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廃れゆく定番

さて、昨日の日経紙経済面には「相次ぐ新ファンド」として2012年の1年間で投信が246本増えて、投信のファンド本数が今年2月には初めて4,000本を突破した旨が載っていた。全体の運用残高がそれほど増えないのにこの手の新ファンドが相次いだ結果、1本あたりの運用残高は昨年末で5年前に比べてほぼ半減したという。

この中で短期志向の個人投資家も多く、投信がなかなか長期マネーの受け皿として定着しないとの一文もあったが、自らの短期志向はともかく長年投信といえば回転売買が定番の営業スタイルに君臨していたのは否めないところ。これに加え、仕切り・不抜けが一人前にこなせて初めて前線の仲間入りが許されるというものだった。

一頃のそんなスタイルもさすがに廃れてきたが、直近では金融庁の新指針においてこの回転売買は市場発展になじまないと明記されこの指針に基づき金融機関の商品・販売体制を点検するとしている。今ではコードナンバーと共に、もう上記のような言葉も知らない新人も多くなったと思うが、NISA開始も後押しとなり漸く長期視点に真剣に取り組む片鱗が見えてきたといったところか。


野菜環境

漸くというか夜にかけて秋を感じさせる風も吹くようになってきたが、今年は全国各地を襲った猛暑やら日照不足やらの影響で、中央卸売市場の先月の野菜の平均卸値が前年同期比で20%前後高くなっている模様だ。店頭で見てもたいして程度の良くない品がけっこういい値札で売られているのもやや恒常化してきている。

今年の場合、上記の通りで天候が高騰の原因となっているがもう一つ、ビニールハウスの加温や資材に必要な燃料等も円安や原油高の影響で費用が上昇しているという問題も指摘されている。数年前の冷夏の時もこの複合的な問題が浮上したことがあったが、今後こうした点はますます顕著化する気配も。

スーパーなど逆手に取って値引きセールの光景も見られこんな時こそやはりデリバティブの出番で商機ありとも思うが、一昔前の野菜先物なんぞ今は無くそれを上場させていた東穀取も解散の憂き目に遭っている。取引所もまだ再考の余地ありだがマーケットを考慮するに損保会社等含め新商品の開発余地もあろうか。


楽園の賞味期限

今週の日経紙一面には「Tax ウォーズ」として、激しさを増している国や企業の税をめぐる攻防の様が連載されている。本日は企業の二重課税問題など取り上げていたが、やはり業界的にこれら絡みで思い浮かぶのは昨日マネーの楽園として挙げていたヘッジファンドとその拠点のタックスヘイブンだろうか。

良質な筋はいうまでもないが、英領ケイマンなどこれまで金融事件となった舞台では頻繁にその名が登場する。なんといってもそれこそタックヘイブンで登録も容易に済ますことが出来る簡素さだからこれを利用しない手はない。ちょっとスキルのあるアレンジャーなどは最盛期にはこうした手続きまで代行?しその分のコミッションもほぼ言い値で掠め取っていたものだ。

今や監督局も改革が動き出し、米国のFATCA法も次期適用になるなど最近はいろいろと変更点も出てきたが、これまでキレイなカネから上記のような黒いカネまで魑魅魍魎の資金を誘致してきた地は今なお楽園にかわりはないといったところか。


ファイナンス評価

本日の日経平均はカバーの動きもあって反発、久し振りにノンバンク株など賑わっており、久し振りといえば不動産系のケネディクス等も急反発となっていたが、同社は先週末に4年ぶりの公募とオーバーアロットメントなどでのトータルで発行済株式数の16%程度のファイナンスを発表している。

これまでの例からファイナンスモノは急落パターンと思われたものの、先に新株発行に係る発行登録を決議したこともあり蓋を開けてみれば織込み相場だった模様だ。しかし急反発のこれは極端な例としても、最近では理論上の希薄化率よりも実際の株価が上回って推移するケースがけっこう目立つようになってきた。

