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外堀

本日の日経紙商品面には「世界の商取、売買高減少」と題して、5月の売買高がNYMEXでは23%減少、ICEでは15%減少するなど米国や欧州の主要市場で軒並み前年実績を下回った旨が載っていた。金融規制改革法の影響等もあり、銀行が商品事業から撤退した動きも一因という。

この辺は東商取も同様で同売買高は36%減少と更に顕著で、昨日は1日の売買高が17年9か月ぶりの水準に落ち込んだ模様。こうした背景が大きく響いて先に同所が発表した2014年3月期の連結最終損益は9億1200万円の赤字となっていた。

目下のところ総合取引所の実現が課題となっているが、同所の記者会見では「器だけ整備しても効果は限られる」と述べ従来の慎重な主張が繰り返されていた。この構想を巡っては政府の日本再生ビジョンが注目されているところだが、近々実現に向けて外堀が埋められてゆくのかどうか目が離せない。


金融シティを謳うなら

本日の日経紙金融面には「NISA恒久非課税に」と題し楽天証券やコモンズ投信等の証券・資産運用会社のグループが、NISAの非課税期間の恒久化を軸に個人投資家が資産形成し易い環境作りへ向けた制度の拡充を促す提案書をまとめた旨が載っていた。

NISAが登場した当初からこの辺はかねがね言われてきたことだが、これまで枠の拡大など他の部分での微調整検討にとどまり依然として積極活用という域ではない。マル信適用などこの辺は腕に覚えのある向きという層になるだろうが、損益通算などは非課税期間と並ぶ基本事項であると思われる。

目下大手経済シンクタンク等を中心に東京をアジアを代表する国際金融センターに発展させるための提言「東京金融シティ構想」など動きが出てきているが、ロンドンに憧れるなら先ずは足元のもっと柔軟な受け入れ整備が先決事項だろう。


期待何処まで

昨日の日経紙羅針盤には「官製グレートローテーション」として、公的年金の積立金を運用するGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)が、約130兆円の運用資産のうち過半を占める国内債券への投資を減らし日本株などを買い増す模様との件が書かれていた。

今でこそ大台を回復するまで全般嵩上げとなっている株式市場だが、これまで売り込まれたあとの反発はなにかとこのGPIFの思惑に絡んだものが度々あった。それもそのはず運用比率の1%引き上げで1兆円の資金流入が見込めるワケだからインパクトは大きく、昨年末からの見積もりでは2割前後までの買い増し余地があるという事でそのまま反映させれば約3兆円の買い増しということになる。

日本がデフレを脱しつつある事で債券への投資偏重を改めるとの機運というがなるほど現況で10年モノ国債なんぞで年0.5%台、これが金利上昇局面であれば値下がりリスクもそれなりなものになってくるわけで、その辺から現況の株式配当利回りを考慮するにやはりまだ魅力的な対象ではある。

同紙末尾にはGPIFの買いに合せて先回り買いの利食い売りが浴びせられる可能性もとあったが、それを呑み込み更なる上昇となる資産効果を発揮出来るか否か企業側にも課題はある。


希薄化は買い・2

さて、今週目に留まったニュースといえば第一生命保険が米生保買収の原資とする目的で公募増資により2,000億円規模の資金を調達する検討に入ったという報だろうか。4年前に同社が上場した時は内需縮小で収益の成長が楽観視出来ない事からの戦略転換と書いた記憶があるが、次のステップとして海外市場に活路を求める動きが強まってきたか。

ところで今週はこれ以外にも大王製紙やDICがそれぞれ公募増資を発表しているが、やはり増資といえば株式希薄化のイメージで発表直後には一様に売り物を浴びる。これら三社も例外ではなかったが、昨日の日経紙財務面に載っていたようにその下落率は増資による株数の増加率、所謂希薄化率よりもそれぞれ小幅にとどまっているのが最近の傾向。

それどころか例えば先月公募増資を発表した三井不動産、この発表後は急落したものの数営業日程度で株価は公募増資発表前の水準をあっさりと回復している。冒頭の第一生命もこのパターンで本日既に増資発表前の水準を回復し、それぞれ増資売りに向かった向きは増資分の下落がまるまる利幅になった構図である。

昨年も春先に「希薄化は買い?」のタイトルでJVC・ケンウッドHDを取り上げた記憶があるが、株価の回復を追い風に資本増強を選ぶ動きが目立ってきているなか、その成長戦略が好望視されるものを選べば労せずして目先掬いでも一回転を狙える地合いに近年は変わってきている。


ハイレバ選好

昨日の日経紙マーケット面には、週明けの株式市場で日経平均の2倍の値動きをするETF「NEXT FUNDS日経平均レバレッジ・インデックス連動型上場投資信託」の売買代金が705億円となり、東証全体の1位となった旨が載っていた。

このところの急伸で警戒感も一部出ているなかでも値上がり益を果敢に狙う個人の買いが
集まった格好だが、このETFの拡大も近年は世界でめざましい。日経紙によれば資産残高は過去4年で倍増しており、日本でも3月末の資産残高は12年末から9割増の8兆円超となっている模様。

この中でも売買代金の半数以上を占めるのが上記のレバレッジ型というが、この傾向は数年前から続いている。確かこのレバ系ETFについて書いたのは一昨年くらいからだったと思うが、先物オプション系と倍率ゼロのETFの中間あたりに属するモノは慣れてきた層には手頃なのだろう。今後のハイレバ系の枝葉の広がりにも期待がかかるところである。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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