世界が欲しがる匠
本日は木曜日で和風総本家の放映があるが、先の日曜日付けの日経紙には「日本製はビーズ界のロールスロイス」と題して、2016年〜2017年の秋冬オートクチュールコレクションで登場した伊アトリエヴェルサーチのドレスで使われたビーズを例にあまり名も知られていない企業の隠れた日本製の高品質を謳った記事があった。
このビーズに限らず上記のヴェルサーチのようなハイブランドから引き合いがある例としては、和歌山の山奥に潜むアクリル製のフェイクファー製造会社もまた然り。以前に当欄でアニマルフリーの波と書いた事があるが、それらを背景に先陣を切ったグッチやルイヴィトンなどからオファーが殺到しているという。
冒頭のビーズは匠の管引き作業によって生み出される旨が書いてあったが、このフェイクファーも10年かかったという僅か0.3ミリの針で丸く等間隔に植え付ける匠の技術が世界を代表するハイブランドの目に留まった。この手の素材は中国製もまた出荷量の多さを競うが、日本製は中国製より単価が5〜10倍するもののハイブランドからの引き合いは挙ってある。
同紙の末尾では出荷の大半を輸出が占めるという国内需要の少なさが泣きどころと書いてあったが、こうしたハイブランド向けに限らず一般モノでもかっぱ橋の調理器具等を目当てに世界中から顧客が殺到している。高品質を国内に謳うのが後手に回っていたとの指摘もあるが、昨今は製品アピールも逆輸入の様相を呈しているか。