言うは易く行うは難し

本日の日経紙社説には「市場機能を傷めぬ株高速取引のルールを」と題して、今や東京証券取引所の売買注文を席巻している高速取引に関して金融庁が金融審議会の場でITを駆使した株式取引への対応を検討し、必要に応じては新たな規制を導入する可能性もある旨のことが書かれていた。

これに関しては既に先月の同紙でも取り上げられていた経緯があったが、やはり取引業者が破綻し市場の同様が瞬時に世界に広まるフラッシュクラッシュなどの懸念が文中にもあった。これ以外でもレイヤリングや、クォートスタッフィング等々グレーゾーン?の手法をどうとらえてゆくか。

一方でマーケットには欠かせないリクイディティの問題もあることから題の通り市場機能を傷めぬルールという表現が出てくるワケだが、言うは易く行うは難し、現状では不利益を被る何所かがあっての上に微妙な均衡が成り立っている構図にあることに変わりはないか。


不公平是正?

来年4月に予定していた消費税率10%への引き上げを巡っては、本日これを2019年10月まで2年半先送りするという首相の決断を自公が受け入れる方向となった模様だ。ところで税といえばどこかの予告で見た「美人税」なるタイトルに惹かれてつい見てしまった土曜日の「世にも奇妙な物語」がなかなか面白かった。

番組では財政が逼迫している政府の財政立て直しには美人における計り知れない社会的・経済的恩恵を背景にした「美人税」の導入が不可避との会見が流れ、当事者は給与からの美人税天引きや年金関係の会社負担の絡みが人事問題にも発展している様をコミカルに描いていたが、某著名労働経済学者もルックスによる生涯賃金格差が2700万円という試算も出している。

容姿を背景とした税論ではかつてイケメン税なるものを論じたバラエティー系経済評論家がいたが、なるほど上記の労働経済学者によれば容姿による収入差は男性で17%、女性で12%とか。伊勢志摩サミットでの指摘を布石として消費増税が先送りされた今、今後もこんな如何にもありそうなネタが彼方此方でまた多用されそうである。


煽られた?若冲人気

さて、今週は東京都美術館で開催されていた「生誕300年記念 若冲展」が大盛況のうちに終了となった。チケットを買うまでに1時間近く、入場まで3時間以上という日が続き列の途中には水分補給所が設けられ果ては看護師まで列を巡回するという異様な光景まで見られた展は、結局約44万6千人の入場者を記録し1日あたりのそれも同館展覧会で過去最高だったという。

しかしいつの間に若冲はこんな人気が出たのだろう?たしかに重要文化財である鹿苑寺大書院障壁画始め、総額30億円はくだらないという誰でも何所かで一度は目にしたことがあるであろう最高傑作「動植綵絵」30幅等々、初期から晩年の大作が一堂に会する展だけに関心も向かおうがそれにしても異常な動員数だ。

私個人的には若冲に関してはこんな騒がれる以前から注目しており、当欄でも2008年8月に国立博物館で開催された展に出掛けた旨の事を書いているが、当時は直ぐに入館出来てじっくりと作品を楽しむことが出来たものだ。おそらくはTVやメディアが散々煽ったせいで、ニワカ若冲ファンが増殖した影響も大きいのだろう。

ところで、この東京都美術館からほど近くにある「国立西洋美術館」だが、周知の通り世界遺産に登録されることになった旨が先週報じられている。都内では初めての世界文化遺産の誕生だが、二度の見送りを経て三度目の正直となっただけに早くも多くの人でこちらも賑わっており若冲展が幕を閉じても上野の賑わいはこれからも継続しそうだ。


東急カラー

昨日の日経紙には「雑貨満載、江戸切子の箱」と題して、今年3月に銀座にお目見えした東急不動産の商業施設である「東急プラザ銀座」について書かれていたが、ちょうど界隈に所用があった都合で私も過日このビルを一寸覗いてきた。

階層毎にテーマを設けた作りだが総じて東急色が強く、かつてルミネや丸井が出来た時同様やはりこの界隈と違うカラーを感じた。東京初進出の店も誘致したようだがテナント以外では屋上の「KIRICO TERRACE」も印象的。TVや新聞では斬新さを称える向きが多かったが、既に三越銀座オープン時に屋上テラスは売りでありウッドデッキからの芝生広場と草木広がる植栽スペースを設けた三越の方がより銀座上空で四季を感じる点でコンセプトには合っているか。

ところで上層階には約4400平方メートルという都内最大のロッテ免税店が入っているが、エスカレーターで上がって来るとこのフロアだけまだ開業準備中かと勘違いするくらい人けの無さを感じた。ともあれ今17年3月期ではこの東急プラザ銀座が業績へ寄与し東急不動産は最高益更新見通しというが、思惑通りの初年度売上高を達成出来るかどうか今後の動向に注目である。


取引所視野

さて本日は一服となったものの、昨日の株式市場ではトレイダーズホールディングスがストップ高まで買われ、全市場中の値上がり率ランキングトップとなっていたが、業界からはマネーパートナーズやマネースクエア等も揃って続伸していた。

後者は週明けの日経産業紙でビットコインに関する法的な位置付けを明確にする資金決済法改正案が月内に国会で成立する見通しとされ、その新規参入を狙う最右翼の関連企業としてマネーパートナーズのゆくゆく取引所運営も等と同紙で取り上げられていた事が刺激材料になったもの。

また日経の夕刊でもスイスのツーク市が、7月から住民登録料の支払いに国や地方自治体としては世界で初めてビットコインを使えるようにする旨も載っていたが、マイナス金利に因る銀行決済手数料にも言及しており昨今の時事背景も絡め予想以上に汎用加速の片鱗も読み取れる。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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