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アベノミクス再始動?

昨晩はボクシングの村田選手が世界チャンピオンのベルトを賭け因縁の相手との再戦に臨む注目の生中継が行われていたが、その注目の戦いの画面には同時にL字テロップで選挙速報を逐一報じるという、かつて衆院選とサッカーの大きな試合がバッティングした時を彷彿させるような何とも落ち着きのない画面になった。

果たして村田選手は期待通りに雪辱を果たしたが、もう一つの衆院選の戦いは下馬評通り自民が単独280超の議席を獲得と余裕の勝利でこれでまた安倍一強が継続される事となった。こうした背景には野党側の二転三転したドタバタ劇も自民にとって勿怪の幸いとなった感が強いが、ホンの失言も針の一穴ではないが命取りになる政治の恐ろしさを見た感もある。

そんな煮え切らない構図から勝った割に漂う消去法感は鮮明、支持率とのアンバランスも微妙なところという気もする。とはいえ政局動向を最も気にする外人勢も乗る格好で週明けの日経平均は本日で15営業日連続上昇と過去最長を更新、1996年7月15日以来21年3か月ぶりの高値水準まで上昇したが、いずれアベノミクスもエグジットを日銀と共に視野に入れる必要があり何所まで外人勢が付き合うのか今後も目が離せない展開である。


忖度営業時代

週明けの当欄では資金の好循環が続くとした日経平均だが、果たして本日も続伸しバブル期の1988年2月10日以来29年8ヵ月ぶりの13日続伸を記録して年初来高値更新となったが、今月の日経紙「私の履歴書」ではちょうどそんなバブル期を駆け抜けた激動の証券界の様子を野村證券元副社長で前日本取引所グループCEOの斉藤惇氏が綴っている。

今月上旬には朝一番に仕入れと称して纏まった買いを入れそれを顧客に嵌めて、いや勧めてゆく営業の様子等を書いていたが、こうした所謂「仕切り」等の営業手法など当時は毎朝見る至極当たり前の光景であった。また週明け16日付けでも日経紙一面に載った損失補てん先リストを久しぶりに見たが何とも懐かしかった。

懐かしいと言えば営業特金という言葉もそうであったし、総会屋親族企業との一任勘定取引など一つ一つ鮮明に記憶が思い起こされる。そういえば「忖度」などという言葉が最近首相の森友学園や加計学園の問題でにわかに多用されるようになったが、大田淵・小田淵時代の証券界などまさにこの忖度が必要悪で機能し上記のような損失補償全盛期であった感がある。

廻り回って胴元の日本取引所グループCEOまで務めた斉藤氏だが、その取引所も当時の場立が犇めき合い大商い時にフエ吹が景気よく鳴り響いたフロアが、今やコンピューターシステム化を経て静寂の中にクルクルと廻る株価表示の速度で商いを測る光景に変わり果てた。二つのコードも発動されSECの監視体制も進化し証券界の水も頗る清さになったものだが、水清くしてナントカと当時のギラギラした貪欲の時代を懐古する業界人は少なくない。


規制の抜け穴と課題

本日の日経紙社会面には「仮想通貨業者 強制調査へ」と題し、ビットコイン・イーサリアムに次ぐ仮想通貨の一つであるリップルの取引を巡り顧客から現金を騙し取ったとしてこの関連会社代表を警視庁サイバー犯罪対策課が詐欺容疑で逮捕した旨が載っていた。

このリップルといえば今年の夏に一度取り上げた事があったが、春先に1円にも満たなかったものが約2か月後には50倍にも化けた経緯がある。現在は25円絡みの動きとなっているが良くも悪くも誘い水としてツールになり易い側面があっただけにマウントゴックス以来の仮想通貨絡みの詐欺事件となった。

先週から入ってきている直近の金融犯罪の報としては、他にマザーズ上場のインターネット通販企業、ストリーム株の「買い上がり」や「仮装売買」等の相場操縦で関係者を逮捕した件もあったが、近年のテクノロジーの進化と共にこうした従前の金融犯罪と並行し今後上記のような金融商品取引法でカバーされていないカテゴリーの事件も増加してくるのは想像に難くないか。


資金循環

本日の日経平均はマイナス圏に沈む場面があったものの切り返し結局は11日続伸、2015年の5月15日から6月1日まで12日連続高の記録があったがこれ以来の記録である。さすがにこの連騰過程では外資系のショートカバーから、個人の食い付きが多いインバース系のETFなど過去最高の積み上がりを見せていただけに投げという踏み?もこれらを加速させた模様。

また日経平均リンク債でも満期前の早期償還で解消の動きが出ている模様だが、コモディティーも田中貴金属工業発表の1〜9月の資産用金地金の売買実績では節目の5,000円大台に乗せた事で換金需要が増え同期間の買い取り量が4年ぶりに販売量を上回り前年同期比33%増えた模様とか。ショート勢の敗戦処理が終わった後の需給の真空地帯の行方は兎も角も何れも相場上昇が新たな循環を構築している。

騰落レシオなど過熱ゾーンが続いておりいい加減調整もほしいところだが、踏みに合わせた利食い売りもその後は押し目を待つ買い待ち資金に回るので資金の流れは好循環、こうした環境下だけに押し目待ちに押し目無しが継続されているが果たして連騰記録は更新されるのか否かが注目される。


アニマルフリーの波

さて先週は高級ブランド群の好調な決算が目立ち、フランスの高級ブランドLVHM(モエ・ヘネシー・ルイ・ヴィトン)の第3・四半期決算は市場予想を上回る内容となり10日の株価は2.6%上昇、同クリスチャン・ディオールは1.7%高、グッチやサンローランが上半期を牽引したケリングも2.2%高と何れも堅調であった。

ところでこのグッチといえば動物保護団体から毛皮使用の反対運動が高まっている事や、消費者の環境意識の高まりに対応し2018年の春夏コレクションから製品に動物の毛皮を使用しない事を決めた旨が先週末の日経紙に出ていた。こうしたアニマルフリーの動きは同じくイタリアのアルマーニも、昨年全ブランドにおいて毛皮の使用をグッチに先駆けて禁止した経緯がある。

グッチにしてもアルマーニにしても一頃はミンクからラビットまで幅広い素材を駆使した斬新なコレクションが売りにしてきたが、ケリングといえばファーフリーの先駆者ステラ・マッカートニーも擁している事でこの辺の整合性もあろうが、近年ではSRIいわゆる社会的責任投資も旬になっており経営陣も業績好調の折こうした世論に迎合する動きも視野に入れてきているという事か。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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