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しまじろう

いまだに紙面を賑せているニュースには、先週報道された教育大手ベネッセHDの約760万件の顧客情報が漏洩したとの件がある。流出元もそれを買って自社の営業に使っていたところも共に上場企業であっただけに翌日の株価はベネッセが急落、後者のジャストシステムに至ってはストップ安まで売られる場面もあった。

さてこのジャストシステム社は、名簿業者の「文献社」から名簿を買ったという。その「文献社」は別の名簿業者「パン・ワールド」から名簿を買ったという。そしてこの「パン・ワールド」もこれまた別の名簿業者から買ったと言い、詳しい入手経路はわからないという。

まさにマネーロンダリング?のように彼方此方経由させた「出どころ不明の名簿」を装う小細工の跡が垣間見れるが、少子化が進むなかこの層は宝の山に映り犯罪の食指も刺激されるのだろう。これらデータ流用の類ではつい最近も電子機器大手オムロンがJR東日本4駅で撮影した乗降客の映像を、JR東日本に無断で別の研究所に流用していたことが発覚している。

しかしこのJRもスイカのデータをマーケティング目的とやらで日立に提供して批判が上がった時期もあったなと。データ活用名目で個人情報が知らぬところで独り歩きしている事でやはりビッグデータは怖いとの感が世間に伝播してしまうようなことがあれば、それこそこれから表舞台へ立とうとしているビッグデータ活用への影響が諸々懸念される。


恐怖指数あれこれ

さて本日の日経平均は4日続落となったが、値幅調整という感には乏しい。先週末の日経紙には「世界株に広がる過信」として、低金利で運用難の世界の投資マネーがより高い利回りを求めて株式等へ流れ込み金融マーケットに楽観論が広がっている旨が取り上げてあった。この辺を物語るのに(米VIX指数)が挙げられ、直近では米住宅バブル末期の2007年2月以来ほぼ7年ぶりの低い水準に下がった旨も書いてあった。

見出しの「世界株に広がる過信」の通り、上記の日経紙が挙げた米VIX指数のみならず、例えば欧州ではVIXに当たる(VSTOXX指数)も足元では2006年12月以来の低水準となっている。当欄でも先週取り上げたばかりであったが、なるほどこれらの楽観ムードからタイトルで「年初来安値」とした通りこれらに連動するETFやETNなど軒並みショートの対象になっている。

さしずめ日本で欧米のこれら同様物差しにされるのは(日経VI)というところで、こちらも足元では2011年2月以来の水準となっている。ただ本邦の場合は週明けの売買代金は04/22以来の1兆4000億円台にとどまるなど市場参加者の減少がいわれるなかで、TOPIX系への傾斜を割り引く必要があることからやはり周りに支えられている感が否めずこのリスクを内包しているという事は頭の片隅に置いておいた方がよさそうだ。


伝播

以前にも書いたことがあるが、また最近はある特定の事件の連鎖が顕著になっている。日々社会面を賑わせている脱法ハーブの類を使用した疑いの危険運転等がそれで、ほぼ連日のように各所で事故が起きて都度取り上げられている。

手軽に手に入ってしまう点では薬局で普通に売っていた咳止め一つとっても昔は愛好家?にもてはやされた時期があったが、今では神経にガツンと響く成分は姿を消しインヘラーや睡眠薬の類も一昔前に流通していたものでもそれ系で多用されたモノには姿を消していったものも多い。

とはいえ現状でケミカル系からナチュラル系まで販売名目はどうにでもなることから、正直今の法整備の速度からしてなかなか厄介だろう。手を変え品を変え近いうちに今の脱法ドラッグの類も化石扱いされるのも想像に難くはないが、これまた法が後追いするいたちごっこが継続されるか。


ダチアをご存じですか?

さて、本日の日経紙で目に留まったのは「ルーマニア車 国境超え走る」として、かつてルーマニアの国営企業だった「ダチア」の自動車が低価格を武器に、親会社となっているルノーグループの全体の半数に近づくまでに販売台数を伸ばして、同グループの業績を支えるまでに成長している旨が載っていた。

あまり東欧に明るくない向きはダチアと聞いてもピンとこないだろうが、この会社は大衆車のカテゴリーでは不動の地位を築いている。この車、なんといっても安いうえに酷使しても長年にわたってなかなか壊れないという経済性と耐久性に優れ、さしずめホンダのスーパーカブのような存在と言ったら分かり易いか。

今やインドのタタなども低価格車を出しているが、ダチアはCMや販売店など見ても他社のセダン同様に洗練されていてネットでも簡単に購入できる。人件費が低く部品を最大限に共通化しているのが秘訣というがボンネットを開けると目に飛び込んでくるのは日本企業の電装品の数々、こういったところにもまた投資のヒントが隠されているかもしれない。


