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やはり体質

本日は日経平均が再度10,000円の大台割れとなる中を電力株は総じて小動きの引けであったが、電力会社といえば周知の通り運転停止中の九電玄海原子力発電所2.3号機の再稼動を巡り経産省が6月に県民向けの説明会を開いた際、九電の原子力発電部門の社員が本社や子会社の社員に一般市民を装って再稼動を指示する意見メールを送るように依頼していたことが先に明らかになっている。

問題の依頼文を見たが、「会社のPCでは処理能力が低いこと等から、是非、ご自宅のPCからのアクセスを御願い致します」等と九電関係者と分かりにくくさせる姑息な一文も。日経紙社説ではこのメール事件に触れ「情けない」と書いてあったが、会見で社長が「そんなに大きい問題ですか?」とも発言したり常識的に情けないレベルの話では済まないだろう。原発を巡る一連の対応を見ていると、東電然り今回の九電然りやはり前にも書いた通りその体質が非常に解り易い。

何処の企業でも大小問わず過去を捜せばこの手の話の素地はあるが、取り扱い要注意?メールの漏洩を考えていなかったというか一部暴走組に裁量を委ねていた怖さが露呈された一件。一頃コンプラが問題になった時期があったが、またその業種問わず各所の話題としてコンプラが蒸し返されそうな雰囲気である。


頭隠して尻隠さず

本日の株式市場では東証一部のエルピーダメモリー株が後場から増資報道によって急落したのが一際目立っていたが、この株といえば直近でまたまた出てきたのが周知の通り経済産業省の審議官だった資源エネルギー庁の前次長による同株式を巡るインサイダー取引容疑だ。

経産省絡みといえば、05年にも産活法を担当していた係長が米コダック日本法人のTOBに絡んで東証二部のチノン株でこっそり小遣いを稼いだインサイダー取引で摘発されているが、またまたスケープゴートなのかどうなのかこれらが表面化した格好だ。余談だが自分でイニシアチブを取れるならしっかり仕込みそうなものだが得た利益が数百万とか、前の係長も仕込んだのが4万株一寸となんとも慎重なのが役人キャラを表していて面白い。

さてこんな部分に慎重な一方で、前回の係長事件に触れた当時の当欄で「情報は一流であったが妻の口座を使う等、張り方が三流もいいところで未だ未だ素人〜挙げられるのは大方このパターンが多い」と書いた通り、一番気を付けなければならない部分がマヌケでやはり今回も妻名義の口座を使ったパターンで見つかってしまっている。

しかし5月くらいから今頃になってあの破綻したスルガコーポレーション株式やらジャストシステム株式やらのインサイダー事件が取り沙汰されているが、増資絡みのヤツとか依然としてなかなか規模の大きなもモノは表に出せない事情もあるのかなとも感じる。そうそう、最後に上記のジャストシステム株式もやはり妻名義の口座で発覚していたが、こちらは女優の菊池麻衣子さんというからこの辺もなんともなあという感じだ。


株主総会

さて先週は株主総会のピークであったが、今年の場合は決算期終了間際に起きた未曾有の国難で多数の企業業績に大きな影響を及ぼしたことや、この流れからの利益配分も今年は義捐金等絡んで一部変化もあるなどで例年とは一寸その色を変えた総会も多かったようにも思う。

一方で震災に絡んで渦中の企業ははたしてかな個人株主から厳しい発言が相次いだが、厳しい発言といえば議案提出を通じて彼是物言うファンド系などはすっかり影を潜めている。当欄でも何度か取り上げたこの手の代表系の「米スティール・パートナーズ」は昨年末にサッポロHD株を全て売却して以降すっかり噂も聞こえてこないが、3月末ベースの株主名簿でも外資系ファンドが日本企業の株を買い増す動きは目立たないという。

これら外資系ファンドは一部新興国市場へ舞台を移しているという話も聞くが、先月はあの「村上ファンド」を率いた村上世彰氏の有罪判決も最高裁で確定している。ココも所謂アクティビストとして有名であったが、法を犯した実質の部分は兎も角も一連の過程での利益至上主義全ての部分を否定してしまっている部分は現社会においてなんとも矛盾を感じざるを得ない。

