逆風下での逆行高

さて、フジサンケイグループへの圧力をじわじわと強めている旧村上ファンドの村上氏の長女だが、先週末のマーケット引け後にはサンケイリアルエステート投資法人の持ち分を7.36%取得したことが明らかにされている。ココは既に年明けに子会社が一任契約で運営管理するファンドのTOB実施が伝えられ同価格にサヤ寄せする格好で急騰を演じた経緯があるが、この報を受け本日は年初来高値を更新しこのTOB価格を上回る急騰を演じている。

ところでこのREITといえば有利子負債を多く抱え教科書的には近年の金利上昇圧力が逆風になるはずだが、当のマーケットは各市況の好転や資本効率の改善などを背景に、東証REIT指数は約4年ぶりの高値圏で推移しており先の日経紙では低迷する米はもとより豪州、シンガポールのパフォーマンスをも上回りきれいな上昇トレンドを描いている模様の旨が書かれていた。

こういった中で、上記の村上氏もそうだが国内のREIT市場にもアクティビストの手が伸びてきている。今からちょうど1年前にはシンガポールの投資ファンドである3Dインベストメント・パートナーズがNTT都市開発リートに対してTOBの発表をしており、さらに同ファンドは翌月にも阪急阪神リート投資法人に対してもTOBを実施する旨を発表している。

ちなみにこのTOB劇はその後いずれも不成立に終わっているが、株式市場で親子上場解消の動きが進むなかこうした動きは今後も活発化してくるか。株式市場のみならずREIT市場でもアクティビストがカタリストとしてその存在がクローズアップされてくるか否か、今後もその動向に注目しておきたい。


宝飾品にも波及

今週はグリーンランドを巡るトランプ政権と欧州の対立が警戒されるなか投資家のリスク回避姿勢が強まり金価格が急騰、ニューヨーク先物は中心限月で初めて1オンス4800ドルの大台を突破し史上最高値を更新、国内価格の指標となる田中貴金属工業の小売価格も遂に1グラム27000円を超え史上最高値を更新した。斯様な状況で米ゴールドマンサックスGは直近のリポートで今年末価格見通しを5400ドルへと上方修正している。

さて、上方修正は価格見通しだけでなく斯様な急騰を背景に今週はやはりというか挙って宝飾品も値上げが開始されている。ラグジュアリーブランドではカルティエがアイコンともいえるトリニティリングを約8.5%、戦々恐々の噂があったダムールに至ってはやはりというか30%以上もの値上げとなっている。銀の小売価格も史上最高値を更新するなかティファニーも人気のオープンハートが約9%の値上げ、平均で約5%ほどの値上げが今週から始まっている。

今週はこの手のラグジュアリーブランドに限らず国内でもスタージュエリーなどは全体の6割にあたる約1800点を10~15%値上げする。ハイブランド等はこれまでも対ユーロでの円安を理由に年数回の値上げを繰り前してきたが、これらと合せるとここ数年から10年で価格が2倍、モノによっては3倍以上に化けた商品も少なくない。背伸びして何とか購入してきた向きにはいよいよ高嶺の花になりつつあるか。

昨年の8月頃だったか1~6月期決算においてエルメスとLVMHモエヘネシー・ルイヴィトの両者で増収増益と減収減益の明暗が分かれた旨を取り上げた事があったが、その時に「~ある程度手が届く領域はそれだけ顧客の分布も多い~」と書いていたが、上記のティファニーなどこのLVMH傘下にあるだけにこの値上げの影響がどちらに転ぶのか今後の決算関係には注目しておきたいところ。


市場退出が増加傾向

本日も日経平均は続落しこれで5日続落となったが、奇しくも昨年もこの1月中旬に5日続落を記録している。衆院解散を手掛かりに上昇してきた銘柄勢の売り物が目立つが、日経平均上昇に関係なく置き去りになっているのが東証グロース市場か。先の日経紙でも22年4月の3市場再編以来、プライム市場とスタンダード市場が最高値圏にあるのに対し、グロース市場は発足時を下回るアンダーパフォームと不甲斐ない状況となっている旨が書かれていた。

そんなグロース市場だが、先週末の日経紙ビジネス面では「グロース企業のM&A最高」と題し、成長に向けM&Aを活用する新興企業が増加しそのM&A金額は昨年には前年比で63%増の7495億円と過去最高になった旨の記事があった。また件数も247件と15%増加しこちらも過去10年で最高というが、所謂“小粒上場”を減らすという東証改革の影響で大手への傘下入りやMBOを選択する企業が増加している模様。