今年の七夕

さて、本日はご存知七夕。しばらく前から百貨店や小洒落たビルのエントランス等ではカラフルな短冊と立派な笹がディスプレイされ関係者の浴衣姿も風物詩になりつつあるが、夢を託す子供の姿よりも心なしか働き盛り世代が一心不乱にこれら短冊へ切実な思いを書き込み真剣な表情で笹に結んでいる姿を多く目にした。

ところでこんな神頼みといえば、昨年末は新年を祝う門松やしめ飾り等の正月飾りの販売が前年比で二桁台の好調だった旨の記事が記憶にある。また初詣も然りで、今年の人出は上位の明治神宮で3万人増、成田山新勝寺で同5万人増、川崎大師で同2万人増などなど軒並み前年より増えていたという。

しかし、正月飾りの類は神頼みの思いということで景気が悪いときによく売れる傾向があるのが普通。昨今アベノミクス効果やベアなど景気のいい話ばかりが紙面をにぎわせていたが、こうした神頼み的な光景増加を見るに背景には意外に一般の先行きに対する不透明感というか、景況感が謳われているほどそう楽観的でない事を感じているのではないかとも思う。


発掘余地

さて、シリーズで日経紙にはニッポンの株主2014として連載があったが、昨日のそれは「個性豊か、運用改革競う」としてGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)が日本株の運用委託先を見直し、新しく選ばれた中には外資系運用会社も登場するなどして市場の関心を集めている旨が書かれていた。

これら外資系は各々個性のある運用会社が多く、当然ながらこれまで投資してきた保有銘柄にも自ずと関心が向かう。これらのなかにはオーソドックスな大型優等生タイプも含まれるものの中小型株もリサーチを繰り返し独自に光るものには積極的に投資しており、日経平均に左右されずここ上昇してきている物にはこんな中小型株が多い。

そんな環境で年初来高値更新銘柄も連日増えてきているが、そういった面子を並べてもこうしたものが多く、万年割安だったものの水準訂正がここ顕著である。中小型系はスポットライトがあたらないと割安感も無視されとことん放置されるがタイミングが合えば短期で抜群のパフォーマンスを見せる。

循環が利いてある程度水準訂正が進むと順次手も出し辛くなってくるが、二番手三番手でまだ手垢の付いていない物は水準訂正のある前にそっと拾っておくのもまた妙味があろうか。


年初来安値

本日の日経平均は欧米株高などを映して寄付前後は好スタートとなるも、あと上げ幅を徐々に削って小幅に3日続伸となった。騰落レシオ等を睨みながら利食いが断続的に出ているものの下値には年金とみられる買いが控え深押しも無い微妙な立ち位置となっているが、先週の日経紙には「秋の波乱 備える個人」として本格的な波乱相場に備える個人投資家の動きが載っていた。

ここでは日経平均VIが200円以上急落した当日に17.3と、前日に付けた3年ぶりの低水準から6%上昇し、水面下では「NEXT NOTES日経平均VI」の物色など波乱に備える動きも書いてあったが、このETNは本日年初来安値を更新している。

他にこういった心理系では国際のVIX短期のETF等もあるが、これもまた本日は年初来安値更新となっている。その性格上絵に描いたような長期ダウントレンドとなっているが、波乱に備えてのヘッジとして有効なのかどうか。短期で掬うにはオプションもまた選択肢として浮上すると思うが、一頃に比べボリュームに厚みが出てきた点は一応注目か。


LNGデリバティブ

さて、先週末の日経紙夕刊には「LNGデリバティブ 日本の市場創設支援」として、世界最大の先物取引所運営会社CMEグループが、日本政府から支援要請を受け日本のLNG(液化天然ガス)のデリバティブ市場創設を支援する旨の記事があった。

LNG市場創設に関してはこれまで何度か触れてきたが、この辺に関しては昨年末に東京商品取引所がCMEグループと業務提携の交渉に入った件を書いている。同グループ会長は日経平均先物上場の際にアドバイザーを務めた方というが、はて今回は東商取に創設ということなのだろうか?

直近で同所ではエネルギー商品を売買するOTC市場を開設しているが、取引商品には石油とこのLNGが名を連ねている。先ずは現物を軌道に乗せ次に先物上場に繋げる戦略なのだろうが、4月にも当欄で一度書いた通り先の金融調査会では総合取引所の創設が適わぬ際には議員立法等までを視野に入れている旨も仄めかされており時間的なものと併せこの辺も気になるところ。


今度は食品?

