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日進月歩

米株式市場が休場のなかで、本日は指数こそ気迷いで小甘かったものの商品市況の上昇期待から商社や資源関連などはなおこの高値圏で更に一段高となっていた。ところで資源といえばこのところまたレアメタル関係の記事が目に付く。

先々週にはクラレと福井大学が水に溶けたレアメタルを短時間に大量に回収できる不織布を開発したという記事を目にしたが、先週には日本化薬がレアメタルそのものを使わない新型の太陽電池に使う独自の新色素を開発したとの報道もなされていた。前者はこれによって海水や工場廃液などからレアメタルを効率的に回収できる事業を出来ると期待、後者はこれによってレアメタル調達リスクから解放されコストも安定するという。

思えばちょうど一年くらい前の当欄でも、芝浦工大などが鉱山廃液中のレアメタルを微生物を使って効率よく回収する技術を開発した旨や、森下仁丹のレアメタル回収バイオカプセル特許の件などを取り上げたが、レアメタル不使用と共に上記の通り回収技術も日進月歩で進んでいる。そのうち広くは海水等からも貴金属回収が期待出来、都市鉱山の範囲も技術革新と共にグンと広がってこようか。


中京ガソリン新規注文停止、東工指数取扱廃止へ

エイチ・エス・フューチャーズは、2月24日夜間立会より東京工業品取引所 中京石油市場 ガソリンの新規建玉注文を停止へ。

▼一部取扱商品に係る新規注文停止のお知らせ(PDF)


ここ最近の東京工業品取引所・中京石油市場・ガソリンの取引につきましては、流動性が低下傾向にあることから、相場状況によっては値段が大幅に変動して約定する危険性があります。お客様の資産を守るために、当分の間新規注文の停止をさせていただく措置を講じさせていただくことといたしました。

または平成24年3月15日をもって東京工業品取引所「日経・東工取商品指数(限月取引)」の取扱いを廃止へ。

▼日経・東工取商品指数(限月取引)の取扱い廃止について(PDF)


さて、東京工業品取引所は平成24年2月29日をもって「日経・東工取商品指数(限日取引)」を上場廃止いたします。
弊社は、今般、下記のとおり東京工業品取引所「日経・東工取商品指数(限月取引)」の取扱いを廃止することといたしました。「日経・東工取商品指数(限月取引)」につきましては市場での流動性が著しく低下し、値段が大幅に変動して約定する危険性がありましたことから、平成 23 年 8 月 1 日より新規建玉注文の停止をしております。その後、同市場の動向を注視してまいりましたが、今後も流動性の回復が見込めないとの判断に
至りました。
弊社といたしましては、「日経・東工取指数(限月取引)」の取扱いを廃止させていただくことといたしました。何卒ご理解を賜りますよう、お願い申し上げます。

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今年のFoodfaddism

本日の日経紙「春秋」には、トマトブーム?到来との話が出ていたが、確かにここ最近はトマトに関する報道がやたらと目に付くようになった。これは周知の通り今月10日に京都大学研究グループが「トマトに脂肪燃焼効果がある」との研究結果を発表したことでこれ以降、店頭ではトマトの売れ行きが急激に伸びトマトジュースの品薄感も強まっていることによるもの。

なるほど確かに先週あたりからスーパー等ではトマト物の特設コーナーがにわかに登場していたり、棚からこの手の品物が品薄になっている光景を目にしたが、実際トマトジュースの受注は出荷が追いつかないほどで一部製品は販売一時休止、先週末の日経紙商品面にもトマトの卸価格が高止まりしている旨が載っていたがこの辺も少なからず影響しているのだろう。

しかし数年に一度こんなフードファディズムの買い漁りが起きるがこんなのも最近で言うところのステマ効果?なのか。まあこの手は今に始まった事ではなくここ数年ザッと並べてみても、寒天、ヨーグルト、ココア、それにこの前の事例では納豆というのもあったがそういえばこの納豆の時は株式市場でも旭松食品や篠崎屋といった納豆関連銘柄が急騰したものだが、今回のトマトでもカゴメなど先週は年初来高値を更新してきている。

前にも書いたが対象商品でも株式でもその国民性が非常に操られ易いという土壌も奏功しての商機なワケで、この手の現象は今後も創造されてゆくのは想像に難くない。


デフレ慣れ

さて、今週は金融緩和策が好感され株式市場も漸く一頃の資金が戻ってきたかにも感じるが、やはり金融緩和期待で真っ先に物色されたのは金融、不動産、ノンバンクといったところが目立った。

