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コンサバ回帰

昨日の日経紙一面にあったのが、株安で今年度の運用利回りが2月末迄で18%以上のマイナスに落ち込み、企業年金が運用資産に占める株式構成比率の引き下げに動いているという記事。

これで思い出したのが数十兆円という運用資金を持つJA共済連やそれに次ぐ規模の全労済が、従来の安全運用を基本とする債券中心の保守的運用から株式等へのリスクを取りに行く積極投資へ方針へ転換したものの、市況悪化が直撃し結局保守的運用へ戻ってしまった経緯があったという事。

この辺は約束利回りを下回る逆鞘状態を何とか解消したいという苦肉の策が垣間見られた訳だが、やはり背に腹は変えられないという事だったのだろう。

ところでもう一つ、同紙の市場アウトルックに出ていた某ストラテジストの「〜厚い壁を上回れば株をもたざるリスクも意識〜」という旨のコメントを見て思ったのだが、こうした考え同様に機関投資家というのは上昇相場でリスク許容度が高くなり下落相場で債券系シフトが進むというパターンが殆ど、生保も含め「順張り」と「逆張り」のカラーが分かれるところだが動きたい時に動ける余力を持つのはマイノリティの方か。


資産運用先としてのフェラーリ

本日は待ち合わせ先へ向かう際に普段は通らない道を歩いたのだが、先週の木曜日だったか日経紙夕刊の一面に珍しく?も春夏の新作スーツを挙げた広告を載せていた覚えが急速に蘇り、それでフト目に留まったのが紳士服『ブリオーニ』の店であった。

直近ではトムフォードに変ってしまったものの、同社はあの007シリーズにおいては馴染みが深いが、確か産経紙だったかこの不況の中においても一着数百万円クラスの同社スーツが相も変わらずの人気で売れているとの報道がある。

モノは違うがこれに限らず一貫してその強気姿勢を崩さない価格設定で売れている物といえばフェラーリか、自動車業界が軒並み減産体制を強いられる中を同社は増産体制に入り昨年は過去最高の販売台数を記録、これらの層にも結構人気な同じ伊のマセラッティも昨年は過去2番目の水準、国を変えてもう一つ英が誇るロールス・ロイスも世界販売が10%増と報じられている。

対してベンツやBMW、ポルシェといったところのドイツ勢は軒並みダウン、結局こうした部分でミドルクラスやせいぜいアッパーミドル迄の客層が総じて不況に抗せないという事からその縮図を垣間見る事が出来る。

ところでこれら資産運用先として普遍的な価値に着目する向きもあるとしているアナリストも一部に居るようだが、余談ながらあの華麗なる営業?で上場企業からまんまと資金獲得に成功したものの、最後は結局パクられてしまったプリンストン経済研究所の総帥が当時帝国ホテルでフェラーリも面白い資産運用先だと熱っぽく語っていたのをフト思い出した。


再生法に備えた一手?

祭日がある週などは最近特にマンション関係のパンフが折込なり投函なり増えているようにも感じるが、昨日の日経でもモデルルームに客足が戻り所謂アウトレットマンション市場が拡大している旨も記事であった。

なるほど新興ディベロッパーの破綻が相次ぐ中をこうした末端部分での市場創造も納得がいくが、不動産といえば度々触れているREIT市場はどうだろうか?

まあ、先月「萎縮から再編」のタイトルで書いた件を裏付けるかのように本日の日経紙では3割が期末で評価損を抱える結果となっているが、直近では傘下二社を擁するパシフィックホールディングスの破綻では昨年まで見られた破綻前に受け皿が出現するパターンとは異なる事態となっている。

今後も破綻が出て来る可能性もまだ高い中でも会社更生法では回収不能の貸出金に対し引当金を積み増す必要があり、その前に何処かのノンバンクではないが貸出金の回収を急ぐ動きが出ないとも限らず、これらの思惑も十分で急落急騰を繰り返す価格はさながら仕手株そのものの様相を呈している。


官製相場懸念

週末に大証のイブニング・セッションではサーキット・ブレーカー措置が発動になり、週明けもこの日経平均は続伸しているがこの株式、週末の日経紙一面には政府が「銀行等保有株式取得機構」の機能を拡充し、株価指数に連動する上場投資信託(ETF)の買い取りを可能にする方向で検討に入った旨を伝えている。

まあ期末を前にしたPKO復活というところで公的資金の市場への直接介入が為されようとしているが、ここ続伸している不気味な株価も更に実態経済や企業業績がこれらでベールに包まれてしまい、ますますこれがはたして公正な価格なのか否か一層その不気味さが増した感ありだ。

相場勘定がマイナスになったら要は税金負担だろうというオチもさる事ながら、直近ではプット等含めたヘッジという部分の必要性が薄いという歪な認識の変化が蔓延してくるのも怖い気がするが、これらが材料視されて株価が続伸する限りそうした増殖は自然だろう。

期末を睨んで重要なインフラである金融の核心部分を保護する意図も理解できるものの、日経でも指摘しているように「官製」相場のレッテルを他から貼られてしまったりしたらそれこそ「完成」市場にはほど遠いという事になるだろう。


人材バーゲンセール

さて先週末の日経国際面にて目に留まったのは、あのCIAが世界的な経済危機が地域紛争やテロ活動に繋がる可能性がある為に、外国企業の動きや資金の流れを分析できる金融のプロ確保が課題で、リストラで放出された米ウォール街からの有能な人材獲得を本格化しようとしているという記事。

なるほどねと思っていた矢先に似たような報道として今週出て来たのが、金融庁と証券取引等監視委員会が行った中途採用募集において枠が十数人のところへ100人以上の応募者が殺到したという記事。

こんな不況期でなくとも証券業界や商品業界で暗躍?した?害務員?が新天地としてその悪知恵を生かして様々なビジネスを創造する話はよくあるが、こうした紙一重でマトモな向きの増員は彼らにとっても今後脅威となって来るだろう。

以前は高給取りの「高嶺の花」と日経紙では表現していたが、これらもまた以前書いた「不況であるが故にM&Aやまた人材面においてもチャンスが巡ってくる可能性があり」としたそのものだろうか。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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