隙間に咲いた徒花

さて、今週はインターネット上で流通する仮想通貨「ビットコイン」の取引所大手であるマウントゴックスが「顧客保護のため全ての取引を当面停止する」と謳い取引を停止するとの報が話題であった。

これによって主要取引所で流通している同価格は前日比20%越もの急落を演じたが、肝心な模の詳細も不明瞭だけに暗雲漂う。預託者の中には「お金を預かる会社なのに非常識」等という意見が相次いだが、私から見れば所管する官庁も法制度もない誰でも開設できる取引所に大切な資金を預ける方こそ非常識というしかない。

そんなワケでここまで騒ぎが大きくなるに官房長官も記者会見で「実態は金融庁、警察庁、財務省など関係省庁で情報収集している〜」等と述べていたが、上記の通りでこれらが監督しているワケでもなくそもそも監督機関自体が存在しないので、現状として今回はどうしようもないだろう。

この一件で同通貨に基づくデリバティブも影響を受けることになったが、短い歴史のまま幕を閉じてしまうのかどうか引き続き今後の成り行きが注目されるか。


一括りの弊害

先週の日経紙商品面のライバル比較には金が取り上げられており、現物取引のロコ・ロンドンに対して先物取引はニューヨーク市場云々が載っており、紙面にはロコ・ロンドンの値決めに傘下する金融機関として5社の名が挙がっていた。

その中の一つにあったドイツ銀行であるが、昨日の同紙多面鏡にてこのロンドン市場での金の値決め業務から撤退することを決めた旨が出ていた。昨年暮れに決定した同社商品業務再編策の流れに沿うものとの事だが、同期に出た同値決めでの人為的操作疑いの疑義と関連付け国際的な規制・監視強化のあおりとの見方もあるという。

末端ともいえる国内の商品業界も雁字搦めで低迷が続くが、こんな世界の指標格の舞台なら尚更例えば金利モノ等と一括りで同一視するのには無理がある上に撤退等からのリクイディティー低下でも起こればそれだけボラも不安定になるであろう。其れを引き金とした規制の上塗りを懸念する声も一部にはあるが、水清ければ魚棲まずか。


さっそくLINE

本日の日経平均は急反発し1/30以来の15,000円大台回復となったが、高寄与度銘柄のソフトバンクが急騰した影響も大きい。このソフトバンク、朝方からにわかに確信犯的な買いが舞い込んで動意付いていたが、同社株急騰の背景は同社がLINE株式取得を目指しているというブルームバーグの報道に刺激されてのもの。

ちょうど昨日は対話アプリ系の買収話について触れ、このLINEについても「〜相次ぐ買収熱で今年上場見込みのLINE株式を擁するネイバーは株式交換案等と早くも株価武器の選択肢も囁かれている」ともコメントしていたが、それも束の間さっそくブリームバーグがリークした恰好である。

企業買収はデリケートな作業だけに当の関係企業側は一連の報道には憶測についてはコメントしない等と当然の対応をみせているが、なるほどこの辺が出し惜しみ的なIPO日程の背景にあったとなれば説得力がある。今年最も熱いIPOの前評判があっただけに対話アプリなんぞに興味を惹かれない向きでも、株式ではネタがゴロゴロ転がっており今後も面白いマーケットになりそうだ。


対話アプリバブル?

先週話題になった報にはあの米フェイスブックが190億ドルを投じたスマホ向けの無人対話アプリ最大手ワッツアップ買収の一件があった。この対話アプリ系では同じく今月に楽天が無料対話アプリのバイバーを9億ドルで買収との報があったばかりだが、こんな大型買収の後では9億ドルで買えたかどうかの声も聞こえ、楽天社長の「このタイミングで買収しないと無理だった」とのコメントも妙に現実味を帯びてくる。

さてこの2兆円近くの買収もコンタクトしてからわずかに10日前後、かつて日本でも未公開企業への投資が一部新興勢中心に過熱したことがあったが、イグジットの青写真は全く違うとはいえあの当時もロクなディーデリもせず中には数日で相次ぐ買収をこなしていた光景と一寸だぶって見えてしまう。

それにしても米マイクロソフトがスカイプを買った時でさえ85億ドル、今回は従業員50人そこそこの会社に2兆円近くの値札というからやはり桁違いで凄い。こんな相次ぐ買収熱で今年上場見込みのLINE株式を擁するネイバーは株式交換案等と早くも株価武器の選択肢も囁かれているが、一方でこの発表後の同社株は競争激化懸念から8%安、上記の楽天株も5%安に沈んだ。

そんなワケで昨今のこんな対話アプリを巡る光景をバブルそのものと指摘する向きもあるが、結局のところバブルか否かは未だ顕在化していない有料顧客を囲い込むという基盤の収益化の是非如何に懸かっているといえようか。


立法不備

今週の日経紙経済面で見かけたものに「監視委、88銘柄で疑い」として、証券取引等監視委員会が日本企業2社の株価を吊り上げるなどの行為で不正利益を得たとして海外ファンドのセレクト・バンテイジに課徴金納付命令を出すよう金融庁に勧告した件があった。

今回のは所謂「見せ玉」行為が咎められており、昨年昨年40億円越の納付命令が出たAPFがやった2社を舞台にした偽計や架空増資等の手が込んだモノと比較するに原始的なものだが、このほか86銘柄の株式についても相場操縦の疑いがあるとしている。ところで今回挙げられた課徴金は僅かに6万円、不正利益に比べれば微々たるものである。

この金商法では海外にいる業者や人物が不正取引した場合、刑事告発が難しく課徴金制度を使ったとしているが上記のAPFなどこのパターン、またファンドに限らず2年前のイー・アクセス社の元役員秘書によるインサイダー事件でも算定された追徴金では倍近くの差益が残る計算となり何処もヤリ得感が満載な結末となっている。

この辺は今やHFTが主流になり監視委としても手薄な中での事実認定に手間取ることに加えて、インサイダー等についてもつまるところ立法の不備に因るところが大きい。前々から一般との不公平感も一部指摘されておりこうした不満分子が悪知恵をつける前に早急なカバーが求められよう。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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