裁く側からすれば水が清くなったのだろうが、外から見れば特異な非常識を日本に感じている業界関係者は多数。彼らがいい意味での緊張感をもたらしていた当時から比べるに、現在の株式市場は売買代金ひとつ取ってもその凋落ぶりが著しい。株主の変遷を見るにつけそんなことが頭に浮かぶが、水清ければ魚住まずもまた市場か。


非連動の売買高

本日の日経平均は7連騰となり東日本大震災以来4ヶ月ぶりの高値水準で引けた。この7連騰というのは2009年7/14〜7/27の9連騰に継ぐ現象であるというが、しかし先月でQE2は終了となったものの大方の弱気とは裏腹に値段だけは殊の外強いという感。

この値段だけという感がするのも、やはりこの10,000円大台超えの局面でも大手証券株の低迷が物語っているように売買代金が1兆円そこそこに依然とどまっているからに他ならない。依然海外勢頼みだが一部ストラテジストは新興国を中心としたウェートが上昇し、相対的にウェートが低下した日本株にリバランスの買いが入っているとし、バリューに着目したというよりは機械的な組み入れだという。

今迄は海外相場の写しで昨日のように休場であれば凪のような展開になり、昨晩のNYのように小動きなら本日14時頃迄のようにやはり凪のような相場が通常であったが、本日14時頃からの独自な動きは国内独自で相場構築の兆しが出て来たのか?はたまた上記のリバランス要因なのか単なるSQに向けての演出なのか政局を睨みつつも今暫く注視したいところだ。


市場の足枷

さて、NYが休場となった本日の日経平均はまさに凪のような相場で狭いレンジで小動きとなった。個別では出遅れモノが物色される一方で、超節電型データセンター関連を囃し暴騰した日本ラッド等が反動から昨日のストップ安に続き本日も続落となっていた。

しかし最近は材料だけで食い付きが凄い。昨日は週明けの日経紙一面でレアアースの巨大鉱床が太平洋海底で発見との報材料に、海洋資源開発の日本海洋掘削は14%高、ボーリングの鉱研工業が17%高、石油・ガス生産設備の三井海洋開発も急伸など軒並み高、当該会社側からは市場の思惑が大き過ぎるとの戸惑いの弁も出ているが、民間のみの実施には難題も多く戸惑うのも当然だろう。

他にも先の小笠原諸島の世界遺産登録の報を受け、グループで此処への交通手段を独占しているということから株主優待連想も絡んで東海汽船がストップ高まで暴騰したが、そもそもこの優待は小笠原航路では使用不可な上に世界遺産でここまで買い上げてしまうのが凄い。業績への影響が未知数という意味では昨日書いたヤマタネのコメ先物上場を囃した急伸も同様、同社ではあくまで試験段階の話、すぐに業績への影響はないとしている。

何れも主力の部類でなく一日天下というモノも混在であるが、やはり主力に腰を据えて取り組めないのは当の国会が脆弱なままに他ならないからだろうか。本日も松本復興担当相が被災地での失言を理由に辞任の報があったが、つい先月末の就任からわずか一週間そこそこのスピード辞任というお粗末さ。よくもこう次々と阻害する材料が出て来るものだが、この辺が解決しない限り本質的な主力の立ち直りは先延ばしになりそうだ。


悲願のコメ

先月末あたりから農相などが「認可しない考え方に立つのは難しい」とほぼその方向が固まってきたコメ先物の試験上場であったが、周知の通り月替わり1日には、農水省が東穀取と関西商取に対してこの試験上場を認可することとなった。6/20付け当欄では「どちらのバンザイか?」としたが、東穀取と関西商取側が認可取り付けで一先ずは万歳となった格好だ。

株式市場でも一連の報道に絡んで先月末からコメ関連でやはりお約束のヤマタネなどが賑わっていたが、05年の申請で一度退けられたこのコメ先物も1939年以来、実に約72年ぶりの実現が見えてきた。それでは早速と商取系にありがちな遣っ付け作業も懸念されたがとりあえずは9月下旬が予定されているようでこの辺の調整も成功の鍵となるので重要か。

