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言葉の裏

本日の株式市場は、このところ売られていた主力どころに後場からカバー等も入り4日ぶりに反発となっていたが、日経平均といえば日曜付けの日経紙には震災復興と日本株の見通しとして、ストラテジストが株価上昇は夏場以降とした旨の座談会の様子が載っていた。

あまり先の予測をあれこれ考えてもさほど意味がないとも思っているが、要の復興に絡んでは目先やはり首相の辞任時期が気になるところ。補正予算の都合や東電問題もあるだけにこの辺は市場が材料にする大きな切っ掛けとなるか。米株式の方も連日の続落となっているが、今月末でいよいよ終了となるQE2を睨んでこちらもある意味催促相場と取れる。この次のQE3があるのか否か期待論は依然多いがこの二点が目先の焦点か。

株式市場は例外なく強弱材料が混在し、その時々で適宜理由が付けられる好都合の材料を煽って売買に利用するというのがマーケットの常。短期と中期ではまた影響も違ってくるものの、震災後「至急、日本脱出を!」と言いながら海外勢は日本株を買い仕込み、「頑張れ日本!」と言いながら国内勢は日本株を売り逃げている対極の構図があったが、最終形は何れが取るかこの辺もまた興味深いところ。


現代のサマータイム

さて、今月から所謂「サマータイム」が全国の企業で始まっている。東証の実施については先に触れたが、他にも上場企業の主力どころが始業時間を早めるのを軒並みスタート、KDDIは午後を在宅勤務にしたり、主力の自動車8社などは休業を土・日曜日から木・金曜日に移すと発表するなど独自のサマータイム導入に工夫を凝らす向きも見られる。

これらの導入で個別では子育て世代など生活への影響も良い面、悪い面それぞれ問題になってこようが、分散消費という部分での経済効果に期待する向きも多い。ひいては平日需要の変化に伴って雇用形態もまた変わってくる可能性もあるなど確かに景気へのインパクトはそれなりにありそうだがここで継続性がまた問題になってくる。

いずれも夏の節電対策を主としての対応だけに、今回のこうした実施は何処も秋口までといった感じ。需要期を過ぎて各社元へ戻せば上記のような景気効果も自ずとインパクトが限られてこようということになるが、元々が副産のようなものなのでその先にまで期待を掛けるのはいささか無理があるか。

何れにしてもこのサマータイム、かつて日本では進駐軍施政下にあった当時実施されたものの、諸般のデメリット論が多く3年で廃止になった経緯がある。時を経てその環境も一変した現代、はたして今回は個別で其れなりの効果が出るや否や注目しておきたい。


固定客の強さ

さて、ボックス相場が続く株式市場の中でも週始めに書いた金融ポストのような低迷するところがある一方で、主力以外でもジワジワと強さが目立つものもあるがフレンチの「ひらまつ」もその一つ。今週は再度10万円の大台を回復して来たが、先に日本フードサービス協会から4月外食産業月次動向が伝えられた中でこの手のレストラン系が比較的堅調だったことも背景にある模様。

一方で居酒屋関係は一段と厳しかった模様だが、しかしこんなモノを同じステージで比較は出来ないものの、エッセンスの部分はさながらイタリア高級ブランド等と同じだなとも思う。この辺は2年ほど前に、自動車業界が軒並み減産体制を強いられる中をフェラーリは増産体制に入り過去最高の販売台数を記録したことや、ブリオーニのスーツが不況といわれる中相変わらずの引き合いの強さを見せていたことも思い出す。

反面、当時はBMWやベンツなどのドイツ勢は軒並みダウンし、これらの主力層が不況に抗せない縮図も垣間見られた。上記からするとそれじゃあBMW等は居酒屋か?ということになるが、ようは或る程度手が届く領域のある部分はそれだけ分布も多いので不況の影響はやはり避けられないというのはよく聞く話。

もう一つ、ブランドといえば直近で株価を上昇させていたものにティファニーがある。その背景には同社決算は当初震災の影響で売上高は15%減少すると見込んでいたものの、蓋を開けてみれば4月単月は6%増、四半期でも3%減にとどまりドル換算では7%増加のサプライズとなったことがある。上記も含めこれら好調組に共通して言えるのはやはり強固な固定客の存在だろう。

高いブランド力で価格競争に巻き込まれないという点もあろうが、ペーパー寄りでない富裕層は世間で騒がれている不況とは無縁の存在で彼らを擁しているところはやはり強いか。


感覚の変化

さて連休明けの海外商品市況で金は小動きであったが、この金といえば日曜付け日経紙けいざい解読には「現代版ゴールドラッシュ」として、ドルへの不安感の裏返しとして通貨代替や資産保全の機能を金に求める動きが続いている旨が出ていた。

この中で、テキサス大学の基金運用会社「UTIMCO」が重量20トン、時価10億ドル相当の近海をニューヨークの銀行の金庫に保有することにした旨や、ユタ州では5月から金貨を同州の法定通貨として認めたという旨が出ていたが、「UTIMCO」といえばたしかハーバード大学のそれに継ぐくらいの規模と思うが、もともとこの金は先物でロングしており昨年の波に乗って既に倍化していたものの、この先物から現引きという手段を取った事になる。

