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再上場組

さて先週は外食大手すかいらーくが東証一部に再上場のはこびとなった。2006年にMBOで非公開化して以来、8年振りの再上場となり注目の初値は公開価格と同じ1,200円、引けは初値より5%安い1,143円であった。

これで計算した時価総額は2,219億円となり、外食では首位の日本マクドナルドに次ぐ規模となったものの、ちょうど株式市場も台風襲来のおり暴風雨のなかでの上場となったことも影響したのか否か上場廃止直前の時価総額2,944億円には及ばなかった。

11年から経営に参画した米投資会社ベインキャピタルは上場後も筆頭株主として発行済み株式の6割超えを保有するが、株価が上がるとベインによる売却が意識されるという見方もある。しかし同じ再上場組では西武の時もサーベラスの影がチラつき初値は肩透かしだったものだが、上場後は約5割も意外?な上昇を演じた経緯がある。

とはいえ外食産業の適正PERは約20倍、同社のEPSから合せてみればまだ高めという見方もあるが、上記の西武等のようにファンド絡みの事情や思惑や年末の優待取りを控え今後もいろいろ思惑含みの展開になろうか。


ノーベル賞思惑

さて、今週のビッグニュースはなんといっても2014年のノーベル物理学賞に赤崎勇・名城大学教授、天野浩・名古屋大学教授、中村修二・米カリフォルニア大学教授の日本人3人が選ばれた事だろうか。省電力でエネルギー消費の少ない青色LEDの発明と実用化に貢献した業績が認められたものだが、いずれも各紙の紙面を大きく飾った。

しかし、中村教授といえばすぐに思い出すのがLED発明当時に在籍していた日亜化学工業に対し発明対価として200億円の支払いを求めた裁判の一件か。結局これを大きく下回る額での和解となったが発明対価訴訟としては最高額となり、改めて我が国のインセンティブのあり方に一石を投じる一件となったのは記憶に新しい。

二年ほど前の当欄では「企業の事情も絡んでくるので一口にインセンティブの国際標準を考慮するのも難題」と書いたことがあるが、政府もこの辺に関して指針検討まで出たもののあらゆる業界でその待遇格差から人材・技術双方の流出脅威は燻る。

ところで株式市場もこの報からLED関連銘柄の中には物色されるものが相次いだが、既に普及が進んでいる分野だけに蒸し返し感も強く上値はいまいちといったところであった。そんな中でまさに今が旬を迎えている銘柄が同じノーベル賞でも文学賞関連で、中でも書店大手の文教堂は本日で3日連続のストップ高と急騰している。4人目の日本人受賞を織り込んでいる相場となっているが、果たして市場の予測通りに4人目の快挙となるかどうか今晩の発表が注目される。


ジミーチュウIPO

昨日の日経紙には女性誌マリソルの別冊広告が入っていたが、表紙のモデルの靴や末尾のオードトワレなど「ジミーチュウ」がさりげなく目についた。ところでこのジミーチュウといえば、JABホールディングスが保有している株式のうち25%の売却計画が先に報じられている。

既に今週はじめにIPOの仮条件を140-180ペンスに決定しており、月内にロンドン証券取引所での上場を目指している旨もロイターから報じられている。当初噂だったものが改めて現実となった訳だが、話は変って高級ブランドの株式といえば長年燻っていた世界最大手のLVMHモエヘネシーが同業のエルメス株式を買い進めていた問題で和解が成立したとの報も最近あった。

LVMHが保有しているエルメス株は現在23%だが、LVMHの株主に割り当てる格好で今後5年間同社株を新たに買わないという内容も織り込み影響力を低下させるという。漸く終戦といったところだが足元ではユーロ高、頼みの日本の消費増税や中国の贅沢品禁止政策の影響もあって1-6月期はLVMHで増収率が前年同期の半分にとどまっている。

一方でエルメスは欧州全体で7%増収、日本を除くアジアでも12%増収と堅調持続している。LVMHのようなコングロマリットの強みはブランドミックスによる相互補完性にあるが、そう考えるとブルガリやディオールのように買収快進撃とはならなかったが此処が非常に魅力的な存在であったことは頷ける。


コスト割れ

本日の日経紙商品面には「プラチナ一時1,200ドル割れ」と題して、プラチナの価格が国際市場で5年2ヶ月ぶりの安値をつけた旨が載っていた。貴金属はこれまで主力の金などドル高基調による下落基調が続いていたが、同様に値下がり急となっている白金族などもこのところ斯様に取り上げられる機会が多い。

PGM系はついこの間まで南アのストライキ、ウクライナ情勢緊張を背景にパラジウムなどNY先物市場で2001年2月以来の900ドル台乗せ、東京市場でも13年5ヶ月ぶりの高値を付けていたものだったが、ストの終息に加えて自動車の排ガス触媒向け需要も鈍ってきた事ではやこのパラジウムは7ヶ月ぶりの安値、プラチナも上記の通り約5年2ヶ月ぶりの安値まで下落している。

金融商品色が濃くなってきたコモディティとはいえ、これらはやはり産業素材という点で金とは異なる。この下落で両者の鞘もほぼ同鞘水準まで急接近、足元でPGM系は生産コスト割れの水準まで来ているという。PGM系ならではの動きだがストによる影響が残るなかマイニング業界はグループ再編思惑も燻りこれらを左右する価格も今後さらに注目されようか。


LINEの思惑

昨日の日経紙企業面には「LINEで口座残高確認」と題して、LINEがNTTデータと組み、2015年をメドにLINEの画面で金融機関の口座残高を照会できるようにし、入金や出金の情報も通知する件が出ていた。

将来は振り込みや株の購入といった金融取引を提供することも視野に入れるとしているが、株取引といえば先にSBI証券はこのLINEを通じ株式取引ができるサービスを始める旨を発表している。買い注文のみに限定という事だがNISA等と絡めて若年層の投資写真者の開拓を目指すという事である。

斯様に若年層をターゲットに金融系に切り込みを見せた戦略であったが、一方で同社は7月までに日米で上場申請書類を提出し早ければ11月にも上場する準備をしていたものをそこから2ヶ月そこそこで一転し年内上場見送りを表明している。この上場期待が剥げた事で先駆して買われていた関連株は軒並み安となっていたが、事業政策が周辺企業にも波及するだけに今後のかじ取りが改めて注目されるところ。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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