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かんぽが刺激か

本日の日経紙社説には「契約者の利益を重視した生保再編に」と題して、大手生保による国内外での買収が活発になってきた旨が出ていた。国内では先月に日本生命が三井生命保険を買収した件が話題になっていたが、国内生保も時を経て再編機運が再燃してきた感がある。

現在生保の上場組といえば大手では第一生命保険だが、上記の買収では保険料収入や資産規模も同社を抜くことになる。とはいえこれがほんの再編スタートとの見方が多いのはやはり先に上場承認となった「かんぽ生命保険」の存在がやはり大きいか。16年3月期の経常利益は3割減予想とはいうものの、その規模は日生を凌ぎ全国の郵便局網を駆使出来る販売力は脅威だろう。

以前にも書いた事があるが、地銀業界よろしく人口減少等で環境変化も激しくなる中で中堅や外資系への動向も注目されはじめている。上記の第一生命以外でも株式を上場している中堅もあり、各社それぞれの思惑が一致すれば再編の枝葉はどんどん広がる。またM&Aも活発化してきており、かんぽ生命上場と絡めどういった構図に塗り替わるのかまだまだ注目である。


取引多様化

先週末の日経紙一面には「日本株売買シェア外国人7割超」と題して、乱高下が続いたここ最近の乱高下相場で概ね60%台だった外国人投資家の売買シェアが9月第一週には72.5%に跳ね上がり、実質最高を記録した旨が載っていた。

その背景にはここ最近の値動きの荒さを好機と見たヘッジファンドの活発な動きがあるが、斯様に乱高下が投機勢を増殖させるのかはたまた投機勢が乱高下を誘発するのか何れにせよ鶏と卵ではないがこれらは相互に関係。東証が新システムを導入した2010年以降は相次いでこの手のコンピューターで高速、高頻度に取引する海外勢が日本市場に参入し増加している事が伝えられているが、日本取引所の自主規制法人は今月に海外投資家の株式売買を専門に監督・審査する「国際審査室」を新設。

この手の取引が普及するに伴い分散注文から果ては国境を越えた取引まで取引実態の見えにくさが際立ってきたが、これまで売買審査部のスタッフが全て審査していたものを細分化する試み。これまで証券取引等監視委員会等の機能にしても日本は長年その手薄さがいわれてきたが、この辺のマンパワー拡充も市場成熟と共に課題になってくるか。


増幅要因

今週の日経平均は昨日の1,343円高という歴代6位の上げ幅を演じたのも束の間、一転してザラバでは800円以上も急反落するなどジェットコースターさながらの乱高下の毎日で非常にボラタイルな展開が続いている。当欄では近年の日銀によるETF吸い上げの影響もあり一部高寄与度銘柄の板が薄くその辺もボラを増幅させている一因となっている旨を書いたが、先物市場の景色も東日本大震災以来久し振りに見る相場が展開されSPAN証拠金もうなぎ登りとなっている。

先物といえばこれに併せてオプション市場でも先に書いたようにわずか1円のプレミアムがたった4日の間に450倍にも大化けしたり、SQが目前に迫った昨日などほぼ望みの無くなっていた行使価格18750がアットザマネーまでになり、前場は1円だったコールの19250は後場には28円まで暴騰する始末とこれも4年ぶりに見る異常な相場であった。

当然ながらSQ目前にこれだけボラが激しい状況になれば損失回避のリバランスから大挙して売買が傾けばこうした狂乱相場にもなろうが、昨日の日経紙にも「市場揺らす仕組債」と題しデリバティブが誘う特殊な需給要因からのノックイン現象で下げが広がる状況も生まれている旨が載っていた。

仕組債発行の背景には超低金利による運用難があると同紙には書いてあったが、これと同様にセルボラで悠長にプレミアム取りを目論んでいた向きへ東日本大震災の災難が降りかかったように息を吹き返したヘッジファンドの暴力的な売買がこうしたところへも影響を及ぼしている。今月初めに「短期選好」として取り上げたレバ型ETFなど近年の金融商品の多様化も、久し振りにノックインなどの言葉を思い出させてくれたというところだろうか。


ベンチャーとホットマネー

昨日の日経紙夕刊の一面を飾っていた記事に「米投資会社が日本進出」と題し、米シリコンバレーに本拠を置く有力ベンチャー投資会社の500スタートアップスが日本に進出する旨が載っていた。政策や円安も追い風に成長が期待できる日本のベンチャーを発掘するという。

