再編への布石
さて本日の日経紙マーケット潮流・底流には「世界的再編には逆らえず」としてLMEの身売り検討の件が出ていた。この件については一度9月に当欄で触れているが、世界の商品デリバティブ取引所がCMEとICEに二分される中をLMEとしての独自性をこのまま維持出来るかどうかこの辺について書かれていた。
デリバティブの世界もそうだが、取引所といえば今年はLSE(ロンドン証取)と加TMXグループ合併が株主から承認を得られず、またSGX(シンガポール取引所)によるASX(豪州証券取引所)買収提案も豪州側の国益を損ねるとの一声で最終決定が拒否になった経緯がある。とは言っても元々FIRB(外国投資審査委員会)は近年受け付け案件の殆どを承認しており、やはりこの手はけっこうナーバスな問題であると再認識。
もう一つ、直近で揺れているのは米NYSEユーロネクストとドイツ取引所の合併案か。先週には米司法省がドイツ側保有の米電子取引所持ち株を全て売ることが条件と発表、欧州側も欧州委員会が独禁法絡みの審査で長引いておりこちらも妥協の繰り返しで合併メリットが薄れているとの声も聞こえる。
金融界では近年高まっている規制強化の動きに併せて再編機運が促進されることはあっても褪せることは無いと思うが、こうしてみると世界的にそうした機運が高まっているのとは裏腹に国が絡む上にその規模も背景を考えるにその辺の企業のM&Aといったようなわけにはいかず、均衡点到達まで国益をかけた腹の探り合いが続くといえるか。