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購買力襲来

昨日は一寸付き合いで三越に立ち寄ったのだが、エントランスを入って直ぐに異様な光景に出くわした。それは一階のコスメフロアにおいて「資生堂」コーナーを占拠し、在庫品までが殆どカラになるまでの買い漁りを演じていた中国人観光客の集団行動。新聞やTVなどでは見たことがあったが、実際間近に見るとなかなか恐い感さえ覚える。

ちょうど知人が居たので聞いたところ、資生堂が巨大市場を睨んでの中国進出が奏功して現地ではアッパーミドル層中心にそのネームバリューは絶大であるとか。狙われているのは現地未展開の製品や一部高価格帯の物、詳細なリストが用意されているあたり目的がハッキリしている。

所謂当地リミテッドエディションというところなのだろうが、それにしても凄い買い方である。何処かで聞いた事があるが観光客一人の背後には十数人のオーダーが控えているパターンが多いとか、また更に他の定番モノでもゴッソリ手当てしてゆく裏には、日本で買うからこその品質に絶対的な安心感があるというからこれもお国事情を表しているいい例だろうか。

しかしこんな光景、他人事のように見ているが「人の振り見て・・」とはよく言ったもので、ちょっと思い出してみれば一昔前にはパリの「ルイ・ヴィトン」やミラノの「アルマーニ」などでも大挙して斯様に買い漁っていたのは日本人だったなと。本日の日経紙一面には中国の吉利がポルボ買収で最終合意とも出ていたが、こんな末端消費だけ取っても底知れぬパワーを感じざるを得ない。


配当指数

さて、権利付取引最終日を明日に控えて一部個別では行色も鮮明になってきている株式市場であるが、先に日経紙が伝えたところによると2010年3月期の配当総額は前年同月比5%増と上場企業の配当が増加に転じる見通しである。

半期ベースの配当が増加するには09年3月期の上期以来、3半期ぶりとのことだが、ここ最近の個別の報道を見ていると増配や復配予定などの報道もよく目に付く。主力大型物の増配・復配もさることながら、小粒の異業種でもこうした動きがあり長期に亘って有望と思われるものも少なくない。

ところでこの配当といえば、今週は東京証券取引所が、日経平均株価やTOPIXを構成する各銘柄の配当金額を指数化した「配当指数」を7月に上場すると発表している。欧米では既に主要株価指数を対象にした配当指数が算出・公表されスワップや先物取引など拡大しつつあるが、アジアの取引所では初の試みになるという。

これら対象銘柄の配当支払いが確定する度に指数値が積み上がり期末まで上昇、新年度に最終値公表という具合だが、株価ではなく配当額に着目した指数というところが新しい。今後は配当部分の変動リスクヘッジ、カウンターパーティーリスク排除といったサービス提供が身近になるかどうか開始を待ちたい。


貯蓄奨励?

本日の日経紙一面で目に飛び込んできたのは、政府が郵政事業の見直しに関連し、郵便貯金と簡易生命保険の限度額を大幅に引上げる方針を固めた旨の記事。これで郵貯の預入額は現行の1,000万円から2,000万円に上がる見込み。

金融界としては今迄これらに反対してきたワケだがそれもそうだろう、政府の後ろ盾を武器にして限度額引き上げによる資金シフトのシワ寄せやら、様々な優遇措置やらで地域金融機関含めた民業の圧迫は想像に難くない。

別な視点から眺めれば、こうした貯蓄奨励?型の気運は証券関係の税制案などを見てもリスク物に対して決して寛容とはいえず、これまたより一層そうした方向への色合いが濃く見えるものだ。近年は確か「貯蓄から投資」が声高く謳われている筈だったと思うが、何かこう逆行というか矛盾している感が強い。

しかし、JALなど旧官営(事実上は今でもだが)の悪しき伝統モノが市場から消えてゆく一方で、斯様に官業の肥大化が進行している点に不気味さが燻る。これら含めて今迄築いてきた改革が歪み、経済構造が後戻りしてゆくような愚の無いよう祈るばかりである。


日経・東工取商品指数上場

周知の通り、本日は東京工業品取引所において「日経・東工取指数」がはれて上場の運びとなった。

本日の日経紙朝刊でも広告が出ておりそこにはこの指数のメリットとして、1.分散投資による資産運用、2.物価変動リスクをヘッジ、3.取引期限のない限日取引で長期投資に活用とあるが、今回の売りとして注目はやはり3の「限日取引」の部分か。かねがね業界活性化論上において一部には限月取引のデメリットを指摘してきた向きも多く、ここ近年のFX取引の台頭なども更にこれらの限日取引待望論を増幅させていた面もある。

まあ、限月があればこそスクイズその他の旨みも多いのだが、近年の取組や参加者誘致の趣旨?からはこうしたものの上場が急務だったのは事実だろう。しかし株式でいうところの日経平均やTOPIXのような指数がそもそも今迄取引されてなかった事自体もおかしな話である。そう考えるとこんな大型商品の初モノ上場はもっと喧伝されていて然るべしであるし、全社が参加していて当然という視点で現状を見るとなんとも静かな感は否めない。

ともあれ、次の展開としてはこれに連動するETFやらブルベア物の投信の登場はもうお約束のようなものだろう。更に年金など機関投資家等をも視野に入れた場合、これを利用してくれるかどうかはベンチマークとしての要件を満たしているか否かに懸かってくるワケで、市場管理含め今後の運営がいろいろと注目されるところでもある。


世論と文化

さて、13日から中東のカタールで始まったワシントン条約締結国会議も大詰めだが、前にも一度触れたように西洋クロマグロの取引規制を巡っての思惑が飛び交っており、輸出禁止の場合、クロマグロの国内流通量は半減するとも一般的にはいわれている。

ただそこは悲しいかな、長引く景気低迷からの消費落込みで現在では2万トン超の在庫があり、パニックなどという懸念はないとの指摘も多い。確かに昨今の低価格志向を背景に、これら高級食材を取り巻く環境は激変している感もある。この手の魚モノでは年明けのフグの初セリは4割も安かった模様だし、いつだったか高級食材の卸値と前年同期比での下落率等を見た時には特にこの水産物が酷く、クロマグロやカニなどで3割近い下落となっていたのを思い出した。

そんな中でこの世論、昨年の秋にも書いたようにクロマグロ食材に関しては既に英「ゴードンラムゼイ」のレストランやら「NOBU」などは代替魚若しくは提供中止の措置を取っている。高級レストラン勢が加盟する協会「ルレ・エ・シャトー」でも不使用宣言を出し、「エノテカ・ピンキオ−リ」や「トロワグロ」など錚々たる面子がサイン済みとか。

さて、こういったインターナショナルに展開する向きの一方で、同協会には日本も有名旅館やレストランが加盟しているが、こちらは「オテル・ドゥ・ミクニ」始めとして殆どが同宣言に反対に回っているとか。この問題、賛否両論あるものの、ちょうど先週末にも書いた通りひとつの文化だけに、やはり画一的に測れない部分もありおいそれと承諾しない態度には安堵感さえ覚えるのも正直なところである。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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