択型でも上記のインドネシア通貨ルピアや切り上げ期待のかかる中国元など投資対象地域やその選択通貨なども新顔が登場し広がりを見せている。

新興国といえばもう「BRICs」などは定番の域であるが、それ以外にも3年前に当欄で取り上げたベトナム含む「VISTA」、最近では野村が使っている「チャインドネシア」やラテンアメリカ含む「CIVETS」などという造語も「PIIGS」などと同様に登場し、またそこそこな金額が集まるからその需要も無視出来ない。

さて一方の現場だが、当然ながらこの手の新商品売り込みに余念が無いだろう。あまり表面化はしていないものの、若干の含みのあるモノや傷みの浅いモノからこの手へのスイッチを一頃のノルマ合戦の如くせっせと推奨している様が目に浮かぶ。毎月分配型など源泉税分複利でマイナスになる等も指摘される中、解約水準の高さや保有期間の短期化など商機の副産物として気になる記事も多く、この辺も事前に冷静に見る事の出来る目も必要ではないか。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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