確かに先月も建設業のドラフトがMBOで市場からその姿を消し、その前にはDX教育支援のアイデミーがアクセンチュア傘下に、更に遡れば人材紹介のトライトはカーライルに買収され、投資用マンション販売のLeTechも住友林業傘下となり市場から姿を消している。上記の通り30年以降の時価総額基準を見据えた動きともいえるが、グロース以外のポストも東証要請を背景に退出組の増加は今後も続くことになるか。


堕ちゆく?円

本日の日経紙投資面には「最弱通貨予想、円が4割」と題し、QUICKが金融機関や事業会社の外為市場関係者に行った1月の外国為替市場の月次調査結果によれば主要8通貨(円、米ドル、ユーロ、スイスフラン、豪ドル、英ポンド、人民元、カナダドル)のうち2026年最も弱い通貨の予想として「円」を挙げる回答が4割にのぼった旨の記事があった。

ちなみに次点は36%で利下げの継続や政治の不確実性を背景にした米ドルということだが、関税政策ショック以降の名目実行為替レートでもダラダラと水準を切り下げていたこの米ドル、そんな中においても円は買われることなく米ドルに歩調を合わせて売られる始末であった。下落が顕著だった対ユーロ圏通貨はもとよりアジア通貨に対してもシンガポールドルや元などに対し数十年ぶりの円安示現となっている。

昨年は主要先進国が総じて利下げに向かうなか日本のみ利上げをしたわけだが、とはいうものの年末に0.25%程度の上げで0.75%になったとはいえインフレ率は約3%、実質ベースの政策金利としてはマイナス2%以上と大幅にマイナスな状況下では強含むのは無理があるか。今週の日銀金融政策決定会合では政策金利を据え置く公算が大きいが、今後もこの日銀のノンビリ?と構えた利上げで円安が止まるのか疑問符だ。

日本の金利が上がり金利差縮小で円が買われるというのは教科書通りの理屈だが、主要海外中銀の利下げサイクルが一巡しつつあるなか、今後も更に下がるか若しくは現状維持のままという保証は無くそこへ上記の日銀の牛歩?利上げで構図は変わるとは思えない。異例ずくめの解散・総選挙が間近に迫るが、本日の債券市場でも長期金利の急騰は止まらず99年2月以来、約27年ぶり水準を付けている。最弱の烙印から解放される日はおとずれるのか、今後の推移を注視しておきたい。


創業家vsアクティビスト

週明けの日経平均はデンマーク領グリーンランドに絡む米関税政策や国内政治を巡る不透明感が嫌気され3営業日続落となったが、そうしたなかでも先週の急騰の流れを継いで東証プライム上場の豊田自動織機株は3営業日続伸模様となっていた。こうした背景には豊田陣営による同社株に対するTOB価格の16000円台から18000円台へと約15%の引き上げ報道がある。

もともと同社株に関しては急騰第一幕?の時に既に16300円という当初のTOB価格を上回る18000円台まで上昇していた経緯があり、当欄では「現在のBPS実績が約16300円であるからちょうどPBR1倍といったところだが、これが本質的な企業価値なのかどうかというところだろう」と書いていたが、その後大株主の米エリオット・インベストメント・マネジメントは保有株式数を増加させながら企業価値の過小評価を訴えていた。

こうしたケースでは先月からMBOを実施中のネット印刷大手のラクスルに対しても大株主の英ベイリー・ギフォードや、香港のキーロック・キャピタル・マネジメントも揃って米ゴールドマン・サックス系の投資会社によるTOB価格への過小評価を訴えており、こちらもまた豊田自動織機よろしくマーケットではそのTOB価格を上回る水準での値動きが続いている。

これらの行方が気になるところだが、昨年はもう一つ同様のケースでカーケア用品大手のソフト99コーポレーションを巡るMBOでは、創業家と過小評価を訴えた村上ファンド関係者系のエフィッシモとで買収合戦が繰り広げられた末にエフィッシモ側のTOBが成立勝し創業家のMBOは頓挫する結果になっている。かつて東証一部のカネボウ破綻劇でもTOB価格を巡る混乱劇が思い出されるが、これが現代ならその行方も全く変わっていただろうとつくづく。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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