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風雲児

さてちょうど一カ月ほど前の当欄では「因果」と題し、証券取引等監視委員会が金商法の疑いでバブル期に大物仕手筋として知られた人物を東京地検特捜部に告発する方針を固めた旨を書いたが、先週はとうとうこの本尊含む3人を東京地検特捜部が逮捕した旨が各所で報道されていた。

この逮捕劇でこれまであまり語られていなかった大学の大学院で助教をしているという長男の存在なども明らかにされたが、同氏はそこで数理ファイナンスを専門にして皮肉にも金融市場の数理モデルにおける流動性の問題などテーマに挙げていたというからなんともというか成る程といったところか。

しかし振り返ってみれば同氏はこれまで大量にカラ売りを誘い現引きも駆使した取組演出から全員参加の派手な相場形成を様々な銘柄でやってのけてきたのが記憶に新しいが、場立ちの連中が消え冷徹な高速売買が市場を席巻する時代にネットを駆使した相場形成で沈黙を破って再登場したのは昔を知る向きにはけっこう衝撃的であった。

場立ち時代に比べ貸借規制も含めはるかにキツくなった背景含めた現代ならではの短期決戦型であったが、やはり最終的にはこんな形で表舞台からまた姿を消す羽目になってしまったのも時代の変化を感じざるを得ない。


こだわりバーガー続々

さて、先週末に所用で青山方面に出掛けた際に、いちょう並木から青山通りに向かって歩いていると神宮外苑まで回り込むほどの物凄い行列に出くわしたが、なるほどその日は米人気ハンバーガー店「シェイク・シャック」の日本一号店の開店日でこんなところに出店したのだなと今更ながら気が付いた。

当欄でも今年の2月に「嗜好の賞味期限」と題しこのシェイク・シャックがニューヨーク証券取引所に上場し公開価格の2倍以上の値をつける人気を集めた様子を書いた事があったが、米の人気ハンバーガーといえば此処に先駆け夏にはオーガニック食材に拘った「ベアバーガー」一号店が開業しており、このシェイクシャックに続いて今度は「カールスジュニア」も年内に日本一号店を開くとの話も思い出した。

此処は前述したように具材へ拘った高級志向を売りにしているが、国内勢も先月にはフレッシュネスが素材に拘ったフラッグシップ店「クラウンハウス」を開業し、モスバーガーも高級ハンバーガーを売りにした「モスクラシック」を今月開業させる。同じハンバーガーでも、圧倒的な店舗数で市場を席巻したマクドナルドが迷走の末に次々と店舗閉鎖を加速させているのとは実に対照的に嗜好の変遷をこれらは物語っている。


連動型が非連動に

さて昨日の日経紙投資情報面では、資本効率に着目した指数であるJPX日経インデックス400を運用成績の目安とする投資信託の資産残高が今年10月末で1年前比3.8倍の1兆1861億円に達するなどその規模が拡大している旨が載っていた。

先行して資金を集めたのは指数連動型商品で最大の野野村アセットのETFは2544億円を運用するというが、野村アセットのETFといえばもう一つ日経平均ダブルインバース・インデックス連動型上場投信の値動きが特に日経平均に連動しにくくなっている旨の記事もあった。

先週には取引所価格が基準価格を6.31%上回った日もあったというが、ETF不足から売り物に乏しく市場価格との差が広がったとの指摘。この辺はコモディティー組成モノでも可也乖離が著しくなるモノもあるが、これらと違いリクイディティーを確保できてもそれが過ぎればまた同様の弊害が出てくるという皮肉な現象となっている。


合従連衡最終章へ

昨日はパリの同時多発テロを受けて日経平均が大幅続落となったが、そんな中でJXホールディングスや東燃ゼネラル、出光興産から昭和シェルまで石油ポストの反発が一際目立っていた。この辺は言わずもがな石油元売り国内首位のJXホールディングスが、同三位の東燃ゼネラル石油と経営統合に向けた交渉に入った旨が各所で報じられた事に起因している。

石油業界再編と言えばもう数年にわたり燻っているが、つい最近では出光興産と昭和シェル石油の夏場から出ていた話が具現化し先週12日には合併基本合意が為されていたばかり。当欄でもこの話で首位のJXに大きく迫ると書いたが、こうした追い上げへの危機感の表れが更なる規模拡大を目指す後押しをしたのは想像に難くない。

一夜明けた本日の市場でも冒頭の主役?二銘柄と併せ日経平均高に紛れて地味ながらコスモエネルギーHDが年初来高値更新してきているが、今後の焦点は同社の動向だろうか?これまで東燃ゼネラルとほぼ互角の売り上げだったが今回の統合で2強体制となる構図からこうした石油業界再編ドミノもいよいよ同社の身の振り方で最終局面に突入してくる。


