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分散と役割

さて、本来の予定であれば今週の月曜日からは東証が現物株の前場の取引終了時間を30分遅らせ、昼休み時間を午前11時30分から午後零時30分の1時間に短縮するはずであったのだが、周知の通り東日本大地震後の厳しい電力事情を受けて節電に協力という格好でこれが延期になっている。

他にもサマータイムを導入、ポロシャツなどの節電ビズ、マーケットセンターの電光表示板消灯、各種イベントの中止も併せて実施、証券取引所といえば西では大証も7月からの一部業務を大阪市の本社に移管することを柱とした節電策を発表している。

ところで先週5/3付けの日経紙では全国の都道府県知事に実施した東日本大震災に関する緊急アンケートで、首都機能の分散・移転が「必要だ」と答えた知事が27人と過半数に達し、東京一極集中に懸念を強めている旨が載っていた。この辺に関しては先に東京都知事も「首都機能のうち証券市場の中心は大阪に移すなど、大きな発想力で取り組むべきだ」と訴えている。

東京といえば国際金融都市を事あるごとに謳い永田町でもそうした議論が盛んに行われていたものだが、今となっては誰も口にしなくなるくらいジワジワとした凋落ぶりは各方面でも周知の通り。はたして国内でも今回をいい機会と捉えて経済系は西へと仕切り直しなどという気運になるのか否か、東西の役割分担などテーマが大きく直ぐには先が見えてこないものの今後もこの辺の論議には注目したい。


臨増

先にあの銀先物急落のトリガーとなったのは証拠金引き上げであったが、次にCMEは10日の取引終了後からWTI原油先物の取引証拠金を25%引き上げると発表している。併せて北海ブレントやガソリン、灯油など他のオイル系の証拠金も引き上げる模様だ。

昨日は為替デリバティブの損失について触れたが、上記の通り頻繁な所謂臨増し証拠金が必要になるくらいコモディティーも荒れてくるとヤラレたファンドなどメジャー系が浮上してくる。早速というか直近では世界最大のコモディティーファンドともいわれる「クライブ・キャピタル」が、先の原油急落で4億ドルヤラレたという報をFT紙は伝えている。

この「クライブ・キャピタル」といえば年間の平均リターンが27%といわれ、推定50億ドルの顧客資産運用額を擁しているというファンド。今年は直近の4月まで上記の通り好調なパフォーマンスを示していた模様だが、この原油でその週のパフォーマンスが8.9%悪化したという。

他にもココの半分程度の規模のエネルギー系ヘッジファンド、アステンベック・キャピタル・マネジメント擁する主力ファンドも運用資産が12%減少したと伝えられているが、近年はLTCMのような超レバ系はめっきりその姿を消し一発パンク型もなくなってきたなと。商品もジュリアン率いるタイガー等が破竹の勢いだった頃がなんとも懐かしい。


順次トリガーに

本日の東京外国為替市場の円相場は対ドル・ユーロ共に円高が進みまた80円大台の攻防となっている。GW中も米経済の思惑や、コモディティー下落もあって円カバーの動きから海外市場では円が一時79円台まで買われ、G7が円売りの協調介入に踏み切った3/18以来、1ヶ月半ぶりの円高水準があった。

そんなワケで介入思惑など再度話題に上り始めたが、デリバティブ系もまた然り。中小企業が抱えている為替デリバティブの損益状況は金融庁の調査結果によれば、2004年度から10年9月までの期間中に、差し引きで約1,400億円の損失が発生した模様と先に報じられている。

中小に限らず大手も然りで6月に「サンエー・インターナショナル」との経営統合を控える「東京スタイル」は先に11年2月期の連結最終損益予想を黒字から一転赤字に修正、というのもこの円高で為替連動型のデリバティブの評価損が36億円発生、これを営業外で計上することになる為とか。

同社の経営統合本部の話によれば、04年以降1ドル100円より円高が進むことはないだろうと考えて投資した模様だが「相場に翻弄された」と。今後は本業に集中する為にデリバティブからは撤退するというが、フラット為替然りデュアル・カレンシー債然り台が変わる度にまた幾つか明るみに出てくるものも多数だろうか。


シルバー・ショックとか?

さて、GW前の当欄ではコモディティー、特にメタルやオイル系の破竹の勢いを取り上げ銀など「TOCOMでは空中戦の感も。」としたが果たしてというか山高ければなんとかで、19商品の先物相場で構成されるロイタージェフリーズCRB指数は5%の急落で史上5番目の下げを記録、上記の銀などは連休前に31年ぶりの高値を取ったが今度は週間ベースで約30年ぶりの暴落とか。

これを受けたGW後半6日のTOCOMではこれらコモディティーが軒並みサーキットブレイカー交えての暴落、またETFの方も果実シリーズの純銀がザラバ2,640円安と痺れる急落で非鉄モノなどは年初来安値を更新するものも出ており、株式もNYMEXで09年4月以来の下落率を記録した原油先物急落から今まで素直に原油高の恩恵を受けてきた国際帝石や石油資源開など軒並み急落となっていた。

こうして一寸した宴が終ってみると、先月のゴールドマン・サックスのCCCP(商品バスケット)の「買い推奨」打ち切りやJPモルガンなどの警告が非常に有難みを帯びてくるというものだが、外科的措置で冷やされたものの構造自体なかなか変わりようもなくさてこれで終焉か否か?

そんなワケで国内などこの影響もあってGWが明けてみれば総取組高は39万枚割れと最低枚数更新となった模様だが、一方で香港では18日からHKMEX(香港商品取引所)が取引を始める。第一弾としては金の米ドル決済先物取引となるらしいが、米ドル決済モノというと以前にはTOCOMで構想に挙がったのが思い出されたりもするが何れにせよこちらの今後にも注目したい。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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