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アルゴの暴走

昨日のNY外国為替市場ではユーロが対ドルで4日ぶりに上昇となったが、このユーロといえば先週はスイスフランに対して一時5ヶ月ぶりの高値近辺まで急上昇する一件があった。これはRBS(ロイヤル・バンク・オブ・スコットランド)証券のトレーダーが引き起こした取引ミスによるものという。

この辺はロイターによれば電子取引プラットフォーム「EBS」でミスが発生し、他の銀行のコンピューターによるアルゴリズム取引が誘発されたことでこの急上昇がもたらされた模様。顧客資産に影響は全く出ていないとしながらも同証券の損益等について公表は無いが、金融市場ではつい最近米マーケットメーカーであるナイト・キャピタルの取引ミスで150銘柄の株価が乱高下する事態が発生したばかり。

RBS証券の財務基盤は兎も角として、このナイトに至ってはたった数十分でその屋台骨を揺るがす規模を飛ばした模様であるからやはりこの手の金融事件は異様と言われても仕方なしだろう。SECやCFTCは高速取引の実態把握に乗り出している模様だが、先にも書いたように初期段階より念には念を入れたシステムや取引でもこの膨張したマネーやアルゴリズムの前に完璧という言葉は存在しなく何れまたこの手は出て来ようか。


ロンドンオリンピック閉幕

第30回夏季オリンピック・ロンドン大会が閉幕した。閉会式も開会式同様にそこそこ素晴らしかったが、今大会の日本勢の結果は金メダルが7個、前述したようにJOCが獲得目標としていた15〜18個の半分以下に終ったものの、獲得総数は37個を取ったアテネ大会を上回る38個と史上最多となった。

しかし毎回感じるが技の進化は末恐ろしいほどで、内村選手に沸いた体操競技ではオランダのゾンダーランド選手の鉄棒など個人的に圧巻であった。彼の一つの技でも少し前などかつては成功するのが五分五分で演技に組むかどうか躊躇していた技を、開始直後から立て続けに3回連続させるという超離れ業を見せてくれた。かつての塚原選手がムーンサルトを発表してから40年、技も既に未曾有の領域に入ってきた感がある。

一方で組織委員会が絡む政策には、広くスポンサー企業も含めおよそ健全なスポーツの精神というかイメージには遠いグレーな部分も一部露呈されているが、巨額なカネが動くだけになかなかクリーンとはいかないか。

さて金メダルに話は戻るが、今大会の金メダル重量は夏季五輪史上最も重く先の北京大会の約2倍、また近年の相場高騰を映して価格も先の北京大会の約2.6倍に跳ね上がった模様だ。しかし、JOCも獲得目標を挙げるのもいいが、他国に比べるに日本の控え含めた選手への対応の特異性を見るに、日本の金メダルが獲得目標以下という原因がこの辺に無いともいえないのではないか?


業界初の上場

さて、今週目に留まったイベントのひとつに海外市場でのIPOがあったが、日本のパチンコホール大手のダイナムジャパンホールディングスの香港証券取引所への上場がそれである。注目の初値は公募価格仮条件の下限で決まっていたこともあって公募価格と同値の14香港ドルとなったが、注目はパチンコホール運営会社の上場自体が国内外で初めてというところだろう。

これで思い出すのが、かつて上場を目論んだ同じパチンコホール運営大手のピーアークである。今から数年前にたしか日興が主幹事でジャスダックに上場する準備が整っていたものの、三店方式換金システムの合法性の部分が引っ掛かって投資家保護が見出せないとして上場が叶わなかった経緯がある。

それが今回の香港証券取引所に上場が叶いしかもGEMでなくメインボードへの上場というから、関係者としてはさながら取引員が初の株式公開を果たした時のような興奮を覚えたに違いない。グレーゾーンという色の濃淡が大きく変わることは無いと思うが、おりしも規制強化の流れの中で同時に参加人口減もいわれる業界、いずれにしてもこの香港証券取引所への上場が、こうしたグレーゾーンが絡む業界を巡る制度論に一石を投じるのかどうか今後注目されよう。


システムの脆弱性

昨晩は遅くまで東証には明かりが点いていたが、周知の通りこの東証でTOPIX先物や日本国債先物等のデリバティブ取引が約1時間半全面停止するというシステム障害が発生した。ルーター故障が原因といい、一応取引自体はその後に再開されたものの国債の先物が手掛けられなかった為に現物債を売った投資家も居た模様である。

さて東証のシステムトラブルといえば、最近では東証上場200銘柄以上もが売買停止になったあの2月のトラブルを思い出す。前回これを取り上げた当欄では「〜こんな茶番を言っている間に数百億円も注ぎ込んだ自慢の高速取引とやらを少しは危惧したほうがいいだろう。」とも書いたが、果たしてというかあれから半年で今年2度目の不祥事である。

東証の1日のデリバティブ取引売買代金は約5兆円で、最近は1兆円割れも珍しくなくなった薄商い現物株を上回る規模、最近ではTOPIX先物主導で相場も振れる場合もあり、先の現物トラッキングエラーから先物裁定にも影響が及ぶ恐れが生じた事態など鑑みるにやはり立て続けのトラブルは由々しき事態だろう。

銀行等もこの手では起こっているがバックアップ体制の見直しを経てもなおこの手の障害は避けられないものなのだろうか?おりしも大和証券グループ本社等と組んで5月にはミャンマーで証券取引所の設立支援に関する覚書を締結するなど証券システム受注を固めた矢先の出来事、また足元でも大証との合併を控える身でもあり双方共にこれらが足を引っ張ることにならなければよいが何れにせよ金融インフラだけに猛省を促したい。


サヤ寄せ中

本日も株式市場は続伸となっていたが、なかでも東証値上がり率ベスト10ではソントン食品が昨日に続いての連日のストップ高で一際目立つ。昨日触れたFXプライムはTOBであったがこのソントンの場合は先週末に経営陣によるMBOで非上場化すると発表、買い付け総額は約156億円でその1株1,000円の買い付け価格に本日も鞘寄せする動きとなっている。

ところでこのMBOといえばかつて上場していたCCCがMBOを実施してほぼ1年が経過した。あれから同社は業務提携していたカカクコム株の大半を3年足らずで売却したが、この辺もMBOに伴う借入金返済を前倒しで目指すという同社の資金捻出の一環だろうか。

市場から名が消えるのと引き換えにMBOすることによって税金面やら配当やらの部分の負担は大きく減少するが、上場時とはまた違う舵取りの難しさが求められる。業界でもMBO実施の前例があるが、上場廃止後もその手腕が問われるのには変わりがないだろう。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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