注目案件の続々上場
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当欄では6月に米IPO復調の旨を書いていたが、そこで4月に関税政策の影響で上場を延期し今後注目と書いていたBNPL(後払い決済)大手の「クラーナ」が先週10日にはれて上場を果たした。注目の初値は52ドルで公開価格の28ドルを30%上回りその後も一時57ドル超えまで上昇する好スタートとなったが、その調達額は13億ドルを超え夏に上場したサークルやフィグマに続く大型案件となった。
翌日11日には三菱UFJFGが2020年から出資している企業でもあるブロックチェーンを活用した融資プラットフォームを提供する「フィギュア・テクノロジーズ」がナスダックに上場しており、更に12日には暗号資産プラットフォームを提供するジェミニ・スペース・ステーションもナスダックに上場している。こちらの方は公開価格28ドルに対して37.01ドルで初値を付けその後は45.89ドルまで急騰するなどボラタイルな展開になった。
米IPOが急増した年といえばSPACを上場させ後に事業会社を買収するというSPAC型が流行った2021年が記憶に新しいが、今年の米IPOによる調達金額は既に昨年に匹敵する水準になっており今年はこの2021年以来で最高の年になるともいわれている。ただその盛り上がりを見せたSPAC型は、当時の当欄でも取り上げ“白紙小切手?”と書いたように高リスクが伴い株主に損失を齎した例が数多あった。
そう見ると今年のそれはその調達規模だけにとどまらず収益性も高い成長戦略がしっかりしている企業が目立つ印象だ。先週のIPO組のようにフィンテックものは米の関税政策の影響を受けにくいうえに、トランプ政権の金融市場における一部規制緩和も追い風になるとも思われるだけに今後もこれらの動向には注目しておきたい。