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カモ

さて、本日の日経紙でちょっと目に留まったのが「大機小機」の末尾の文章、すなわち「翻って日本は最悪の財政赤字を抱えながら消費税増税でもたついている。ユーロ危機を防ぐためにIMFへの協力に積極的だが、このままではIMF管理もありうる。」という部分であるが、この辺はまったくの同感である。

この消費税増税に絡んで当のIMF専務理事は、首相が目指す2015年までに10%まで段階的に引上げる方針を強く支持すると発言している。財政再建に対する中期的な期待を高めることで日本経済の回復に寄与すると考えるとのことだが、その財政再建が急務な国から600億ドルも毟り取るのを取り付けておいてこれだからまあ物は言いようだなと。

つまるところ増税でも何でもして更なる資金捻出を視野に入れているところなのだろうが、結託というか利用されている政府も政府である。個人ベースでボヤいても仕方ないがこのままでは上記の大機小機の一番最後の部分に書いてある「沈みゆく国」になりかねない。が現実のものとなってしまうのも想像に難くないか。


相対的に

さて、本日の日経平均は小幅ながら続落といったところだが、その東証一部出来高は15億4,132万株と完全に様子見な展開に終始していたといえよう。さてそんな東証でも先に報じられた昨年の売買代金は、中国・上海取引所を上回りアジア地域で3年ぶりに首位になった模様。

しかしなんとなくだが感覚的に意外?と思ったのが正直なところ。この辺は東証が海外投資家の参入が拡大してきたのに対して、上海は金融引き締め策の影響で売買代金の落ち込みが大きかったとのことだが、まあ総じて東証が特に秀でていたというよりも上海がそれ以上に悪かったということだけなのだろう。

これで大規模な投資が奏功したとまた一段と東証は海外誘致に躍起になりそうな気配がするが、中国は政策一つで一変する可能性がありこの辺も注目ながら結局は利便性が要、今後も各所のマネー争奪戦の動きに注視しておきたい。


貸株事情

週明けの日経平均は欧州債務問題が再度深刻化するとの警戒感から幅広い銘柄が売られ、先週末にかけての上げがほぼ帳消しになる往って来いとなった。こうした不安が再度台頭するとなると全体の貸借構図にもまた変化が出そうだが、この辺に絡んでは先週末の日経紙夕刊に「空売り増加、投資家は弱気?」として空売り比率が4ヵ月半ぶりの高水準になった旨が書いてあった。

ところで空売りといえば、米投資信託界でも人気のIPO銘柄を貸し出すことで第1・四半期に思わぬ利益を上げた旨も最近のロイター記事で見かけた。株式が公開されて間もなくのリクイディティ乏しいなかで、需要の多いものにはプレミアムが付くワケで跳ね上がる貸し株料率が旨みという。

しかしタイトな環境といえば今は市場から無きライブドアの前身、オン・ザ・エッジの分割劇で新株発行までのタイムラグ絡めて暴騰したのがいまだ記憶に新しく、寧ろスクイズが連想されてしまうが裁定含めこの手はいろいろ需要もあるのだろう。まあ本邦の場合は比較的ガラス張に近く小口が集まったショートは最近スクイズされ易くなってきたし、付随的にまた逆日歩も一寸前に比べれば一日天下で無くなってきたあたりが以前と地合いの変化を感じるともいえる。


なんでもデリバティブ

さて、昨日の日経紙国際面にはオバマ大統領による「バフェット・ルール」等に絡めた大統領選票の行方の話が出ていたが、4日付けの同紙にも「米大統領選 株価を左右」との特集があり大統領選が取り上げられる機会が増えてきた。ところで大統領選といえば、今月初旬にはCFTCが米デリバティブ電子取引会社ノースアメリカン・デリバティブ・エクスチェンジが申請した米大統領選を予想するデリバティブ取引を却下した旨も報じられていた。

この「大統領選先物」なるものについては、既に5年前の当欄で触れたことがあったが、CFTCの言うところの「政治イベントを証券取引の対象にするのはギャンブル性が高く、公共の利益にかなわない」との見方があるものの、この手は世論調査よりも更に実際の結果との乖離が少なくそういった面ではなかなか使える。この手の申請は監督側のさじ加減ひとつだがそれでも海外ははるかに品揃え多彩でなんでもデリバティブである。

変わったところでは生命保険証の売買まで可能で実際それなりにリクイディティもあるようだが、契約も解約より換金率が高いことから契約者との成約もし易く、その契約者の生死で運用利回りが決まるので外的なファンダメンタルズとの相関性がほとんど無いというのがウリなようだ。

この日本で変り種といえば今はせいぜい天候デリバティブくらいのレベルだろうが、上記のようなものが日本で解禁にならないものだろうか?まあ、そうなればそうなったで闇のビジネスもまた横行しそうだが、作ろうと思えば作れる商品ばかりで少しずつでもこの辺の枝葉が広がってゆくことを期待したいものである。


ゴールドの功績

本日の日経紙マネー&インベストメントには「商品先物で分散投資」と出ており、商品を資産運用の一部に組み入れる人も出始めている折その仕組みや注意点などが載っていた。紙面には例として金・ガソリン等やはりTOCOMモノが挙がっていたが、やはり一般へのコモデイティ浸透に貢献したのはここ数年の金の値動きが奏功したのは認めざるを得ないだろう。

この金も証券界などからもネット証券大手中心に過去数社が金関連に参入してきたものの、そのタイミングが早過ぎたのか何れも志なかばで撤退を余技無くされたものだが、今月は楽天が投資資金を金などの貴金属に振り向けることができるサービスを始める等の動きが再度出てきた。

この辺もそうだが一昔前では考えられなかったこんな紙面を割いての商品先物紹介が漸く一般的になってきた裏で、胴元の取引所といえば東穀が解散を視野に最後の足掻きというか根回しが醜い。ただ一方でそんな胴元の最後の大型上場ともいえるコメのワラントなどが新規で出てきているのが現況で、並行してソースだけ抜かれてゆく動きが粛々と進行している。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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