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東証大証統合

いつも通り株式のコードを叩けば本日は何処も彼処も主市場が東証表示となり先週までとは違った光景が展開しているが、周知の通り本日から東京証券取引所と大阪証券取引所が現物市場を統合し、東証の上場企業数は計3,423社とこれまでの世界7位から3位に浮上することになった。

一部懸念されたシステムトラブルもなく上記の通りこれで大証はその現物株取引の134年の歴史に幕を下ろすことになったが、近年経費削減で重複上場を廃止する企業が目立っていたのをみるにきれいな一本化となりこうした部分は朗報だろう。この辺は企業に限った事ではなくこのシステム統合で年約85億円の経費が削減出来る計算になるというが、これを売買システム進化に注ぎ取引所間競争を有利にしたい意向という。

一方で新興企業にとっては1部・2部へ昇格する為の条件など違うままであったり、またこの辺は上場廃止基準など取っても同様で、従前のマザーズとジャクダックではそのハードルにやや違いが出てくるということになるがこの辺は影響が出てくるのかどうか一寸未知数か。

しかし、北浜銘柄の中には優等生に交じって1部も2部も独特の抜群の仕手性を持った銘柄があり上げでも下げでも取らせてくれた思い出深いモノがいくつもあった。東証統合でそんな毒っぽさ?も抜けてしまうのかどうかだが、兎も角次のステップとしてはいよいよ来年のデリバティブ統合がありこれに向けて着々といったところだろう。


コミュニティー・パワー色々

今週はなんといっても連日の猛暑となっているが、この影響で東電始めとした8つの電力会社の管内電力需要は連日の最高更新となっている模様。ところで電力といえば発電ビジネス等に参入する「コミュニティー・パワー」に関する動きがこのところ彼方此方で散見される。

事業資金のうち何割かを、期間5年で目標利回りを1〜2%という市民ファンドで募集したところなどは応募が殺到したというが、そういえば4月には山形のクラゲで有名な水族館が「クラゲドリーム債」なるミニ公募債を募集したところ、募集開始からわずか20分で3億円分が完売となった旨の報道も思い出した。

ところで債券ついでの余談になるが、基金運用の為に為替相場に連動した仕組み債を購入した関西の某市は、その後の相場外れでリスク説明不十分とした訴訟を起こすほど評価損があったものの昨今のアベノミクス効果でこれが解消、訴訟も取り下げたというがこちらは何ともご都合主義な感は否めない。

それはともかく話は戻るが、地元企業や地元市民、自治体のそれぞれの思いが受け皿となるこうしたコミュニティー・パワーの台頭等が、結果として地方経済停滞を打破する切欠になるのならこの手の創造は非常に意義のあるものではないか。


アジア最多

本日の日経平均は、前場の100円以上高い場面から後場は一転200円近くまで下げる場面があって引けは小反落となっていたが、週明けなどは急反落で安値引け、昨日9日は急反発で一転しての高値引けなど依然として先物が市場を振り回している格好である。

こんな乱高下の展開が続き売買代金の減少もいわれているが、そんな中において指数連動型のETFの1〜6月の売買代金は約10兆円と前年同期比の4.3倍に上るなどこちらは売買が急増している。既にアジアでは最多になった旨の報道がされているが、この売買増加を牽引しているのがレバレッジ型やインバース型という点がなかなか面白い。

さてETFといえば既に欧米では桁違いな商いが築かれているが、米の量的金融緩和の縮小観測を背景にした個人投資家等の売却で先月は過去最大の120億ドル弱の資金がETFから流出したという。こちらはいわずもがなコモディティも株式同様に発達しており金など既に大きな影響力を持っているが、本日の日経紙の東証社長インタビューではETF上場を増やし海外機関投資家資金を取り込みたいとしている。

出ては消えとならぬようリクイディティ確保など課題はあろうが、NISAと絡めてのマーケティングも彼方此方言われだしておりコスト論より先ずは普及で今後の進展度合いを注視しておきたい。


補完から表舞台へ

本日の日経紙商品面には「東商取の先物商品 夜間取引が最高に」として先週末の夜間取引が16万1,245枚となり、2009年5月の夜間取引開始以来の最高になった旨の記事が載っていた。売買高は6月の1日平均の3.7倍に達したというが、取引時間中の5日夜に発表された米雇用統計を受けてFXと共に金などの取引も膨らんだ模様。

2年ほど前に、「〜ETNのように取引形態の多様化と併せ、金融取引のグローバル化はジワジワと個人レベルまで浸透しつつある現れか。ところで夜間取引といえば一足先に昨年からスタートしているTOCOMの夜間取引はどんな状況になっているのだろうか?」とコメントしたことがあったが環境変化と共に伸びたというところか。

