609ページ目

売り切れ狂想曲

さて、今週は田中貴金属工業が今年10月までの投資用地金型金貨ウィーン金貨ハーモニーの販売量が、既に昨年一年間の販売量の2倍に達したと発表している。

この田中貴金属工業、先週には10月の投資用プラチナ地金の販売量が過去最高になったと発表しているが、なるほど改めて同社のHPを見てみると世界的な金融危機で貴金属投資需要が盛り上がった結果製造が追いつかず、モノによっては在庫が無くなり販売を停止しているものがある旨の「お詫び」が掲載されていた。

さてプラチナ、なんでも1980年以来の7,000円台高値から一気に半値以下にまで叩かれた事に因る割安感こそ買いが殺到した原因らしいが、大手の今がチャンス的な広告も目にする昨今、確かにこうした媒体も縁の無かった向きを一段と後押ししているのかもしれない。

ただ気になるのは僅か数ヶ月で高値から半値以下にまで値を下げられるモノに対して、大手紙などで事ある毎に「安全な資産」なる一文を見る度に違和感を覚える部分も。

ところで売り切れと言えば、先月末の当欄に外貨両替商の外貨が何処も底を尽き売り切れ状態になっている光景を目にした経緯を書いた事があったが、これもまた右へ倣えのセンチメントなのだろうか?


新興市場再編開始

本日から12/17まで大阪証券取引所は一株7,000円のTOBにてジャスダック証券取引所の買収を開始、年内にも子会社化した上で二年後をメドに同大証のヘラクレスと統合する方針を伝えている。

ここまで紆余曲折はあったもののいよいよ行動開始といった感じだが、直近でジャスダック指数がピークの約三分の一、ヘラクレスに至っては約十分の一にまで落ち込むなど新興市場が極端に低迷してしまっている事が概ね背景となっている。

まあ彼方此方でインチキが横行した咎めも無いと言えば嘘になるのだがそんな事から再編は焦眉の急であったとも言えるし、一方で報道にもあるように大証にとっては主力のデリバティブに加えて時価総額でダントツの新興市場を傘下に収める事で同市場の主導権を握りたい思惑もあるのは確か。

そうそう、デリバティブといえば今月の初旬から既に噂になっていた駒澤大学のデリバティブ巨額損失であるが本日は各紙でこの記事が散見、こうした金融危機時には競売などでもそうなのだが思わぬところで思わぬ名が突如として浮上したりするものだ。


将来より目先

本日は閣僚後会見にて中川財務金融相が自社株買いの緩和と空売り規制の強化について追加の市場対策を公表しているが、金融サミットを受けた株式市場が弱含みとなっている事に対応した物とか。

さてこの空売り規制なる物だが当欄では先月末に触れた経緯があり、愚策?ながら一般への売り叩きは悪という感情も相俟っての解り易さから各国へ倣えで発動したような格好になっているが、先にも書いたように将来の受け皿の一つを排除しリクイディティを奪ってでも選択した背景にはやはりその場しのぎ的な焦りは隠せない。

また、そもそも株券の事後調達云々を今更掘り返したところで過去の不正履歴の再確認程度、とにかく直ぐに考えろ的な要請からか当の金融サミットにしても今回の此れにしても対策の羅列というイメージが濃厚だが、何れにしても範囲を広げれば未だ未だファイナンスに絡む物は矛盾点が彼方此方に存在する。


アンフェアな言い値商売

先週あたりから街を歩いていると旅行絡みのパンフを配っているスタッフの姿がやたらと増えてきたような気がするのだが、先に大手紙一面でもこの為替の急変で割引の動きが広がっている旨の記事があったように一つの商機なのか。

旅行業界といえば先週は近ツーリストの08年12月期連結決算見通しが発表されていたが果たしてなかなか厳しい数字、景気低迷は何処の業界も直撃しているが加えて燃料サーチャージの高騰から海外旅行が減少しているとのコメントであった。

さてこのサーチャージには8月だったか当欄でも触れているが、ここ原油価格の急落を背景に今月に入ってから直ぐにあのシンガポール航空が2回目の引き下げ、その後には格安航空アジア最大手のエア・アジアに至っては全ての便で廃止にしてしまっている。

一方の国内勢は四半期改定やら何やらの旧態依然の影響で正に原油暴落に拍車が掛かっているのを横目に最高値レベルの値上げ敢行で下げは来年とか、元売りの製品卸値も週単位導入が出て来ている昨今そろそろ一般が納得し易いものにどんどん変えてゆかないと自分の首を絞める事になるのは必至と思うが。


サブプライム本命国

さて、もともとが15日に設定された段階から何でそんなに先なのとの声が関係者から多かったが、いよいよ週末には金融危機対応を協議する国際的な緊急首脳会合、所謂金融サミットが開催される。

今回の金融サミットには中国・インドなど新興国も参加する予定となっているが、先にニューデリーで開いたインド含めた首脳会議では「我々は富裕国が引き起こした金融危機の犠牲者」等と欧米金融機関や金融行政不備を痛烈に批判、一方の中国も直近で発表となった7-9期GDP成長率が実質で9%と10%を超えていた前期までと比べて大幅に落ち込んでいる事が明らかになり、何といっても要の不動産が急速に怪しくなって来ている。

そんな訳で上記会議で採択した宣言も金融危機にあえぐ新興国も苛立ちを全面に出した内容となったが、実質的にサブプライム層のローンが米国を数の上で凌ぐこれらインドや中国の存在は考えてみると怖い。

今迄住宅価格の上昇で問題にならなかった中国のこの手のローンの綻びや、格差社会が広がるインドでの貸し倒れ率がバカにならなくなって来た金融機関の問題等々、余力も各国で差があり何処までこの大世帯が合意出来るか、潜む地雷まで見据えた具体策が果たして会議で協議されるか否か注目である。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

カテゴリー

アーカイブ

2025

1

1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31