ハロウィーンに戦後最高値更新

さて、ハロウィーンの本日は周知の通り円相場が早朝のオセアニア外国為替市場で一時1ドル75.32円まで急伸し、戦後最高値を更新した。直近の円高に対してオオカミ少年のように「断固たる措置を取る」と繰り返し判で押したように発言してきた財務相だが、この動きを受けて政府・日銀は8/4以来、約3ヶ月ぶりに単独介入に踏み切った模様。

肝心の円相場はこれを受けて前場半ばに急反落、一時1ドル79円台半ばまで3円以上急落となったが、直近ではこの時を待って鞘を抜こうとドル買いが溜まり「くりっく365」など買越残高が月初の1.5倍まで膨らんでいただけに、今回は絵に描いたような久し振りの美味しいタダ貰いになった計算か。

しかし1〜2日にはFOMC、そして3〜4日にはG20首脳会議と重要日程を間近に控えよく思い切ったものだと思ったりもしたが、これで大量のFXドルロングが手仕舞いに出され、FOMCでは「伝家の宝刀」QE3でも打ち出されたらと思うと折角の介入効果が心配になってくるが、まあこれだけ株価が持ち直している状況下でQE3ナシと見て踏み切ったか。

25日付けの当欄では「協調のハードル」として「〜政府はどう出るかこの辺が引続き注目されよう〜」と末尾に書いたが曲がりなりにも一先ず本気度合いを見せた格好になったものの、口先介入の玉が尽き戦力の逐次投入へ移行した感は当然拭えない。まあタイミング的には上記の通りサプライズで辛うじてこれを書いている時点で3円ほど円安になっているが、日経平均は見事に打ち上げ花火の如くの上ヒゲ陰線で再度9,000円の大台割れの安値引け。当の日銀のデフレ選考構図も続き、今後も予断を許さない状況に変りは無いか。


日本のコーポレートガバナンス問題

今週も株式市場は薄商いが続いているが、それだけに東電とオリンパスの商いがこのところ突出して目立つ。さて、これら何れも問題企業ながらやはり今が旬?なのはオリンパスか。本日は苦し紛れにとりあえず?の新社長が経緯会見を開いていたが、当初からどう見ても一連の買収劇は黒く映る。

大体においてM&AにおけるFAへの報酬として通常の30倍以上もの報酬とか、そもそも報酬で優先株の発行なんぞは聞いた事が無いし、国内3社の買収にしても売上高の数十倍の金額を買収に費やし翌年には減損処理など、漫画に出てくるような粉飾隠蔽紛いの処理は正気の沙汰ではないのは明白だろう。

何れ真相が明らかにされようが、蛇足ながら今回の件で急に思い出したのが上司の非合法行為を内部告発した同社社員を産業医診断を使い葬ろうとして問題になった件。今回の件と併せ内部告発者を暗に葬ろうとする体質と勘繰りたくもなる。それにしても元社長の解任からわずか2週間以内に社長が2度も交代する異例の展開。この辺は今週閉幕した第13回日経フォーラム「世界経営者会議」にて当初登壇予定だった疑惑の社長が欠席した段階である程度予感がしたが、それにしても異常事態である。

外人株主など一連の出来事が奇異に映っただろうが、奇異に映るのは何も企業に限った事でなく総理大臣が面白いようにころころ代わる国そのものもまた然りか。そんな国の企業統治問題が改めて露呈してしまったような気がする。



社会保障考

さて、今週あたまの日経紙一面には厚生労働省が会社員の加入する厚生年金保険料の算定基準を見直し、対象となる月収上限を引き上げる方向で検討に入った旨が載っていた。また直近では、年金財政が逼迫しその年金の支給開始年齢が最大で70歳に引き上げられるという話が出ていたが一昔前の段階的引き上げの話は早くも反故か。