さて夜間といえば株式等も「PTS取引」が活況である。先にも書いた通り今年の1〜3月の売買代金は7兆円を超えて四半期で過去最高を更新、もう一つ金融取引所の「くりっく株365」も数年前から夜間は活況と聞く。活況とはいえ銘柄によっては板の薄いモノなどはさすがにまだ値が飛んだりもするが、先にも書いたPTS取引の刻み値などはこちらが一歩国際標準化しており、これら含めもはやサブ市場等という一昔前のイメージではなくなっているのはいうまでもない。


環境改善

先週はサントリー食品上場があり、前回ではこの事にも触れたが本日の日経平均の中盤からの急変にもこんな新規モノは然程動じずに比較的しっかり推移であった。オイシックスなんぞもこの類に入るがこれらに見られるように新規上場銘柄が盛り返し、上場1年以内の銘柄の値動きを示すIPOインデックスが先週4日には約1ヶ月ぶりの水準まで上昇した旨が先週末の日経紙にも載っていた。

上記のサントリー食品迄で初値が公開価格を上回るのは実に25社連続であるが、なんといっても初値が公開価格の数倍化が続出するというパフォーマンスの貢献は大きい。今月モノだけ並べてみても11日のぺプチドリームが約3.16倍、13日の横田製作所は約2.36倍、26日のリプロセルに至っては約5.56倍と破竹の勢いである。

5月のあの13年ぶりの暴落以降も不安定な下落で個人投資家が傷んだ云々の記事をよく見かけるが、ある程度腕に覚えのある向きは殆ど傷んでいないのが実情と思う。たとえ暴落相場になっても腕力の大商いでほぼ確実に取らせてくれる仕手系は循環でコンスタントに出て来ているし、IPOのプラチナチケットは上記の通り益々輝きを見せているワケで、買い玉のヤラレ分など可也の部分がカバーできてしまう相場が今の環境ではないか。


いわば折衷案

さて今週のビッグイベントといえば昨日のサントリー食品の上場であっただろうか。注目の初値は公開価格3,100円を20円上回る3,120円と大人しいスタートとなり、本日もそこそこしっかりであったがいずれにせよ時価総額は1兆円に迫り、この規模は以前の大塚HDを彷彿させる今年最大の大型上場となった。

ところでサントリーといえば思い出すのが4年前のキリンとの経営統合案か。強モノ同士の経営統合で当時は大手4社体制が崩れコカ・コーラを抜く大手誕生かと騒がれたものだが、結局両者の思惑違いが重なり破談になってしまった経緯があった。メジャーを睨んでの大型統合話がマルになってしまったケースであったがあれから数年、非公開路線のイメージを破っての上場である。

とはいえ今回の上場は実によく考えたもので、本家のサントリーHDはやはりというか非上場のままこの上場後のサントリー食品の株式はなお約6割握り、同族ならではの自由度は確保という構図か。しかし先の株主総会でもコーポレートガバナンスの重要性が謳われていた折、この辺絡めた市場からの目というか新しい株主と今後どう付き合ってゆくのか暫し注目である。


89年の歴史に幕

所用で銀座に出掛けた際にちょうど前を通って気付いたのだが松坂屋が閉店していた。この松坂屋銀座店、周知の通り複合商業施設に建て替えを行う為に先月いっぱいで89年の歴史に一旦幕を下ろすことになった訳だが、閉店セール期間の4-6月売上高は昨年度売上高の8割を稼ぎ出す盛況ぶりだった模様だ。

銀座という好立地に加えて世間はアベノミクス効果で消費が刺激されている折、タイミングが良かったというのもあるが、日経MJではその企画力を謳う記事もいつだったか目にしたことがある。それは兎も角も今後近隣の大手は、此処に入っていたブランド誘致に乗り出すなど顧客の取り込みに躍起になるのは想像に難くないか。

三年ほど前には、「フォーエバーー21、そしてうふふガールズ、はてはラオックスまで導入するなどルビコン川を渡ってしまった」とこの百貨店を書いたことがあったが、一先ずこういった感じになった。しかし人気があったキッチンスギモトなんぞはどうなるのだろう?この近所では京橋方面に歩くこと数分、あのホテル西洋銀座が閉館後のガランとした佇まいを見せているが、また一つこの界隈にガランとした風景が現れることになる。


継続提言

本日の日経平均は約1ヶ月ぶりに14,000円台を回復したが、全般高のなかで久し振りに一寸跳ねたり商い回復してきたものに木徳神糧やヤマタネなどのコメ関連物も散見された。TPPの交渉を巡り、加工用米等の関税に関しては思惑が一部出ているが折に触れまたこれら関連が動意付く場面もあるかもしれない。

さてコメといえば、コメ試験上場検討特別委員会が先に大阪堂島商品取引所に対して試験上場期間の延長などの形で取引継続を求める報告書を発表していたが、この報告書を受けて同取引所は農水省に取引継続の申請を今月中にも申請するという。