資源下剋上

先週金曜日の日経紙マーケット面には、プラチナが下げ止まらず2008年12月以来ほぼ7年ぶりの安値まで沈んでいる旨が載っていたが、個別のそんな事情もあって先週末の商品市場全体の値動きを示すロイター・コアコモディティーCRB指数は184.77と2002年12月以来、13年ぶりの安値をつけている。

これまでの安値は夏場に当欄で何度か取り上げた通り12年8ヵ月ぶりの安値となった8月下旬であったが、当時の中国発景気減速に加えて俄かに台頭してきた米の年内利上げ観測で投資資金が更に商品市場から引き上げられたのを背景に今回これを下回る事態となった。

こんな夏場からの背景もあって日経夕刊の「なるほど投資講座」でも資源開発を手掛ける商社は下期も厳しい状況が続くとの指摘が載っていたが、これに絡んでの一寸サプライズな話では伊藤忠商事の2016年3月期純利益見通しがあの三菱商事を抜くという件もあった。資源ビジネスの出遅れで蚊帳の外?視されてきた同社の下剋上は、逆に改めて資源ビジネスのリスクを思い知らされる。


2015年度ネット取引データアンケート調査返答結果

11月11日(水)から11月25日(水)の期間で実施しております「2015年度商品先物ネット取引データアンケート調査」の返答結果を日々こちらにて掲載して行きます。


※アンケート調査のご案内については11日(水)7:00までに全社配信済みです。もし未達の場合はメールにてお問合せ下さい。

【アンケート回答企業一覧(返答順):10社】
岡地、北辰物産、コムテックス、楽天証券、フジトミ、岡藤商事、岡安商事、日産センチュリー証券、サンワード貿易、EVOLUTION JAPAN

【返答のみの企業(返答順):1社】
フジフューチャーズ

【回答なし(返答順):1社】
カネツ商事


天邪鬼

さて、2015年4〜9月期決算発表も漸く一服といった感があるが、総じて今年の上方修正企業は円安・原油安、米国需要好調などが要因となり、一方下方修正企業は中国経済悪化や新興国経済減速など中国が主因といったところだったか。

それはさておき、最近の個別は好決算で上昇、決算悪で下落といった教科書通りの動きばかりでは無くなっている。例えばちょうど一週間前の5日の発表ではサンケン電気が今期経常を一転して赤字に下方修正したものの、翌6日は蓋を開けたら急騰。一方、SUMCOは非開示だった今期経常を10%増益とサプライズ決算一覧にも入っていたものの、蓋を開けたら6日は暴落といった具合だ。

その週は他にも日医工が15年9月中間期売上高が2ケタ増収で着地し16年3月期の見通しも上方修正してきたものの、決算発表直後に株価は急落。薬品ポストでは他にも科研製薬や持田薬も好決算の発表だったものの決算後は売られる展開となっていた。

これら肩透かしの急落となった後講釈では市場予想平均に届かずとか、2Q増収率がプラスでも弱かったとか上方修正が売上高のみといった失望感が売り圧力になったと言い、逆のパターンでは悪材料出尽くしのショートカバーといった意見があったが、今後は次の期待値まで読み切る目利きも必要となるハードルをどうこなすかがポイントとなってくる。


続々組み入れ

昨日の日経紙にはかんぽ生命の全面広告が載っていたが、上場したばかりのこのかんぽ生命含めた郵政3銘柄の一服後の切り返しが進んでいる。この背景には英FTSEが算出する日本株関連指数への同三銘柄組み入れ等がある。

本日もこの中では郵便定額貯金などの限度額拡大観測やJPタワー名古屋竣工も材料に日本郵政の上場来高値更新が目立ったが、FTSEに続いて来週には日本郵政、ゆうちょ銀行の2銘柄が国際分散投資の有力指数であるMSCI(モルガン・スタンレー・キャピタルインデックス)の算出対象に算定される。

更に年末には郵政3社がTOPIX採用も決まっており、それぞれの指数をベンチマークとするパッシブファンド等のリバランスにおいて上記FTSE連動資産は時価総額の約2%程度、MSCI連動資産は同7%、そしてTOPIX連動資産が同10%保有として全体総数では浮動玉の2割程度を保有する計算と見られているが、過去のMSCIモノでは概ね算入日の高値が目に付くケースも多くこれらの用を先回りした提灯動向絡め注意が必要である。


即金屋?

