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裏上場レンキン

さて、本日の株式市場は後場に入って一段高し4営業日ぶりに急反発していたが、そんな地合いのなかでも昨日に引き続きセラーテムテクノロジーは比例配分でストップ安に張り付き、明日はいよいよストップ安下限が2倍に拡大される。今週もいろいろニュースがあったなかで、周知の通り同社は自社株の吊り上げを狙い、虚偽の情報を公表したとして東京地検特捜部が同社社長及び役員を逮捕したことを受けたものに因る暴落だ。

やはりなといった感じだが、同社に関しては既に一昨年の10月に「実際に株式市場でも数年前から中国ビジネスへの進出をネタにしてインチキ相場を作った銘柄があり〜〜現在も背後に中国資本介入やら裏上場の噂やらでどう見ても不自然な化け方をした銘柄は依然多い」とコメントしている。まさにココがそれだったワケだが、当時はまだ裏上場疑惑といっても単なる噂に過ぎないと一笑されることが多かったものだ。

今回問題にされているのは「北京誠信能環科技」なる中国のソフトウェア会社であったが、中国企業といえば昨年は不正会計疑惑で海外市場にて上場する中国企業の会計不信が拡大し、数十もの中国企業株の売買が停止処分、架空投資を継続させていた中国企業の株で著名投資家がかなりヤラレたという経緯もあった。コトの発端は北米市場に上場している企業であったが同所の新興国企業の大半は中国が本拠地で逆さ合併による上場が半数を占めているという。

当然こうしたIPOの背景には投資銀行の影がチラつくワケだが、当の本拠地の上場基準厳格化で炙れた向きがこうしたところへ活路を見出し?進出したパターンもあるという。利害一致でこんな波が大証にまでうまく流れ込んだということなのか、真っ当なところ以外で中国ビジネス色を売りにしている怪しいところは今後包囲網が狭まってくるか。


捨て場

先週末に当欄ではVI先物が開始されたことに触れたが、その末尾ではコメ先物のワラントにも少し触れた。さてこのコメ先物だが、本日の日経紙にコメ先物のデリバリーにおいて大半を福島県産が渡されている旨が書かれていた。

昨年8月の取引開始以降に受け渡された早受け渡し含むコメは東穀取で1,140トン、関西商取は651トンで東穀取では85%が福島県中通り産となっており、今年に入ってからのそれはすべてが福島産という。現在受け渡しには栃木県や千葉県など関東や東北など19銘柄が使えるが、東穀取社長のいう「割安だからだろう」というより単純に「捨て場」になっているのは明白か。

この記事のすぐ上には「福島米の苦境続く」として大惨事となった東日本大震災と福島原発事故からもう一年が経過しようとしているが、依然として風評被害もあって同コメの流通混乱も書かれている。本日の日経MJでは特集で「食の安全は今」としてアンケートが出ていたが、事故以降に商品の購入先を変えたり新たに増やしたりした人は27.9%、首都圏では3割を超えるとも出ておりまだまだ「捨て場」も活躍しそうだ。

しかしこんなのが恒常化すると相場の方も安値安定という具合にはならないのだろうか?
ボラがなくなれば妙味が薄くなるし、またはもう既にそうした状況なのかもしれないが、この適用銘柄から外してしまう手もある?か。とは言っても上記のように「風評被害」にナーバスになっている時期にそんな措置では東穀取もこれを助長するのに加担とか叩かれそうな気配もするが、今年の場合来月から福島全域で土壌検査を徹底するようで新米が出回る秋口に注目ということになるか。


巣食う天下り

本日の日経紙一面には、今問題になっているAIJ投資顧問に絡んだ厚生省の調査で2009年5月時点で全体の3分の2にあたる399の厚生年金基金に、旧社会保険庁職員ら国家公務員OBが全体で646人も天下りしていたことが明らかにされた旨が載っていた。

先の東電でも早くから当欄で指摘してきたような長年にわたって続いた続天下りの悪しき構図が明らかにされたばかりだが、何か問題が起これば当然こうしたところにも深く巣食う天下りの構図も次々と炙り出される。しかしAIJの販売拡大にこうしたOB人脈が深く関与していたということだが、詐欺会社に有名人が小遣い稼ぎで名前だけ貸すパターンと然程変わりがない。

