2025 Flight to Quality
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師走の恒例行事の日本漢字能力検定協会による今年1年の世相を1字で表す「今年の漢字」だが、過日に「熊」と発表されている。この字の選出は初めてらしいが、冬眠の時期が過ぎてなお各地での出没とそれに伴う被害が相次いだことやパンダ(熊猫)の中国への返還が相次いだことなどが選定理由とか。ちなみに2位は「米」、3位は「高」ということだったが、個人的には今年こそが昨年に続いて最多選出の「金」とも思っていた。
その「金」だが昨年の国際相場の上昇率は約3割、国内も円安効果と相俟って年間上昇率は約4割となった事で選出されたわけだが、今年の金の上昇率は約70%となっており過去比較でも突出した上昇なっている。なので2年連続の資格は十分にあると思うのだが、それを言うなら同じ貴金属の「プラチナ」は金をも上回る上昇を見せ、さらには「銀」も140%超の上昇率だからむしろ軍配が上がるのはこちらのほうか。
いずれにせよ今年はトランプ大統領就任から始まってその後に相互関税を発表、国内では大阪・関西万博がありコメの急騰で備蓄米の大量放出、後半では初の女性総理誕生、また日経平均が初の5万円台大台超え、それから冒頭の通り熊の相次ぐ出没などが印象に残った出来事ではあった。ある種様々なことが矢継ぎ早に出てくるまるでトランプ氏の政策のような一年であったような気がしないでもないがさて来年はどうなるか?
昨年末の当欄では地政学リスクも新たな拡大を見せ混迷を極める様相となっており、一段と輝きを増した金にはある意味こうした“影”の部分が反映された部分も大きいと書いていたが、昨年の倍以上のペースで貴金属御三家が挙って漁られた今年は昨年にも増して通貨不信含めたこの“影”が増幅した証左とも云えようか。世相を反映する各種相場だが、来年もまた少しでも今年より明るい世になるよう願いを込めて筆を擱きたい。
本年もご愛読ありがとうございました。どうか来年が皆様にとってよい年でありますように。