米銀預金獲得競争
さて、予てよりその突出した預金流出から次はココではないか?と噂されていた米地銀ファースト・リパブリック・バンクがやはりというか経営破綻となった。これで先のシリコンバレーバンクが破綻して以降、このおよそ2か月足らずではや3つの中堅銀行が破綻に追い込まれたことになる。週明けのマーケットが開く前にJPモルガンによる救済とギリギリの決着となったが、この一連のスピード決着の流れは先のクレディスイス救済の時の週末を彷彿させる。
これら以外の銀行も戦々恐々だろうが、これまで預金の流出が軽微にとどまっている銀行でも先の決算では軒並み今後の業績を下方修正しているところが多い。この背景には今やMMFでも遜色ない金利が得られるようになったことで、SVB破綻以降は銀行よりも安全で安心なMMFが恰好の受け皿となっており、預金を繋ぎ止める為に金利を従来の想定予想以上に引き上げたことがある。
加えて直近ではアップルが先月から預金サービスを開始しているが、業界を騒がせたのはその預金利率で変動制とはいえ当初の利回りは全米の貯蓄口座の平均の10倍以上に相当する年4.15%。全米で1億人を上回るアイフォーン利用者をフィンテック分野強化で狙い囲い込む作戦だが、早速開始後4日間で10億ドル近くの預け入れがあったそうで中小銀行勢にとっては泣きっ面に蜂ともいえる状況だろう。
この二重苦、三重苦の状況のなかこの流れが今後も続いてしまうか否かだが、今回救済に動いたJPモルガンのCEOは中堅銀行の経営不安は終わりが近づいているとの認識を示しているものの、今後は資本規制強化に備えリスクアセットを縮小する動きが出る可能性から貸し渋りの顕在化も懸念される。株価の下落に身売りが報じられる銀行も出てくる視界不良のなか今後も暫くは中小銀行の憂鬱は続きそうだ。