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ゼロコストの波

一昨日の日経夕刊一面には世界経済の先行き不透明感が高まるなかで、株式の短期的下落に備えたい投資家の需要を背景にデリバティブを活用した投資信託が増えている旨が載っていたが、投信といえば投資家が運用手数料を払わずに済むゼロコストの投資商品が世界で広がっている旨もその前の同紙に載っていた。

この辺に絡んでは当欄では先に主な運用会社10社の2019年3月期において実に7社が最終減益となった旨を書いていたが、その背景には上記のような世界で広がるゼロコストによる運用会社の低コストの逆風の影響が大きい。この時はパッシブ型運用の手数料が大幅に低い旨を書いたがこれも近い将来年0.12%まで低下するという。

こうした傾向はアクティブ型も然りでETF等のライバルの台頭が脅威となってくる。或る意味証券において対面分野はガラパゴス状態であった本邦も委託手数料完全自由化から20年、投資家の恩恵の裏で斯様な投資コスト急低下の波が今後業界の合従連衡を活発化させるトリガーとなり得る可能性が無いとも限らない。


試金石のW杯

周知の通り昨日はラグビーのワールドカップ日本大会の準々決勝だったが、ここまで全勝で1次リーグを首位通過してきた日本は南アに惜しくも敗れた。初対戦で勝利した前回大会のようにはならなかったが、8強入りは史上初めての快挙でなによりその不屈の精神に勇気をもらった向きは多かったのではないか。

ここまで勝ち進むにつれてニワカファンも増殖しそのラグビー熱も稀に見る盛り上がりを見せた事でその経済波及効果も気になるところで昨日の日経紙でも関連消費が快調な旨が載っていたが、他に比べて開催期間が長く会場も広範囲にわたる特性から組織委員会の事前分析では約4372億円と試算されている。

何れにしてもそういった事で最終的な数字にも関心が向くところだが上記のような特性をテコにこの機会を業界から自治体までどう活かしてゆくのか、組織委員会は大会後の継続的経済効果を創出する機会にも言及しているが今回のラグビーワールドカップ日本大会は来年の東京オリンピックを睨んでの一つの試金石とも成り得るのではないか。


フードロス官民対応

本日の日経紙商品面には台風19号による浸水の影響で各地の青果市場では災害や混乱が生じ廃棄処分が相次いでいる旨が載っていたが、今朝のTVでも埼玉の青果市場の様子を放映し廃棄しなければならない物の中にはまだ新鮮そうなモノもあるとナレーションが入っていたが、斯様な映像を見るにこんなものもフードロス問題の一角に括られるだろうか。

食品廃棄法で先駆している仏では食べられる食品廃棄を禁じているが、廃棄されてしまう食材に絡んでは神奈川県の一部JA直売所で売れ残った野菜を有効利用出来ないものかと考え子ども食堂を含む13団体に寄付、こうした0円食堂など地区の予算が無いなかで廃棄食材を有効利用出来ている。

日本でも消費税増税と共に今月から食品ロス削減推進法が施行、上記の取り組みなどに見られるように地方自治体には具体的な推進計画を作る努力義務が課されているが、ネットでも賞味期限に絡む食品を安価で提供したり、余剰食材を使ったメニューを格安で提供するアプリなど消費者と結びつける動きが日進月歩で進んでおりこれらスタートアップ企業等には今後も注目して行きたい。


ポスト探り

さて、最近では某回転寿司チェーンも台湾企業とコラボしてインスタ映え?するタピオカドリンクをメニューに載せてきているが、先週末の日経紙夕刊には「ポストタピオカを探せ」と題してこの手のドリンク人気も形を変え、ポストタピオカをうかがうレモネードやバナナジュース専門店が新勢力として台頭してきた旨が載っていた。

タピオカに関しては当欄でも8月にその輸入量が前年同期比で4.3倍、輸入額は約5.7倍といずれも過去最高となった旨を書いたが、そんな人気から神戸物産などPBブランドとして投入したのが奏功し先月に発表された連結決算は純利益が前年同期比17%増の92億円とこの期間として過去最高となり、今年の株価上昇率も57%とこちらも大きく伸びている。

冒頭の通りポスト台頭の動きもあるものの今なおベトナムや台湾から続々と新しい店が上陸しこれまでと差別化を図るなどその人気は健在だが、最初のタピオカブームは既にバブル期に訪れていたようにこの手はある一定のサイクルで繰り返されてきている。誰がババを掴むのか急騰する仕手株に乗るが如く今なお新規出店喧しいその後にも注目しておきたい。


防災対策再考

さて今更ながら台風19号が各地に残した爪痕が刻々と明らかになっており、これを書いている時点では12都県で亡くなった方は計74人に上り行方不明者も6県で12人に上っている。浸水により多くの犠牲者が出る要因となったこれまでにない河川等の堤防決壊等を見るに改めて100年に1度を超える確率の降水量の脅威を感じる。

首都圏なども近年住みたい街で人気だったタワマン等も停電や断水被害で続出し多くの住民が今なお不便な暮らしを強いられているが、タワマンの孤立といえば昨年の今頃に震度7を記録した北海道胆振東武地震が思い出されこの時は証取までBCPが機能せず終日取引停止になったのも記憶に新しいところ。

かつての阪神大震災や東日本大震災も絡め昨年くらいから言われ始めた猛暑の後には必ず大きな天災がやってくるという実しやかな説もいよいよアノマリーの一言で片づけられない感もしてくるが、いずれにせよ改めて防災対策の再考はじめ先ずは一刻も早い各所の復旧が望まれる。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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