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救済の壁

本日の日経紙一面には「東芝、主要事業を分社へ」と題し、経営再建中の東芝が稼ぎ頭の半導体メモリー事業を今年度内にも売却する為、今後の柱のインフラ事業をテコ入れするため分社に踏み切る旨がでていた。

東芝といえば昨日に開かれた経済産業省と米商務長官の会談において、米商務長官側が米WHの雇用継続に不安を表明すると共に半導体メモリー事業の売却計画に関しては中国への技術流出に懸念を示した旨も同紙に載っていたが、日本側としては必要な場合は外為法を活用して防ぐとの表明をしている。

予てから高度な技術を有する同社ノウハウや安保上の機密が流出する懸念から、売却先に注文が付く可能性は指摘されてきたが果たしてという感じ。同じ破綻懸念の憂き目に遭いながら今や蘇生しつつあるシャープの時を思い出すが生粋の本邦企業が挙って手を上げようものならまた違う展開になるものの、これまでこの手の事業で彼らが意欲的に食指を動かす事例は僅かで事務的に政府が関与するのが関の山な事が根本の問題なような気がする。


売り子

さて地政学リスクの高まりを背景に国際指標となるNY市場の金先物価格は3月上旬の直近安値に比べて1割高い水準となり、1トロイオンス1,290ドル台と昨年11月以来の1,300ドル台に迫り東京商品取引所の金先物価格も約1ヶ月ぶりに1グラム4,500円を上回る高値を付けるなど金の価格が国内外で一段と上昇している。

ところで金といえば、先週はまたも韓国から重さ3キロの金の延べ板を足の裏に粘着テープで貼り付けて密輸しようとした疑いで大阪市職員らを逮捕した旨の報があった。当欄で最後に金密輸について触れた今年1月の末尾で、今年もこの手の事件モノも折に触れ紙面を賑せる事になりそうであるとしたが先ずはという感じである。

昨年に福岡で6億円相当の金塊が盗まれた事件もこのうち約4億円分が事件後に換金されていた事が先月明らかにされているが、この件も個人情報を隠し換金するためにグループが法人間の取引を装い経営者側も事情を知りながら名義貸しをした疑いが出ている。また末端でも振り込め詐欺の「出し子」ならぬ、所有者に代わり金を売却する「売り子」などの存在等も出てきており当局はじめ危機感は一層増してきている。


新陳代謝の街

先週末の日経紙夕刊の一面を飾っていたのは「大人の銀ブラ 再び」と題して、日本を代表する商業エリアの銀座が相次ぐ商業施設の開業や改装で変貌を遂げつつある旨の記事であった。周知の通り直近では旧松坂屋跡地に銀座最大の商業施設を謳う「GINNZA SIX」の開業を今週は控えている。

前々から東急プラザに負けず劣らず話題になっていたこの銀座最大を謳う施設は、地下6階地上13階建てでその売り場面積は実に約4万7千平方メートル、出店内訳も241ブランドの半数121店は日本での旗艦店の位置付けをしており、初年度は売上高600億円、来館者2千万人を目指すという。

当欄で銀座に触れることになるのは昨年6月に東急プラザ銀座を取り上げた時以来となるが、こうした新商業施設が登場する一方では併せて書いたマキシム・ド・パリ銀座が入っていたソニービル銀座が先月末に51年の歴史に幕を閉じ、プランタン銀座も昨年末に32年の営業を終え社名をマロニエゲートに変更し再出発している。

今から9年ほど前の当欄では街の変遷と題して「銀座は変遷著しく経済を肌で感じ易い街である」と書いた事があるが斯様に新陳代謝は継続している。20年の東京五輪も見据え、内外の観光客を呼び込むため今後も再開発やリニューアルは継続してゆくのは想像に難くないか。


イースター 2017

さて、明々後日の日曜日はキリストの復活を祝う春の祭日「イースター」である。例年エイプリールフールが終了すると各方面から届くDM関係はイースターに絡んだイベントや商品のモノが一気に増え、年々その数も増えつつある感がする。

百貨店・小売大手やTDRやUSJ等のテーマパークはいわずもがなだが、昨年の当欄で取り上げた卸中心のイメージが強かった仏ヴァローナも昨年は初のイースターエッグを売り出したのに続いて今年も限定商品を発売している。此処は有名パティシエによるイースターチョコアート展も主催しインスタ好きにはなかなかいい絵が撮れる穴場になりつつある。

各所の商戦を考察するに近年ハロウィーンからクリスマスまでの空白期を埋める商機の位置づけとしてボージョレヌーボーを担ぐ動きがみられるようになって来たが、これと同様にバレンタインデー・ひな祭り・ホワイトデーの流れからゴールデンウィークまでの空白期を埋める商機の重要イベントとして近年このイースターが位置付けられているのは想像に難くないか。


意見不表明

さて、これまで監査法人からの承認を得られず2度にわたり昨年4月から12月までの決算発表を延期してきた東芝だが、周知の通り昨日は監査法人から承認を得ないまま「意見不表明」として決算の発表に踏み切った。上場企業決算は監査法人承認によって信頼性が保たれている為、承認を得ず発表するのは極めて異例のこと。

今回は監査法人への不信感からまた延期してもいつ合意出来るのかわからず、前例のない3度目の決算発表延期要請となれば上場廃止の懸念も強まる事で監査法人の適正のお墨付き無しで発表に踏み切る事を決めた背景があるが、東証関係者は「夏休みの宿題を白紙で出すようなものだ」と厳しく批判、特設注意下で暗雲漂う。

ところで東芝株といえば先月にはシンガポールの投資ファンドであるエフィッシモ・キャピタル・マネージメントが、発行済み株式の8.14%を取得し筆頭株主に浮上した事が関東財務局に提出した大量保有報告書で明らかになっているが、今月に入って先週末にはこの投資ファンドが同社株を追加取得した事も明らかになっている。

ディフェンシブポストの雄だった東電からシャープまで近年は東証一部の名門企業でも破綻懸念に晒される事例が多くなったが、これから本決算発表に加え資金繰りから事業売却等々超えなければならない壁が数多控えるなか、政府や銀行団から投資ファンドまでそれぞれの思惑を乗せどういったランディングになるのか注目が怠れない。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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