こうした有力ベンチャーでは米グーグル系が出資する教育ベンチャーが英会話ベンチャーの買収などを決めていたが、教育系ベンチャー企業対象10億円のファンドを今月設立したコマンドエヌなども500スタートアップ同様に米シリコンバレーの投資会社傘下で今年2月に設立され上場株式の取得に動いている。

例えば先月時点で学習塾を運営する東証一部の秀英予備校株式の9.75%を保有している事が判明しているが、この大化け効果の覚えで新たに発行済み株式の14%の大量保有が明らかになったエスケイジャパンは昨日のストップ高に続いて本日も2日連続のストップ高と破竹の勢いである。枝葉が分かれてホットマネーの流入も様々だが、末端への波及効果も投資への起爆剤となっている。


巨大企業の呪縛

昨日は村上ファンド等に絡めコーポレートガバナンスコードについて触れたが、会計不祥事のゴタゴタの影響で前期決算発表が遅れに遅れた東芝が各所の人事を見直し、このコーポレートガバナンス改革も打ち出すことになった。

とはいえ今回の会計操作の事件は、つい先週の2020年オリンピック・パラリンピック競技大会エンブレム使用中止騒動と同様にどうも責任の所在が有耶無耶にされたまま幕引きが為されてしまう気配が濃厚だ。日経の社説にもこの問題を日本市場の不信につなげるなと書いてあるが、この手の企業にありがちな呪縛は容易には是正されないというところか。

ところでマーケットの方だが、特設注意市場に指定する方針という。過去記憶に新しいところではオリンパスやその前のIHIのそれがあったが、経済界の重鎮を数多く輩出した企業のこんな失態で頼みの外人勢への心象というか市場全体へのイメージもまた懸念されるところで、これらの払拭が急務になってくる。


双方襟を正す

本日の日経紙金融面には「取締役選任に厳しい目」と題して、6月の株主総会において主な資産運用会社のうち半数で取締役選任案への反対や棄権の比率が高まるなど、投資先の企業統治や収益力に厳しい目を注ぎ始めた旨が載っていた。

取締役選任案への反対といえばこれより先に話題になったのがやはり黒田電気の臨時株主総会だっただろうか。この辺に絡んでは7月に当欄でも「血は争えない?」と題し物言う株主としてかつて一世を風靡した村上ファンドを取り上げたが、同ファンドが推していた同社の社外取締役の株主提案は60%の反対で否決される結果となった。

復帰戦第一弾は黒星?となった格好だが、そもそもこうした復活劇の背景には今年のコーポレートガバナンスコード適用に再度商機を見出したという部分も大きいだろう。とはいえ上記の通り思惑通りに事が運ぶというワケではなく一筋縄ではいかないものの、企業側も当然ながら従前の対応は通用しなくなっている。

上記二様の株主は全く異質のカラーではあるが生保も会社提案に反対票を入れるケースが出始め、村上ファンドも結果こそ黒星とはいえ議決権行使助言会社大手の一つは賛成推奨の結論を出している。コーポレートガバナンスが北風政策になるか太陽政策になるか今後も折に触れその真価が問われる場面が出てこよう。


53年の歴史に一旦幕

今週あたまの日経紙・春秋には、建て替えの為に営業を一旦休止する「ホテルオークラ東京」本館の事が書かれていたが、帝国ホテルやホテルニューオータニと共に日本を代表する「御三家」名門ホテルの本館が31日、ロビーで行われた記念コンサートと共に53年の歴史に一旦幕を閉じた。

取り壊しが決まった他の有名建造物同様にこのオ−クラ本館もオークラ・ランターンや梅の花を模した家具、壁の多胡石、西陣織の屏風壁等々幾つもの日本美術の粋を結集させた建造物なだけに、国内外から多くの著名人が取り壊しから救おうと嘆願の動きが見られたが、やはり次世代を睨んで世界レベル水準を標榜するには老朽化の問題は避けて通れなかったというところだった。

このオークラ開業は前回の東京オリンピック2年前の1962年であったが、今回も東京オリンピックの1年前の再開業を目指すという。この赤坂・虎の門エリアではキャピトル東急や赤プリ、それに六プリもその元々の姿が消えてしまったが、相次ぐリニューアルの背景にはインバウンドも睨み名立たる外資勢に対抗し得るブランド価値向上の意図が見え隠れする。

