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大阪・関西万博開幕

さて、東京五輪・パラリンピック後の景気刺激策と位置づけ2005年の愛知以来、20年ぶりの大規模万博となる大阪・関西万博が開幕のはこびとなった。また同じここ大阪の地での万博開催としては1970年の大阪万博以来、55年ぶりだ。当初は会場建設費を1250億円と見込んでいたものの、資材高や人件費の上昇などで複数回にわたって増額、結局は約2400億円近くと当初からほぼ倍に膨らむなど賛否両論のなかの船出となった。

前売りチケットは当初目標の1400万枚を下回る約1170万枚販売されたとのことだが、運営費の赤字を回避する採算ラインは約1800万枚との試算もある。初日は生憎冷たい雨が降りしきりブルーインパルスのアクロバット飛行や空飛ぶクルマのエキシビジョンが中止に、自慢の大屋根リングは雨といの水が溢れ、やれやれ食事にでもといえど回転ずしに辿り着くだけでも4~5時間待ちとこちらも忍耐戦が展開されている。

この大阪・関西万博、予てより事前予約制を導入し“並ばない万博”が謳われてはいたものの、いざ蓋を開けてみればTV等では連日長蛇の列の映像が放映され、パビリオン予約やキャッシュレス決済などスマホ頼みなもののネットの繋がりにくい状況でQRコードの不具合が起きるなど各所ではなかなか波乱の幕開けぶりが窺える。

こうした運営面での課題など今後協会等による継続的な改善が必須となろうが、この「いのち輝く未来社会のデザイン」がテーマの万博は半年間で来場者は約2820万人が想定されている。政府はその経済波及効果を約2.9兆円との試算を出しているが、この万博後には会場となった夢洲では5年後にカジノを含む統合型リゾート(IR)の開業が予定されている。こちらもいまだ賛否両論だが、先ずはこの万博が成功裏に終わるかどうか引き続き注視しておきたい。


上場ゴールの篩い分け

世界を震撼させている震源地の米株式市場だが、昨晩は5日ぶりに急反発し3000ドル超えの場面も交え1日の上げ幅として過去最大を記録した。先進国にあってフェイクニュース等で振り回され乱高下する様はまるで新興市場との一部指摘も出ているが(まあ日本市場も同じだが・・)、ところで新興市場といえば国内では先に東証がグロース市場に関し上場5年で時価総額100億円未満企業を上場廃止にする方向など上場維持基準を厳しくする方針を示している。

この辺に関しては先週末の日経紙でこの100億円水準をクリア出来ていない企業が7割にのぼる旨も書かれていた。現行の上場10年で40億円以上からみれば5年後で100億円は一気にハードルが上がった感もあるが、先月には東証の上場維持基準による経過措置が終了しているものの経過措置対象企業はプライム市場で55社、スタンダード市場でも140社近く残っているのを見るに約4割が上場時の時価総額を下回っている同市場の篩い分けも当然の流れか。

これまで新興企業ポストはその資金調達のパイプの細さやVCが早期イグジットを望む姿勢、また個人を中心とした売買主体の特異な構図等から小粒上場が問題になっており“上場ゴール”などという言葉まで飛び交った事があったが、こんな状況が改善されないままでは本来描いていたグロース市場からスタートしその成長と共に上のポストを目指すというあるべき姿も絵に描いた餅になってしまうのも確かに致し方なしか。

こうした素地の改善が先なのか強制退場が先なのか考えるべき点は多いが、先月の上場維持基準による経過措置終了でも既に感じた事だが経過期間はあっという間に過ぎ去る。このグロース市場に関する上場維持基準強化が今回設定された5年間でどの程度未達の企業に影響を及ぼすのか未知数だが、プライム市場、スタンダード市場、そしてこのグロース市場の果たす役割を改めて考えつつ今月下旬の東証有識者会議での議論を経た最終決定を待ちたい。


脱・脱炭素の波

依然として世界のマーケットを混乱させている米トランプ大統領だが、つい昨日には米国内で石炭の生産と消費の拡大を目的とした4つの大統領令に署名している。相変わらず世界が進めている脱炭素の取り組みに逆行する動きだが、この脱炭素に絡んでは米国のみならずこのところ国内でも金融機関がこれに歩調を合わせて脱退が目立っている。

直近では先週末に「みずほフィナンシャルグループ」が金融機関で作る脱炭素を目指す国際的な枠組みであるNZBA、「ネットゼロ・バンキング・アライアンス」からの脱退を決めているが、みずほFGはむしろ後発組でこれより先に先月には先陣を切って「三井住友フィナンシャルグループ」がこれを脱退、その後に「野村ホールディングス」が続きその後立て続けに「三菱UFJフィナンシャルグループ」が脱退を決定している。