しかし新商品上場で毎度の事ながら意見が分かれるのは当然で、一部大手紙では投機資金の流入がコメ価格の乱高下をもたらす等と懸念するところも見られるが、TPPもしばしば論点に上る中を市場開放と自由化は政策の課題。何れ避けて通れない問題ならその一歩としてもこうした価格変動リスクを回避する手段を提供する市場の意味はやはり大きく、そういったことも懸かっているだけに軌道に乗せられるかどうかその責任もまた重い。


楽天証が株式追加取得、楽天Gが93.6%保有に

楽天証券は、2011年7月4日付でドットコモディティの株式32,110株(発行済み株式の22.3%相当)を追加取得。この結果、楽天グループとしてドットコモディティ株式の93.6%(内、楽天証券保有36.9%)を保有に。

▼ドットコモディティの株式追加取得について=楽天証券(PDF)


 楽天証券株式会社(代表取締役社長:楠 雄治、本社:東京都品川区)は、本日、国内商品先物取引における最大手であるドットコモディティ株式会社(代表取締役社長:舟田仁、本社:東京都渋谷区)の株式32,110株(発行済み株式の22.3%相当)を追加取得いたしました。この結果、楽天グループとして同社株式の93.6%(内、楽天証券保有36.9%)を保有することとなりましたのでお知らせいたします。


 近年グローバルマーケットにおいては、証券、デリバティブ並びに商品先物取引の複合的な運用が進み、証券取引所やデリバティブ・商品先物取引所においても統合化が進む状況にあります。この様な環境下、弊社では従前より提供している大阪証券取引所の日経225先物および日経225オプション取引に加えて、2010年10月にCMEグループのGLOBEXに接続し、CME(シカゴ・マーカンタイル取引所)、CBOT(シカゴ商品取引所)、NYMEX(ニューヨーク・マーカンタイル取引所)、COMEX(ニューヨーク商品取引所)の4取引所およびSGX(シンガポール取引所)での海外先物取引を開始し、有価証券デリバティブのみならず、コモディティ分野にも進出しております。


 今般の株式の追加取得は、国内最大の商品先物取引業者であるドットコモディティとの関係強化により、さらなる商品ラインアップの充実とグループとしてのシームレスで利便性の高いサービスを提供することを目的としております。


 今後、楽天証券はドットコモディティとの連携を強化し、証券分野のみならず、コモディティを含めたデリバティブビジネスの充実を図ることで、BtoC型のビジネスはもちろんのこと、BtoB型のビジネスへの拡大や海外ビジネスへの取り組みを進め、グローバルマーケットへの一層の対応を進めて行きたいと考えております。


【ドットコモディティ株式会社 会社概要】

・商 号:ドットコモディティ株式会社
・代表者:代表取締役社長 舟田仁
・設 立:2004年12月1日
・本 社:東京都渋谷区恵比寿1−21−8
・主要株主:楽天株式会社(56.7%)、楽天証券株式会社(36.9%)
・資本金:1,899百万円(2011年3月現在)

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BLACK SWAN〜魔性を宿す市場

さて、先週で大方メインの劇場では終ってしまったが、知人の誘いもあって過日はナタリー・ポートマン主演の「ブラックスワン」を観る事に。さすがアカデミー賞やゴールデン・グローブ賞の主演女優賞を受賞しただけあってナタリー、ある意味コワ過ぎな感。バレエ団監督役のヴァンサン・カッセルも、こうして見ると「オーシャンズ」シリーズで演じていた怪盗よりもこちらの役の方がハマリ役かと。

何れにせよ肉体を昇華させ必要以上?に意識させるホラーにバレエという素材を使ったのはなるほど正解という気がした作品であった。余談だが、劇場からほど近い「キルフェボン」のケースにはこの映画の公開記念と称し「ブラックプリマのタルト」なるものも並んでいた時期があったが、これまた官能的な香りに仕上がっておりなかなかだったのもフト思い出した。

ところでこの「ブラックスワン」、こんな有名な映画は知らなくともこの言葉をしばしば使う市場関係者は多い。この映画公開前から既に使われてきた、確率的には稀ながら仮にそれが起きた場合は極めて多大なリスクを伴う、その想定外リスクの大小を示しているというCBOEが算出・公表している通称「ブラックスワン指数」なるものがあるからだ。

