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相違点

昨晩の米株式は良好な経済指標や企業業績を受けて買われ12,500ドル台へと続伸、これは昨年7月末以来約半年ぶりの高値である。またこの辺は欧州株式も同じ歩調となっており、特にDAXなどは順調に値を伸ばしている。

昨年はトリプルAに君臨した米国債格下げショックがあったものの、米国株は昨年年間で約5.5%の上昇と3年連続でプラス、DAXも昨年のボトムを見れば約20%高と悲壮感は感じられない。欧州危機後、ユーロ諸国間の金利差拡大によってドイツなど実質金利はマイナスとなりドイツの内需とインフレ率の押し上げが言われている。マイナス金利といえば米も同様で、どうやらこれらが両者の株に寄与した格好にもなっているか。

ところでトリプルAの格下げといえばかつて上げの起点になっており、1986年のオーストラリア等は典型であったが、その後の1998年の日本も然程影響されずにその後は上げ相場に移行していった。これら踏まえて昨年騒ぎの最中そういった論調はあったのだが果たして株式、ドル、そして米国債揃って一寸したトリプル高となった。

そんな中で現況日本株は出遅れがいわれて久しいが、この辺は上記の通りマイナス金利と実質高金利との違いも大きいだろう。この辺はいわずもがなデフレ選好の日銀政策が方向転換しない限り解決し辛い問題といってもよいだろうか。


政府の押し付け

さて、本日の株式市場は後場から先物も主導し続伸。中身はこのところ低位株が活況だが本日は東電も1億株以上の商いを集めて反発、これは4月から実施する企業向け電気料金の引上げ幅を平均17%と発表、正常化に向けた第一歩として評価されたものだが、この方針も32年ぶりの大幅値上げとなるらしい。

日経紙には他電力と契約もというような記事が出ていたが、この他社にしても構造上はゆくゆくこれに絡んだ件は課題になってくるだろうし、併せて家庭向けも視野に入ってくるのは避けられない問題となってくるか。ところで原発事故で東電と共に売られた原発銘柄の木村化工機もここ急反発してきているが、同じく日経紙には原発を20年延長する例外規定を政府が認める方針と出ていた。

原発というナーバスな素材を巡って、震災後は企業がある面ではスケープゴートにされてきた部分もあったが、ここへきてヒストリカルにみてみると上記の件も果たして二転三転してきている。企業に押し付けられるうちはまだよいが結局政府の確固たるスタンスが見えてこないところこそ問題にすべきだろう。


内輪の課題

本日の日経紙始め各紙では、総合取引所法案を通常国会に提出する方針を固めた旨が載っている。果たしてというか監督権限は金融庁に一本化、商品業界主務省の抵抗もそろそろ限界が見えてきた感もあるがさてここからも紆余曲折があるかどうか。

ところでその商品業界といえば先週末の日経紙にて「東工取、現行システム継続」と出ていた。昨年11月にも一寸触れた通り東工取は2014年5月にライセンスが切れるが、同紙が報じている通り現況では大証との共同化を見送り現状を維持する方針としている。統合の光が見える一方で、両者のシステム案が見えず下手に何れかとの共同戦線を取り辛いという状況下では確かに選択肢も限られようというもの。

同所は先の決算で通期純利益を叩き出しているが、中身はやはりJCCHの貢献に因るところが大きいのは一目瞭然。斯様に脆弱ともいえる構図では何れにせよコストの負担は大きくこの辺とも併せて考えなくてはいけなく、まだまだ個別では模索が続く。


経産省に翻弄される企業

さて、先週末の日経紙一面を飾った記事に、インサイダー取引疑惑で元経済産業省幹部が逮捕された一件が載っていた。この手の疑惑については当欄でも「情報は一流であったが妻の口座を使う等、張り方が三流もいいところでまだまだ素人〜」と書いた事があったが、規模が小さいわりに公職の特権悪用とされているだけ世間の風当たりが強い。