先月の例で幾つか挙げてもオリンパス然り、戻りの度合いでみればで大和ハウスもこのパターンに入る。その前の電通は素直に叩かれたがこれは従前の駆け込み増資ラッシュ時にみられたように手元資金をそこそこ有している分その有効活用に疑問符が付いたパターンだろうか。

背景には空売り規制導入も効いているようであるが、上記の通り過去の資金有効活用への不評価から漸くというか成長戦略への評価が少し出始めたといったところか。


9/2より「注文の有効期限」指定を変更

ドットコモディティは、2013年9月2日(月)より、取引ツールFormulaにおける国内商品先物での注文の有効期限を、従来の「最長5営業日先(一部画面にて10営業日先)から期日」を指定する方法から、「セッション・当日・週末・月末・GTC」
の5パターンから選択する方式に変更へ。

▼取引ツール Formula の注文画面の変更について (PDF)


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質との両立

今週は身内を迎えに成田空港まで行ってきたが、滑走路を眺めていると昔よく使ったエアラインの懐かしい機体が目に留まる。そんななかでもちょっと前まで見たことがなかった特異なカラーの機体も目に飛び込んできたが、これら所謂LCCの類である。

近年台頭めざましいLCCだが、日本では拠点となる空港がこの成田含めて2箇所しかなくこうした空港成約等が壁になり、また最近では合弁で複数のLCCを手掛けるANAが経営を巡る路線の対立からこのうちアジア最大のLCCであるエアアジアの合弁事業を解消するなどまだまだ根付いているとはいえないものがある。

上記の合弁解消はサービスという部分において両者が歩み寄れなかった部分が大きかったのだが、確かにサービス面で日本は他と一線を画すものがある。今では搭乗手続き等はセルフサービスでカウンター脇に何台も設置してある機械でさっさと済ませる事が出来るが、これとて常に案内の女性が常駐し最後まで自ら機械に触れず終いで済ます事が出来るのは日本くらいだろう。

そんな一方で最近では羽田空港跡地など国家戦略特区構想が浮上した経緯があったが、同空港の発着枠見直しとか国を挙げての議論のなかでこのLCCの位置付けも徐々に明確になってくるだろうか。


新興勢も模索

昨日の各紙報道では、2005年創業の私設電子取引所運営のBATSグローバル・マーケッツが同業の1998年設立のダイレクト・エッジと合併するとの件があった。これまでの米国株での市場シェアは両社共に約10%強なものの、合併の暁には20%強に高まり、長らく米国株で2位の座にあったナスダックを抜く見通しという。

そういえばナスダックといえば先の上海事件に続きちょうど1週間前には同市場の全上場銘柄が約3時間のも間取引停止に陥った一件があった。株価データを送るシステムの障害ということであったが、他の会員の誤発注も然りで近年の超高速化に伴い副産物?の不具合も増加という構図になっている。

これらの障害と付き合い大手どころも国益の壁こそあるもののしのぎを削りつつ統合模索の展開が近年続いているが未公開の新興勢も事情は同じ、最先端の取引システムや安い手数料で既存勢力を切り崩す構図も次第に鮮明になってきたといったところか。


ガラスの華

さて、昨日はワールドウォッチフェアについて触れたが、この催しのほんの少し前にはすぐ下のフロアで「ガラスの華 アールヌーヴォーからアールデコの世界 ガレ・ドーム・ラリック展」が開催されていた。今年のは三者が一堂に展観ということでこれも作品の確認に行ってきたがここ数年で出ていなかった珍しい品もありなかなか楽しめた。

このガレといえば思い出したのが日経紙の一番最後の頁にある文化面に先月これについて触れてあったことか。「ガレ作品下絵でたどる」と題した北澤美術主席学芸員の記事であったが、名門としのぎを削りコピー商品に悩まされながら次々と独創的な作品を世に送り出す様や、憶測が下絵の記述で改めて真実が明らかになった点等々興味深い文章であった。

