75ページ目

ジパングを夢見て

本日の日経紙グローバル面には「NY金先物、最高値更新」と題し、米利下げの継続期待が金先物の投資妙味を高めたことなどを背景に金の国際指標となるNY先物が1トロイオンス2660ドルまで上昇し最高値を更新した旨が出ていた。直近ではイスラエル軍によるレバノンのヒズボラを標的にした大規模空爆も行われており地政学リスクの高まりも意識されている。

これまで複合的な要因で金利が付かないハンデを背負いながらも高値を更新してきただけに実際に利下げ継続となると更に追い風となるのは想像に難くないが、昨今の金高騰を背景にしてか国内でも7月には北海道でかつて栄えた静狩金山周辺で豪州のキンギンエクスポレーションの子会社であるジャペックスが金鉱脈を見つけようと採掘調査計画が持ち上がっている旨が報じられている。

国内の金鉱山といえば今では現役で稼働しているのが菱刈鉱山くらいでジパングの面影も無いが、余談だがかつてジャスダック市場に金鉱山事業を謳ったジパングなる企業が上場していたのを思い出す。外資系証券を渡り歩いた人物が代表を務めていたものの裏口上場の疑義の中で消えていった。それはさておきこの豪州系企業、黄金の国ジパングでめでたく有望な金鉱脈を見つけることが叶うのかどうかその行方を見ておきたい。


民営化から20年

先週金曜に東証は東京メトロ(東京地下鉄)の上場を承認し、翌日の日経紙にも「東京地下鉄株式会社」の新規上場に伴う株式売り出しの全面広告が出ていた。来月にプライム市場上場予定ということで、2018年のソフトバンク以来約6年ぶりの大型上場となるが、実に民営化から20年を経て満を持しての上場という感じか。

現在は国が僅かに50%を上回るものの東京都とほぼ半分ずつの株主構成となっているが、双方同率の売却で売り出しの想定価格は1株1100円、来月8日からブックビルディングとなり正式な売り出し価格は15日に決定する。抜群の認知度を誇る同社に投資家の需要がどの程度積み上がるかだが、需要を喚起するために早くも同社は株主優待の導入を発表している。

鉄道系の優待は最近ではけっこうお得なモノも多くなってきているが、同社が発表したものを見てみると利用者も多い駅ナカ蕎麦のトッピング無料券などユニークなモノに加えゴルフ練習場や地下鉄博物館無料招待から定番の優待乗車券などラインナップしており、ほぼ毎日利用する向きにとってはそこそこ魅力的に映るモノとなっている。

その辺は兎も角も近年では総会でもお土産を廃止する企業が続出し、株主優待もまた東証再編による株主数規定緩和や株主平等性の観点から実際に特典を受け難い外人投資家などの批判を受け一頃は減少傾向にあったものだが、新NISAの導入でここへきてまたぞろ優待創設の動きも出てきている。分割の動きもそうだが、政策保有株の売却加速等も背景に改めて個人の存在が再認識されはじめているということか。


世界が求めるコンテンツ

周知のように米テレビ業界で最高の栄誉とされる第76回エミー賞の授賞式が日本時間16日に米ロサンゼルスで開かれ、日本の戦国時代を舞台に徳川家康をモデルにした武将の戦いを描いたドラマ「SHOGUN 将軍」がエミー賞では史上最多の計18冠に輝いた。土壌としてアジアでは韓国ドラマが先行して躍進していた事や、多様なコンテンツを求める流れという背景も後押ししたとみられる。

多彩なコンテンツを求めるといえば、最近では6月に米大手投資ファンドのブラックストーンが東証プライム市場に上場している業界首位級漫画配信サイトの「インフォコム」を買収しているが、買収絡みでは今月に入って別の米投資ファンド米フォートレス・インベストメント・グループが東証スタンダード市場に上場している「常磐興産」を買収することが明らかになるなどエンタメの価値を外資が次々と狙う。

ところで過日放映されたテレ東のWBSにて自民党総裁選に立候補した全員にどういった成長戦略を描くのかという質問で、候補の一人の林官房長官はシンプルに「コンテンツ」の文字を掲げる一点張りでコンテンツは日本の基幹産業といってもいいと言っていたのが印象的だったが、政府は上記のプライム上場のインフォコムが米投資ファンドに買収された6月に、アニメや漫画といったコンテンツを海外に売り込む「クールジャパン戦略」を5年ぶりに改定している。