この指数、「VIX」に酷似しているがこちらはより深刻な状況を示唆、今年も実際に2月中旬には一時130台超えとなり、これは金融危機時を上回る水準となっていた。この段階で既に「ブラックスワン」の登場を警戒する不安心理の高まりを示していた訳だが、果たしてその後は周知の通り。市場もまたプリマ同様常に二面性を秘めている。


SGXのトレーディング・メンバー資格を取得

ドットコモディティは、6月29日付でシンガポール取引所(以下、SGX)のトレーディング・メンバー資格を取得。SGXのトレーディング・メンバー資格を取得したのは商品先物会社としては日本で初めて。また、トレーディング・メンバー資格取得と同時に、インターディーラーブローカー(IDB)資格も取得。

ドットコモディティを通じて、海外の取引所にオーダーを出せるのはCMEグループの各取引所(COMEX・NYMEX・CBOT)及びICE US ・ICE EUに限られていたが、今回の資格取得により、新たに、SGXに上場されている銘柄(銅・アルミニウム・亜鉛等)を、ドットコモディティを通じて取引することが可能に。

▼シンガポール取引所のトレーディング・メンバー資格取得のお知らせ


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金を買う理由

昨晩の米株式はギリシャ債務危機への対応を巡る楽観的な見方から大幅続伸となったが、斯様に今週はこのギリシャが市場を振り回している。さてこのギリシャ、先週の英ファイナンシャルタイムズ紙ではデフォルトと銀行取り付け騒ぎに備え、市民が銀行預金を全額引き出して金を買う動きが活発になっていると伝えている。なんでも地元の貴金属業者によればリクイディティーの都合か金貨が金地金の5倍売れている状態と時事にも書かれていた。

ところで金といえばもう一つ、先のインドの5月貿易統計が発表され、その中で5月の金・銀の輸入は89.6億ドルと先月に比べて500%増加、前年同期日では222%の増加と金や銀の輸入が急増している事も判明している。

また先の日経CNBCでは「中国が金を買う7つの理由」として放映があったが、概ね昨年12月に放映した「北京の金需要最前線レポート」の再確認という感じであったものの、この7つの理由の一つには中国人民銀行が金投資を奨励しているというのがあった。上記のインドでもインド準備銀行が新たに7つの商業銀行に金の輸入代理店となるライセンスを付与しており、この辺はいずれも国策が窺える。

欧州とアジア、各々の金買い事情は異なるが、一昨日にも書いたモナコでのヘッジファンド業界のGAIM会議に出席したガイア・キャピタルのマネジングディレクター、コースト・ストレンジャー社長は会議の際のインタビューで、銅などのベースメタルには警戒的だが、貴金属については強気だとの見解を示している。日替わりで材料には事欠かない昨今、まだまだ弱気を謳うのは時期尚早か。


コラボ終了

さて、昨日の東洋経済オンラインではアパレル系の記事を見掛けたが、オンワード樫山が4月の売上高前年比で4%の増収、ダイドーリミテッドが同8%増、サンエーインターナショナルは同12.4%増となるなど、軒並み苦戦続きであった百貨店・アパレルブランドがにわかに活気づいている旨が載っていた。

5月以降も堅調な売り上げのトレンドが続いているというが、反面ユニクロやしまむら等は冴えない模様だ。そういえばこのユニクロといえば一昨年の10月にジル・サンダーと夢のコラボということで鳴り物入りの登場となった「+J」は当欄でも触れたが、先週には今冬限りで契約終了と発表している。

業界の知人もこれに関しては仕立てからしてもCPはなかなかと賞賛していたのを思い出すが、ユニクロ側は「このコラボによる新しい服作りの可能性は、一旦追求しつくした」との声明を発表。それにしても予想外?に早い打ち切りだなというのが正直なところで、双方共に各々拘りが強かった分、文化というかその辺が何処まで判り合えたかという疑問もある。ともあれ今後また既存のベーシック路線一辺倒に回帰するのかどうかこの辺も気になるところ。