其々の政策
さて、周知の通り先週はECBが理事会で11年振りの利上げを決めているが、先月に0.25%という予告をしていたもののインフレ加速を受け果たして実にその2倍にあたる0.5%という結果となった。一方で同じ日に日銀は金融政策決定会合で予想通りというべきか大規模緩和を維持する方針を示している。
既に日銀のこうした政策の限界を見込んだ外人投資家の国債売りにも拍車がかかっており、日本証券業協会の統計では6月の国債売りはこれまで過去最大であった4月の2兆7000億円を上回る4兆5839億円を記録している。確かに日銀の国債買いは理論上無制限に可能ではあるものの、何時の日か出口に向かわないといけないのは明白で根比べの行方は如何に。
一方で円安が収益を圧迫している一部の企業などからは緩和策の修正を指摘する声も上がっているが、会見で日銀総裁は金利を引き上げるつもりは全く無いとし、金利を一寸上げたからといってそれだけで円安が止まるかというものは到底考えられないとも発言していたが、確かにECBの利上げがコンセンサスとなっていた今月中旬にユーロは対ドル20年ぶりのパリティ割れを演じている。
そうなるとドルが強いという事になるワケだが、いずれにせよ見えてきた自身の退任まで引くに引けぬジレンマの展開がまだ続くのは想像に難くなく、目先は明後日のFOMCの金融政策発表での利上げ幅やFRB議長の定例記者会見ではどういったメッセージを出してくるのかこの辺にも注目したいところ。