一方で市場参加者の方だが、コメ卸で作る全国米国販売事業協同組合が取引参加の意向を示し、コメ卸の最大手の神明は先月からこの大阪堂島商品取引所のコメ先物にヘッジ売りの用などで参入している。東穀の解散により何とも歪な形で移管された同商品だが、最大手の参入で先ずは裾野の広がりを見せるかどうか一寸注視しておきたい。


中国版サブプライム

日曜日の日経紙一面には、「影の銀行、高利回り理財商品」として、中国の高利回り理財商品の2013年3月末の残高が約130兆円に達していることが明らかにされた旨が載っていたが、なにぶん中国のディスクロだけに外資の格付け機関が弾いた数値等では実情は更に大きなものとの試算も出ている。

この理財商品なるもの、銀行の通常の預金・融資とは別ルートで資金を集めるシャドーバンキング(所謂影の銀行)の代表的存在であるが、新聞等で挙がった各種試算では建設コストでみた中国住宅市場の価値はGDPの300〜400%、中央政府を除いた借入額の対GDP比は昨年210%、数年前は150%前後であったことを考えれば可也膨張しており何れも警戒水準を超過しているのは明白。

官製金融がのさばり市場金利が浸透しないなかで拡大してきたバブルの芽を象徴するような構図になってきたが、過去日本のバブル崩壊、そして米国のサブプライムと世界経済を震撼させてき前例があるだけにそれら踏まえた当局の舵取り、そして過剰な信用創造がどういったランディングになるのか興味深いところ。


株主総会変遷

さて、本日は3月期決算企業の株主総会のピークで全国で多くの企業が一斉に開催のはこびとなった。昨今時代の流れと共に異質な総会活動も影を潜めてきているのも背景に近年分散化も進んできており、フットワークの軽い向きは彼方此方に参加する機会も可也増えてきたようだ。

そんな訳で出席者が過去最多となった企業も幾つかあったが、今年はガバナンスをめぐる株主意識の高まりで社外取締役制度の導入の動きなど顕著、一方でタイミング悪く直近でひと騒動起こしたところや、アベノミクス効果もカンフル剤にならず株価低迷が継続しているところはなかなか厳しい指摘が飛んでいた模様。

議決権行使も先月あたりまで各社からいろいろと通知が届いていたが、ちなみに野村の調査ではこれを行使するとした個人の割合は昨年より5%上昇の44%となったという。斯様に上記の通り黒い総会活動からファンド系の台頭、そして彼らの衰退から近年個人の台頭が目立つようになったがこの一頃鳴りを潜めていたファンド系も徐々に復活しつつある。

一昔前の最前列近辺を社員株主で固めたり、社長ならぬ脇役員が淡々と纏めるシャンシャン総会などある意味この時期の風物詩だったものだが、株主総会も時世其の時々のカラーが色濃く出て面白い。何れにせよ今週月曜日に書いた長期投資家誘致も株主との対話がキーになってくるだけに総会も益々重要性が増してこようか。


アジアの暑い夏

今日は医師をしている友人の奥様がバースデーということで、そのお祝いの前に皆で韓国料理なんぞで腹ごなししたのだが料理を待っている間にコリアンタウン含めいろいろとこの国に因んだ話が出た。韓国といえばこのところ、昨日も一寸触れたFRB議長の量的緩和縮小への言及から債券市場等が混乱している。

マーケットの混乱といえば、週明けの上海総合指数も5.3%安となり約4年ぶりの安値を記録したが、韓国の金融マーケットには既に大量のチャイナマネーが流入しており、中国がいよいよヤバイという事になればレパトリの動きも相俟ってこれら外国マネーも我先に流出という事態になれば世界的にも影響が出てこよう。

上海総合指数同様に韓国総合指数も弱含み連日の年初来安値を更新しているが、KTB証券やSK証券等は従来の予想値を相次いで下方修正したものの、早くもこの一部予想下限をも割り込む事態となっている。そういえば日本との間で結んだ通貨スワップ期限の一部はいよいよ来月早々にも到来するが、この辺も含めて何かと今年は暑い夏になりそうだ。


輸出国健在

さて、先週のFOMC後の会見でFRB議長が量的緩和縮小に言及、具体的見通しが嫌気され今年最大の下げ幅を記録した株式相場と共に急落しているのが周知の通り金相場。昨晩も力なく反落し、この3日間でざっと100ドルの下落を演じている。

まあ下落は別に直近で始まったワケではなく、年初から見れば随分と値位置も変わってきたものだが、こんな状況下でも依然変わっていないなと思ったのは金の輸出傾向で、この間つまり今年1月から4月の金輸出入量は実に約56トンの輸出超過になっている。

ちょうど一週間前の火曜日の当欄では「粛々と積み増し」として、新興国を中心とした世界の中央銀行の金買い意欲が依然として衰えていない旨を書いたが、本邦勢はこれらとは対照的に依然我が道をゆくといったところか。2年ほど前に金は歴史的に国力のある国に動くと書いたが、さて今後どういった構図になりますか。