さてこんなところから、風が吹けば桶屋が・・ではないが斯様に金融緩和歓迎で株式活況ともなると富裕層消費の追い風になるとの読みとして、今週の日経紙マーケット面のチャート&データでは競売大手の米サザビーズなど高額消費株が反発している旨が出ていた。先に世界最大の高級ブランドグループ、モエ・ヘネシー・ルイ・ヴィトンが出した決算も過去最高を記録してはいたが、ここから更なる追い風ということになるか。

ところで上記の日経紙マーケット面チャート&データではこの高額消費銘柄と共に節約銘柄も載っていたが、海外では高額消費銘柄が節約銘柄よりはるかに上昇率が高いのに対し日本では依然としてデフレ銘柄の上昇率が高額消費銘柄よりも高くなっている。なるほどファーストリテイリングも昨日には年初来高値を更新していたし、トリドールも先週年初来高値を取ったばかりである。

依然としてデフレ銘柄は有望と見る向きが多いのはすっかりデフレに飼いならされてしまっているからなのか、この辺はこれだけ日本株式が最後尾で出遅れていても一寸上がってくるとすかさず空売りを浴びる傾向等からもそれが窺える。上記のファーストリテイリングも恒常的に逆日歩を発生させており、この辺も上げの原動力になっている構図というのもまた面白いところだ。


半官半民の処理法

さて、ここ大手紙の紙面を飾っているのは東京電力の公的管理に向けた最終攻防の件か。周知の通り1兆円の公的資金を資本注入する前提として、国が三分の二以上の議決権を得る事を視野に東電の経営権を掌握する是非が議論されているが、この辺を巡っては各所賛否両論が喧しい。

目下のところ経団連会長の「国有化はとんでもない勘違い」としているのに対し、経産相は経産相で「ならば経団連でカネを集めろ」と火花を散らし応酬、同友会代表などは「経産相の言い分も分かる」とやや政府側擁護の発言だが、最終的には期間を区切ってとの選択も已む無しとの声もある。

しかし、この東電もある意味こんな状況に及んでとんだ魔女狩りに使われてしまった感もある。確かに既得権益の絡んだ天下りのいうまでもなく悪しき巣窟企業だが、国が太鼓判を押した施設で事故が起こりそもそもこれまでの認可の経緯を考慮すれば、全てを既に経営破たんしている企業に押し付けるのは上記の経団連会長が言う「とんでもない勘違い」というのもあながち間違いといえなくもない。

株価の方も政府をバックにした支援の出方を巡って思惑で一喜一憂しているがこの手ではある部分エルピーダも然り、流動性相場が戻りつつあるマーケットでは暫くこれらをエサにオモチャにされそうな気配である。


バレンタインのアノマリー

本日は毎年恒例の「バレンタインデー」、今年も昨年に続いて平日であったがこの日が来ると何故か連想するのが春一番、まあ今年は立春を過ぎても寒さ厳しく下手すれば「ホワイトデー」あたりにズレ込みそうな気配で何時になるやらという感じだが、観測しなかった年を除けばほぼ一年おきのサイクルで当っているから面白いものだ。

さてチョコレートのほうは、今年も老舗百貨店など日本初登場となるロンドンの「ココマヤ」など投入したりで各社趣向を凝らしており、サブのジェラート系も買い物疲れで一服するレディのツボを刺激するブランドが近年増えてきたなとつくづく。傾向として昨年までは自分への褒美という色彩が強かったようだが、今年は昨年の世相を表す漢字「絆」などから身近な人向けの需要が多いとも聞く。

そうそう、春一番ではないがアノマリーといえばもう一つ、昨年も書いたがバレンタインデーには日経平均が上昇するというのがある。ちなみに昨年も上昇し約9ヵ月半ぶりとなる高値水準で取引を終了、そして本日もお約束の上昇を見せ、これまた昨年9/1以来5ヵ月半ぶりの高値で引けている。

アノマリー狂など、本日の引けは必ず高くなるとの信念で前場のマイナス圏はすべて買いだと冗談なのか本気なのか先物を漁っていたが、まあ結果オーライという感じか。一時の甘さを味わえただろうが、さて来年もまたアノマリーは健在だろうか。


使える商品

先週末の海外相場はメタル等全般弱かったものの、本日のTOCOMは金が小甘く緩む一方で、白金はしっかりで推移していた。さて、この白金といえば先週末の日経紙商品面には「白金、3ヶ月ぶり高値」として白金の国際価格が南アのストで騰勢を強めている旨が載っていた。また、最後の方には金と白金が昨年から一頃200ドル強の価格差となっていたものが、上記の通りここ最近の白金の上昇で現状70ドル程度まで縮まっている旨も書かれていた。

