本領発揮

昨晩の米株式は反発、再度大台を窺う展開となっているが「財政の壁」回避へ年内合意の期待という他に今年もヘッジファンドの45日前ルールも健在といったところか。ところでヘッジファンドといえば週初の日経紙にはハイリスク・ハイリターンを求めるヘッジファンドが、南欧で最も厳しい状況のギリシャの債券や株式の投資に乗り出している旨も書かれていた。

リスク選好はこれにとどまらず本邦もターゲットにされており、不振を極めている大手家電や鉄鋼、紙に至るまでボロボロに売られた企業のCDSにも積極的な投資姿勢を見せているとも先に報じられている。上記などギリシャの動向如何では資産の毀損が著しくなる可能性もあるが、これら可也危機を折り込んだ水準と判断し上手くいけば1年で2倍に増えると見ている模様とか。

ちなみにユーロ圏が今週決定したギリシャ支援策では同国に自国国債を買い戻させることで合意、このまま行けば額面の遥かディスカウントで手当てしたファンドは思惑通り多額の利を手にすることになる。また、上記のCDSも取得以降の株価崩落や格下げラッシュによって既に倍以上になった模様。

このところ世界景気の減速で、ファンドもアジア含めて運用難から資金獲得にも苦戦し清算も増加傾向といわれていたものだが、しかしこうしたリスク選好型が増えてくると今では消えてしまったものの一昔前にパラジウムを買い占めたタイガーファンドのようなものも出てこないものだろうか?商社も挙って参入していた当時と違って商品市場も枯れてしまっているだけに話題性だけでも賑わいを期待してしまう。


両建賛否両論

さて自民党総裁の派手なリップサービスで順調に円安が進行してきたがここへきて本日は午前中の下落も一服で揉み合いとなっていた。同総裁の発言トーンを巡ってまだまだ思惑含みとなりそうで、今後もその実効性を見極める事になりそうだがそういえばFXマーケット絡みでは週初の日経紙夕刊で「両建て」について触れていた。

何とも懐かしく?なってきた用語だが、今では商品で基本禁じ手となったこの手法、当初はFXも難しかったものだがけっこう個人レベルでも生き残っているものだ。単純に見れば一時凌ぎの追い証や損失拡大回避という大義名分のもと手っ取り早く手数料が刈り取れる便利な性格上裏を返せば顧客には負担が掛かるもので、腕に覚えのある向きが税金対策や優待取りで使う意外理論的に見ればそのメリットは無いというのが一般論か。

ただ、この同紙に書かれていたので印象的だったのは「含み損か実現損かで個人投資家の心理状況は大きく違う」との一文。この例では含み損であったが、逆に含み益を両建で温存する向きも居るなど一般的投資家の特異な属性というものも見え隠れしてくる。この辺は難平などもまた同様の問題が被る部分もあるが、専業でなく個人目線で論じている限りそもそも賛否平行線だろうか。


体験型消費喚起

昨日の日経夕刊「ビジネス戦記」にはアメックスのロバート・サイデル氏のコメントが出ていたが、そこには消費を上向かせるためには潜在的なニーズを掘り起こす「体験」の訴求力を生かすことが有効だと考える旨が出ていた。

自身の体験でも観光地で製造工程をガラス張りで見せていた土産品を思わず買ったという一文と共に、減退する購買意欲を何とか刺激しようと最近日本の小売店で実演や体験の場が増えている旨も書かれていたが、確かに大手百貨店でも著名ブランド始めとしてこの手が近年ほんとうに増えていると実感する。

そうそう百貨店といえば、デパ地下で常に黒山の人だかりが出来ているスペイン発の某キャンディー店などもこのパターンか。流行っているところを失礼とは思うが、確かにいくら見た目がポップとはいえ切り落とした飴を小さな瓶に入れただけのものをただ陳列しているだけでは1,000円近い金額をこれに出す奇特な人はそうそう居ないだろうと思う。

これはこれで消費刺激の効果抜群なワケで、そんなことから実際に上記のアメックスのポイントプログラムでもこの手が増えてきたが、デフレの産物で出てきたマーケティングも対面回帰へのトリガーに成り得るかどうかこの辺は興味深い。


アグリの金融化

週明けの日経電子、注目投信ランキングではコモディティーで運用する投信のランキングが出ていたが、それによると過去3年の騰落率首位投信は農産物に特化した指数に連動するユーロ円債に投資するものであった。総じて食料間連モノが上位を占め、逆に原油関連指数に連動するタイプはマイナスということであった。

この辺は今年の9月に当欄でも、農産物の値上がりを見込んで流れ込む先物市場への投機資金やそれに絡む−関連ファンドの多様化に付いて触れたことがあったが、伝統的資産の投資リターンが間誤付くなかを近年脚光を浴びてきているコモディティーもの、とりわけアグリものへの選好を表している。

この手の農産物系はETFも近年続々上場しているが、リクイディティが確保されていないものなど板がまだスカスカなだけに突如として突飛高したりするモノが時折目立つが、こちらのETFも順調に新手のものが増加している。今月に出たものではiシェアーズのフロンティアマーケットものが3つあったが、iPath系もリクイディティが出てくれば更なる選択肢が広がるのではないだろうか。


倫理観を越えるとき

さて、昨日は日経平均が揉み合うなかで値上がり寄与の銘柄には東京海上やMS&ADなどの保険株の一角が上位に並んだが、債券高の期待からこのところ第一生命保険なども確りした歩調を歩んでいる。

ところで生命保険といえば昨日の日経紙大機小機には「長生きの処方箋」と題して、老後設計を念頭に置いた「長生きするほど得をする保険」としてトンチン保険について触れていたのが目に付いた。この手の倫理の是非を問われるモノとしては、高齢になるほど買い取り率が高くなる生命保険を証券化したデスボンドなる物や、果ては保釈金の証券化など中にはなかなか面白い?モノも存在する。

確かに現在では同紙にも書いてある通り「反道徳的商品」に位置付けられ国内販売こそされてはいないものの、年金など考えれば基本構造として一理あるのは否めない。まあ、同紙に書いてあった30年というスパンだとインフレ等その環境変化等が未知数でそうした部分の問題はあるが、社会の高齢化は既に認識されておりいずれはそのエッセンスを組み込んだ形で登場してくる日も来るのではないか。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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