デリバティブ先進国の米国では各種の運用形態も先物が主流だが、一部現物への回帰など今迄に見られなかった動きが出て来たのは興味深い。ユタ州の事例にしても他の州へもこうした動きが波及し始めているとも聞くが、当の米国内でこの手の動きが出て来たことは昨今のドル不安が根強いものと改めて感じざるを得ない。


紙一重

さて、欧州金融市場ではスペインやイタリアなど南欧の主要国の財政懸念が再燃してきている。これら先に米S&Pはイタリアの長期債務格付けを「ネガティブ」に引下げ、スペインは与党の地方選敗北などで地方政府の財政内容に対する見直しが進んだ場合、飛ばし債務の表面化から粉飾が次々発覚するのではという懸念が再燃している

ところで粉飾といえば、こんな国家規模とスケールが違うものの最近国内ではかつて「名証セントレックス」に上場していた富士バイオメディックスの粉飾が問題になっている。ココは上場してわずか3年で市場から退場するハメになったスピード破綻であったのが、既に上場当時からアレンジャー連中の存在はあったものだ。

このアレンジャーなる言葉は直近のこの事件で彼方此方が使うようになったが、当欄では数年前から度々アレンジャーには触れていた。多くは証券系で僅かに商取のドロップアウト組も居るが犯罪色に変わりないものの、その実は高度な金融や法律知識に長け人脈もけっこう派手な面子をセッティング出来る兵も多い。はっきり言ってこの手はその辺の証券会社の役員クラスよりも切れる輩だが、何処でどうボタンを掛け違えたのかと我に返る向きも居るものの悲しいかなアングラ系の需要と青写真にマッチングしてしまう向きは意外に多い。


証券業界もまた

先週末は商品やFXなど業界系の決算に絡んだ株価模様など少し触れたが、同じ金融系では証券株もこのところ低迷が続いている。先週に大手では大和が既にあの震災ショック時の安値を下回り、みずほ証券、ネット系では松井やマネックスG、そしてひまわりHDなど軒並み年初来安値を更新、岩井コスモHDに至っては上場来安値を更新してしまっている。

この背景には本日の今年最低水準の出来高にみられる通りの市場低調が窺え、5/25付け日経紙「まちかど」でも10,000円コール(6月物)のプレミアムが東日本大震災以降で最安値を付け1万円大台回復期待が萎んでいる旨も書いてあった。しかし、タイムディケイのあるオプションはともかくもそうした性質を持たない株式において、震災ショックで急落してからのV字型急反発した値幅をダラダラとした下げで帳消しにしてしまった最も顕著なポストは証券だろうか。

証券ポストといえば取引所も然り、大証もまた先週に震災ショック時の安値をズルズルと割り込み年初来安値を更新している。震災直後に市場を閉鎖しなかったのを賞賛している向きもいるが果たしてそうなのだろうか?この辺はオプション絡みでネット証券共々まだまだ禍根を残すだろう。

それは兎も角、先週末は上記の年初来安値更新組からつい最近あのトレードステーション社を買収したマネックスグループが、発行済み株式数の6.25%に当たる20万株の自社株買いを昼休みに発表し後場から急伸していたが、この業界もまた東証上場やM&Aなどに絡んで今後はさまざまな思惑がジワジワと台頭してこようか。


業界決算模様

さて、本日のソニーの決算をもって主力上場企業決算も漸く一巡といったところだが、業界系の決算は「FUTURES PRESS」のこちらや、「FOREX PRESS」のこちらできれいに纏めてあるのでチェックしていただきたい。日経紙にも出ていた商品系などは黒転や赤字縮小したところありといったところだが、各社厳しい努力継続というところだろう。

上場している向きはその株価の方も気になるところだが、普段は物色の圏外に置かれているこの手のポストも意外性のある好決算には反応が早く急騰したりするわけだが、お約束?の往って来いと持続性に乏しい。好決算と並んで自社株買いなども其れなりにインパクトがあるのだが、突飛高しても殆ど三日天下どころか一日天下というのが現状だ。

上記の通り好材料に反応しても持続性に乏しいのが特徴のこの手のポストは、やはりリクイディティーの問題もさることながら先行きが不透明というのがそのまま反映されているというのが正直なところで、渦中の東電に肩を並べる異常なPBRもその辺を物語っている。

今回の決算では上場取引員一覧からユニコムグループホールディングスが消えていたが、同社は以前当欄でも取り上げたようにMBOによって上場廃止を選択した。厳しい環境の中で業態転向を図る向きも出て来る中、上場というものを各経営陣がどう捉えるかだが、こうしたMBOも含め純資産との見合い、自社株買い後のその先から親子上場の観点までも含め様々な戦略と思惑が今後も続くだろう。