御三家と外資勢、利用してみると本当に良くわかるのだがそれぞれそのホスピタリティは全くカラーが違う。そういった観点から贔屓筋の客層は被らないと思うが、外資勢とはまた違った独特の色という武器を大切にし継続出来てこそ日本ブランドの価値が一際光るものとなろうか。


閉鎖的有耶無耶

昨日の朝刊には東京都の広報紙が織り込まれていたが、それを開くと先ず目に飛び込んできたのが「 東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会エンブレムが決定しました 」とのタイトルで今話題のエンブレムの写真が掲載されていた。ところがその日の昼には早くも東京五輪組織委、エンブレム使用中止の方針との速報が飛び込んできた。

しかし大会組織委員会はつい4日前に改めてエンブレムの選考経過を説明し、この会見では事務総長も審査委員代表も「発想、思想から全てが違いオリジナルと確信している」との弁を述べていたのも束の間この原案に対しても疑惑が生じた挙句突然の中止決定となり、新国立競技場問題と立て続けでの極めて異例の事態という感は否めない。

夕方からの事務総長の記者会見を見ていても釈然としない感が満載であったが、つまるところはこれだけ公共性が高いビッグイベントな割にその選考が極めて閉鎖的でかつ責任の所在も曖昧だったということに尽きるだろうか。新国立競技場然りこれでまた血税も応分に泡と消えようが、この手の組織絡みの閉鎖性改善の道のりはまだ遠く思える。


短期選好

本日の月替り新甫の日経平均は、円の急反発や中国景気の減速懸念が再度強まり大幅続落の安値引けスタートとなった。いまだにVIX系のETFなど値上がり率ランキングに出てくるだけあって、戻りにしても下げにしてもジェットコースターのような相場が続いているのは成る程自然なところ。

ジェットコースター相場といえば先のギリシャショックの時には日経レバ型への急激な資金流入が続きその売買代金は軽く4000億円を超え過去最高になった経緯があったが、今回の中国ショックでも2万円大台を割ったあたりから純資産が急増しこの影響で先週末の前場には野村アセットが日経レバ型の設定上限接近を理由にETFの新規設定一時停止を発表するに至っている。

ギリシャの時はこれらが底割れを回避するのに一役買ったとも云われているが、以前にコモディティETFを取り上げた時にも書いたようにレバ型はその間接効果を擁するだけに相場の値動きを増幅させる要因になる。とりわけ本邦勢はその回転日数にも見られる通り、短期が恒常化しつつあるだけにその辺の影響には注意しておきたい。


2016年1月からのマイナンバー制度について

岡藤商事は、2016年1月から開始されるマイナンバー制度について、商品先物取引口座におけるマイナンバーの通知についてを掲載。

▼マイナンバー制度について


商品先物取引口座をお持ちの全てのお客さまは、
ご自身のマイナンバーを岡藤商事に通知していただく必要がございます。

※通知いただいたマイナンバーは、法律で定められている支払調書を税務署に提出する際に利用いたします。

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特定層への戦略

さて、この時期は恒例で「ワールドウォッチフェア」が開催されるが、今年の催しも本日で終わった。今年は18回目を迎え「長久〜時の流れと共に〜」と題したものであったが、並み居る海外の有力勢に交じって本邦勢もそれらと遜色のない値札を下げて意欲的な新製品を打ち出していたのが目に付いた。

今年の6月、ファンドの大量保有を巡って株価と共に大きく揺れた東証一部の宝飾販売会社TASAKIもその一つであったが、同社の最高峰モデルであるオデッサなどトゥールビヨンまで搭載しなるほどスイスの老舗宝飾時計勢にも引けを取らないくらいの出来栄えの物も披露していた。

ところでこれら時計といえば先週末の日経紙には「高島屋が時計専門店」と題し、国内最多規模となる80強の国内外のブランドを集めた専門店を10月に日本橋地区で開設する旨が出ていた。この高島屋、6月には美術品のネット通販を若手の富裕層に向けて開始したばかりだがその流れに続くものか。

今年のワールドウォッチフェアではたまたまかもしれないが意外?にも数年前の中国人の爆買い的なパファオーマンスは見かけなかったが、東京五輪に向けてこうしたインバウンド需要や上記のネオ富裕層の取り込みが思惑通りに奏功するかどうかこれらの戦略にはまだまだ注目である。