課題に本腰
本日の日経紙総合面では「価格転嫁、日本5割どまり」と題し企業の賃上げ原資の確保に欠かせない価格転嫁に関して、米欧はコスト増の大半を販売価格に反映しているのに対し日本は5割しか転嫁できていなく遅れている旨が書かれていた。資源高のシワ寄せは立場の弱い中小企業に集まり易いが、これに絡んでは経産省が取引先との中小企業との価格交渉や転嫁に後ろ向きな企業を昨日初めて実名で公表している。
下請け振興法に基づき22年9月~11月、15万の中小企業を対象に実施したアンケート調査で10社以上から取引先として名前が挙がった148社が対象だったが、価格転嫁に応じたかの転嫁状況と交渉に応じたかの交渉状況を4段階で評価。このうち価格交渉で最低評価を受けたのは産業機械の不二越でその次は日本郵便、同じく価格転嫁では日本郵便でその次は不二越と両社の低評価が際立つ。
一方でそれぞれの基準で最高評価を得たのは住友化学や日本製鉄など7社だったが、下請けなどの立場の弱い中小企業の価格転嫁が容易でないのはこれまで何度も触れてきた通り。そういえば下請けGメンの調査員も昨年は倍増しているが、この度の実名公表も併せ政府も本腰を入れ始めたか。以前にも書いたように日本の労働者の7割が中小企業に勤めているわけで、価格転嫁の目詰まりを解消し健全な循環が為されるような環境の後押しは引き続き必須の課題か。