しかしこんな報道が為されると真っ先に試算したくなるのが払い損になるか否かの分岐点で、マトモに通れば中年世代がその辺に位置するが、こんなもので世代間格差が広がるのは当然いい訳がなく、上記の厚生年金月収上限引上げ然りこんな最近の報道を見ていると正直またかといった感じは否めない。

増税にしても先ずは官の無駄の削減こそ前提だろう。そもそも高給取り議員が多過ぎこの給料削減に議員定数の削減、一部公務員も給料共々削減が先だろうと思うのは私だけではない筈。いっそのこと保険も年金も全て一本化との声も出てきそうだが、月収上限引上げひとつ取っても負担増を迫られる高所得者層や企業からの強い反発は必至で、こうした層の部分でも空洞化?が進むと国力の問題にも絡んでくる点も政府はそろそろ気付くべきであろう。


協調のハードル

本日の外国為替市場では、米国が追加金融緩和に踏み切るとの観測が広がった結果円相場が続伸し、東京市場として9/21につけた最高値である76.11円を更新となった。この円相場、先に週末のNY市場で1ドル=75.78円に上昇し市場最高値を更新しているが、マクロファンドのショート説やら仕組み債ノックイン説やらが目下飛び交っている。

しかし要は日銀が円安政策を導入しないことに投資家も業を煮やしてしることだけは間違いなく、昨日は財務相が円売り介入の準備を財務省に支持したことが明らかにされていたがこれも何処と無く虚しい。実際に介入となれば今年8月以来の事であるが、周知の通り先にスイス国立銀がスイスフランの上限目標を掲げ目標達成に向け必要に応じて無制限介入を実施する方針に倣うとの観測も一部出ている模様だ。

しかしどうだろう、そもそもフランと円では世界の通貨売買に占めるシェアが違い過ぎ、これだけ取引量自体が違う中ではたして同様の効果が得られるとは考え難い。結局多額の介入で腕力介入となるも、景気減速に歯止めがかからない米に火消しに躍起になっている欧州等との協調はハードルが高く聳え、その効果にも疑問符が付く中で政府はどう出るかこの辺が引続き注目されよう。


投機マネーの居場所

本日は一寸書店に向かう際に、近所のビルに入っていた某ヘッジファンド会社の看板が消えていることに気付いた。はて移転したのかはたまた?とあれこれ想像していてフト頭に浮かんだのが、週末の日経紙にて「ヘッジファンド1.6兆円流出」として世界の投資マネーがヘッジファンドから資金を引揚げ始めている旨が載っていた件。

ユーリカヘッジによれば9月の資金流出額は210億ドルと前月の6億ドルから急拡大し、約2年半ぶりの大きさになったとしているが、夏以降の相場モノが急激に悪化した影響が大きかった模様だ。この辺は直近でもサブプライム問題に絡んだショートで一躍有名になり、まさに飛ぶ鳥を落す勢いであったジョン・ポールソン氏のヘッジファンドが50%近いマイナスを出しており、その顧客流出に絡んだ思惑が一寸した話題になっていたのは周知の通り。

先週も書いてきたが、国内でも週間を通じて東証一部売買代金が9,000億円にも満たない超薄商いで十分なリクイディティが提供されていた時期がもはや懐かしい。これでは動きようもないが、株の方もファンドの名前が挙がっても株価が反応するのはほとんど一日天下、バリュー系でじっと抱いている向きはあるもののアクティブ系は近年目立った姿を見ていない。

ところでちょうど1年前に当欄では「買収ファンドも順次撤退」として、日本で活躍する外資系企業買収ファンドの撤退が目立つ旨を書いたが、お国事情で弾かれその後も市況環境悪化とこの1年で投機マネーの居場所がますます狭くなった感がある。ここへ来てあのジョージ・ソロス氏やカール・アイカーン氏も顧客資産を返還し表立った活動から隠退?表明をしているが、両者「何が起きるか分からない」としている通り民主化デモ一つ取っても既に激動期、まさにブラックスワン時代である。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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