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マル信熱

さて、本日の上海総合指数は後場一段高となり2008年1月以来の4,900ポイント台となったが、上海市場といえば先週に心理的なフシ目の4,500台を回復した後もその伸びは目を見張るものがある。斯様に急上昇し、かれこれ倍化してきた原動力になってきたものに信用取引の存在が大きいといわれている。

同紙によればこれを裏付けるように信用残高は先週時点で昨年同時期の約5倍水準にもなる約40兆円近くにまで膨れ上がり、日本のそれの約13倍水準になるという。また残高が時価総額に占める割合を見ると日本の0.5%を大きく上回る3.5%とこれまた同取引が株高を牽引する構図が鮮明である。

マル信は市場にリクイディティーを提供する等重要な役割を持つが、同時にボラの増幅など副産物もある。先週は中国ソーラー発電企業をはじめとし、中国の資産か率いる金融企業グループ等が香港市場で5割〜6割も暴落する異常事態が発生しているが、企業素性や市場整備含め常にこうしたリスクを想定しておかなければならない。


高揚感無きバブル越え

本日の日経平均は4日連続で年初来高値を更新し2000年4月14日以来約15年1ヶ月ぶりの高値を付けたが、先週末の日経紙一面を飾っていたのは東証一部の時価総額も591兆3,007億円となり、1989年12月のバブル期経済の水準590兆9,087億円を約25年ぶりに上回りとうとう過去最高となった件であった。

とはいうものの日経平均が15年ぶり高値とはいえ4万円近くまで買ったあの絶頂期の記憶から約半値水準ではピンと来ないものだがそもそも銘柄数自体が違うのでこれも当然、事実単純に銘柄の単価ベースで弾いてみれば今の日経平均水準以下にまでなるので妙に納得である。

当欄では先月末にITバブル時以来の終値での20,000円台を回復した際に「失われた15年奪回」と題し、文中でやはり15年ぶりに史上最高値を更新したナスダック総合株価指数も当時と比べその構成銘柄も主役クラスの新旧交代が著しいと書いたが、東証でも上記の件絡めてバブル後に主役級が相次いで登場している構図に変わりはない。

足元では異次元緩和が実施されバブルなんぞという文言も本当に久し振りに彼方此方で目にするようになったが、高揚感がなかなか沸き辛い昨今の構図だけに今更ながらバブル後期にQレシオなんぞが持て囃されたウォーターフロント相場から狂乱仕手株時代など、今と比べてしまうとそのホットマネーのエネルギーの相違をしみじみと実感する。


時代背景

さて、今週の日経夕刊の「なるほど投資講座」は入門・コーポレートガバナンスと題して連日企業統治について連載が行われているが、この企業統治や利益還元を声高に訴えていたファンドとして先の日曜日の同紙「企業転換 戦後70年」の項では村上ファンドが取り上げられていた。

この村上ファンドに関しては当欄でも最近では2月、3月と取り上げた事があったが、ガバナンス論を武器に日本人による日本企業への敵対的TOBとして初の試みが話題になったものの、初回の昭栄やその後のプロキシーファイトでも日本初となり注目を集めた東京スタイルにおいても志半ばで不発に終わる結果となった。

時代が今ならファンド側も企業側もまた違ったタッチになり、村上ファンド以外でもスティール・パートナーズなど外資勢の展開や企業の政策もまた変わっていたかもしれないのは否めないところだが、時は流れ上記の昭栄は後にヒューリックと経営統合しその社名は消滅、そして東京スタイルも後にサンエーと持株会社方式で経営統合しTISホールディングスと名前を変えている。

2月に「消えゆくトラウマ」と題し、対話型への変遷から以前のようにファンドをアクティビスト扱いする風潮も無くなってきた旨を書いたが、これも国際標準へ向かう過程の経験図という事になろうか。


教育業界再編劇

本日の日経平均は4日続伸、年初来高値更新で2000年4月14日以来15年ぶりの高値水準となった。そんな中で全市場値上がり率トップとなったのは東証2部の学習塾最大手の栄光HD、これはいわずもがな昨日に通信教育Z会運営会社がTOBで全株取得を目指すとの報道からそのTOB価格に鞘寄せしたもの。

もともとココは進学会が大株主だが、その経緯が他のところに株集めされた際のホワイトナイトであったものの、著作権侵害から両者関係が悪化したまま燻っていただけに再編思惑が絶えなかった銘柄の一つでもあった。

そんな一件から本日はこれまた思惑が燻っているジャスダックの市進HDが一時ストップ高の急騰、そして上記の進学会まで一斉高となったが、同業他社の中には本日静かだったものの関係者が水面下で株集めしていた経緯のある銘柄もある。来るセンター試験廃止を睨んでの少子化マーケットで今後もどういった形で再編が進むのか目が離せない展開になってきた。


ドルから金?