そのインサイダー銘柄となったエルピーダメモリだが、現在再建中の同社は今年3月末まで計450億円の社債償還、金融機関には約500億円の融資返済が必要な他、4月上旬にはメガバンクなどからの協調融資の一部約770億円の返済期日も迫っている。まるでイタリア国債の如くの爆弾を抱えている状況で、産活法適用の期限切れを3月末に控え再建計画の練り直しで産活法の再認定を狙っているが、こんな一件で再認定を主導し辛い雰囲気など出て再建支援に影響が出てくるような事態になればこれは迷惑な話である。

経済産業省が絡む企業といえば渦中の東電なんぞもまた然り、目下のところ再建計画も課題山積みのまま山場を迎えるがそんな中でもこのスキームを巡っては各紙の報道もバラバラのリーク合戦である。これは結局のところ政争の具にされているということで、政府が一枚岩になっていないことの表れというのは疑う余地が無い。

両者共にもはやコンサバ系の投資対象銘柄ではないものの、果たして株価の方は上記を嫌気する格好でボロボロの様相。政府が一枚岩で纏まり、また雑魚クラスのスケープゴートもなければまた株価も違った展開になっていたのかもだが、こんな愚に付き合わされる株主もまた可哀想である。


1/19より「デイトレード証拠金コース」提供開始

エイチ・エス・フューチャーズは、「浪漫飛行」において、2012年1月19日(木)17時より通常証拠金の半額の証拠金で取引を行うことが出来る「デイトレード証拠金コース」の提供開始予定。

▼デイトレード証拠金コースの新設について


新設されるデイトレード証拠金コースは、お取引がデイトレードに限定されるものの、お取引に必要な証拠金額が通常の半額となります。

そのため、デイトレードを中心に取引されるお客様にとっては、有効にご資金を活用いただけるコースとなっています。

◆取引可能な銘柄
東京金(標準)・東京白金(標準)・東京金(ミニ)・東京白金(ミニ)東京ガソリン・東京ゴムの計6銘柄(6番限・5番限のみ)の取扱を予定しております。

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歌会始

本日の株式市場は3営業日ぶりに反落となったが、依然として狭いレンジでの動きが継続している。そんな中で今週派手に乱高下の動きが目立っていたものに橋梁系がある。日本橋梁の連日の急騰始めとして東京製綱も急騰、これらもともと大発会以降出来高が急増しており放り上げの準備が進んでいた感じだが、上手い具合に首都高速道路の大規模補修構想がこれと前後して伝えられるなどお約束のように材料出現となった。

さて、この手の物色でもう一つ連想されるのはやはり新年の皇室行事「歌会始の儀」で、ちなみに今年のお題は「岸」。上記銘柄以外にも五洋建設やそのまま岸が付く川岸工なども突飛高したりで、上記銘柄含めて岸から連想されるものが循環物色されていたような感もあるが今年の場合復興需要も期待されている折、相乗効果抜群といったところか。

この歌会始もなかなかの神通力で数十年前の大和ハウスの暴騰あたりから始まった模様だがちなみにその時は「家」。その他もまだ証券界が元気だった頃のウォーターフロント大相場のときは「水」であり、「車」なら01番で日産自動車、かつてのビクターが大天井をつけた時もお題は「音」であり、近いところで昨年は「葉」でJTが年間で20%上昇と日経紙まちかどでも載せていた。

これらこじつけと言ってしまえばそれまでだが、情緒などまったく無い高速取引等が横行する今の市場、せめて「十二支」やこうした「お題」などが材料になる風情だけはいつまでも残っていて欲しいところ。


金を取り巻く関係者

昨晩の金は大幅高し年初来高値更新の動きでTOCOMもしっかり。さて金といえば、昨日触れた年明けの日経紙「経営者40人に聞く」景気・株価2012年私の見方とした特集が載ったのとちょうど同じ日にテレビでは、「ガイアの夜明け新春特別版・ゴールドラッシュの真相を追う」の放映もあった。

マクロをタラタラと語って時間を潰すよりもそこそこ俗っぽい映像も織り込んでなかなか面白かったが、以前から行われていることも今更ながら金ブームと煽って映像にするとリアリティーあるものへ仕上がるものだ。登場人物としてはお馴染みジム・ロジャーズ氏など銀座のTANAKAでこれ見よがしに金工芸品を大人買いしていた映像があったが、一方で氏はこの番組が放映された日に金相場については、「調整の時期に来ており、1オンス1,200〜1,300ドルまで下落する可能性がある」とロイターに語っている。

