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ブランド保護の選択

さて、今の時期どこの商業施設でもセールと併せ在庫処分品のそれも酣だが、在庫処分に絡んでのニュースといえば先週入って来た報に英バーバリーが知的財産を保護し意図しないマーケット等への流出防止措置で過去1年で約42億円相当の在庫処分品を焼却処分、これに対し英国内で厳しい声が上がっていた旨が報じられていた。

まあその辺の商業施設のテナント品と英高級ブランドのバーバリーを同一比較するのは無理があるが、昨年秋にはファストファッションのH&Mが2013年から毎年12トンほどの在庫品を焼却処分しているとの報が物議を醸し出し、その前にはスポーツ大手ナイキも在庫品をリサイクルではなく破壊という形で処理した同様の案件で物議を醸し出している。

上記の2013年からというのを基準に見ればバーバリーでは破壊した商品は金額にしてこの間6倍に膨れ上がり、ここ2年でも破壊された商品は金額にして50%増加しているという。上記のファストファッションと相違しバーバリーのターゲット層は環境意識の高いミレニアル世代が多く、投資家とも併せイメージを考慮するに斯様な措置は悩ましいところではあるが、リサイクルを避けブランド保護を図る企業の選択も近年厳しさを増してきているか。


ウナギ所相場

連日酷暑の日々が続いているが、そんななか明日も恒例の丑の日がやってくる。丑の日といえばウナギだが、昨日の日経紙にはウナギの極度の品薄で築地市場では売りたいのにモノが無いという状態に陥っている旨が書いてあった。卸値が前年同期比4割高と過去最高値にあるなか、近所のウナギ屋も挙って値上げの波が押し寄せてきている。

そんな一方で先週の朝日紙では宮崎の養鰻業界では前年の1割程度の出荷量にもかかわらず買い手が付かずに多くのウナギが余る異常事態となっている旨が報じられている。県養鰻漁業協同組合では値段が高騰した国内産需要が値段の安い外国産に移った為と分析しているが、こんなさながら所相場もレーショニングの成せる業か。

思えば今から10年くらい前にウナギの産地偽装が騒がれて以降高騰が加速してきた感があるが、ここへきて秋刀魚も水揚げ量が振るわず釧路の初セリでは過去最高の値が付いたとか。水温変化、乱獲等々でこれら以外の海産物も不漁が云われ始めているが近江商人の「三方良し」ならぬ、今の「三方悪し」のこんな現状は何時まで続くことになるのだろうか。


其々の削減努力

さて、さきほど飲み物を買いにスーパーに立ち寄ったところ弁当や総菜の多くに半額のシールが貼られていたが、数多積み上げられた弁当など足が早いモノは本当に売り切れなければほぼ廃棄コースというところか。こんな光景から先の日経紙社説にて「流通業は新技術で食品ロスの削減を」と題した記事も思い出した。

この辺に関しては先月も当欄で外食店やメーカーと消費者をインターネットで繋ぐフードシェアなど食品廃棄をネットで削減する動きが広がり始めている旨を取り上げた事があったが、家庭からの廃棄量削減なども併せ消費者の意識改革と流通過程においても食品ロスの削減に工夫して行かねばならないとの指摘もある。

店側も先ずは単純なところで例えば近年話題になった恵方巻など事前予約をすると値引き特典があるなどのお得感を出すなど販売数を把握する努力などは可能だろう。先にも書いたが国内で食べられるのに捨てられる食品は1年間で646万トンとWFPによる世界の食糧援助量の約320万トンの倍以上にも膨れ上がっているだけに、今後も各所の取り組みに努力が求められようか。


総レンタル時代

さて、一昨日放映のTBS系の某教養バラエティー番組では、理想の部屋のイメージを伝えるとプロが無料でコーディネートしてくれるレンタル家具メーカーの紹介をしていたが、レンタルといえば衣料品も先週にはレナウンや三越伊勢丹がレンタルサービスに乗り出す旨が先の日経紙に出ていた。

クールビズなど仕事着のカジュアル化が進んだが故のサービスともいえるが、アパレルに関しては既にブランド品などのアクセサリー類は先行している。そういった面ではこれまで百貨店業界はレンタルビジネス分野とはある一定の距離を置いていたものだったが昨年まで4年連続で衣料品販売が前年を下回っただけに重い腰を上げざるを得なくなったか。

しかし周りをちょっと眺めて見ても、例えば近所のガソリンスタンドなどちょっと前まで洗車サービスから車検までやっていたものだったが、今ではレンタカー事業がメインとなりこれまでのサービスは全て終了している。若者のクルマ離れという現実を前にカーシェアリングなど急速に台頭してきたのも近年の特徴といえよう。

冒頭の家具やアパレルなど気に入った商品は自分で買い取ることも出来るとはいうものの、斯様に最近の若年層は所有願望に乏しく利用へと消費行動が変化してきている。今から数十年前にレンタルレコードが登場した時は衝撃であったが、時代と共にレンタルの構図も伸び代が出来まだ今後も変遷してゆくことになるか。


二度目のルソー

さて、今月は先週末で終了したプーシキン美術展に出掛けて来た。開催されていた東京都美術館に出向いたのは春の池坊展以来のことであったが、このモスクワのプーシキン美術館といえばフランス絵画コレクションで知られるところで今回は選りすぐりの65点が展示されていた。

なかでも20代のモネの作品「草上の昼食」など日本趣味の画家の貴重な初来日作品もあるなどなかなかの構成であったが、個人的に目当てはやはりアンリ・ルソーの1910年作「馬を襲うジャガー」である。ルソーの実物を観たのは今から8年前のオルセー美術館展の「蛇使いの女」であったが、サイズ感は違えどなるほど独特のルソーテイストであった。

ルソーの作品はどこかバリのプンゴセカンスタイルのテイストを持ち日本の田中一村の作風にも似ている面白さに惹かれるのだが、もともと遠近法を無視した構図にこれまた現実感に乏しい動植物は空想感に溢れている。上記の習作といわれ所説あるモネの作品とも併せ風景画のカテゴリーもなかなか深い背景が存在するなど解った展でもあった。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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