ヒルドイド神話

さて、本日の日経紙一面には「診療報酬マイナスに」と題して、厚生労働省と財務省は2018年度予算編成で医療行為や薬の対価としての医療機関が受け取る診療報酬をマイナスにする方針とし、今回は効果があるが価格が高すぎる医薬品を値下げする薬価制度の改革による減額にも踏み込む模様だ。

ところでこうした価格が高すぎる医薬品がある一方で安価な普及薬を保険適用で更に安く入手出来るのを悪用し、一部では美容クリーム代わりにこれを多用しているケースが話題になっている。保湿剤のヒルドイドがそれで私も何回か処方してもらった事があるが、確かに一部女子の間で実しやかにそんな話が喧伝されていたのを聞いた事がある。

元を辿れば一部女優・モデルが美容効果を謳ったとかで口コミの波が広がったという話だが、これまでも他目的での要処方箋薬で費用対効果が高いとされる薬は数多あった。とはいえこの美容目的の保湿剤利用を巡っては今月上旬に健保組合連合会が公表したレセプト分析調査研究で、実に年間93億円の薬剤費が無駄に支出されているというから看過出来ない。

斯様な状況に至りさすがに厚生労働省も保険適用外や一回の処方量制限の検討に入る模様だが、その線引きも難しく本来必要な患者からすれば甚だ迷惑な話だろう。美に対する飽くなき執念がこんな医療保険財政の圧迫要因になるまでに至っているとはとんだ弊害を生み出しているものだ。


ハロウィーンビジネス

さて、明日のハロウィーン本番を控え街の彼方此方ではイベントが盛り上がっている模様だが、今年は台風22号の影響で先週から屋外モノは受難、渋谷では降りしきる雨で寒そうな姿が其処彼処に見られ日本最大級ともいわれる川崎のハロウィーンパレードはこの影響で中止となってしまった。

ところで近年拡大するハロウィーンブームに乗って今年も各テーマパークも客層拡大を狙いホラー色を強化している模様。USJはそのリピーターの多さからレベルにより中学生以下禁のハロウィーンホラーナイトを展開し、ホラーとイメージが結びつかないピューロランドも小学生以下禁のゴーストピエロのホラーハウスを展開している。

確かに客層の観点から見れば、例えばこれから迎えるクリスマスやバレンタイン等は子どもやカップルがメインターゲットだが、ハロウィーンの場合は老若男女誰でも楽しめる事で子ども向けイメージの強かった上記のピューロランドなどにも大人向けアトラクションを展開出来る伸びしろが商機として浮上する。

事実こうした展開が数字に結びついて表れてきている模様だが、テーマパーク以外の部分でも特に商材を選ばないので様々な業種・業界がビジネスとして参入し易い素地を持っており、今後も各所の展開如何でその経済効果も益々の拡大が見込めようか。


ブランド米戦国時代

さて、新米が行き渡るこの時期になるとDMやネットでは頻繁にブランド米の案内が届き、百貨店のコメ売り場もあらゆる地域のブランド米が入れ代わり立ち代わり並び目移りさえする。それもそのはず昨日たまたま見かけたTVではコメの品種登録数は年々右肩上がりとなっており、直近では843種類にのぼるというのを見た。

これだけブランド米が増殖している背景には年々変化する天候条件に適応する必要性があったという事もあるが、本日の日経紙商品面で一人当たり米消費量が前年同期比3.1%減となり5カ月連続でマイナスとなった旨が書かれていた通りこうした消費減から販売競争が激化、パイの奪い合いからブランド化が必要となり各地域の開発に拍車をかけた事も大きい。

更にスパンを長く見ればバブル世代が生まれた昭和40年頃に比べると現在の一人当たりの消費量は実に約50%にまで落ち込んでいる模様。そんなワケで過日百貨店に立ち寄った際も、昨年試験販売されていたポストコシヒカリを謳う新潟県の新ブランド「新之助」の販促が知事のトップセールスで行われていたのを見たが、今年廃止となる減反政策を睨み斯様に売り込みも益々拍車がかかって来ようか。


高級スーパー再編劇

さて本日は所用があって出かけた先でクイーンズ伊勢丹の看板を見掛けたが、昨日の日経紙・企業総合面には「三越伊勢丹、改革は融和型」と題し、三越伊勢丹HDがこの高級スーパー・クイーンズ伊勢丹の運営会社の株式の大半を三菱商事系の丸の内キャピタルに売却すると正式発表した旨が載っていた。

高級スーパーの売却といえば最近では成城石井がこの同じ丸の内キャピタルを経てローソンの傘下入りをしたのが記憶に新しいが、その前にはJ・フロントリテイリングがピーコックストアをイオンに売却しており、今回の三越伊勢丹と併せ大手百貨店系がスーパー経営から離れるパターンが続く。

ところで上記の成城石井買収の時はローソン勢に対して三越伊勢丹も手を挙げるのではという思惑さえ出ていたのを思い出すが、当時と今とでは丸の内キャピタル含め同じキャストながら買収の構図がさま変わりしている様子がこの業界の再編劇の目まぐるしさを物語る。


景気に投機

本日の日経紙・一目均衡では「市場騰勢 景気を反映か」と題して、米国の史上最高値更新や日本の21年3ヵ月ぶりの高値水準など日米の株価が上昇しているのみならず景気の先行指標とされる商品相場もまた内外で上昇している旨の記事があった。

この辺に関しては特に非鉄の上昇が顕著でLMEの先物では銅が今月に入って7%超上昇、亜鉛もリーマン・ショック前に遡る10年振りの高値を記録している。日経平均は本日で16連騰と連騰記録を更新しているが、上記を背景にして同紙二面に出ていた連騰の間に上昇した銘柄リストでは半導体やロボット関連に交じって住友金属鉱山や大平洋金属等の非鉄金属関連が上位に顔を出している。

非鉄といえば他にはニッケルも電気自動車の市場拡大に連れ供給不足が21年3月期から顕在化してくると予測されているが、別子の場合それらを低コストで生産する技術を有しており一部アナリストの評価も高い模様。そんな個別はさて置きとしても、何れにせよそうした需給もテコに過剰流動性の投機も乗り各市場で新たな相場形成が為されて来ようか。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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