しかしこうしたメジャー系の一方で、この金ブームならでこそ表舞台に出てこられるような向きも中には登場していたが、脛に傷持つ輩は後々やはり問題視される可能性が高いだろう。


今年の経営者予想

毎年恒例で年の始めには日経紙にて「経営者40人に聞く」景気・株価2012年私の見方とした特集が組まれているが、昨年同様に今年もこれに触れてみたい。去年は一昨年の各氏のハズシ具合を暇つぶしがてらザッと挙げてみたが、昨年は東日本大震災含め未曾有の事態が次々に起こったということもあり例年同様にこの辺を検証することに意味も無いので今年は割愛。

さて、今年の総括としては昨年を踏まえ突飛な見方が出るわけでもなく日経平均高値予想平均が昨年比1,825円安、そして安値予想は昨年比1,525円安とそれぞれ切り下がっている。個別の有望銘柄については毎年常連の信越化学工業始め、今年有望銘柄1位になったコマツやトヨタなど昨年は逆にカラ売り銘柄としてなかなかのパフォーマンスを上げてくれた銘柄となったが、今年もちょっと上がったところはどんどんカラ売りしたいと思う銘柄がある一方で、本当に上がりそうなものが3銘柄ほどあるなというのが個人的な意見。

ところで昨年の末尾は「まあ、多分来年もまた国内大手証券会社の社長連中は、必ず年初安に年末高の予想を挙げてくるはずなのでもしそうだったら笑って欲しい。」と纏めたが、果たして営業政策上今年も大和・日興共にお約束の年初安・年末高の予想コメント。他にコンサバ系の企業社長もこれに右へ倣えといった予想だが、来年もまた連中の判で押したような相場観が載るのは想像に難くないか。


辰巳天井

皆様、新年あけましておめでとうございます。

本日は周知の通り株式・商品共に大発会であったが、ここ数年の傾向を踏襲し共に総じて堅調なスタートを切った。東証など大納会では日経平均が29年ぶりの安値に沈んだものの、「なでしこ効果」があったのかどうか本日は今迄重かったコア系も動き33業種全てが上昇、3週間ぶりに8,500円台を回復して引けた。今年は「壬辰」、「辰巳天井」といわれ、戦後5回の辰年の騰落率平均は29%の上昇と十二支の中でも戦後トップの上昇率を誇る。

とはいえ、こんな時勢下で昨年も「卯跳ねる」とはならなかっただけに神通力効果にも今ひとつ委ねきれない雰囲気でもあるが、今年は上記の通りコア系の動き如何では凪のような展開からボラタイルな展開へ移行出来るような感じがする。

また、ちょうど一年前の当欄では元旦付け日経紙「年間予定」の1番始めに商品先物取引法施行が載っており不招請勧誘含め総合的政策で商品業界はどういった展開になるのかとしたが、今年は取引所政策と並行し各々新たな方向性も出て来るか。また末尾には「〜今年もM&AやMBO等で商機ありという流れが個別で続くか」としたが、果たして昨年はこうした動きが急増となった。今年も引続きMBOにTOB、それに親子上場関係もキーになってくるか。

本年もどうぞ宜しくお願い申し上げます。


1/4付でスマホ対応版(最適化)「D-touch」提供開始

北辰物産は、2012年1月4日よりスマートフォン対応トレードツール「D-touch」提供開始(サイト最適化)。対応機種は、iPhone、Android対応。

▼スマートフォン対応ツール(D-touch)リリースのお知らせ



D-touchの特徴・機能

1)UI(User Interface:操作性)を追求したホーム画面
各メニューをアイコン化することでタッチ操作を最適化!スマートフォンで快適な操作性を実現しました。

2)リアルタイムで自動更新される相場情報
相場表・気配値・チャート(分足・Tick)はリアルタイムで自動更新!スポットレートもご覧いただけますので、外出時にもPC版取引ツールと同レベルの相場情報をリアルでお届けいたします。