PGM系は昔からストラドルなどでよく多用されたものだが、トリプルAの急減やら何やら想定外が頻繁に起こるようになった昨今、アノマリーに期待を抱いての安易なエントリーで股裂きの憂き目に遭った向きも多いのではないかとも思うが、やはり基本的に主要株式指標を良く見ている向きはこのストラドルでも低リスクでそこそこおいしく利を収めているのが見受けられる。

先月も半ば頃の日経紙に「商品、強まる株価連動」と出ていたが、商品先物以外でも米株が12,000ドルの大台に乗って揉み合いのなか尚年初来安値を這い蹲っていたプラチナ系ETF等は国内で然程活況となっていないのが奏功?して暫くは美味しい拾い場を提供してくれていたものだし、例えば主力の自動車株の急激な戻り局面でも金法の売りを睨んでショートで臨む向きも居たと思うが、こんな時でもヘッジでこうしたETF系を使えば思惑違いの担がれ場面でも怪我が少なくて済むというもの。

金融商品の性格が濃くなってきて既に数年のコモディティーでは斯様に取引の多様化もあり格段に使える場面が多くなってきている。もう一つ、プラチナといえば主要非鉄金属を上場している上海先物取引所で、プラチナ先物の年内の取り扱い開始に向けて調査を進めている件も報じられておりこちらの方も併せて注目しておきたいところ。


東穀取の茶番と株主不満

さて、今週業界モノで報道が目立ったところではやはり迷走を極める東京穀物商品取引所の件だろうか?先月あたりから解散を含めた報道が目立つようになったが、もうここ数年散々茶番を見せられてきた側にしてみれば然程驚きもなく、寧ろ同所を取り巻く環境を鑑みれば自然な流れと見る向きは多い。

東穀取といえば毎月8日はコメ先物市場の日ということで、昨日の日経紙には「東京穀物商品取引所はコメ先物市場を通じて、日本の農業を支えていきます。」などと仰々しい広告が出ていたが、その数ページ後の商品欄には「コメ先物 浮上せず」、「東穀取、存続問題に」というタイトルで上場後半年のコメ先物の不振が書かれていた。なんとも絶妙なタイミングで載せてきたものだが、この二つを見た投機家ははてどう感じるだろうか?

昨年秋口には「週間ダイヤモンド」にて東穀取の社長が上場後早々に萎んできたコメ先物市場の言い訳として「〜10月になって限月が6本揃ってからが本番と考えて欲しい〜」としていたが、年も明けた本日の日中取引の出来高はちなみにたったの169枚であった。上場時に目標としていたのは5,000枚というが、今時粉飾企業でもこんな大風呂敷を広げるのは躊躇われるだろうし兎に角すごい感覚である。

ともあれその去就には「あらゆる選択肢を排除しない」としているものの、この日経紙記事の直ぐ下には、東工取と東穀取との間では「まったく接触ない」とも書いてある。この辺はご存知東工取は「日本取引所」にブラ下がるデリバティブ系に統合する路線で歩んでいるが、こんな記事を目にするとイヤでも関西商取が消去法で出てくるワケでこの期に及んでまだ?と呆れる感は増すばかり。皆に期待された大型商品であったが、天下り陣の既得権益の具にされていたとしたらそれこそかわいそうな商品、今後も同所の去就が厳しく注目されることになろう。


覆面介入

本日の日経平均は反発し終値としては昨年10/28以来約3ヶ月ぶりに9,000円台を回復していたが、この辺はやはり本日の円の下落も大きく寄与していた感も。ところで円といえば昨日財務省が詳細を発表した件に2011年10-12月の為替介入があり、「覆面介入」も11月1〜4日の合計で計1兆195億円行っていた事が明らかにされている。

この覆面介入を実施するのは2004年3月以来約7年半ぶりといい、政府関係者は介入効果をより高める為に意図的に覆面介入を行ったとしているが、その後の米財務省半期為替報告書ではユーロ・ドルより円・ドルのボラが低い状況は無秩序と言えず米は斯様な状況下での介入は支持しないと日本の為替介入が厳しく批判されている。

先月には31年ぶりの貿易赤字というのが大ニュースとして報じられていたが、今年も貿易黒字に戻るのは困難で多分来年は今年ほど大きく取り上げられるニュースにはならない筈、一部輸出企業の納税も絡んで選択の余地が無い決断かどうかだが自国通貨売りは云わば諸刃の剣、国と国民の兼ね合いでも介入正当化の均衡点も考えたほうがよいだろうが今の政府にそれは難しいか。