さて、昨日の日経紙夕刊にも載っていたが、医療機関の診療報酬請求権を買い取り「レセプト債」と呼ばれる債券を発行していたファンド3社と運営会社が破綻した問題が表面化しているが、その残高は約227億円に上るといい投資家は今後償還を受けられない可能性があるという。

今回のレセプト債は普通に回す限り詐欺的仕組みでもないのだが、いわば一昔前の兜町界隈に乱立していた即金屋のようなものだろうか。現金受領までのタイムラグを無くすかわりの数%の差額分がいわば金利相当分になるワケで、即金もテッポウ等が絡まない限りトラブルが起きるモノでもなく仕手筋の関係者から果ては外務員まで何かと重宝したものである。

とはいえ、この診療報酬債権が絡んだものではちょっと前にも問題になった米MRインターナショナルのMARS投資なるモノもあった。こちらはもっと大規模に約1800億円を集め今なお宙に浮いているが、その発行体から扱いの規模など多少金融を齧った者ならやはり何か胡散臭さを感じてしまうものなのだが現状この手の事件は後を絶たない。


2015年度 商品先物ネット取引データアンケート調査について

毎年商品先物ネット取引を取り扱う商品先物取引会社を対象に実施している「商品先物ネット取引データアンケート調査」、16回目となる本年2015年度は10月末時点のデータを対象とし、11月11日(水)〜11月25日(水)の2週間で実施いたします。

▼2015年度 商品先物ネット取引データアンケート調査概要

11月11日(水)午前中に10月時点で商品先物ネット取引を行っている取引会社【12社】に対してアンケートのメールをお送りし、集計後12月中旬に全データを公開予定です。

尚、アンケート項目などは以下の通り。


【取引データアンケート調査内容(主要項目)】
※全て一般顧客からの受託を対象としたアンケートとなります。

1. オンライン取引 口座数:口座(2015年10月末現在)
※10月末時点でのオンライン取引総口座数(証拠金の預託されている口座数、否累計口座数)。
2. オンライン取引 実働口座数:口座(2015年10月末時点)
※上記総口座数のうち10月末時点で建玉のある口座数
3. オンライン取引部門 預かり証拠金総額:円(2015年10月末時点)
※10月末時点でのオンライン取引部署預り証拠金総額。
※2013年よりホールセール部分も加味した数値も項目追加。
4. オンライン取引部門 月間売買高:枚(2015年10月度)
※10月度のオンライン取引による月間トータルの売買高
※2013年よりホールセール部分も加味した数値も項目追加。
5. 一日あたり平均注文件数:件(2015年10月度)
※10月度取消し・不成立なども含む一日当たりの平均オーダー件数
6. 一日あたり平均約定件数:件(2015年10月度)
※10月度一日当たりの平均約定件数(取消し・不成立などは除く)
7. 自社オンライン取引サービス内容の確認・修正など
※自社サービス内容について記入、及び追加・修正ください。

当アンケート後に各項目評価ポイント、及び一目瞭然コーナーを修正・更新いたします。

どうぞよろしくお願いいたします。


11月アンケートに併せネット取引評価ポイントテーブルを改定

11月実施ネット取引データアンケートと同時に各社サービス内容アンケートも行いますが、それに併せて「評価ポイントテーブル」を微修正、トータル190ポイント(前回変わらず)にてアンケート後に再集計しランキングを行います。



本年も項目・ポイント改定では、大きな部分での変更はなく

1.取扱銘柄>東京ゴールドスポット100
2.取引環境>ブラウザ

等においてポイント振分を変更しました。詳細につきましては以下項目・ポイントテーブルにてご確認下さい(変更箇所は赤・青文字で表示)。

▼商品先物ネット取引/一目瞭然:評価ポイントテーブル(11/9改定)

当アンケート後に各項目評価ポイント、及び一目瞭然コーナーを修正・更新いたします。

どうぞよろしくお願いいたします。


帳尻合わせなるか?

週明け本日の日経平均は4日大幅続伸となったが、郵政三社上場後も引けで約2か月半ぶりの高値まで盛り返すなど衰えをみせない地合になってきていることもあって、週末の日経紙マーケット面でも夏場の相場波乱で運用成績が悪化した海外ヘッジファンドが反転攻勢の機会をうかがっている旨が書いてあった。

とはいえ上記の通り7〜9月期の運用総額は約2兆9000億ドルと4〜6月期に比べ3%の落ち込みを見せ、その減少幅はあのリーマン・ショック直後の2008年10〜12月期以来の大きさとなっている。また全体の運用利回りも9月まで4カ月連続でマイナスを計上、年間でマイナスになれば4年ぶりという水準。

そんなワケで米国最大の年金基金カルパースなどヘッジファンドでの資金運用を縮小する旨を表明し、これまで数千億円規模の運用をしていた向きが続々と閉鎖や生産準備に入る動きもここ進んでいる。一方で同紙では急速な持ち高の結果手元現金の高さから最後の仕掛けに動こうとしている向きの指摘もありこれらの動向から意外値が出る可能性もありやはり今年は最後まで気の抜けない展開が続きそうだ。