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街のお別れ風景

年度末から新年度にかけての時期は出会いと別れの季節でもあるが、今年は身近な街の風景にもこれが当て嵌まる感がある。最近では東京駅周辺で再開発の起点ともいえる大型商業施設「東京ミッドタウン八重洲」が先月華々しくグランドオープンとなったが、この並びに位置した「八重洲ブックセンター本店」が先月末で約44年間の営業を終えた。

初めて同店を訪れたのはまだ大学に入学したての頃であったが、社会に出てからも他では探せなかったかなりマニアックな本も100万冊以上もの在庫を揃えるここに来ればほぼ見つかったものだった。2028年度に完成予定の超高層複合ビルへ再出店の予定とのことで復活が待たれるところだが、これからしばらくは丸善あたりに足が向かうことになりそうだ。

それともう一つ、夏場は特にお世話になっていた「東京辰巳国際水泳場」もまた上記の八重洲ブックセンター本店閉店と同じ日に30年の歴史に幕を下ろし閉館した。メインプールは長水路で他と違って飛び込みも出来るところも良く、ここへ来たらわざわざ北島康介氏の世界記録樹立プレートのあるレーンで泳いだりしたものだが、存分に泳いだ後にゆったりとジャグジーが満喫出来るのもよかった。

こちらは2年後の秋にアイスリンクとして装い新たに再開業の予定というが、どこかシドニーのオペラハウスを彷彿させる名建築が無くなってしまうのはやはり残念な思いだ。そうそう、名建築といえば帝劇ビルも2025年度をめどに閉館の予定という。此処もまさに昭和の名建築だったが、ステンドグラスや昭和モダンな細部の装飾等々同じ物はもう見られなくなる可能性もあるだけに閉館まで時間の許す限り目に焼き付けておきたいものだ。


ヤレヤレの本気度

さて、先週は東証プライム上場の東京都競馬が突如としてストップ高を演じる場面があったが、この背景には直近の大量保有報告書で香港投資ファンドのオアシス・マネジメントが8%超の株式を保有していることが明らかになった事がある。オアシス・マネジメントといえば直近ではフジテックの取締役解任劇を巡っての大バトルがなかなか見応えのあるものだったのを思い出す。

斯様な実績のあるアクティビストの登場だけに株価の方も期待値先行で反応したとも思えるが、いわゆる物言う株主が保有している企業群の意欲的な中期経営計画発表がここ相次いでいる旨が先の日経紙にも出ていた。いずれの企業も総還元性向において具体的な数字を挙げてきており、株価の方もそれに準じて少なからず上昇を辿っている。

冒頭の東京都競馬のPBRは昨日時点の東証プライム全平均のそれを超えてはいるが、上記のアクティビストが保有している銘柄群のPBRはいずれも1倍を割り込んでいるものが殆ど。先の株主総会でも多くの企業で増配や自社株買いの還元要求提案が目立った模様だが、東証のPBR是正要請とも相俟って世界基準との乖離を埋めるべく今後も要求が強まるのは想像に難くなく各企業の本気度もまた試されそうだ。


4月IPOスタート

本日より4月のIPOがスタートしたが、その第一号となったのが本日東証グロース市場に新規上場となったキャッシュレス決済サービスのトランザクション・メディア・ネットワークス。注目の初値は公開価格930円を49.2%上回る1388円と好調なスタートとなったが、公開株式が多い割に下馬評を覆す意外?な初値が付いたといえよう。

このTMNはそこそこな吸収金額であったものの直近公開モノは小粒だったこともありなかなかの化け具合となっており、先週末に東証グロースに上場したAI活用DX事業のFusicは初日は買い気配で値が付かず、週明けに寄った初値は公開価格2000円の実に約3.3倍となる6530円のロケットスタート。あと利食いでダレて引けるも本日は改めて買い直され一時ストップ高を示現した。