さて、週末に入ってきた報にチョコレートの「ゴディバ」が、日本企業との国内販売契約を2015年3月で終了するという件があった。これまで販売元の食品関連商社に委ねていたものを、日本法人に切替えて全店直営にして売り場の統一を図るという。

しかし、近年は長年日本企業と蜜月の関係を築いてきた欧州ブランドのライセンス打ち切りがけっこう目立ってきた感がある。今回はチョコレートであったが、直近では先月に「バーバリー」が三陽商会と結んでいたライセンス契約を来年6月で終了すると正式発表、業界では前々から噂になっていたものの当の株価の方はサプライズな反応で暴落したのが記憶に新しい。

更に遡れば「マーク・ジェイコブス」とルック、「ラルフ・ローレン」とオンワード、「アディダス」とデサント、「クリスチャン・ディオール」とカネボウ、その他諸々といった具合にいろいろ挙げられるが、当然ながらライセンスブランドへの依存度が高かった企業ほど大きな打撃であった。

もっとも、金と時間が限られるなかで著名ブランドを企画販売出来る旨みは選択肢として1から育成してゆくより魅力的に映るのもまた事実。一方ブランド本体の旨みは「損失限定・利益無限大?」となにやらオプション取引のようだがそういった色が強い。何れにせよネットの影響もあってローカライズそのものを見直す気運というところなのだろうが、今後もこの辺含めいろいろ話題を提供してくれそうだ。


株主総会模様

さて、近年では株主総会の分散化が随分と進んではいるものの明日あたりが株主総会のピークで、株主総会決議通知など順次発送されているというところだろうか。ところで、いま世界中を釘づけにしているワールドカップではレッドカードが切られるシーンも目にするが、今年の株主総会も各社でけっこう退場者が出ている旨が見出しで何気に目立つ。

本日の日経紙で機内インターネットサービスの全面広告を出していたJALが日本武道館で行った株主総会では2名が強制退場、またこのJALと同日株主総会を開催したドコモの総会では質問打ち切りに不満をぶつけた株主が退場させられ、ソニーの株主総会でもヤジる株主に退場勧告が出た模様である。

斯様に退場者といっても今や普通の?一般株主である。一昔前のように社員株主で最前列をがちがちに固めたり、総会専用に選任されたような脇役員がデキレースで纏めるシャンシャン総会のようなイメージでなく他一般株主に同意を求めるようなマイルドな光景から時代の流れを感じる。

個人株主といえばお土産を楽しみに出向いている向きも多く、今年はこの土産廃止した企業の総会出席者数が3割から7割も減った企業もあったというからなんとも顕著だ。またアクティビスト復活とも言われているがこれまで意外?にもそういたファンド勢は静観の構え、ただ先日書いたようにスチュワードシップ・コード導入もあり今後その辺がどう意識されてくるかこの辺が注目である。


成長期待を買う

本日の株式市場はこのところの過熱感を警戒し反落となったが、そんななかで昨日マザーズ市場に鳴り物入りで上場したネット広告配信枠取引プラットフォーム等を提供するフリークアウトが、上場2日目となる本日に2,000円の公開価格から実に3.5倍となる7,000円で漸く初値が付いた。

その過熱ぶりに現金即日徴収や自己、成り行き注文等の規制措置が打ち出されるまでになっていたが、サイバーダイン同様に依然として成長期待の高いビジネスモデルに対する関心が高い物の人気は旺盛なようだ。

このIPOに絡んではちょうど本日の日経紙に「新規上場7年ぶり高水準」として、今年はこれまで26社と前年同期から3割増えるなどその復調ぶりが鮮明になってきている旨も書いてあったが、後半戦に再上場となるすかいらーくやリクルートHD、そして最大の話題株であるLINE等を控え個人マネーの動向がますます注目される。


インセンティブ多様化

週明けの日経紙には「新型の株式報酬」として、自社の株価が一定水準を満たす場合のみ新株予約権を全て行使できるようにした三井物産や、株式をあらかじめ決められた株数でなく事前に設定した金額に換算し交付する仕組みを採用したADワークスなどの例が出ていた。

この手の報酬といえば今年の1〜5月にストックオプションの付与を決めた企業は前年同期比で24%増の178社となり、1〜5月としてはリーマン・ショック前の2008年以来、6年ぶりの高水準になったとも週末の同紙には書いてあったが、ここ数年で随分と身近になってきた感が強い。

そんな一例で従前は役員向けのイメージが強かったが、近年では役員はもとより正社員でないバイトまでもストックオプションの権利を配る範囲を広げている例もあり、この辺もまた企業のカラーが出ていて面白いというものだ。

ストックオプションの報酬を巡っては今年の初めにこれを使って得た2年分の所得を隠し、所得税法違反の罪に問われたクレディスイス証券の元部長に対し東京高裁で無罪判決が出たのが記憶に新しいが、役員報酬としての株式譲渡の場合交付金額を事前に確定させておくと企業側が税務当局から費用として認めてもらえる利点もあるとの一文もあったが今後ますます多様化が進みそうだ。