こんな外面で次々と成約してしまう現状を見るに基金側も企業側も果たしてどれだけ金融に通じているのだろう?という疑問も出てこないわけではない。悪しき構図といえば、そもそもこの基金を所管するのは厚生労働省、一方で金融庁は運用する業者を所管するといった具合に現状監督官庁がまたがっており、こうした部分が問題をややこしくしかねないところもどこかの業界と似ているなと。


優待取り珍事

本日の日経平均は手掛り材料難のなかを先物への売りが重しとなって1週間ぶりに9,700円割れとなったが、そんな中を年初来高値更新していたものとして私鉄大手が目立った。この私鉄大手といえば先週末の日経紙投資・財務面には「鉄道株、昨年来高値相次ぐ」として、期末控えのこの時期、乗車券などの株主優待や配当を狙った買いも入って東急が約2年4ヶ月ぶりの高値、増資で急落した東武も往って来いの戻りを見せるなど私鉄大手群がこのところ軒並み昨年来高値を更新している旨が載っていた。

さてこうした実弾で堅調な株もあれば、同じ優待狙い株でも需給で面白くなってしまう事例もいくつかある。一頃というか今でも「優待タダ取り」と称して、マル信でクロスを振って優待だけもらうという方法が一部証券会社のメルマガなどにまで紹介してあるのを見掛けるが、中には人気が付き過ぎて気が付いてみればトンデモない株不足になってしまうものもある。

例えば先月に年初来高値を更新した東京ドームなどはたしか数円の逆日歩が突如として付いていたと思うが、ココは60,000株以上で巨人戦指定席Aの株主証が手に入る。値もそこそこ低位だから60,000株程度なら安易にクロスする向きも居るだろうが、こんな逆日歩に遭ったらタダで手に入る筈の優待に数十万円のコストがかかってしまうという笑えない珍事も制度信用の場合は可能性があるということ。

まあ、今の時代昔とは違って制度を避けて一般やら他の派生商品を利用する手もあるが需給睨んで二階建てで両取りというツワモノも居るあたりがまたこの手の面白いところでもある。


日経平均VI先物開始

本日から3月入りとなったが、今週は週明けからAIJやらエルピーダメモリ破綻やらと話題が多くマーケットの方もこれら睨んで比較的場中はボラタイルな動きが多くなった。ところでボタライルといえば、今週は週明けから大証で日経平均ボラティリティ・インデックス(日経平均VI)を対象とした先物取引がスタートしている。注目の初日は取引高が49枚、初値は3月物で23.50、終値は23.25となり大証は初日としてはまずまずの取引量としている。

この日経平均VI、ご存知の通り一昨年から算出・公表を開始した投資家が予想する将来の株式相場の変動率をオプション価格を使って指数化したもので昨年まで終値ベースで算出されていたが今年からリアルタイムで表示、リーマン・ショック後には92.03まで上昇、また昨年の大震災発生後には69.88を付けた経緯がある。以後昨年12月以降は20をやや上回る水準で推移しているが、VIX同様なかなか使えそうと期待する向きは多い。

この恐怖指数系では既に大証で一昨年12月から国際投信が運用する米VIX指数を対象にしたETF(短・中期)が上場しているが、今回は日経平均VIを元にした商品で日本初となる。今のところ機関投資家向けのスタートだが、商いの状況を見て夜間取引を実施するか検討するとのことで、今後これら含めどういった枝葉が出て来るか注目。

ところで新商品といえば今月から大手ネット証券で、コメ先物のオプションを証券化した「eワラント」の取り扱いを始めるという報も今週あった。まあ先物と違ってその証拠金は驚くほど安いわりに相場のボラは大きく反映してくれ、ワラントだから追証もなければ元本以上が飛ぶ危険もない非常に面白い商品。胴元は移管巡っていろいろ迷走だが、横では日進月歩で商品が登場しておりこの辺はまた後述することにしよう。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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