アール・ヌーヴォーの一時期、活動していた期間はそう長くはなかったものの現代でもガラス器においては他の一流といわれるブランドとは今でもその扱われ方が違うこのブランド、昨日記のブランド構築の重要性があらためて感じられる。


ブランド構築の重要性

ちょうど今の時期は毎年恒例で大手百貨店ではワールドウォッチフェアを開催しているが、週末は例年通りというかちょっとこれを覗いてきた。ブースの入れ替わりはあるものの今年は雑誌でしか見たこともない新しいモデルも幾つか投入され昨年とはまた違う光景という感じであった。

今年のトークショーでは「何故今MEDE IN JAPANなのか」と題し、セイコーのなかなか見る機会の無い歴代モデル等も並べられたりしていたが、それを横目に当のブースの状況は欧州勢の集客とは対照的に国産勢の閑散が目立っていた。

この光景で思い出したのが、数週間前の日経紙社説か。「世界に羽ばたくブランドを増やそう」と題して冒頭に時計の話が出ていたが、同市場の金額シェアはこの足元の日本でも国産勢の23%に対してスイス勢は66%と、技術で勝る日本勢の影は薄くやはりスイス勢が圧倒的な地位を確立している旨が書いてあったが、この辺を如実に表す光景である。

この辺は時計に限ったものでもなく自動車あたりもそうした範疇に入るだろうが、技術力こそ他の追随を許さない素晴らしいものではあるが所謂世界ブランドの構築が日本勢の場合未だに課題でこの辺がなかなか確立出来ない。欧米勢がそれらどう構築していったのか、もう一度原点に帰って再考の余地があるのはいうまでもない。


システムの影響力

さて、お盆休みが終われば取引参加者も市場に復帰し商いも増えるだろうかという淡い期待に反し、概ね今週も株式市場は薄商いの日々が続いている。というワケで依然先物が主導する展開が続いているが、先週末の株式市場ではランチタイムの225先物が急速に下げ幅を縮小する場面があった。

これは上海総合指数が一時約6%の急騰となったことに反応したものであるが、報道されているようにこれは光大証券なる会員が引き起こした誤発注によるもの。当然売買再開後には同社はストップ安となっているが、つい最近にもジェイコム株誤発注事件で東京高裁の判決を不服とし最高裁に上告したみずほ証券を彷彿させるような出来事である。

しかし一会員の誤発注とはいえ時価総額がトップの企業群が軒並みストップ高まで値を付けてしまうあたりもまた凄い。もともと個人比率が日本の倍くらいある新興市場のようなマーケットとはいえこうした点含めてA株市場の特異な構造をあらためて感じる。

ともあれ報道では人為的な操作ミスは見当たらなかったとしているが、この事件後に同社は更に国債でも誤発注を起こしておりやはりシステム管理の問題が浮き彫りにされた格好。システムトラブルは何処でも起こり得る問題ながら今や一会員が国際市場をも動かす影響力がありこの辺は対岸の火事というわけにはいかないだろう。


何方付かず

昨日はコメ先物について触れたが、コモディティー絡みでは引続き本日の日経紙「迫真」にてCMEグループと東京商品取引所の話が載っていた。このシステム更新に関しては今月の上旬にもJPX絡めて触れた事があったが、これらを巡っての各所の思惑が交錯している模様である。

報道された単純な時系列で見ると、CMEの最高経営責任者と東商取社長とのトップ会談が為されたのちにJPXが具体的な仮条件金額の提案をしたような感触だが、国の方向性が掴みきれないだけに東商取側も思惑が交錯し未だ天秤が続いているような感触である。

斯様に未だに総合取引所構想をどう構築してゆくのか明確な枠が定まらないが、海外とてこの辺は同じで本邦の青写真が今ひとつ読めないというのが正直なところだろう。CMEとてアジア事業の強化を掲げているだけに本邦も天秤にかけている一方でマーケットのアジア含めた国際競争力への影響も考慮すべきだろうか。