材料内包

先週は周知の通り東証のシステムトラブルがあったが、今週は週明けからSMBC日興証券がシステム障害を起こした。同社から顧客の銀行口座への支払いや顧客から同社への振込みが出来なくなり、投信や外貨建て債券の一部取引で売買注文を取り次げていなかった模様という。

なんともヤレヤレといった感だが、ところで同社が先に発表した連結決算は欧州債務危機や円高の影響で投信販売等が不調となった事もあり純営業収益が前年同期日0.3%減の1,638億円、最終利益は同62%減の91億円の減収減益、これも含めて出揃った大手証券5社は2011年4-12月期は3社が連結赤字となっていた。

そんな中でも野村は7-9期が黒転したとかで株価も久し振りに300円大台回復してきたが、欧州債務危機については引続き予断を許さない状況として昨年公表のコスト削減策を来年9月末までに完了させる方針を示している。同社を巡ってはこの欧州債務危機に絡んで想定超のサプライズがあるとかで実しやかな噂が絶えないが、この辺は国債の絡みもあってその内容は様々。

システムトラブルも困った問題だが、金融系はメガバンクから証券までいろいろな問題を内包しておりまだまだ今後も株価共々目が離せない。


商品と土壌

週末の米雇用統計が好感されての海外株高を受け週明けの日経平均は反発、今週は心理的なフシ目にすぎないものの9,000円の大台に期待する市場関係者も多い。今日は輸出・金融が活況であったが、コア系の盛り上がりで普段はおとなしいETFもジワジワと盛り上がってきている。

ところでこのETF、先週の日経紙夕刊のなるほど投資講座にも「基礎からわかるETF」として商品特性などの説明もなど出ていたが、週初の末尾には「〜市場全体として売買の厚みが乏しい点が課題です。1日の株式売買代金に対するETFの割合は1%程度で、約2割ある米国とは大きな開きがあります。」と書かれていた。

胴元の東証も、海外で取引が活発なレバレッジ型・インバース型指標への連動を目的とするETFの上場を可能にし、市場活性化を通じた国際競争力の維持・向上を図るということでETFの法整備を進めると先に発表しているが、前になかなか根付かないのはこの辺はやはり手数料面という問題から販売側の都合にも起因するというのをコメントした事があったと思う。

他、上場後の個別を暫く見て思うのはアービトラージ機能だろうか?この辺のコミュニティに厚みが出てこないうちは乖離修正も緩慢としたものになり、ある意味ビジネスチャンスに成り得るものも放置されているという矛盾した商品になってしまう。商品はもとよりこうした土壌の部分にも左右されるということも胴元側としては把握しておいたほうがよいだろう。


胡坐と信頼

さて本日の日経紙一面を飾っていたのは「ソニー平井社長兼CEO体制に」という見出しでこのソニー始め、日本の電機大手が再生に向けた構造転換に踏み切る旨の記事。その下にはシャープの想定を超える大赤字の記事も出ておりこれら含め本日の寄付が気になったものの、周知の通り寄り前から東証アローヘッドの相場情報配信システムのサーバーに不具合が生じ、上記銘柄含めた東証上場241にも上る銘柄が売買停止の事態に陥る不始末があった。

ちなみに東証と同じ株式売買システムを使用している札幌証取も当然ながら売買停止。これによって日経平均株価算出はこれら売買停止銘柄の前日終値を指数計算に採用としているが、算出ルールに基づく処置とはいえ現物のトラッキングエラーから先物との裁定もヤレヤレという感じだっただろう。ましてや本日はソニーの決算発表の日、普段はマザーでない大証など同社株の商いは閑古鳥だがこの日は異様?な大商いを見せていた。後場から売買再開とはいえとんだケチがついた格好でソニーなど売買再開早々に大証高値比で一時急落する場面もあった。

そういえば昨日は東証の記者会見で、社長がオリンパスの上場維持とした判断の件で「間違った判断だとか、意外だったとの声はあまり聞こえてこない」などと言っていたようだが、こんな茶番を言っている間に数百億円も注ぎ込んだ自慢の高速取引とやらを少しは危惧したほうがいいだろう。引け後の市況解説にはシステムトラブルの影響は殆ど無かったとしているところが多かったが、主力銘柄の決算たけなわな重要な時期に通常通り売買出来なかったのは由々しき事態、外人投資家が漸く戻り始めた折こんな不祥事をあまり甘く見ないほうがよいだろう。