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J−GATE稼動

さて、今週の新しいものとしては大証の新売買システム「J−GATE」が稼動の運びとなり、併せて昼休みも廃止となっている。この「J−GATE」は注文処理の所要時間が従来の20分の1まで短縮、1秒間の処理件数が従来の15倍となる12,000件となる。初日の廃止した昼休みの時間帯の売買高は18,826枚であった模様だが、一部証券会社の中にはシステム不具合から障害が出た模様だ。

今回変わった取引ルールとしては、既にTOCOMなどではお馴染みな(FAS)・(FAK)・(FOK)などの執行条件が付加されるほか、ミニの限月増加、OPの呼値縮小等があるが、寄り前や引けの付け合せも変更になった。従来の発注時間の早さによって優先度に差が付かないルールから、新システムは発注が早いほど約定し易い時間優先原則を導入、当然高性能システムを擁する大手証券などが有利になるワケで、中堅証券などは大証での自己売買から撤退するとの声も聞かれる。

先月に中堅証券上場6社が発表した2010年4-12月期決算速報では、最終損益は4社が赤字、2社が前年同期比で大幅減益であると報じられている。黒字の2社でも純利益がそれぞれ大幅減となっており、膨大なITコスト対策もまた新たな悩みの種か。

一方、個人としても東証のアローヘッド稼動後の弊害?と同様に1ティック狙いのトレードは困難になろうか。上記執行条件の(FAK)や(FOK)等の入り具合では瞬時に板の景色が様変わりするであろうし、初日のイブニングなど見ていても一部では板がスカスカになる局面があり思わぬ値が出ないとは限らないだろう。

今回の新システムは立会場時代の名残ともいえる複雑な取引ルールを撤廃、グローバル標準の新売買システムのメリット拡大が謳い文句だが、今後も昼休み廃止に続いて夏場にはデリバティブのイブニングも現行から更に延長が予定されている。更なる攻めのサービス戦略が奏功することになるかどうか今後も引続き注目してゆきたい。


対日M&A

さて、今週に内閣府が発表した2010年の日本のGDP実額は、年間を通じて初めて中国の名目GDPを下回った。1968年以来、日本は米国に次ぐ世界第2位の経済規模を保ってきたが、とうとうその座を中国に明け渡した格好になった。

このGDPは既に大方予想されていた事だが済成長はやはり著しい。GDP逆転だけでなく斯様な背景で拡張するチャイナマネーも近年日本株投資の他、企業買収等へ振り向けられている。年末には中国系と見られる2つの投資ファンドが、日本の所謂「01銘柄」等を始めとした一部上場85社で10位以内の大株主となっていた事が判明している。

また中国企業による日本企業のM&Aも増加、平成22年の件数は年末の段階で前年度比約42%増の37件、ここ4年で2.2倍になった旨が報じられている。これに関連した件では2/12付け日経紙夕刊一面で、中国の大手会計事務所「信永中和」が日本に会計監査の拠点を設置する旨が報じられていたが、こうした中国系の監査法人が国内に設置されるのは初めてという。

日本企業の対中投資等のサポートもあるだろうが、この辺の動きは当然上記のような対日M&Aを睨んでのものだろう。積極化するチャイナマネーの旺盛な海外投資意欲を受けて、この手のグローバルな会計ネットワークが今後広がる可能性があると同紙では指摘しているが、ファンドの動向等併せてますます目が離せない。


ショコラの波

さて、昨日はご存知「バレンタインデー」であったが、今年は平日にあたり職場等においては義理?が発生するぶん例年アテの少ない殿方も束の間のイベント気分に浸れたと思うが、この平日になるのは3年ぶりのこと。

こうしたイベントものと絡めて必ず登場する行動ファイナンス理論だが、ちなみにこのバレンタインデーではここ20年間バレンタインデー当日の日経平均株価は71%の高い確立で上昇し、直近10年間では全て値上りしているという。なるほど昨日も日経平均は上昇し昨年4月30日以来、約9ヶ月半ぶりとなる高値水準で取引を終了している。これでまた一つ実績?が追加されたことになるか。

