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IPOならぬICO

昨日は4,000ドルを超えた仮想通貨ビットコインについて触れたが、昨日の日経紙には「仮想コインで資金調達急造」と題して、企業が株ではなく独自の仮想コインを新規発行して個人投資家など買い手を募るICO(イニシャル・コイン・オファリング)と呼ぶ資金調達が欧米アジアで急増している旨が載っていた。

ICOで発行するコインに価値を持たせる仕組みは発行企業によって千差万別だが、SECなどは先月に同コインは条件によっては有価証券に該当し投資家保護を念頭に規制対象にすると宣言、シンガポール中央銀行もこれに続いて同様の声明を発表している模様だ。

このICOに関してはテックビューロ社がブロックチェーンの新プラットフォームであるCOMSAの開発にあたり10月2日からICOが行われる予定。このテックビューロは非上場ながら、COMSAを使ったICOとしては東証二部に上場しているプレミアムウォーターホールディングスもこの後に上場企業初のIOCを実施する予定となっている。

これを好感して同社株は今月の上旬には二日連続のストップ高を演じて年初来高値を更新していたが、斯様な資金調達も相場に影響を与えるに充分な材料となり得るのを証明した格好になっている。


有事の受け皿の幅

先週からまたぞろ挑発合戦が繰り広げられる展開になっている米朝関係の緊迫化を嫌気して連休明け本日の日経平均は大幅に4日続落となったが、為替の方もCFTCの円の売り持ち高が約2年ぶりとなるなか、安全資産とされる円がNY市場では一時108円台まで大幅高する場面もあった。

ところでこうしたリスク回避による資金逃避の受け皿になっているのは何も上記の円に限った事ではなくビットコインもまた然り、つい先月には処理改善策を巡る対立による分裂騒動が嫌気され一時は2,000ドル台割れまで売られたビットコインであったが、昨日未明には初めて遂に4,000ドルの大台を超えてきている。

投資家層の広がりを考慮すれば今や時価総額も600億ドルを突破してきているこの市場に株式や債券等から有事の代替資産として資金が流入してくるのも頷けるが、有事に反応する定番の金でさえ上昇したといはいえ約5%そこそこ、一方のビットコインは100%ともはや先の価格逆転の話題が遠い昔のようにも思えてくる。


二部の池に鯨

本日の日経紙一面には「東芝決算 限定付き適正」と題して、昨日にPWCあらた監査法人が東芝の2017年3月期の有価証券報告書につく監査意見について「限定付き適正」とする方針を示した事が明らかになり、これで一先ずは決算の監査を巡っての同社株の上場廃止懸念は一先ずのところ後退という形になった。

ところで東芝といえば今月に入ってからポストは二部に指定替えとなっているが、東証二部創設以前から上場していた歴史を持つ同社からすれば債務超過の背景があるとはいえ屈辱だろう。同じ一部6000番台の主力を担っていたシャープも都落ちしたものの鴻海のメスが入り一部復帰を目指しているが、過去10年程度を見てみれば一部に復帰出来たのはオリコしか見当たらないのが現状。

また二部の特性上、その不釣り合いなボディーが入って来た事で上記のシャープと東芝の二社だけでその時価総額は二部市場の3割を占めるに至り、刻み値も変更になる事も併せ指数そのものが今後歪んでくる可能性も否めない。上記の報を受けて本日の同社株は寄り直後こそ大幅続伸となったものの、あと値を削り引けでは小幅続伸にとどまった様は債務超過含め同社株にまだまだ燻る懸念を如実に表していると言えようか。


異例の三度目

さて、先週末に大阪堂島商品取引所は総会を開き農林水産省にコメ先物取引の試験上場延長を申請していたが、2回目の延長期限が終了となる昨日農林水産省はこの試験上場について2年の延長を認可することとなった。

これで最後とも言えた本上場申請後の自民党プロジェクトチームの会合では、果たしてというか農林族政治家等の守旧派の反対が強く本上場認められずとの結論に至った背景があったのだが、しかし試験上場なる仮免許ともいえる期間が8年にも及ぶモノはそうそう無いがまさかの3回戦に突入である。

大阪堂島商品取引所としても市場の継続性を担保したいとの判断からの再延長申請となったのだろうが、守旧派の壁を崩せるに足る会員の顔ぶれや充分な取引高実績はやはり焦眉の急となっておりともあれ今後2年でどうそれらを積み上げてゆくかが本上場のキーとなってくるか。


AI考

本日の日経紙には「AI普及仕事どうなる」と題して、2045年にはAIが人間の能力を超えるとされる「シンギュラリティ」が起きると言われるほか、人間の仕事の多くがAIに奪われるとの予測も出ているなか、将来人間との関係はどうなっているのか拡張人間というテーマに取り組む東京大学教授へのインタビューが載っていた。

文中には話題性があっただけにアルファ碁なども出てきたが、これは他とは一寸毛色を異にすると思うものの、実際に金融分野等ではAIによるビッグデータ解析等で決算結果と予想値乖離をアナリスト以上に高精度で絞り込むモデルも開発されアナリストカバーの無い中小型銘柄リポートもAIに投げられ、医療画像解析技術や自動運転技術にしてもほぼほぼ指呼の間だ。

こうなるとやはり多くの仕事が奪われてしまうという懸念はもっともなところだが、上記の東大教授の他にAIに関してはMITの教授も人間の創造性と欲望という二つの原理がかかわりAI発達でも仕事は無くならないとしている。氏の見解はAIの本領である知識や暗記など従前のテストで測り出世させてきたこれまでの体制を根本的に見直し創造性豊かな人間を如何に創るのが重要かを改めて考えさせられるところである。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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