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世紀の破談?

さて、先の日曜日には米エヌビディアが英半導体設計アームを最大400億ドルで買収する事が明らかになったが大型買収といえばもう一つ、当欄でも昨年末に取り上げていた仏LVMHモエヘネシー・ルイヴィトンによる米宝飾大手ティファニーの買収が撤回されたとの件も巷で話題になっていた。

その背景として米政府がフランス製品に関税を課す方針を示した事を受けた仏外相から買収合意の履行先送りを要請され断念せざるを得なかったとの事だが、新型コロナウイルスが猛威を振う直前の最悪なタイミングでの基本合意だっただけに果たしてのコロナ禍で販売が急落するなか斯様な好材料?は千載一遇の撤回チャンスだったのは想像に難くないか。

この縁談で資金力や販促力の強化を目論んでいたティファニー側は当然の如く猛反発の様相を呈しているが、コロナのパンデミックが高級品業界に如何ほどの影響力を及ぼしているかが露呈されたケースといえよう。とはいえ高級品業界の一角はそれとしてもマクロではこれまで停滞していたM&Aは急速に復調しているという。

この辺は一昨日の日経紙夕刊でも調査会社ディールロジックが出したところによる7〜8月の世界のM&A総額が2ヵ月連続で前年実績を上回った旨が出ていたが、先に当欄でも書いたコロナ禍で世界の上場企業の稼ぎ頭が激変しドラスティックな下剋上が起きている状況下において斯様な手段で成長を見出す流れは今後も続こうか。


路線継承

さて、周知の通り衆参両院は本日の本会議で菅自民党総裁を第99代首相に選出、自民・公明両党による連立内閣を発足させた。組閣に関しては安倍政権時の閣僚の再任や横滑りが目立つ布陣で目新しさに欠ける感は否めないものの、概ね金融政策も日銀の緩和路線など安倍路線を引き継ぐ格好となろうか。

日銀の金融緩和政策といえば本日の日経紙にも「日銀市場安定策 危機モード一服」と題し、日銀によるETF購入額が3月をピークにし先月はコロナ前の昨年11月以来の低水準であった旨が出ていたが、株式市場の不安定さは続くとみて当面は年12兆円に倍増したETF購入額の上限を据え置くとみられるという。

斯様なETF買いが奏功して日経平均も今月に入ってからコロナ前水準を回復となったがこうしたオペレーションも功罪相半ば、持ち合い解消が謳われる中で予てより年内にはGPIFを上回り日本最大の株主となる見通しといわれていたが春先の一段の爆買いで推して知るべし、今後具体的な数字が出る度にコーポレートガバナンスの観点絡めまた俎上に載せられるのは想像に難くないか。


伝統かハラスメントか

さて最近ではテレビのバラエティー番組などでも宝塚音楽学校を目指す受験生の密着モノなどよく見かけるようになったが、直近ではこの音楽学校の生徒間で長らく続いて来た挨拶の仕方などの自主的な慣習について世間の流れにこれら不文律はそぐわないとして見直しや廃止に踏み切った旨が報じられている。

確かに宝塚といえば以前にテレビで見た際には先輩への受け答えの際に笑顔禁止など表情が決められていたり、廊下は壁に沿って直角に曲がる、遠方に見える先輩へは大きな声で挨拶、果ては先輩が乗車しているかもしれないということで阪急電車に毎回お辞儀をしなければいけない等々数え上げればその自主ルール?は挙げればキリが無い。

まあこうした超名門校の場合こうした慣習も長年かけて良き伝統扱いとされるのもわからないワケではないが、近年問題となっているブラック校則などもその内容を見るに今の時代にそぐわないものばかりではないか?これに耐え社会へ出てもこれまた現代では疑問符な慣習が脈々と受け継がれている会社が多い。自分達が受けたルールは下の世代へ受け継ぐべきとする矯正教育もそろそろ社会がそれを許さない時代になってきた感がある。


各々の事情

さて、先週末の日経紙商品面には「貴金属、値動き二極化」と題し、各国の金融緩和を背景に世界でカネ余りが続くなか投資マネーの受け皿となって高騰する金や銀に対して、自動車の排ガス触媒など産業用素材として使われるプラチナやパラジウム相場の出遅れ感が顕著になっている旨が出ていた。

パラジウムに関して文中でドイツ精錬大手へレウスが自動車排ガス規制強化を背景に逼迫が続いて来た需給が2009年以来初めて均衡状態に達すると予測した旨が出ていたが、同社は1月末に公表した年内の価格見通しを11%引き下げる一方、年内の金価格見通しについては31%上方修正、また銀に至っては54%上方修正している。

半年間の騰落率でも上方乖離が目立つ銀は先に取り上げたロビンフッダーなどイナゴ勢の買いがこれらの一因にもなっており、主要銘柄アイシェアーズ・シルバーのホルダーは3月から先月段階で4.5倍にまで膨れ上がっているが、こうした背景があるだけに同じく上方修正された金とはまた性格を異にしているのは明らか。

またPGM系でもプラチナのバイプロとして採れるロジウムはその希少性から国際価格が再度急騰するなど他と動きを異にしているが、何れにせよこの新型コロナウイルスが創造した市場環境のなかで斯様に今後も各々がそれぞれの事情を背景に緩和マネーの受け皿として選好される構図はまだ続こうか。


地場色回帰?

さて、一昨日は次期新首相候補の最右翼に菅氏濃厚との見方から株式市場での地銀株物色の旨を書いたが、初動ではこれらの陰に隠れ同じく菅氏連想という事でふるさと納税関連株としてチェンジも物色された経緯がありこれまた一日天下で終わることなく本日も同株は二日連続で上場来高値を更新してきている。

ところでふるさと納税といえば先に総務省とのバトルで泉佐野市が逆転勝訴を勝ち取った背景から制度から除外されていた4市町が先月までに制度に復帰している。先に当欄でこれを取り上げた際には今後は地場産業など襟を正した勝負で臨むか否かこの辺が注目されようとも書いたが、当の泉佐野市の復帰後の返戻品は特産品の泉州タオルを全面的に推した内容となっていた。

勝訴とはいえ併せて社会通念上の節度を欠いたとの苦言も呈されただけに、他に泉佐野市と共に除外から復帰の運びとなった昨年2月に当欄で取り上げた静岡県小川町なども特産品や民宿といった地場に根差した返戻品を用意、また他の除外された向きも一様に地場産品など地域色を前面に押し出したモノでの構成が目立つ。

現在泉佐野市は病院財政支援のクウドファンディングや熊本豪雨災害支援の代理寄付受付なども開始しているが、ほとぼりが冷めたらまたぞろ熾烈なゼロサムゲームが始まるのかそれともこのままクラウドファンディング等も含め一層知恵を絞って地場産業の開発に努める原点回帰の動きになってゆくのか今後も注目される。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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