相次ぐ有名処の更生法申請

さて、このコロナ禍の影響で劇団四季など劇場公演が中止になり一部小中学生など芸術鑑賞の授業が残念なことに無くなってしまったところもあるが、長引く劇場上演中止であのカナダのシルク・ドゥ・ソレイユ・エンターテインメント・グループが会社更生手続きに入るとの衝撃的な報が昨日あった。

同劇団といえば「アレグリア」の東京での初回公演に招待された時その演目もさることながらレネ・デュペレの曲にも魅了され、以降日本公演がある度にそれぞれのストーリーを観るのが楽しみであっただけに本当に残念な一件で兎にも角にも更生から一刻も早い興行復活が望まれるところ。

しかしコロナ禍により破綻の憂き目に遭った事例で誰でも知っている有名どころでは直近でも上記以外に高級食材の仏フォションや、米ディーン&デルーカなども衝撃的であった。何れも国内では大手百貨店や一等地に店を構え女子に人気で、幸いに国内事業に影響は無い模様だが著名ブランドをも侵食するコロナウイルスの憎々しさが改めて際立つ。


破竹のIPO

さて、米での新型コロナウイルスの感染再拡大により経済活動が再度制限され始めたことなどが投資家心理を冷やし日経平均と共に本日の東証マザーズ指数も3営業日続落となっていたが、そんな中で先週末に上場したECプラットフォーム関連事業のコマースONE HDが2日目にして後場に公開価格1,600円に対し漸く約4.4倍の6,970円で初値を付けたのが目を惹いた。

2か月半ぶりのIPO再開という事で溜まった鬱憤を晴らす?が如く上記のようにロケットスタートのものが目立つが、同じく先週に上場した機械学習を用いた画像認識ソフトのフィーチャーなどは連日の買い気配から上場3日目にして漸く公開価格520に対し実に約9.1倍の4,710円での初値形成と破竹の勢いである。

目下のところマザーズ指数は大引ベースではかれこれ12週間連続の続伸を記録し2003年9月の指数算出開始以来で最長となっているが、先に当欄で書いた通りその時価総額も東証二部を上回ってきている。IPO再開熱の一巡感が台頭してもなおコロナをテコに今後も暫く独り勝ちが継続されるのか否か、この辺には注目しておきたいところ。


新規導入か廃止か

今月に入って23000円台超まで回復した日経平均だが低PBRモノは依然として多い。この辺に絡んでは先週末の日経紙投資情報面にてM&A助言レコフ調べの買収防衛策を新たに導入する企業がPBRの低い企業などを中心に5月末時点で7社と前年を上回り、15年にコーポレート・ガバナンス・コードが採用されて以降で最多となった旨の記事があった。

買収防衛策といえば最近では東芝機械がアクティビスト対策で昨年廃止した買収防衛策を改めて復活させた事例が記憶に新しいが、世の趨勢としては経営者の保身に繋がるなどとして総会での反対票も増加するなど批判が強く、導入済み企業は15年比で4割減となるなど近年では廃止が相次いでいるのが現状だ。

先に政府による安保上重要な日本企業への出資規制強化など為されているが、それがこの
コロナ禍のあおりを受けた春先の株価急落などから他にも技術力を持つ企業を標的とした買収や出資の動きが警戒される。確かにPBRが極めて低いまま放置されている企業側も問題だが、コロナ禍でガバナンスと対企業影響力行使との天秤が改めて注目される。


オンライン商機

さて、春先には新型コロナウイルスの影響から年度替りの卒業式や歓送迎会などが総崩れとなり年間でも最需要期となる花卉需要が急減の憂き目に遭っている旨を書いたが、昨日の日経紙には「捨てられる花を救え」と題し、オンラインを駆使して商機につなげる試みが俄かに熱を帯びてきている旨の記事があった。

廃棄される道を救う試みとしては食品で同じく今年の始めに挙げたフードシァエサービスの「TABETE」などがあるが、他にも余剰食材を購入するクーポンを発行するアプリ「No Food Loss」なども登録店を拡大させており、更には業務用商品などまで含めて扱う「KURADASHI」なども最近は注目を浴びている。

またマーケットに出しても最近は思うような値が付かないのは高級魚類も同じでココもまたEC活用の動きが顕著になってきているが、先行している民間のアクションに農水の更なる強い後押しも望まれるところでオンラインならではの枝葉の広がりが今後も更に顕著になってくるか。


間接効果の恩恵

昨晩はWTIが3月以来の40ドル大台を回復してきたが、先週末の日経紙商品面では原油価格指数に連動するETNの売買が個人マネーの流入で急増、発行体の金融機関が原油先物の持ち高を増加させたことで東商取の原油先物の4月の売買高は前年同月比で4倍以上となるなど取引が急拡大となっている旨が載っていた。

このETNといえば文中に挙げられていた「日経・TOCOM原油ダブル・ブルETN」が代表銘柄であるが、これまでも原油が数年ぶり安値に沈む度にこのETNが商いを集めて注目されており、その建玉は先週段階で1年前の約4倍に増加し売買代金もまた4月には上場以来の最高を記録している。

原資産の存在も緩和マネーの影響で投資に流入する厚み自体が増し各々数カ月ぶりの高値となっており、他にも先に当欄で取り上げていた野村のインデックスETFなどはWTI暴落に乗じて個人が群がった当時の二桁から三桁へと値段が跳ね上がっている。これらETNやETFなどその設計上から東商取への間接効果は上記の通り無視出来ないものがあるが、今後どの程度商いを集められるのか注目というところか。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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