これに限らず3月上場組のIPOは破竹の勢いが目立ち、ソフトウェア検証の日本ナレッジや同日IPOのスマホ向けアプリ開発のアイビスは共に初日は買い気配で値付かず、その初値は公開価格に対し前者は約2.5倍、後者は約2.9倍に化け。また同じく23日IPOのハルメクホールディングスはスンナリと寄ったもののあと連日ストップ高を演じるなどどれもすこぶる回転の良さであった。

ということで今月は冒頭のトランザクション・メディア・ネットワークスはじめ10社がIPOの予定だが、12日に上場予定のispaceは月面開発事業と宇宙関連ベンチャーとしては初のIPO、またその後には今年最大の案件ともなる楽天銀行もIPOを控えている。更にその後にはひふみ投信のレオス・キャピタルワークスとどれも話題な案件が控えているだけに引き続き新興市場からは目が離せない展開になりそうだ。


新年度の値上げ

今年も新年度がスタートした。今年は4月から主産育児一時金が現在の42万円から8万円引き上げられで50万になるなど新たな支援もあるが、一方で新年度が始まっても止まらないのは値上げラッシュだ。帝国データバンク調査では5106品目の食品が値上げとなるが、日本ハム、伊藤ハム、プリマ等のハム含む加工食品類は単月全体の4割を占める。

値上げの増加ペースは早まっており今月中にも計画ベースで年内値上げ累計2万品目を突破するとみられているが、食品以外でも4月は関西鉄道大手6社、JR西日本などの運賃、ヤマト運輸や佐川急便も揃って相次いで値上げへ、ヘアカットのQBハウスの料金も値上げされるなどモノだけでなく我々の身近なサービス部分も上がってくる。

資源高が一服はしてはいるものの、今年は春闘などで大幅な賃上げ回答という事例が出ているだけに企業側もそれによる購買力の高まりという期待もあり、それらを踏まえ家計がより値上げを受け入れてくれるという計算も相俟ってコスト上昇分をより転嫁しようとする動きが今後も出て来る可能性もある。

5月以降も2022年を上回る水準の値上げが予定されており、来月5月は前年比3倍の食品値上げが予定されているという。伸びの鈍化もいわれてはいるものの、値段が下がるというワケではないので今後も値上げに伴う体感物価は消費者物価指数をはるかに上回る状況が当面続くことになるか。


個人の判断

本日の日経紙ビジネス面にはマスク・出張制限撤廃3割と題し同社の実施した国内主要企業社長へのアンケートで、新型コロナウイルスの感染症法上の分類が5月8日から「5類」とし季節性インフルエンザと同じ分類とはなったものの、社内でのマスク着用等を撤廃する企業は3割前後にとどまった旨が出ていた。

周知の通りこのマスク着用に関して政府が示した新たなルールでは13日から「個人の判断」となっている。初日は近所の三越のライオン像のマスクが約2年10ヵ月ぶりに外され、空港でも受付カウンターのパーティションが外される光景を目にしたが、百貨店やレジャー施設なども概ね上記企業とほぼ同様な対応となっており5類移行まで各所明確な判断がし難いだろうか。

半ば生活の一部になってしまっている一番難しいマスク問題だけ唐突に個人の判断にすると半ば責任放棄とも取れる政府のガイドラインだが、改めて勝手にどうぞと言われるとはたしてマスクやパーティションにどれ程の効果があったのだろう?とも思う。時にはスーパーコンピューターまで持ち出しその効果を謳ったのが記憶に新しいが、その辺の科学的な知見とはいったい何だったのだろう?

日本は一度決めたことが効果のある無しがわからないままなお続けてしまうキライがあるが、世界中でマスクを外した日常が戻るなか日本だけ頑なに政府のガイドラインを守りマスクを付け続けた効果が諸外国と比較し顕著だったかどうか、せめて政府は検証すべきだろう。いずれにせよ5類移行でコロナ前の生活様式が直ぐに戻るのはなかなか難しそうだ。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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