先週末の日経紙夕刊一面では、「金 見て飾って使って」と題して延べ棒や宝飾品イメージの強い金が、スターウォーズのキャクターをあしらった小判や、30キロの鉄アレイ工芸品としてさまざまな形で輝いている旨が載っていた。

個人的にこの手の品はどうしても重さで見てしまうので随分強気な値だなという感しかないのだがそれは兎も角、この金といえば米国景気の回復の遅れを示す指標が相次ぎ利上げ時期が遠のくとの見方が強まり、金利が付かない金の買い材料となって週明けのNY先物が3ヶ月ぶりに1トロイオンス1,230ドルを上回った旨も本日の日経紙に出ている。

原油の活況を横目に今一つの盛り上がり難が続いていた金であったが、こんな状況からかどうか連休明けから登場した東京ゴールドスポット100の出来高も上場来最多を記録するようになってきたという。更にETFなど組成品絡めて盛り上がりが継続波及してくるかどうか見守っておきたい。


吸い上げ副作用

週明けの日経平均は、欧米金利の上昇など海外不安が後退し投資家心理が改善したことで大幅続伸となった。とはいえ前場84.20円高のうちKDDIや値嵩のファーストリテイリング2銘柄で値上がり寄与は30.54円、一方の値下がり寄与もファナック1銘柄で27.09円となるなど依然としてこうした高寄与度銘柄の影響が強い。

ところでこの高寄与度銘柄のファナックだが、近年変動率の上昇がよく言われるようになってきた。これが顕著になってきたのは日銀が異次元緩和を導入した時期にほぼリンクしており、背景には日銀によるETF買いで株式が吸い上げられ結果リクディティー低下の弊害がいわれている。

実際この手の株にしては日中の板がスカスカになっている事も珍しく無くなってきたが、これに限らずMSCI絡みで買いあさったモノも数年前とは比べ物にならないくらい板が大きく乖離してしまったのも多くなっている。見た目には吸い上げた物の保有者はETF運用会社とはいえ、実質は日銀であり既に大量保有報告レベルに達している。

この辺は当欄でも昨年10月に、公的機関が大株主に登場するケースでは日本版スチュワードシップコードに絡んで矛盾する部分も出てくると書いた事があった。倫理的な部分以外でもこんなリクイディティー低下を逆利用し鞘を抜こうとする輩が増えてくれば更に一般への弊害も出てきそうな気がするが、この辺は実際の弊害が広がって来るまで議論は強まってこないか。


5/16付でD-タブレット・D-touchの注文機能など拡充

北辰物産は、2015年5月16日付でトレードツール「D-タブレット」(タブレット-PC版)におきまして、以下の機能などを追加拡充。

▼D-タブレットおよびD-touch機能追加のお知らせ

【D-タブレットの主な追加機能】
特殊注文・チャートから注文発注対応画面イメージ
クイック入金サービス画面イメージ
テクニカル分析の追加・設定画面イメージ
履歴画面(注文履歴・運用履歴・出納履歴)画面イメージ
ポーリング設定画面イメージ

【D-touchの追加機能】
クイック入金サービス画面イメージ


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間接効果

さて、今週の日経紙商品面の多面鏡の項では「連動型投資、売買押上げ」と題して、低迷が続いている商品先物市場においても近年のETFやETN絡みの影響によって、原油の1〜4月の売買高が前年同期比で約4倍に達するなど商品によっては飛躍的な伸びを見せ主役級に成長している旨が書かれていた。 

この辺に関しては既に3月の当欄でも「ETN活況」と題して野村グループの日経・TOCOM原油ダブル・ブルETNを取り上げたことがあったが、同ETNの発行口数は先月末で昨年末比36倍にも膨れ上がっている。実際に私は何度も利用した事があるが、リクイディティーも申し分なくとにかく使い勝手が良くて、保有株式のヘッジ等でも存分にその役割を果たしてくれた。

当初この手のTOCOM連動型は原油に先駆けて5年ほど前に金が登場していたが、こちらの出来高は後発組と比べてもなかなか盛り上がらなかった経緯があるが、それだけにこの原油はまさに大ヒットという感が強く、今後製品など枝葉を伸ばした物が登場し同様な商いに繋がればますます選択肢が増えてくるとの期待がいやでも膨らむ。

取引所としてもこういったETFやETNなどの金融商品は商品先物への間接投資という構図になる為に当然ながらこうした相乗効果が生まれることになるが、いずれにしても売買高が約20年ぶりの低水準に落ち込んでいる市場にとっての証券マネーの取り込みはまさに救世主的な存在と言えるだろうか。