今回の快挙で漸くというか“正しい日本の表現”というものが叶った格好ともいえるが、同時に日本の映像業界に与える影響も大きく上記の戦略にも追い風となって来るのは間違いないところ。外資に次々と買収されるのも複雑な感があるものの、家電や自動車に続く日本のお家芸として33年に約4倍の20兆円に引き上げる目標を目指し今後どうセールスしてゆくのか政府共に舵取りが問われる。


基準地価2024

本日の日経紙第二部にみられる通り恒例の国土交通省がまとめた今年7月1日時点の基準地価が発表されている。全国では住宅地がプラス0.9%、商業地がプラス2.4%、全用途がプラス1.4%といずれも昨年に続き3年連続での上昇となり、その上昇幅も拡大していた。そんな中にあってやはりというか下落率が大きかった10地点は住宅地・商業地共に全て能登半島地震の被災地となっている。

対して住宅地の上昇率上位10地点は沖縄と北海道と南北両端で占めることとなり、住宅地1位は沖縄恩納村の29%アップであった。また商業地では台湾の半導体メーカーTSMCの工場進出で昨年トップの熊本県・大津町が今年も1位で33.3%の上昇となりこれを含め上昇率トップ3を今年も熊本勢が占めていた。ちなみに全国最高額地価は不動の19年連続、「明治屋銀座ビル」で1平方メートルあたり4210万、昨年から200万ほど上がった。

そういえば当欄では先週末に「グラングリーン大阪」を取り上げたが、うめきた再開発の一期地区にあるグランフロント大阪南館は大阪圏で1位、全国でも6位になっていた。このグラングリーン大阪の先行開業で更なる活況が期待されるが、先にも書いたようにビジネスの集積地ともなり、関西万博も控えインバウンドの視点から見ても有利になって来るだけに今後も引き続き注目としたい。


経済効果と経済損失

連休明けの今日もまた9月とは思えぬ暑さであったが、週明けの日経紙社会面でも「猛暑いつまで?」と題し今週の気温も平年よりかなり高くなり猛暑日となる地点もある見通しとの旨が出ていた。気象庁によれば今年6~8月までの夏の全国平均気温は平年比で1.76度高く、統計のある1898年以降これまで最高だった去年に並び最も高いタイ記録だったことが報じられている。

猛暑といえば7月末に当欄で猛暑対策展のイベントを取り上げた際に「一部シンクタンクでは夏の平均気温が1度上がる毎に2600億円程度の押し上げ効果があるとし、今月の平均気温は平年より2度ほど高いといわれている事で5000億円近い押し上げ効果で消費の盛り上がりが期待出来るという。」と書いたが、こうした経済効果の逆で経済損失に関しては例えば農作物への影響が今後5年間で5兆ドルの損失という試算や、暑さによるストレスの影響で生産性が落ち2030年度には2兆4000億円の損失という負の予測もある。

気象庁は異常気象分析検討会を開き平年に比べ突出して高温になったのは長期的な地球温暖化の影響や海面水温の上昇など複合的な要因があったとしているが、地球温暖化対策に関する多国間の国際的な枠組みのパリ協定では産業革命前からの気温上昇を1.5度以内に抑える目標を掲げている。この産業革命以前の基準とされる1850年~1900年の平均気温の推定値と過去1年の平均気温を比較するとおよそ1.64度高かった模様だ。

これに絡んでは企業による取り組みも重要になって来るが、東証プライム市場企業では既に二酸化炭素の排出量開示が企業に実質義務付けられている。気候変動リスク分析には煩雑な事務作業の手間が発生し、CO2の排出削減に寄与する事が企業価値が本当に向上することになるのか否か明確な答えは出ていなく、先に当欄で書いた「再生エネの建前」というような事例もあるものの、投資家にとっては企業選別において一つの重要な判断材料になるだけに現実と向き合いながら各々の取り組みを進めてゆくことが要求されるか。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

カテゴリー

アーカイブ

2026

9

1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30