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PKOと言われぬ為に

本日の日経紙社説には「公的年金運用の信頼高める改革を急げ」と題して、政府が公的年金の運用を現在の国債中心の運用から株式等の価格変動の大きい資産へ比率を上げる改革を進めようとしている旨が出ていた。

この辺は先週末にかけての日経平均大幅続落の翌日にタイミングよく同紙の一面にも「公的年金12%から引き上げ調整」と出ていたが、ここに書いてあったように仮に運用比率目安を20%台半ばまで高めるとなれば単純計算で8兆円の株買い需要が発生、また上限まで活用すれば国内株を最大30%程度保有する事となる。

GPIFも面子刷新で斯様に機運がまさに高まったといえようが、ここの動きが魑魅魍魎のマーケット参加者に利用された場合投資家間でも優劣が生じるアンフェアな事態も想定される。また上記のようにGPIFが大株主になり得る事は、何度か取り上げた日本版スチュワードシップ・コードと絡めて矛盾する部分もある。

社説の末尾には公的年金で株価維持という不健全な印象をもたれる事は避けたいとの一文もあったが、情報開示の扱いの難しさはあるものの一昔のPKOを彷彿させないような透明性のある改革が求められようか。


脱白金

本日の日経紙には「燃料電池車の触媒安く」と題して、帝人が自動車各社が市販を検討する燃料電池車向けに、高価な白金の代わりに割安な鉄と窒素を使う触媒を開発した旨の記事が載っていた。

この白金を使わない燃料電池車といえば、上場企業ではかつてダイハツ工業も産業技術総合研究所と協力し白金を使用しない新しい燃料電池を開発、パナソニック子会社も白金を使わないディーゼル排ガス触媒を開発、トクヤマもその関連を進めている。また、大学も九州大学の研究グループがニッケル系を使用した安価な触媒を開発し群馬大学、千葉大学もこの辺に着手している。

白金といえば産出国が南アやロシアに偏っている事などからそれぞれ先のストライキや政情不安で高騰したのが記憶に新しいが、こうしたことからも安定調達出来る安価な素材代替が共通の課題となっている。上記触媒は今のところ性能が現在の70%にとどまるものの、改良して従来の白金以上の性能を目指すといい日進月歩の技術だけに今後大いに期待したいところである。


リクルート好発進

さて今年後半の大型案件のうち、先に取り上げたすかいらーくが再上場を果たした次ということで先週にはリクルートがはれて上場となった。ご存じの通り生活のあらゆるシーンに入り込む巨大メディカンパニーで知名度は抜群、久し振りの大型IPOであった。

先のすかいらーくは公開価格がブックビルディング下限で決まっていたのとは対照的に、こちらの公募価格はブックビルディング上限で決定していたこともあって、世界の主要株式が暴落する中を初値が公開価格を上回る白星スタートから、更に引けでは3,330円と値を伸ばし初日の時価総額は東証一部で43番目に位置する事となった。

思い起こせばあのリクルート事件からダイエーグループ傘下になった時期もあったが今やそのダイエーもイオン傘下となり年末には市場から姿を消す予定。その過程であった負の遺産が、好調な滑り出しをきった上場初日の時価総額とほぼ同じというのも何かを感じさせる。

ところで本日も株価は大幅続伸となりその時価総額も並み居る老舗企業を連日抜いてきているが、以前に当欄で書いたようにココは持株会が10%を超え第一興商の時よろしく古株社員の中にもニワカ成金?が出てくるのも想像に難くない。何れにせよそういったところも含め今後もベンチャー企業の元祖といわれた同社の動向が株価と共にまだまだ話題になろう。


10月のアノマリー

本日の日経平均は急反落し5/30以来約4ヶ月半ぶりの安値水準となったが、それにしても今週は世界的に崩落が顕著になったものだ。米国の金融緩和終了後の不透明感を背景に昨晩のNY市場も一時460ドル安と急落だが、欧州も先駆していたドイツなど今週ZEW(欧州経済研究センター)が発表した独景況感期待指数が前月から更に低下、12年11以来の水準に落ち込みDAXも同様に暴落の憂き目に遭っている。

既に先週からモルガンの225とTOPIX双方への一手売りが先物で目立っていたが、グローバルマクロ系のヘッジファンドなどやはり相場が動く時には果敢に攻め続ける。一部に運用成績低迷も目立つ折、「もうはまだなり」とばかりに執拗にショートの回転を効かす地合いになっている。

そんな背景もあって恐怖指数と呼ばれるS&P500種の今後1ヶ月の変動予測を数値化したVIX指数は先週末に前日から2ポイント超上昇して約8ヶ月ぶりに21台に乗せ、これを受けた連休明けの東証VIXETFは比例配分のストップ高とこの種にしては非常に珍しい光景も見られた。

ダウやS&P500種はこれまで割れる度に切り返してきた200日移動平均線を割り込み、後者は過去3日間の下げが2011年以来で最大となった。上記のVIXもVXVとの比率では1.0割れ水準になり総悲観の感も強いが、果たして数年来の上昇相場も終焉となってしまうのかどうか今後も目の離せない展開になってきた。


謝罪さまざま

昨日は外食大手すかいらーく再上場に触れたが、本日は同じ上場企業である外食企業の木曽路に対して消費者庁が、先に発覚した価格の安い和牛を松坂牛等と偽り提供していた問題に絡んで、これが景品表示法違反に当たるとして同社に再発防止等を求める措置命令を出している。

私のところにもこの件が発覚後しばらくしてお詫びの通知が届いたが、昨年のホテルで続出した偽装の衝撃が一服した頃また出たかという印象だった。会見では味の面では大きな差はない等いろいろ言い訳していたようだが、そもそもPOS等がこれだけ普及しているなか在庫管理の整合性というかズレが本部で把握出来なかったというのもよく考えればおかしな話である。

外食ではもう一つ、先のマクドナルドでもトップによる謝罪会見があったが大手の対応は遅さばかりが目立つ感が最近はある。顧客補償も懲りず?な食事券から一転して現金になったりと右往左往だが、先のベネッセも当初は金券等によるお詫びはしないとの表明から結局金券と言い出し更にはもう一つの方法で基金への寄付等とワケのわからないお詫びの受け皿もあったりと何かこう違う感満載な今日この頃である。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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