それはともかくチョコ系といえばここ近年は欧州著名店の日本進出が著しく感じられる。昨年はデフレがいわれる中を所謂売れ線だったのは高級チョコばかりであったが、今年はこれに更に拍車が掛かっておりマーケティングも応分のものになってきている。「サロン・デュ・ショコラ」などもそうだが、この辺はバレンタイン云々ではなく文化の相互理解の観点からも益々発展しそうな感もある。

ところでこれら原料のカカオといえば昨年はヘッジファンドのスクイズ観測等から暴騰するわ、今年は有力生産国の禁輸措置で先物が約30年ぶりの高値水準に達するなどで話題には事欠かないが、今後も先物、製品いずれの世界でもまだまだ熱いシーンが見られそうな気配だ。


メガ取引所

さて、先週末にかけて飛び込んできたビッグニュースといえばNYSE(ニューヨーク証券取引所)を擁するNYSEユーロネクストと、欧州大手のドイツ取引所が合併に向けて協議に入ったとの報道だろうか。また、ロンドン証券取引所とカナダのトロント取引所を擁するTMXグループも合併で合意と発表している。

この両者(NYSEユーロネクストとドイツ取引所)の縁談話といえばかつて2008年に一度破談になった経緯があるが、時を経てその環境も新興国市場の台頭に危機感を共有し、使い勝手のよい市場作りやコスト削減効果で地盤沈下を避けようと焦眉の急を告げるものに変わったということなのだろう。

その辺をベースに何れのパターンも特化が鮮明となっている。NYSEユーロネクストとドイツ取引所のケースではデリバティブ取引ではCME(米シカゴ・マーカンタイル取引所)グループと双璧の世界最大級のグループになる。また、ロンドン証券取引所とカナダのトロント取引所のケースでは、もともと世界の代表的な鉱山が多数上場していることから鉱山セクターにおいては圧倒的な強みを持つ取引所となる事か。

さて、斯様にプライドを捨てて国を超えた合併提携が進んでいるが、国内はどうだろうか?東証など数年前にはこのNYSEとの業務提携の話があった記憶があるが、今回の件で東証の社長は国内外取引所との提携については「東証は常にオープン」としながらも「今すぐというのはなかなか難しい」と述べている。この東証社長が言うように文化や価値観、国家体制が違うこともあるのだろうが、この狭い庭で今まで幾つか淘汰があったにせよ取引所が5つも存在しているのはやはり外から見れば奇異に映る。


49人モノ

昨日の日経紙夕刊一面には世界のヘッジファンドの運用資産が急回復し、2010年12月末の資産残高は1兆9,173億ドルと1年前より約2割増え、リーマン・ショック以前の08年6月末に記録した過去最高の1兆9,314億ドルにほぼ肩を並べるまでになった模様。金融緩和によるカネ余りもファンドを勢いづかせ、世界の株式や商品市場にマネーが流れ込む構図という。

さて、ファンドといえばこのように規模が巨大な物から殆ど仲間内?で組成しているような小粒の私募ファンドまであるが、このほど証券取引等監視委員会は合法的な仕組みを装って規制を逃れているファンド業者の摘発を強化する模様だ。金融商品取引法施行以前から私募モノなど一部富裕層に出回っており、旧店頭モノのCB等を彼方此方結託して自在に操り数百パーセントの運用益を叩き出した実にオイシイ出来レース的な物もあったが、その一方ではこれを隠れ蓑にしての錬金も一部横行する例が後を絶たない。

今月も某証券がインチキファンドを組成していたのが発覚して処分勧告されていたが、そういえば今は無き某商品取引員もこうしたファンドに手を染めていたところがあったなと思い出す。もう一つ今週は法令順守意識が著しく欠如している投資助言業者についてもまた、登録を拒否できるよう証取監視委が金融商品取引法改正を金融庁に建議していたが、こうした助言業者も仕手株全盛期の環境からすると今は一変しその営業手法もネットが発達した今は可也変遷している。

何れも顧客(投資家)がカモにされる事例でここ挙げられているが、中身を覘いてみればこの手は実に単純だ。昨日記の新興国モノ投信などマトモな物もその仕組みの半分も理解していないのが個人の実情だが、まして怪しいファンドスキームや弱小投資顧問の運営方針等は一個人にはなかなか知る由も無く、イタチゴッコのなか当局がどの程度そのカラクリを見抜くかに本腰を入れるのに掛かっているといえようか。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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