3)My相場表利用することでもっと快適に
My相場表で普段取引する銘柄のみを表示!それぞれの銘柄をタップするだけで、詳細な相場情報や新規注文画面へ遷移します。

4)特殊注文設定で相場を見れない時にも安心
外出時など相場情報を頻繁に見ることができないとき、リスクを限定して建玉管理・注文をしたい場合などに、特殊注文(Dip ・Duo)を利用すると便利です。

5)ニュースは時事通信社からのリアルタイム配信
D-touchで配信されるニュースは、時事通信社からのリアルタイム配信!24時間いつでも気になるニュースをチェックできます。

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業界の地を想う

何時だったか当欄で以前、「銀座は変遷著しく経済を肌で感じ易い街である。」と書いたことがあったがこんなマクロでなく、商品業界を如実に表していたのが日本橋の蛎殻町界隈か?商品取引所トップは言わずもがなTOCOMであるが、業界のロケーションとしてはやはり蛎殻町にあった東穀取周辺が中心地だろうか。

同取引所を取り囲むようにして上場組から地場まで多くの取引員がこの地に長年拠を構えていたものだが、直ぐ隣にあったカネツ商事は移転し今や更地を経て真新しいビルがテナントを募集中、取引所真ん前にあった明治物産は受託業務廃止から減資措置を経て事務所が無くなり、ココも現在は更地になってしまった。そして隣にあった同じくアサヒトラストは岡安商事へ事業譲渡。また今は無きフジチューが入っていたビルもいまだテナントが入らずに寂しい佇まいを晒し、志半ばで撤退していったSBIFの跡には歯科医院が入居、歯科医院といえばオンラインがあったところの小林洋行2号館も最近になって歯科医院に変わっている。

斯様に周辺取引員がポツリポツリと撤退し、その中心に位置していた東穀取は一部取引員と共にポツンと残された格好になっていたが、今年はとうとう自社ビル本館を三菱地所に売却し6月中旬から緑色の屋上が徐々に取り壊され、今は更地を経て「ザ・パークハウス日本橋蛎殻町」の建設真っ最中、ちなみにココでチマチマ育てていたミツバチは頼み込んで近所の高層マンションのアネックスに引越しとなった。これで視覚的にはとうとう本丸も無くなってしまったわけで、周辺の跡地含めてこの地区一帯の風景が一気に変わるのを想像するに一寸寂しい思いになる。

さてこうした風景の変遷と共に業界も新時代の幕開けになるかどうか、この辺を来年も引続き注視してゆきたい。

皆様、本年もご愛読ありがとうございました。
どうぞ良いお年をお迎えください。


再編への布石

さて本日の日経紙マーケット潮流・底流には「世界的再編には逆らえず」としてLMEの身売り検討の件が出ていた。この件については一度9月に当欄で触れているが、世界の商品デリバティブ取引所がCMEとICEに二分される中をLMEとしての独自性をこのまま維持出来るかどうかこの辺について書かれていた。

デリバティブの世界もそうだが、取引所といえば今年はLSE(ロンドン証取)と加TMXグループ合併が株主から承認を得られず、またSGX(シンガポール取引所)によるASX(豪州証券取引所)買収提案も豪州側の国益を損ねるとの一声で最終決定が拒否になった経緯がある。とは言っても元々FIRB(外国投資審査委員会)は近年受け付け案件の殆どを承認しており、やはりこの手はけっこうナーバスな問題であると再認識。

もう一つ、直近で揺れているのは米NYSEユーロネクストとドイツ取引所の合併案か。先週には米司法省がドイツ側保有の米電子取引所持ち株を全て売ることが条件と発表、欧州側も欧州委員会が独禁法絡みの審査で長引いておりこちらも妥協の繰り返しで合併メリットが薄れているとの声も聞こえる。

金融界では近年高まっている規制強化の動きに併せて再編機運が促進されることはあっても褪せることは無いと思うが、こうしてみると世界的にそうした機運が高まっているのとは裏腹に国が絡む上にその規模も背景を考えるにその辺の企業のM&Aといったようなわけにはいかず、均衡点到達まで国益をかけた腹の探り合いが続くといえるか。