米ではいわずもがな脱炭素に消極的なトランプ政権下で脱炭素を巡る業界横断的な活動への訴訟など法的リスクが浮上している事から、ゴールドマン・サックスやJPモルガン・チェースなど大手どころが挙って離脱表明しているが、米国で事業を展開する上記金融機関にとっても重要なリスクとなることでこうした波が邦銀勢にも波及してきているという構図だ。

とはいえ石油採掘ひとつ取っても採掘に要するエネルギーと採掘した石油エネルギーの比率、つまり掘削効率を示す指標はかつて200だったものが最近では20分の1程度にまで低下しているという指摘もあり、この厳しい現状も鑑みるにやはり脱炭素は時代の流れとして不可逆的なものと考えるべきだろう。反DEIよろしく歩調を合わせざるを得ない企業の苦悩も見え隠れするが、社会課題としてこれを見据えた投資支援など継続してもらいたいもの。


米国離れ

「山高ければ谷深し」、その逆もまた然りということで本日の日経平均は昨日の続急落から一転して1876円高と急反発。昨年8月の「令和のブラックマンデー」とは背景が異なり今回は容易に戻らないとの指摘も多かったが、超短期のスパンで見れば毎度動きは同じである。長期投資の向きはコストが下げられるチャンスで、いわずもがな腕に覚えのある果敢に攻める短期組はここ2日で売り買い往復回転出来た向きも多かっただろう。

自由貿易システムをいとも簡単にリセットし米株式市場の時価総額は直近まで軽く1000兆円以上が吹き飛んでいるが、トランプ氏が大統領選を制し所謂トランプトレードで活況だった株式市場は見る影もない。こんな株式市場の惨状を見るにつけこの度の関税政策でこれまでの米国例外主義がピークを過ぎたのではないかという見方も出ていることで、投資家などは米国以外の地域に目を向け資金を分散させる動きも出て来ている。

この度の具体的な関税政策の前にはNATOへの懐疑的な姿勢を鮮明にしていたことなども背景に、欧州一の経済大国であるドイツも先月には歴史的な財政政策の転換を図り同国のDAX指数は最高値を更新、ユーロドルもここ1.1を超える場面が見られる。上記を鑑みてこうした分散という意味合いでは、本邦も中国の愚策であった海産物輸入禁止の時と同様に米国向けに突出している品目など他国と連携を図りつつ分散を図る好機でもあるという見方も一考か。


鎖国の始まり? 

さて米トランプ大統領が相互関税を発表、早速中国が報復関税を発表するなど貿易戦争や景気後退への懸念が改めて台頭したことで世界中のマーケットがパニックになっている。WSJは米市場が3日、4日の2日間だけで約6兆6000億ドル、日本円で約970兆円分の株式時価総額が吹き飛んだと報じ、本日の日経平均も225採用銘柄が寄るまで約30分もかかり引けは2644円安と続急落の憂き目に。これは昨年8月の暴落時と87年のブラックマンデーに次ぐ過去3番目の下落幅ということになる。

上記の昨年8月5日も月曜日であったが、本日も月曜日ということでまた「令和のブラックマンデー」になってしまったが、昨年8月以来のサーキットブレーカーが発動、となればカオスな中でも先物オプション市場は別格に熱い。当限の30000円プットは週初の寄りが7円だったものが今日は前場早々に850円と実に121倍にも暴騰、そこから更に5千円も離れたディープアウトの25000円モノも同じく週初の2円が前場に120円とこちらは60倍に大化けしている。

一方で先週末にはインザマネーだった当限の33750円コールは今日の前場にはプレミアムが10分1 に暴落と明暗を分けた。個別でもディフェンシブ色の強かったIPモノの任天堂も続急落していたが同社は「スイッチ2」の米での予約開始を延期に、またアップルもiphoneを価格転嫁した場合は米で最大43%の値上げの可能性を指摘、製品の多くが中国製造で米への輸出時に関税が発生する事で日本での価格もまた値上がりの可能性がある。

しかしトランプ氏といえばタフなビジネスマンとの評判だが、過去には事業経営で何度も破産申請をした経緯がある。そんな人物が最高権力者の座に就き大統領令をもって戦後の経済発展を支えた自由貿易システムをブラフではなくリアルにリセットしてしまう狂気な経済政策が本当に国にいいと信じている。いずれにせよ本邦がこれまでどれだけ米国への投資で貢献してきたかと考えるとなんともやり切れない思いだが、ここから日本政府の外交手腕がまさに問われる時か。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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