GAPを悩ます綿花先物

さて、先週末の日経紙には「衣料原料 軒並み下落」としてニューヨークの綿花先物などが大幅に高値が修正されている旨が出ていた。その綿花先物だが昨年から買い煽ったファンド資金の流出などもあって3月の高値からは3割方下落しているものの、現地の輸出業者提示価格のジリ安もありなお先安感が強いという。

こうした動きに翻弄されたのは関連企業だが、先週末の米株式が反落する中でそうしたものに該当し特に急落が目立ったのがあのギャップ。同社は直近で発表していた第1四半期決算における純利益が前年同期日で22.8%の減少となったのが嫌気されたということもあったが、来期以降の収益予測も大幅に下方修正されていたのも失望を誘った模様だ。

ギャップといえばそれこそコットンの世界では大口バイヤーだが、今回の急騰時における高値買いによって上記の通り今後の収益はコスト面が大きく足を引っ張る模様。ある意味相場産業だが、近年ファンドも多様化しており本業部門でも足元を見られないように凌ぐのも一苦労、この手はヘッジのあり方が今後一段と課題になってくるだろうか。


相関化

昨日の米株式は欧州信用不安の高まりや中国の景気鈍化懸念から大幅続落となったが、欧州債務問題が懸念され大幅安となった原油先物の影響も少なくなかった。そんな商品安の中でも金がしっかりとするあたりリクス回避の片鱗も見受けられる。

しかし海外に限らず国内でも最近は欧米株式安などから売り物が先行しても、時間外で原油価格が切り返すのに合わせ明らかに先物からの買い物で戻りを入れるケースも多い。主要どころの決算がピークを超えて手掛かり材料が乏しくなる中を、こうして株式もコモディティー価格に連れるようになってきている。

一頃の営業は「株価とは非相関の関係」とヘッジを謳い文句にしていたものだが、ここ近年の金などのメタル系も今迄の教科書通りであった所謂相関関係が次々に崩れてきている。通貨なども含めそれぞれ新しい相関の認識が必要とされているのは言うまでもないだろうか。


.COMバブル?

さて、先週はスイスの商品取引大手「グレンコア」がロンドン市場に上場したが、もう一つかねてからの話題株「リンクトイン」もはれてニューヨーク証券取引所に上場となった。このリンクトイン、上場初日に今ひとつ肩透かしであったグレンコアと違って公開価格45ドルに対して終値はその公開価格の2倍以上の94.25ドルと大化けしたが、ザラバの高値では実に120ドル超まで急騰する場面もあった。

一体、売上高の何倍まで時価総額を買うのだろうという点で、グーグルのそれが約6倍なに対して早くもここは数十倍水準。こうなるとかつての国内ネットバブル当時を彷彿させるが、それこそあの当時は経営側も時価総額こそ全てとの思いで株価に一喜一憂していたのを思い出す。

そんなわけでここが口火を切ってはたしてまたネットバブルの再来となるのだろうか? このIPO熱に関して米シカゴ地区連銀のエバンズ総裁は資産バブルの懸念を招くものではないとの認識を示していたが、この後にはリンクトインの6倍のメンバーを抱えるあのフェイスブックやグルーポンなどの有力どころが軒並み予備軍として控えている。

既にこうした大手の前にIPOを急ごうとする中小も見られるというが、こうした予備軍の関連株群は早くも「KDDI」など日本企業にまで先回りの物色が広がっている。QE2終了で警戒感が漂っている市場だけに、この辺が絡んで今後の市場にどう影響してくるのかその動向が注目されるところ。


ヨウ素と株価の半減期

さて今週の日経平均は膠着感の強い展開であったが、そんな中でもボラタイルな動きだったのがやはり東電。一服していた株式の方は賠償スキームやら今更ながらに出て来た福島原発の炉心溶解を巡ってまたにわかに動意付いており、今やディフェンシブ的な優等生からすっかり投機株に変貌してしまったなと。

レーティングの世界でも、みずほ証券のように「アウトパフォーム」据え置きで目標価格を900円!に設定するという特異なところ以外は何処も揃ってそのレーティング対象から外してしまっている。こうしてバリュエーション評価が不可能となった一方で今のところ一応は株式上場を維持し社債も保護ということになり、JALのように紙屑にならない妙な安心感?からこの高いリクイディティーを背景に商いが集まり易いか。

今のところは株主責任は免れたとはいえ今後株価は市場が然るべき値段に誘導するだろが、社債など先に一度書いた事があるが新規で引き合いなどあるのだろうか?この賠償スキームで通常であれば格下げ圧力が緩和されるはずだが、現状そうした動きとなっていなのはやはりその信憑性の問題だろうか。

ところで株価といえば事故当初は約一週間で株価が半値水準に暴落し、株価の半減期も放射性ヨウ素とほぼ同じなどと揶揄されたものだったが半減といえばもう一つ、原発事故の責任を踏まえ役員報酬も半減努力とか議論されているが、それでも3,600万円とか。こちらは相場じゃないが半値八掛二割引にしてもまだまだ高いだろう。