外食業界模様

さて、一昨日は日本マクドナルドが調達先工場による消費期限切れ肉使用や、商品への異物混入で大きく傷ついた信頼の回復を図るべく、母親がメニューの安全性について議論し店舗や加工工場などを確認する「ママズ・プロジェクト」なるものを開始すると発表している。

同社といえば度々当欄でも取り上げてきたが、株式市場では先週に同社の時価総額が「すかいらーく」に抜かれた事が話題になっていた。これはすかいらーくがMBOによって上場を廃止する以前の2006年9月以来、約8年8ヶ月ぶりの事だという。もともとこのMBOは業績低迷に因るものであったが、再上場後は主力のガスト好調から快進撃が続いている。

まさに今の外食業界の明暗図が如実に表れた現象ともいえるが、本日の日経MJもフロント特集が「常連2割の乱」と題して牛丼値上げに踏み切った各社の裏で客離れが顕著になっている旨が載っており、外食業界におけるマーケティングの巧拙が今後明確化してくるだろうか。


PGM爬行色

本日の日経紙商品面では「パラジウム1割高」と題して、パラジウムのニューヨーク先物価格が直近安値の3月下旬と比べて1割高くなり2ヶ月ぶりの高値を付けてきている旨が載っていた。1日公表の米新車販売台数が4月としては10年ぶりの高水準となった事でガソリン車向けの需要増加を見込んで買われたもの。

パラジウムに関してはつい最近まで生産国である南アのスト終結やら同国通貨のランド安を追い風に供給が順調に進んでいる上に、米国の利上げ観測も燻っている事を背景に軟調相場が長引くという観測が一般的であったものだがやはり先は読み辛い。通貨に絡んでの現地の減産棚上げやもう一つの生産国ロシアの動向もあり様々な角度から推測が要求される。

一方で同じPGM系でもディーゼル車に多く使われるプラチナは消費の中心である欧州景気の先行き不透明感から買い手控えられて年初比で5%安い現状。こちらも低迷長期化が言われ長らく金に対して下鞘久しいが斯様に同族でも爬行色が出てきた。株式市場でもこの辺が顕著になってくるのかどうか併せて注視しておきたいところだ。


安穏とは限らぬ東証一部

本日の日経平均は大幅続伸となったが、そんな市場で寄り前から3,000万株以上の売り物を浴びて一際目を引いていたのは経営再建中のシャープ株か。一部で伝えられている通り先週末に99%以上の大幅な減資により1,200億円以上ある資本金を1億円にまで減らすという財務改善策がサプライズ視されてのこと。

原資で累損を一掃し、資本金の1億円変更で中小企業扱いになる為に各種税制上の優遇措置も受けられるというがなんとも苦肉の策を持ってきたものだ。しかしかつて液晶を凌駕した東証一部電機大手の変貌を見るに現実の厳しさを実感するが、現実の厳しさといえば東証一部からはもう一つ江守グループHDも直近で破綻している。

この江守グループHDで今年に入ってからの上場企業の破綻は2社目となってしまったが、1社目のスカイマークと共に奇しくも負債総額までピタリと同じ額だった。しかし魑魅魍魎の新興株ではなくかつてJPX400に選定されたり優良株のレッテルで大手投信も大量保有していた東証一部株がこんな最後になってしまうとはつくづく現実を実感する。

そうそう、本日は同じ東証一部でシャープと共にストップ安の寄り付きとなったものに東芝もあったが、こちらは不適切会計の影響で前期業績予想を未定にし無配修正となった事に因るもの。寄り付き後に1円のリバウンドも無くすかさず更なる大量の売り物を浴び8,000万株以上の売り物残しで引けているが、東証一部とて昨今はどこからお化けが出るかわからない市場になってきたか。


限日取引再び

さて、連休明けの本日から東商取では「東京ゴールドスポット100」がスタートした。所謂これは金の限日取引で対象は先物価格から算出した理論価格となるが、この取引はなんといってもFX等と同様に先物の特徴である取引期限が無いのが最大の特徴である。

かつて限日取引といえばTOCOM時代に「日経・東工取商品指数先物取引」を登場させ取引にはこの限日取引を始めて採用した事があったが、鳴り物入りで登場した割にはリクイディテイーの確保が上手くゆかず、限日を限月に移行するなどの迷走の末に試験上場中に上場廃止にしてしまった経緯がある。

あれから3年を経て再度の限日取引登場という事だが、上記の通り同取引は理論価格、「日経・東工取商品指数先物取引」ではこの理論値と約定値が乖離してしまう問題点が指摘されていたが、この辺の透明性をどう持たせるかが課題か。おりしも東商取では全体の売買に占める金のシェアが2009年5月以来の低水準にまで低下しているが、同取引がカンフル剤になるのか否か注目してゆきたい。